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ホラーティウス『詩論』391-418

silvestres homines sacer interpresque deorum
caedibus et victu foedo deterruit Orpheus,
dictus ob hoc lenire tigris rabidosque leones;
dictus et Amphion, Thebanae conditor urbis,
saxa movere sono testudinis et prece blanda  395
ducere quo vellet. fuit haec sapientia quondam,
publica privatis secernere, sacra profanis,
concubitu prohibere vago, dare iura maritis,
oppida moliri, leges incidere ligno.
sic honor et nomen divinis vatibus atque    400
carminibus venit. post hos insignis Homerus
Tyrtaeusque mares animos in Martia bella
versibus exacuit. dictae per carmina sortes,
et vitae monstrata via est, et gratia regum
Pieriis temptata modis, ludusque repertus   405
et longorum operum finis: ne forte pudori
sit tibi Musa lyrae sollers et cantor Apollo.
natura fieret laudabile carmen an arte
quaesitum est, ego nec studium sine divite vena
nec rude quid possit video ingenium; alterius sic 410
altera poscit opem res et coniurat amice.
qui studet optatam cursu contingere metam
multa tulit fecitque puer, sudavit et alsit,
abstinuit venere et vino; qui Pythia cantat
tibicen, didicit prius extimuitque magistrum.  415
nec satis est dixisse 'ego mira poemata pango,
occupet extremum scabies; mihi turpe relinqui est,
et quod non didici sane nescire fateri.'

森に棲む人間たちに,神官であり神々の預言者たる
オルペウス*1は,殺戮とおぞましい食事*2を止めさせましたが,
このことにより,彼は虎と荒れ狂うライオンを宥めると言われたのです.
そして,テーバイの都を建設したアンピオーン*3は,
亀甲琴の音によって岩々を動かし,乞い願う祈りによって
彼の欲する所へと導くと言われたのです.以下のことがかつては知恵だったのです.
すなわち,公私・聖俗を区別すること,
乱婚を禁ずること,婚姻したものに定めを与えること,
町を建設し,板に法律を刻むことです.
このように,栄誉と名声が,神聖なる詩人と
詩に訪れました.これらの後に,高名なホメーロスと
テュルタイオス*4は,男たちの心をマールスしろしめす戦に向かうよう,
詩行によって研ぎすましました.歌によって神託が語られ,
生き方の道が示され,そして王たちの恩寵が
ピーエリア*5の旋律により乞われ,祝祭の始まりであり,
長い労働の終わりが見いだされます.まさかあなたは
リュラに長けたムーサと,歌い手アポッローンをお恥じにならぬよう.
賞賛されるべき歌は,天性によって作られるのか,それとも技術によるのかは,
問われ続けて来た問題です.私はといえば,豊かな天分なき学習も,
生のままの天才も,何かができるとは思いません.それほどに,一方は
一方の助けを要求しており,親密に結びついています.
競走で望んでいる到達点に達せんとしている者は,
子供のときから多くのことを耐え,訓練し,汗をかき,寒さに耐え,
情欲も葡萄酒も遠ざけました.ピューティア競技会*6で演奏する
笛吹き*7は,まず学習し,師匠を畏れました.
こんなふうに言っただけでは十分ではないのです.「この私は素晴らしい詩を作る.
疥癬が最後尾のやつにつくがいい!私にとっては,遅れをとるのはみっともないこと,
そして学んだことのないことを,知らぬときっぱり告白することも」

*1 歌と竪琴に優れ,人間のみならず獣や草木,山河までが聞き惚れたとされる,伝説上の音楽家.死んだ妻エウリディーケーを取り戻しに,冥界に下った際には,歌の力で,冥界の王に,妻を連れ戻すことを許可させた(ただし振り向いては行けないという決まりを守れずに,失敗に終わる).
*2 ヘーシオドスの原初の人間のように,ゼニアオイや団栗や生の野獣の肉などを指すとも,人同士互いに殺し合ってその肉を食べるとも取れる.caedibus et victu foedo と並べられているところからすると,後者のほうが自然か.Orph.fr.292 ἦν χρόνος ἡνίκα φῶτες ἀπ᾽ ἀλλήλων βίον εἶχον | σαρκοδακῆ 「人間たちが互いから肉を食らう生活をする時代があった」
*3 ゼウスとアンティオペーの子.テーバイの王となり,ヘルメースから得た竪琴の名手となり,その音で石を動かしてテーバイの城壁を作ったとされる.
*4 7世紀のエレゲイア詩人.
*5 マケドニア南部の,オリュンポス山の北東の地域(地図Db).学芸の女神であるムーサたちと関係づけられる.「ピーエリアの」はすなわち「ムーサたちの」「叙情詩の」の意味.
*6 アポッローンが大蛇ピュトンに勝利したことの記念として,デルポイで4年毎に行われた競技会.
*7 おそらく祝勝歌の伴奏となる演奏.



【2012/09/14 14:17】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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