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ラテン語入門 18 第2変化名詞 (3) -um に終わる中性名詞

 第2変化(o幹)名詞の中性名詞も,実は殆ど -us に終わる男性名詞と同じで,異なるのは単複ともに主格と呼格だけです.

第2変化名詞(o幹) -um に終わる中性名詞 oppidum, -ī, n. 「町」
      単数  複数           単数  複数
主格  oppidum 「町は」 oppida 「町々は」     主格  dominus  dominī
属格  oppidī 「町の」 oppidōrum 「町々の」     属格  dominī  dominōrum
与格  oppidō 「町に」 oppidīs 「町々に」      与格  dominō  dominīs
対格  oppidum 「町を」 oppida 「町々を」     対格  dominum  dominōs
奪格  oppidō 「町で,から」  oppidīs 「町々で,から」     奪格  dominō  dominīs
呼格  oppidum 「町よ」 oppida 「町々よ」      呼格  domine  dominī


 上の表には,-us に終わる男性名詞を並べているので,比較してみて下さい.dominus, -ī と異なるのは,表で黄色の背景色で強調している部分です(単数対格は同じですが).主格と対格(ならびに呼格)の形が同じになっています.この主格と対格が同じ形になるということは,第2変化名詞以外でも常に共通します(ドイツ語などでも同じ事が起こっています).
 単数と複数それぞれで,黄色の部分が同じ形ですから,-us に終わる男性名詞の形がマスターできていれば,それほど難しくはないと思います.

 男性名詞の場合と同様に,-um に終わる中性名詞でも,-i に終わる語基のものがあります.中性名詞では単数属格のみが問題になります.

第2変化名詞(o幹) -i-um に終わる中性名詞 ingenium, -ī 「天性,才能」
      単数  複数
主格  ingenium 「才能は」 ingenia 「才能たちは」
属格  ingenī, ingeniī 「才能の」 ingeniōrum 「才能たちの」
与格  ingeniō 「才能に」 ingeniīs 「才能たちに」
対格  ingenium 「才能を」 ingenia 「才能たちを」
奪格  ingeniō 「才能で,から」  ingeniīs 「才能たちで,から」
呼格  ingenium 「才能よ」 ingenia 「才能たちよ」

 これも fīlius, -ī, m.「息子」の場合同様に,属格単数は ingénī が普通で(アクセントに注意!iī が融合する前の形のアクセント位置を保つ),ingeniī はやや少ないです(がこちらも使われます).複数与格・奪格は必ず ingeniīsで,融合しません(fīliīs と同様です).

 なお,ギリシア語とは異なり,中性複数の主語に対して,動詞が三人称単数になるようなことは,ラテン語ではほとんど起こりません.


 第2変化では,次の三つの単語のみ,-us に終わりながら,中性名詞となります.

  vīrus, -ī, n. 「毒」  vulgus, -ī, n. 「大衆」  pelagus, -ī, n.「海」

どれも単数でしか用いられない,シングラーリア・タントゥムです.主格と対格の形が同じになるという中性名詞の原則に従って,単数対格も vīrus, vulgus, pelagus になり,実際にこの形が対格として用いられます.その一方で,いきなり例外ですが,対格に vīrum, vulgum, pelagum の別形が時折現れます(これは古典作家でもあります).
 なお,vīrus は殆ど主格と対格しか用いられません.このように,変化形の一部が欠落して使われないか,殆ど使われないような名詞や動詞のことをデーフェクティーウァ(dēfectīva 欠如名詞,欠如動詞)といいます.

 
 練習に移りましょう.まずは上の表であげた oppidum, -ī, n.「町」 と ingenium, -ī, n.「天性,才能」の変化を覚えましょう.

名詞変化表

     単数複数
主格 
属格 
与格 
対格 
奪格 
呼格 
  
 
 
 
 
 

      


さらに以下の -um に終わる第2変化名詞の格変化表を作ってみてください.さすがにもう全部に解答は付けませんが,上の二つだけ,カーソルを当てると解答がでます.

  verbum, -ī, n.「言葉」
  proelium, -ī, n.「戦闘」
  bellum, -ī, n.「戦争」(bellum は全体としての戦争,その中での戦闘行動が proelium)
  castra, -ōrum, n.pl. 「陣営」(プルーラーリア・タントゥム!)
  perīculum, -ī, n.「危険」
  dōnum, -ī, n.「贈り物」
  vīnum, -ī, n.「葡萄酒」(ほぼシングラーリア・タントゥム.容器などで分けてある時には 複数も.)
  incendium, -ī, n. 「火災,火」
  aurum, -ī, n. 「金」(シングラーリア・タントゥム!)
  initium, -ī, n. 「開始」
  ferrum, -ī, n. 「鉄,刀(集合名詞として)」 (シングラーリア・タントゥム!)
  ōtium, -ī, n. 「休暇」 (シングラーリア・タントゥム.ただし詩で韻律の都合で複数も)

こちらは復習.

  dominus, -ī, m. 「主人」
  Rōmānus, -ī, m. 「ローマ人」
  Germānus, -ī, m. 「ゲルマン人」
  fīlius, -ī, m. 「息子」


動詞もしつこいですが復習してみてください(さすがに解答は付けませんが).なお,placeō は,「主語が与格に気に入られる」,「与格が主語を気に入る」という構文になります(Dōnum virō placet 男は贈り物を気に入っている). 一方で,dēlectō は「主語が対格を喜ばせる」「対格が主語を喜ぶ」という構文になります(Dōnum virum dēlectat 男は贈り物を喜んでいる).

  vāstō, vāstāre, vāstāvī, vāstātum 「荒廃させる」
  parō, parāre, parāvī, parātum 「準備する」
  expugnō, expugnāre, expugnāvī, expugnātum 「攻略する」
  dēlectō, dēlectāre, dēlectāvī, dēlectātum 「喜ばせる」
  placeō, placēre, placuī, placitum 「気に入られる」
  moveō, movēre, mōvī, mōtum 「動かす,移動させる」
  timeō, timēre, timuī, — 「恐れる」

     単数複数
一人称 
二人称 
三人称 
  
 
 

      


ラテン語は日本語に,日本語はラテン語に訳して下さい.

bella Rōmānīs placent.   
dōna fīliīs placent.   
ōtium dominum dēlectat.   
vīnum vulgus dēlectat.   
贈り物を主人は喜んでいる.   
大衆は休暇を気に入っている.   
Germānī bella parant.   
bellum nōndum parāmus.   
  nōndum「まだ……ない」
Rōmānī bellum parant.   
ゲルマン人らはまだ戦争の用意をしていない.   
彼らは戦争の用意をしている.   
Rōmānī incendiō oppidum vāstant.   
ferrō oppida vāstāmus.   
Germānī ferro et incendiō oppida vāstant.   
Rōmānī sine perīculō oppidum expugnant.   
  sine 前置詞「……なしに」 sine + 奪格の形で使われます.
お前達は町を火で荒廃させている.   
ローマ人らは剣で町々を荒廃させている.   
我々は危険なしに町々を攻略している.   
Rōmānī incendī perīculum timent.   
fīlī ingenium dominum dēlectat.   
vulgus incendium oppidī timet.   
ローマ人らは戦争の危険を恐れていない.   
戦闘の危険を大衆は恐れている.   
      








【2013/10/28 14:08】 ラテン語入門 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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