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キケロー『カエリウス弁護』12



(12) at studuit Catilīnae, cum iam aliquot annōs esset in forō, Caelius. et multī hoc idem ex omnī ōrdine atque ex omnī aetāte fēcērunt. habuit enim ille, sīcutī meminisse vōs arbitror, permulta maximārum nōn expressa signa sed adumbrāta virtūtum. ūtēbātur hominibus improbīs multīs; et quidem optimīs sē virīs dēditum esse simulābat. erant apud illum inlecebrae libīdinum multae; erant etiam industriae quīdam stimulī ac labōris. flagrābant vitia libīdinis apud illum; vigēbant etiam studia reī mīlitāris. neque ego umquam fuisse tāle mōnstrum in terrīs ūllum putō, tam ex contrāriīs dīversīsque atque inter sē pugnantibus nātūrae studiīs cupīditātibusque cōnflātum.

(12) 確かに,彼はカティリーナに入れあげたのですが,それは,既に何年か公事にカエリウス君が携わった後のことです.また,あらゆる階級の,そうしてあらゆる年代の多くの人々が,これと同じことをしたのです.というのも,かの人物は,あなた方も覚えておいでと私は思いますが,極めて多くの,明白ではないが,それらしく見える最大の美徳の徴候を持ちあわせていたのです.彼は多くの不正な輩と親交がありました.一方で,最良の人々に献身的なふりをしておりました.彼には劣情へ誘うものが多くありました.一方で,勤勉と労苦に向けて刺激するものもなにがしかあったのです.彼には,劣情の悪徳が燃え盛っておりました.一方で軍事への熱意もまた盛んだったのです.決して一度たりともこのような化け物は一人でも地上にいたことがあったとは思えません.これほどに相反しかつ多様性に富み,違いに矛盾する生来の熱意と欲望が混ざり合った,そんな化け物は.


【2018/03/07 23:43】 Cicero Pro Caelio | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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キケロー『カエリウス弁護』11



(11) Tot igitur annōs versātus in forō sine suspiciōne, sine īnfāmiā, studuit Catilīnae iterum petentī. quem ergō ad fīnem putās custōdiendam illam aetātem fuisse? nōbīs quidem ōlim annus erat ūnus ad cohibendum bracchium togā cōnstitūtus, et, ut exercitātiōne lūdōque campestrī tunicātī ūterēmur, eademque erat, sī statim merēre stipendia coeperāmus, castrēnsis ratiō ac mīlitāris. quā in aetāte nisī quī sē ipse suā gravitāte et castimōniā et cum disciplīnā domesticā tum etiam nātūrālī quōdam bonō dēdenderet, quōquō modō ā suīs custōdītus esset, tamen īnfāmiam vēram effugere nōn poterat. sed quī prīma illa initia aetātis integra atque inviolāta praestitisset, dē eius fāmā ac pudīcitiā, cum iam sēsē conrōborāvisset ac vir inter virōs esset, nēmō loquēbātur.

(11) したがって,これほど長い年月の間,彼は疑惑もなく,醜聞もなく,公事に携わったのちに,再度志願したカティリーナに入れ込んだのです.それでは,どの期限まで,あなた方は,彼の若年を監視すべきだとお思いでしょうか.我々の場合は実際,かつては一年が,腕をトガで抑えておくため*1,また,トゥニカを纏って肉体訓練と(マールスの)野での教練を用いるため*2,定められており,そして,陣営と軍事の同様のやりかたが,もし我々が直ちに軍人給与を稼ぎ始めた場合には,定められていました*3.その年齢の時に,ある者が自分自身の重みと慎ましさと,家での躾に加え,さらに将来の何らかの善良さによって我が身を守ることなしには,その人物は,いかなりやり方で身近な人々により監督されていても,それでも本当の悪評を逃れることはできなかったでしょう.しかし,その最初の年齢を真っ当に毀損なく保ったような者については,自分がしっかり成熟し一人前の男として人々の中に交わった後も,誰もその名声と貞節について話すことはしなかったものです.


