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資料収集
 『ぎりぎり合格の論文マニュアル』に刺激されたわけではないですが……

 西洋古典学だと,資料収集は結構重要な作業の一つだったりします.よく,一次文献が重要だから,二次文献に拘泥するな,という指導教官もいますが,書いた後になってから,他の人が言っていないか,資料をちゃんと確認したのか,などと言い始めることも多くて(いや,それはそうなんですが……),指導教官の言う一次文献が重要というのは,論文指導におけるトポスなのかもしれません.

 それはともかく,普通やっている資料集めの方法を,何となく紹介しておきます.もちろん,違う方法もあるかもしれないので,その場合は教えて下さるとありがたいです.

 徹底的に集める場合は,L'année philologique,日本語に訳すと『文献学年報』とでもいうべき書誌のための年報があります.これは,年毎に出た,文献学のあらゆるテーマの文献を,可能な限り全て集めたもので,確か1920年代ぐらいから続いています.今はhttp://www.annee-philologique.com/aph/という,ネット上の有料サイトもあり,大学によっては,学内でこれを使うことも出来ます.CD-ROMで50年分ぐらいまとめているのもあります.ちなみに,http://www.annee-philologique.com/aph/の雑誌名略号表は,かなり広く使われていて,文献などで雑誌論文略号が何かを調べる時にも,これを見る必要があったりします.また,自分で参考文献表を作るときにも,この略号を使うこともできます.一部はhttp://library.uncg.edu/depts/ref/instructions/lannee_abbrev.aspで見る事が出来ます.
 しかし,これをいきなり相手にし始めると,かなりの時間を取られる割には,入手すべき論文の質などは分からないですし(ただし簡単な要約はついていることがあります),特に,初めて研究するような場合は,これらの文献の質を見極めることが出来ない訳ですから,水泳の初心者がドーバー海峡を泳いで横断しようとしているような状態になってしまいます.

 もっと効率よく探すには,書誌情報をある程度まとめた本や論文などを使うのが一番です.
 テクストに対する注釈書や,ある作家の研究書などには,参考文献表あるいは本文や注などで,重要な参考文献を載せてくれている場合が多いです.これによって,少なくともその年までの重要な文献はある程度目星がつきます.作家によっては,"A Companion to ... "というタイトルで始まる,研究動向を教えてくれる本,あるいは"Recent scholarship of ... "などの雑誌論文などもあります.初めてそのテーマに取り組む人には"Introduction to ... "などという本も便利でしょう(ただし,紹介されている文献が,概論の範囲を超えない場合も多いです).雑誌によっては,これらの研究総括を割合頻繁に載せている雑誌もあります.これにはClassical World(http://www.caas-cw.org/backissu.htmlの既刊書リストを参考に)あるいはLustrumなどがあります.
 ただし,これで文献が入手できるのは,ある程度有名かつ比較的多くの関心を集めるような重要な物のみ,ということも多いです.ある作家の特定の箇所のテクストの読みを決定したい,などという時には,その部分について行われた過去の研究を総ざらいするような必要が生じます,この場合には,L'année philologiqueを使わざるを得ないこともありますが,もしあれば"Bibliography of ... "という文献を探します(H. Harrauer. A Bibliography of Catullus. Hildesheim: Gerstemberg, 1979あるいはJ.P.Holoka. Catullus: A Systematic Bibliography. New York: Garland, 1985など).こういったものは,体系的に作られていて,あるテクストの箇所に対する論文にはなにがあるか,ということも,楽に調べられるようになっており,貴重な時間をかなり節約することができます.
 もちろん,これは発行年少し前までが射程距離になりますから,それ以後のものはL'année philologiqueに渋々頼らなければならないこともあります.また,L'année philologiqueも,一番新しい物で2-3年前の物が収録対象なので,最新の雑誌論文などは,直接その雑誌論文を見て探さなければなりませんし,書籍はそれらに載っている広告や,http://ccat.sas.upenn.edu/bmcr/などで,定期的に報告されるBooks Receivedを見て,偶然を期待しつつ探すという方法を取らざるを得ません(これもなかなか馬鹿にならないです).
 あと,問題は,こういった書誌のための文献を探す方法ですが,今ならhttp://webcat.nii.ac.jp/の検索システムで,Bibliography Ovidなどのキーワードで探して見つけることが出来ると思います.昔は指導教官の助けがこの段階では必要になりましたが,今は必要ありません(冗談です).

 さて,こうして存在が確認された雑誌論文なり,書籍が,手近な大学図書館などにない,というときはどうするか……実はこれも,西洋古典学では,プラクティカルには由々しき問題です.日本の他大学に所蔵されていることが,http://webcat.nii.ac.jp/などで確認できれば,大学図書館を通して依頼して,複写や現物で,入手することができます.直接大学に行って複写する場合には,図書館で紹介状を書いてもらう必要がある場合もあります.直接行かない場合には,送料や市場価格の数倍以上の複写料で,ちょっとした論文でも1000円近くになってしまうことがあり,色々文献が届いたとたんに家賃が払えなくなることもあり得ます(冗談でなく……).なお,西洋古典学では,なお日本で文献を手に入れられないものも,かなりの量であります.これも図書館を通じて海外に依頼することは可能ですが,時間と労力と金額はかなりのものになったりします.もちろん,卒業論文ぐらいでは,ここまでする必要はないかも知れませんが,修士・博士となると無視できない場合も多いです.

 こうして集めた資料ですが,できればある程度集めた段階で,もう参考文献表を作り始めるのが実はベストです.初めて論文を書かれる方は,いくつか参考文献が集まった段階で(せいぜい10程度でも),指導教官に見てもらうといいと思います.他にどういう物を参考にすべきか,とか,参考文献表の不備などがないかどうか見てもらえます.実は思っている以上に,参考文献表は書くのが大変で,たまにプロの研究者でも,参考文献表に思いっきり不備があるような論文を書いていたりすることがあります.もし,指導教官が見てOKがでたり,ここはこう書けなどと指導をされて直したものなら,論文提出後にケチをつけられたときに,あの時ああおっしゃられましたが,などと反論できます(笑).

【2005/12/29 13:28】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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