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オウィディウス『イービス』1-28行

  P. OVIDII NASONIS IBIS

Tempus ad hoc lustris bis iam mihi quinque peractis
 Omne fuit Musae carmen inerme meae.
nullaque, quae possit, scriptis tot milibus, extat,
 littera Nasonis sanguinolenta legi.
nec quemquam nostri, nisi me, laesere libelli,  5
 artificis periit cum caput arte sua.
unus (et hoc ipsum est iniuria magna) perennem
 candoris titulum non sinit esse mei.
quisquis is est (nam nomen adhuc utcumque tacebo),
 cogit inadsuetas sumere tela manus.     10
ille relegatum gelidos Aquilonis ad ortus
 non sinit exilio delituisse meo,
vulneraque inmitis requiem quaerentia vexat,
 iactat et in toto nomina nostra foro,
perpetuoque mihi sociatam foedere lecti    15
 non patitur vivi funera flere viri;
cumque ego quassa meae complectar membra carinae,
 naufragii tabulas pugnat habere mei.
et, qui debuerat subitas extinguere flammas,
 hic praedam medio raptor ab igne petit.   20
nititur, ut profugae desint alimenta senectae:
 heu quanto est nostris dignior ipse malis!
di melius, quorum longe mihi maximus ille est,
 qui nostras inopes noluit esse vias.
huic igitur meritas grates, ubicumque licebit,  25
 pro tam mansueto pectore semper agam.
audiet hoc Pontus, faciet quoque forsitan idem
 terra sit ut propior testificanda mihi.


プーブリウス・オウィディウス・ナーソー『イービス』

私の50年の齢が過ぎてこの時まで,
 我がムーサの歌は全て武装せぬものであった.
幾千もの書物の中に,ナーソーの書物であって,血塗られたものと
 読まれる書物は一つもない.
そして,私の本は,私以外,いかなる者も傷つけはしなかった,(5)
 自分の『技法』*1によって,技法の作り手の命が滅びた時にも.
ただ一人(そしてこれ自体が,大きな不正なのだが)
 私の潔白という栄誉の称号が永遠であることを許さなかった.
彼がだれであれ(というのも,私はずっとできる限り黙っているのだから),
 そいつは慣れない私の手に,槍を取る事を強いているのだ.(10)
彼は,北風の生まれる冷たい場所に追放された私に,
 私の流刑地に隠れていることを許さなかった.
冷酷にも,彼は休息を求めている傷を苛み,
 そして,あらゆる広場で私の名を連呼し,
永遠の床の契りで私と結ばれた妻に(15)
 夫が生きたまま葬られていることを嘆く事を許さない.
そして,わたしが,私の船の砕け散った破片を抱いている時に,
 彼は漂流者の私の板きれを取ろうと争っている.
そして,すぐにも火を消さねばならなかったのに,
 この泥棒は,火のまっただ中から,獲物を狙っているのだ.(20)
彼は,年老いた流刑者に,食べ物がなくなるようにと腐心している.
 ああ,この男自身が,どれほど私の災いを受けるに相応しい事か!
神々よ,お慈悲を!その神々のなかで,彼*2だけがかけ離れて最も偉大なのだが.
 その彼は,私の旅程が,貧しいものとならないようにと願ったのだから.
だから,どこに私がいようとも,この方に,(25)
 これほどの寛大な心に対して,相応しい感謝を常に捧げたい.
このことを黒海は聞き届けるだろう,そして,ひょっとすると,この同じ方が,
 もっと近い地に私のことを証言してくれるように,計らってくれるだろう.*3


*1 『恋愛技法』Ars Amatoriaのこと.オウィディウス追放のきっかけの一つとされた.
*2 オウィディウスを追放した皇帝アウグストゥス.
*3 オウィディウスがアウグストゥスの寛大さに感謝をしていたという黒海の証言により,アウグストゥスの好意を得,ひょっとすると,もっとローマに近い場所に移されるかもしれない.そうしたら,その後に,同じように寛大さに感謝をし,その地がそれを証言することになるだろう,ということ.



【2006/04/28 22:20】 Ovidius Ibis | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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