*1 大げさな身振りをせず,トガの中に手を抑えて話すのが慎ましい振る舞いとされた.
*2 ティベル川の東側のマールスの野(campus Mārtius)は軍事教練に使われた.マールスの野はこの地図(<https://legacy.lib.utexas.edu/maps/historical/shepherd_1911/shepherd-c-022-023.jpg>)のティベル川の北の東側にある.
*3 つまり,ローマにとどまって慎ましやかに過ごしつつ軍事教練を受ける若者が一方でおり,他方で,直ちに軍に入って給与を取り始めて,同じように振る舞いを学びつつ軍事教練を受けるものがおり,一年がその期間とされたということが言われているようである.


【2018/03/07 02:36】 Cicero Pro Caelio | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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新燃岳爆発的噴火中

新燃岳の様子のYouTubeのライブですが,現時点で爆発的に噴火している真っ最中です.

  『新燃岳 ライブ配信』<https://youtu.be/wRamEu2wSDQ

現地の方々で避難など必要なかたは,もうされていると思いますが,噴火の様子を見た感じでは相当広い範囲で影響がありそうです.被害が最小限に止まることを祈るばかりですね.


【2018/03/06 23:16】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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キケロー『カエリウス弁護』10



(10) nam quod Catilīnae familiiaritās obiecta Caeliō est, longē ab istā suspiciōne abhorrēre dēbet. hoc enim adulēscente scītis cōnsulātum mēcum petīsse Catilīnam. ad quem sī accessit aut sī ā mē discessit umquam—quamquam multī bonī adulēscentēs illī hominī nēquam atque improbō studuērunt—tum exīstimētur Caelius Catilīnae nimium familiāris fuisse. "at enim posteā scīmus et vīdimus esse hunc in illīus etiam amīcīs." quis negat? sed ego illud tempus aetātis, quod ipsum suā sponte īnfirmum, aliōrum autem libīdine īnfestum est, id hoc locō dēfendō. fuit adsiduus mēcum praetōre mē; nōn nōverat Catilīnam; Āfricam tum praetor ille obtinēbat. secūtus est tum annus, causam dē pecūniīs repetundīs Catilīna dīxit. mēcum erat hic; illī nē advocātus quidem vēnit umquam. deinceps fuit annus, quō ego cōnsulātum petīvī; petēbat Catilīna mēcum. numquam ad illum accessit, ā mē numquam recessit.

カティリーナとの親交のことがカエリウス君に対して非難されたことについていえば,彼はあなた方の疑惑からは遥か遠くに離れていなければなりません.というのも,彼が青年の時に,あなた方もご存知の通り,カティリーナは私と共に執政官職に志願したのですが,そのカティリーナに,彼が近づくか,あるいは私から一度でも離れたということが,仮にあったとすれば——多くの善良な青年らがかの下劣で不正な人物に入れあげていたのですが——,そういうことがあれば,カエリウス君がカティリーナにあまりにも密な親交があったと,考えられてもよろしい.「だが実際,のちに彼がその男の友人たちの中にいたことを我々も知っているし,見ているのだ」誰が否定できましょう?しかし,私としては,それ自体も自分の意思では未熟であるが,しかし他人の欲望により危険にもなる,この年端の時点について,この場所で弁護しているのです.私が法務官であった時*1,彼はずっと私と共にいたのです.彼はカティリーナを知りませんでした.かの人物はその時属州総督としてアフリカを持っていたのです.続く年には,カティリーナは財物強奪の告発を受けました.彼は私と共にいました.かの人物のために,決して弁護を買ってでたことはありませんでした.続く年に,私は執政官職を志願しました*2.カティリーナは私と共に志願していました.彼は決してかの人物のところに近づかず,決して私の元を離れませんでした.

*1 前66年,カエリウス16歳.

