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ラテン語入門 6 文字と発音など(6) 子音(2) 母音間の半母音の i [j]

 母音に挟まれた i [j] は,殆ど(すべてではない),[jj] の発音になります.例えば,maior「より大きい」 は,実際の発音に即して書くなら,majjor で,マイヨルという発音になります.碑文では MAIIOR のように,iが重ねられて表記されているものがあります.同様の例は……

  peior (pejjor)「より悪い」ペイヨル  cuius (cujjus)「(関係代名詞属格)」クイユス
  eius (ejjus)「彼の」エイユス
  aiō (ajjō)「私は言う」アイヨー  aiunt (ajjunt)「彼らは言う」アイユント
  Pompeius (Pompejjus)「ポンペイユス」  Troia (Trojja)「トロイヤ」
  Baiae (Bajjae)「バイアエ」(『テルマエ・ロマエ』にも出て来たナポリ近辺の温泉景勝地.
   バイアエで定着していますが,発音はバイヤエがより正確でしょう.)

 このような場合,長音記号が [jj] の直前の音に付けられることがあります(例えば pēior, āiō のように)が,これは実際に母音が長い訳ではなくて,音節が長く勘定されることを示すために付けられるものです(これについてはアクセントの所で説明します).この入門では付けません.

例外になるものは次の通り.
 1. 母音に終わる語と,i [j] に始まる語との合成語.例えば sēiungō (sē+iungō)「引き離す」は sējungōで,セーユンゴーになります.
 2. plēbēius (plēbējus)「平民の」プレーベーユス.
 3. 人名の Gāius の母音間の i は独立した母音で,ガーイウスとなります(元々 Gāvios の v が落ちたもの).ギリシア語由来の固有名詞などには割とあるようです.例えば Lāius (λᾱ́ιος) ラーイウス(詳しくは Leumann: p.129).

 実は j は母音間に挟まれると自動的に [jj] という発音になるというわけではありません.こうなったのは母音間の半母音 [j] が,ラテン語前段階ですべて消失してしまって,[jj] だけ生き残ったということと,その表記がII を使わずに,単独の I だけになったことによります.生き残った [jj] も,最初から [jj] だったわけではないようで,[dj], [gj], [sj] の音の連続が [jj]に音変化したものが多く認められます(pedjōs > peior (pejjor), magjōs > maior (majjor), esjos > eius (ejjus)).もちろん由来が明らかでない [jj] もあります.

 母音に挟まれるわけではないですが,前置詞+iaciō「投げる」の合成語では,子音のあとに来る i は [ji] となります.例えば coniciō「投げ集める,推測する」は,con「集めて」 + iaciō「投げる」の合成語で,辞書などでは con-i-ci-ō となっていますが,二番目の i はただの母音ではなく [ji] で,conjiciō コンイィキオーという具合に発音します.同様に obicio (objiciō) オブイィキオーなど.




【2013/10/11 16:15】 ラテン語入門 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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