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ラテン語入門 4 文字と発音など(4) 二重母音

ラテン語の二重母音は以下の六つです.

    ae [ae] アエ oe [oe] オエ ei [ei] エイ ui [ui] ウイ
    au [au] アウ eu [eu] エウ

元々は母音+[j],または母音+[w]から生まれたもので,実際の発音としては,後ろの母音を軽く添えるようになります.ai と oi は,後ろの i の開口度が広めになって,ae と oe になりました.そのため,この二つの後ろのエは,狭めのエになります.アエとアイ,あるいはオエとオイの中間ぐらいでしょうか.
 例をあげると……

  ae: aes「銅」アエス  saevus「荒れ狂う,残忍な」サエウゥス(cf. Lupa saeva 残忍な雌狼)
  oe: moenia「市壁」モエニア  proelium「戦い」プロエリウム
  ei: ei「彼に」エイ  deinde「ついで」デインデ
  ui: cui (関係代名詞単数与格)クイ huic「この者に」フイク hui「ああ!」フイ これ以外にはない
  au: aurum「黄金」アウルム  laudō「褒める」ラウドー
  eu: eurus「南東風」エウルス ēheu「ああ!」エーヘウ seu「あるいは……」セウ
     neu「あるいは……ない」ネウ

 二重母音の頻度としては,ei と ui と eu は少なくなります.
 ei については,古ラテンで ei だったものが長母音 ī になるということが起こり,ほとんど本来の ei はなくなっています.ラテン語にみつかる ei は,二つの母音の連続が口語で二重母音化して定着したものが主になります.上の ei と deinde も,eī と de-inde が正式で,口語で融合して二重母音になったものです.
 ui の例も上に挙げた三つぐらいしかありません.
 eu はギリシャ語からの借用語に多く,上で挙げた eurus「南東風」以外にも Eurōpa「ヨーロッパ」(エウローパ)などそれなりに数はありますが,ラテン語本来の eu は eu > ou > ū の道を辿ったので,元々のラテン語の語にはほとんどありません.seu も neu も,*sēve (これはさらに sīve になる) nēve の短縮形から出たものです.

 これ以外の母音の組み合わせは,二つの母音が並んでいるだけです.また,この組み合わせであっても,二重母音ではないものがあります.例えば aureus「黄金の」だと, au は二重母音ですが,eu も一見二重母音に見えます.しかし,この語の -us は格語尾で,この前に語の構成要素の切れ目があるため,二重母音ではなく,二つの母音 e と u が接触しているだけです.

 二重母音は長母音と同等とみなされます.このことは,後のアクセントの見極めの時に重要です.

   



【2013/10/11 01:09】 ラテン語入門 | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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