*2 前64年.


【2018/03/06 00:20】 Cicero Pro Caelio | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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Wilfred Stroh 教授のウェルギリウス『アエネーイス』4巻朗読

 Wilfred Stroh 教授の情熱あふれるウェルギリウス『アエネーイス』4巻朗読,行方不明になっていましたが,YouTubeに発見しました.



 投稿者のOnlineLatinaさんは他にも動画を(多分勝手に)あげてくださっていますが,長短の不正確な朗読もあるので,注意したほうがいいと思います.

 


【2018/03/05 02:47】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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山の学校

 最近,山下先生の山の学校が色々面白そうです.ギリシア語・ラテン語の他にも各国語の授業をやっていて,ホラーティウスやカトッゥルなどに,カッリマコスまでやっているようで.おまけにイタリア語の購読でタブッキの『夢の中の夢』まで読んでいます(ちなみに,この作品には,イタリア語がわからなくても聞ける非常に楽しい音楽付きの朗読CD<Sogni di sogni. Con audiolibro. CD Audio>があって,僕もわからないままで聞いています).
 僕は参加することはできませんが,もし近隣にお住いの方で,ラテン語・ギリシア語や,その他外国語に興味がある方がいらっしゃったら,下手をすると大学の講義を聴講するよりいいかもしれませんね.

  『山の学校』<http://www.kitashirakawa.jp/yama-no-gakko/


【2018/03/05 02:26】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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キケロー『カエリウス弁護』9



(9) vērum ad istam omnem ōrātiōnem brevis est dēfēnsiō. nam quoad aetās M. Caelī dare potuit istī suspiciōnī locum, fuit prīmum ipsīus pudōre, deinde etiam patris dīligentiā disciplīnaque mūnīta. quī ut huic togam virīlem dedit—nihil dīcam hōc locō dē mē; tantum sit, quantum vōs exīstimātis—hoc dīcam, hunc ā patre continuō ad mē esse dēductum. nēmō hunc M. Caelium in illō aetātis flōre vīdit nisī aut cum patre aut mēcum aut in M. Crassī castissimā domō cum artibus honestissimīs ērudīrētur.

(9) しかし,君の弁論全体に対する弁護は,手短なものとなります.というのも,マールクス・カエリウス君の年端こそが,君の疑念に余地を与え得ていたのですが,その疑念の範囲内に関していえば,彼は第一に,彼自身の慎みによって,次に,その父親の熱意あふれる教育によってもまた,守られていたのです.彼がこの息子に成人服を与えた時*1に——ここで私めについては何もいいますまい,あなた方のご判断にお任せしましょう——このことだけを言いましょう,彼は直ちに父親によって私のところに連れてこられたのです.父親と一緒にいるか,私と一緒にいるか,マールクス・クラックス*2の汚れなき家にいるかして,最も真正たる教養諸科目を教育されている時以外には,いかなる者も,このマールクス・カエリウス君を,その青春の盛りの時には見なかったのです.

*1 15・16歳の頃,成人用のトガであるトガ・ウィリーリス(toga virīlis)すなわち純白のトガ(toga pūra または toga alba)を与えられる.それまでは紫の縁取りのついたトガ・プラエテクスタ(toga praetexta)を着用する.

*2 もちろん第一次三頭政治(前60年)の一角マールクス・リキニウス(Licinius)・クラッスス(前115年-前53年)のこと.クラッスス自身もカエリウスの弁護に立ってキケローの前に弁論していた.クラッススは富裕ではあったが節度ある生活でも有名であった.



【2018/03/05 01:24】 Cicero Pro Caelio | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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キケロー『カエリウス弁護』8



(8) illud tamen tē esse admonitum volō, prīmum, ut, quālis es, tālem tē omnēs esse exīstiment, ut, quantum ā rērum turpitūdine abes, tantum tē ā verbōrum lībertāte sēiungās; deinde, ut ea in alterum nē dīcās, quae, cum tibi falsō respōnsa sint, ērubēscās. quis est enim, cui via ista nōn pateat, quis est, quī huic aetātī atque istī dignitātī nōn possit, quam velit, petulanter, etiam sī sine ūllā suspiciōne at nōn sine argūmentō male dīcere? sed istārum partium culpa est eōrum, quī tē agere voluērunt; laus pudōris tuī, quod ea tē invītum dīcere vidēbāmus, ingenī, quod ōrnātē polītēque dīxistī.

(8) しかしながら,君には次のことを忠告されていただきたい.まず,すべての人々が君をあるがままの姿で評価するようにするため,君が色々な物事の醜悪さから離れている程度,言葉を出任せに話すことから君は離れるように,ということ.次に,君に対しても出鱈目で言われたなら君が赤面してしまうようなことは,他の人にも君は言わないように,ということです.というのも,誰が君のやっているやり方が行えない者があるでしょうか,誰がこの年端と君程度の威厳に対して,思うがままにしつこく,たとえ何の疑いもないのに,しかしちゃんと論拠を立てて悪口をいうことができないでしょうか.しかしながら,君が担った役割の咎は,君がその役を担うことを望んだ人々のそれなのです.我々は君が嫌々それを言っているのを見ているわけだから,君の羞恥心は賞賛に値します.君は見事に洗練された形で語ったのだから,君の才能は賞賛に値します.


【2018/03/01 20:31】 Cicero Pro Caelio | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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バッハ研究者礒山雅先生死去

 日本でのバッハ研究の第一人者礒山雅先生が,先週の2月22日に永眠されていました.昨年末には博士論文『バッハの《ヨハネ受難曲》―その前提、環境、変遷とメッセージ』を完成,ブログ『I招聘教授の談話室』<http://prof-i.asablo.jp/blog/>には,1月26日の投稿記事に,この博士論文の口述試験を行ったことが記されており,この翌日の転倒事故後は意識不明だったとのことで,そのブログ記事が最後の投稿となったようです.ご冥福をお祈りいたします.


【2018/02/28 22:46】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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キケロー『カエリウス弁護』7



(7) quam quidem partem accūsātiōnis admīrātus sum et molestē tulī potissimum esse Atratīnō datam. neque enim decēbat neque aetās illa postulābat neque, id, quod animum advertere poterātis, pudor patiēbātur optimī adulēscentis in tālī illum ōrātiōne versārī. vellem aliquis ex vōbīs rōbustiōribus hunc male dīcendī locum suscēpisset; aliquantō līberārius et fortius et magis mōre nostrō refūtārēmus istam male dīcendī licentiam. tēcum, Atratīne, agam lēnius, quod et pudor tuus moderātur ōrātiōnī meae et meum ergā tē parentemque tuum beneficium tuērī dēbeō.

(7) 実に告発のこの部分がアトラティーヌス君に任されたことに私は驚き,とりわけ遺憾に思っているのです.というのも,それは相応しいことではなかったし,彼の年齢もそれを要求するものではなかったし,これはあなた方もお気付きのことでありますが,この最も優れた若者の羞恥心は,このような弁論に彼が取り組むのを我慢できなかったのです.あなた方より年季の入った方々の誰かが,この悪口を言う役割を引き受けて下さるとよかったのですが.私はずっとより滔々と力強く,より私流に,あなた方の悪口の言いたい放題に論駁するところなのですが.君にはだ,アトラティーヌス君,私は穏便にやるとしましょう,というのも君の羞恥心は私の弁論を手加減させてしまうし,私の君と君の親に対する好意は私は守る義務があるのですから.


【2018/02/28 01:25】 Cicero Pro Caelio | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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再度もう少し『MLAハンドブック 第8版』


 前のところで触れていなかったのですが,何より第8版で異なっているのは,「出版地」情報が消えて無くなっているということです.例えば第6版の様式で記述(下線のみ斜体字にしました)するとすれば,以下のようになります.

旧MLA:
Dickey, Eleanor. Learning Latin the Ancient Way: Latin Textbooks from the Ancient World. Cambridge: Cambridge UP, 2016.

MLA第8版:
Dickey, Eleanor. Learning Latin the Ancient Way: Latin Textbooks from the Ancient World. Cambridge UP, 2016.

 旧MLAの赤の太字で強調した出版地情報は,MLA第8版ではまったく姿を消してしまうことになります.
 実は日本での論文などの書誌の慣習も,日本で出版された本は出版地を書かないという不思議な風習があったのですが,それはなぜか日本の出版物は全部東京で出版されるものとされていたらしいです(京都の出版社の方々にとっては屈辱そのものの制度でしょうね).
 MLA第8版での出版地の省略の理由はよくわかりませんが,大抵の本はもうWorld Cat などでネットで検索可能の上,AmazonとInternet Archiveを使えば大抵の本がネットで入手できる,という事情があるのかもしれませんね.しかし,ある程度の大国のメジャー出版社ならまだしも,例えば小国や無名の小さい市の書籍,マイナーな出版社がネット登場以前に出版した本,さらにそのような条件下で出版された少部数のあまり知られていない本だと,ネットを使って本にたどり着くことが難しく,出版地情報があるほうが望ましい,ということはありそうです.出版地が複数にわたったりする場合,確かに記述がやっかいなことはありますが,それでも情報として書く必要がないとするのはちょっと抵抗はありますね.

 他にも色々問題がありそうなので,気がついた範囲でまた書いていこうと思います.ただ,MLA第8版の出版で,もう我々は「MLAに準拠」というやり方をすることはもうできなくなったことは確かだと思います.MLAに準拠しながら……のみこの方式にする,というやり方をとるか,さもなければ全部独自に決めるか,新メディアが扱われる可能性がない研究分野であれば,MLAの旧版に準拠,などという形になるでしょうか.このブログではまあ適宜,旧MLA式もどきの記述を続けると思います.



【2018/02/26 23:59】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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キケロー『カエリウス弁護』6



(6) equidem, ut ad mē revertar, ab hīs forēnsis labor vītaeque rātiō dēmānāvit ad exīstimātiōnem hominum paulō lātius commendātiōne ac iūdiciō meōrum.

(6) 実際この私自身,私のことに立ち戻るために申し上げますが,これらの源泉から,法廷の仕事と生業が始まり,それは少しばかりより大きい流れとなって人々の評価へと広まっていったのですが,それは私の周りの人々の後押しと判断のおかげなのです.

 nam quod obiectum est dē pudīcitiā quodque omnium accūsātōrum nōn crīminibus sed vōcibus maledictīsque celebrātum est, id numquam tam acerbē feret M. Caelius, ut eum paeniteat nōn dēfōrmem esse nātum. sunt enim ista maledicta pervolgāta in omnīs, quorum in adulēscentiā fōrma et speciēs fuit līberālis. sed aliud est male dīcere, aliud accūsāre. accūsātiō crīmen dēsīdeat, rem ut dēfīniat, hominem notet, argūmentō probet, teste cōnfirmet; maledictiō autem nihil habet prōpositī praeter contumēliam; quae sī petulantius iactātur, convīctum, sī facētius, urbānitās nōminātur.

 品行について非難されたこと,そして告発者皆の起訴理由ではなく,文句と悪口によって表明されたことについてですが,マールクス・カエリウス君は,それを心苦しく感じるあまり,なんで自分が醜く生まれなかったんだと悔いてしまうようなことは決してないでしょう.というのも,この手の悪口は,若い頃に見目形の優れた方々皆に言われる非常にありふれたものですから.しかし,悪口を言うことと,告発することとは全く別物です.告発というものは,事態を正確に把握し,当事者を挙げ,証拠により証明し,証人により立証するために,起訴理由を必要とするのです.しかるに,悪口というものは,貶め以外の何らの目的も持ちません.それをもっとしつこく言い続けるのなら罵詈雑言と呼ばれますし,まだ気の利いたやりかたでそうされれば,ユーモアと呼ばれます.


【2018/02/26 22:59】 Cicero Pro Caelio | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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改めて『MLAハンドブック 第8版』

 先に『MLAハンドブック 第8版』の記事を書いていましたが,アメリカAmazonでの評価がかなり低いので,現物を購入して確かめてみました.

長尾和夫 監訳,フォースター紀子 訳,トーマス・マーティン 訳『MLAハンドブック 第8版』東京:秀和システム,2017年.

 で,個人的な見解としてはですが,購入して悪いことはないと思いますが,強くおすすめできるかというと,それはちょっと厳しいところです.
 その理由は,現時点のメディアの多様化と,それから今後も加速度的に多様化し続けることを考えると,この第8版が仮に優れたものであっても,出版の時点からすでに時代遅れになってしまうからです.というかもうなりつつあります.つまり,MLAが定期的に本の形で出ることに意味はあるかとなると,多分もうないのですね.現時点の情報を扱うようなテーマの論文(たとえばツイッターやLineの情報が犯罪発生にどうやって関わってくるかなどの研究など)でないかぎり,紙媒体かそれに準ずる媒体(ネット上にあっても紙媒体の実質的コピー)を扱う論文であれば,それには「ある程度」よく対応していると思います.ただ,こちらも時々旧版のほうが使い勝手がいいところが多い(これも全てではない)ようにも思います.
 もちろん,参考になることも書かれています.例えば,ネット上にある学術文献にはデジタルオブジェクト識別子 DOI が割り当てられていることがあって,これらは変更しないことが約束されているので URL よりは DOI をつけることがのぞましい(p. 67, pp. 165-66),などということですね.
 ツィッターについては,「ツイートのテキスト全部をそのまま変更なくコピーしてタイトルの代わりに入れる」(p. 39)やり方がなるほどとおもいました.例えばこんな感じですね:

MLA第8版
@Cristoforou. "『今を生きる』で破られてる文学の教科書、あれってローレンス・ペリンの『音と意味』(これは超ベストセラー教科書)とブルックス&ウォレン『詩を理解する』をパロってんだよね?違う?" Twitter, 2018年2月19日 22:55., twitter.com/Cristoforou/status/965842452358803458

しかしこれも,今は文字制限が倍になっている上,ツィート中に画像・動画などのメディアや他のツィートの引用もあることが多いので,もうこのやり方もちょっと難しいでしょうか.
 個人的には,他のツィートと区別できる程度の部分の冒頭のみを引用するやり方が多分いいのではないかと思います.以下のは僕の試案ですが…….

試案:
@Cristoforou. "『今を生きる』で破られてる文学の教科書..." Twitter, 2018年2月19日 22:55., twitter.com/Cristoforou/status/965842452358803458

でどうでしょうか.

 旧MLA方式との差異は結構あります.どちらがいいかとなると難しいです.やや旧の良さが勝るような気もします.
 まず,旧MLAでは,ページ数は p. や pp. をつけませんでしたが,第8版ではつけることになりました.
 それから,ジャーナルでは「巻数と号数の両方を使っている」(太字は原著)ものがある(p. 53)と書かれている一方,「巻数を使わずにすべて連続する号数でナンバリングする学術誌もある」とあり,巻数を vol. で,号数を no. で表すようです.このあたり,vol. か no. の区別が難しい例が出てきそうです.旧MLAでは,ジャーナルの号番号と発行された月は無視し,さらに vol. や no. などは使わないとあるので(『MLA英語論文の手引き(第6版)』pp. 212-13) そういう問題は起こらないのですが.いずれにせよ,旧MLAとは相当体裁が変わります.例えば次の論文で比較すると:

旧MLA:
Yanagisawa, K. "The 'Parentage' Topos: Horace, "Odes" 2.13.1–12 and Ovid, "Amores" 1.12." Museum Helveticum 57 (2000): 270-74.

MLA第8版:
Yanagisawa, K. "The 'Parentage' Topos: Horace, "Odes" 2.13.1–12 and Ovid, "Amores" 1.12." Museum Helveticum, vol. 57. no. 4, 発行月?? 2000, pp. 270-74.

という具合になります.上の Museum Helveticum の第57巻の4号の発行月はおそらくは現物を見ない限りわかりませんが,書いたところで 2000年度(本当の出版年月日は異なる可能性あり)の第57巻のページ数は号を通して通し番号となっていますから,上の論文を探す場合にほとんど意味はありません(号も同様).ただ,ページの p. や pp. をつけるのは悪くないかとおもいます(数字だけだとやはり不安なので).折衷案で,おそらく次のようにするのが簡潔だと思います.

折衷案:
Yanagisawa, K. "The 'Parentage' Topos: Horace, "Odes" 2.13.1–12 and Ovid, "Amores" 1.12." Museum Helveticum 57 (2000): pp. 270-74.

 上でちょっと触れたデジタルオブジェクト識別子 DOIですが,次のように書くことになるようです.次の雑誌論文はネット上にもあって,URLは<https://www.cambridge.org/core/journals/classical-quarterly/article/virtue-in-platos-symposium/1013731823C132601A4FD473616F3B42>となっていますが,これは変動する可能性があります.
 このページにはもうひとつ<https://doi.org/10.1093/clquaj/bmh045>というリンクがあります.この doi.org/ のあとの10.1093/clquaj/bmh045が DOI となります.こちらは変動しないので,もしDOIがあるのであれば,こちらを引用すべきとのことです.DOIの記述方法は,小文字で doi: の後に続けるとのこと.折衷案と組み合わせてみると:

White, F. C. "Virtue in Plato’s Symposium." Classical Philology 54 (2004): pp. 366-78. doi: 10.1093/clquaj/bmh045.

という具合になるかと思います.まあ doi はない場合もあるので,その場合にはURLか,もしくはこれもあればですが,固定のパーマリンクとなります.その場合は http:// や https:// は省くとのこと(基本的にURLではすべて不要ということです.個人的にはついていれば pp. などのように,URLだとすぐわかるという安心感があるような気もしますが).

White, F. C. "Virtue in Plato’s Symposium." Classical Philology 54 (2004): pp. 366-78. www.cambridge.org/core/journals/classical-quarterly/article/virtue-in-platos-symposium/1013731823C132601A4FD473616F3B42.

まだネット上の情報を扱う際の色々な決まりなどで注目すべきものはありますが,長くなったのでこの辺りでやめます.

 まあ最後に,『MLAハンドブック 第8版』の本について,僕の意見ですが,お金に余裕があれば買ったほうがいいでしょう.それなりに役に立つことが書いてありますが,取捨選択をする必要があります.あれば便利でしょうが,まあ図書館で使うのが妥当というところでしょうか.もし,3000円ぐらいを使うとすれば,僕としてはおすすめは,この前の日本語で出た最後の版である第6版の翻訳を,古書という形になりますが,入手するといいと思います(が,これもまともな大学図書館ならあるはずですね).

ジョゼフ・ジバルディ著,原田敬一 監修,樋口昌幸 訳編『MLA英語論文の手引 第6版』東京:北星堂書店,2005年.

 いずれにしても,参考文献表の作成などは,論文を初めて書く方は,最後に作ればいいと思っている人が非常に多いですが,実際に作り始めると,ちゃんと統一がとれた文献表をつくるのは意外と難しいことがわかります.特に論文の締め切り間近,内容の推敲と訂正にたっぷり時間を使わなければいけない時になってから参考文献表を作り始めると,絶対にまともな参考文献表はできません.MLAのマニュアルを購入するかどうかはともかく,このような本をちゃんと見て,自分でどのように参考文献表を作るか,実際に参考文献表を作りながら,よく考える必要があることを最後に強調しておきたいと思います.



【2018/02/24 03:16】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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キケロー『カエリウス弁護』5



(5) Nam quod est obiectum mūnicipibus esse adulēscentem nōn probātum suīs, nēminī umquam praesentī Praetuttiānī maiōrēs honōrēs habuērunt, iūdicēs, quam absentī M. Caeliō; quem et absentem in amplissimum ōrdinem cooptārunt et ea nōn petentī dētulērunt, quae multīs petentibus dēnegārunt. īdemque nunc lēctissimōs virōs et nostrī ōrdinis et equitēs Rōmānōs cum lēgātiōne ad hoc iūdicium et cum gravissimā atque ōrnātissimā laudātiōne mīsērunt. Videor mihi iēcisse fundāmenta dēfēnsiōnis meae, quae firmissima sunt sī nītuntur iūdiciō suōrum. neque enim vōbīs satis commendāta huius aetās esse posset, sī nōn modo parentī, tālī virō, vērum etiam mūnicipiō tam inlūstrī ac tam gravī displiceret.

(5) さて,その若者が,彼の同郷市民たちにはよく思われていないと非難されていることについては,こう言いましょう.裁判官の皆さん,プラエトゥッティイー*1の人々は,地元にいる誰にも,地元から離れているマールクス・カエリウス君に与えた以上の栄誉を与えなかったのです.彼らは地元から離れているその彼を,最も重要な序列に選出し,そして多くの人が欲していても与えなかったものを,欲してもいない彼に授与したのです.その同じ人々は,今や我々の階級に属する人々とローマ騎士の精選された人々を,使者とともに,また,極めて重々しく極めて立派な推薦状ともに,この裁判に送ってきたのです.思うに,彼の関係者の判断に支えられているとすれば極めてしっかりしたものとなる弁護の礎石を私は置き終えたと思います.というのも,これほどの人物である父親にのみならず,かくも著名で重要な自治都市にも嫌われているとすれば,この年齢の人物があなた方に十分推賞されることなどないはずなのですから.


*1 この地図の H e 中央やや北東にある町 Interamnia (現テラモー)に住んでいた住民.この Interamnia は Interamnia Praetuttiōrum と呼ばれる自治都市.



【2018/02/22 19:40】 Cicero Pro Caelio | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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キケロー『カエリウス弁護』4



(4) equitis autem Rōmānī esse fīlium crīminis locō pōnī ab accūsātōribus neque hīs iūdicantibus oportuit neque dēfēndentibus nōbīs. nam quod dē pietāte dīxistis, est ista quidem nostra exīstimātiō, sed iūdicium certē parentis. quid nōs opīnēmur audiētis ex iūrātīs; quid parentēs sentiant, lacrimae mātris incrēdibilisque maeror, squālor patris et haec praesēns maestitia, quam cernitis, lūctusque dēclārat.

(4) しかし,そのローマの騎士の息子であることが告発者らによって起訴理由とされたことは*1,それはここにおられる裁判官諸氏から見ても,我々弁護陣から見ても,なされるべきことではありませんでした.さて,親思いの念についてあなた方が語ったことについて言えば,そのあなた方の評価は,確かに我々の思うところでもありますが,しかし,それは親が判断することであることは確かです.この我々がどのような見解を持つかは,あなた方は裁判官諸氏から聞くことになるでしょう.両親がどう思っているかについては,母親の涙と信じ難いほどの悲しみ,父親のやつれ様と,あなた方が見ているところのこの眼前の悲しみ様と悲嘆が物語っております.

*1 キケローは原告に不利な感情を裁判官らに持たせるために起訴理由をわざと不正確に歪めている.


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