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ホラーティウス『詩論』333-360

aut prodesse volunt aut delectare poetae
aut simul et iucunda et idonea dicere vitae.
quidquid praecipies esto brevis, ut cito dicta  335
percipiant animi dociles teneantque fideles;
omne supervacuum pleno de pectore manat.
ficta voluptatis causa sint proxima veris:
ne quodcumque velit poscat sibi fabula credi,
neu pransae Lamiae vivum puerum extrahat alvo. 340
centuriae seniorum agitant expertia frugis,
celsi praetereunt austera poemata Ramnes;
omne tulit punctum qui miscuit utile dulci,
lectorem delectando pariterque monendo.
hic meret aera liber Sosiis, hic et mare transit   345
et longum noto scriptori prorogat aevum.
sunt delicta tamen quibus ignovisse velimus.
nam neque chorda sonum reddit quem vult manus et mens
[poscentique gravem persaepe remittit acutum]
nec semper feriet quodcumque minabitur arcus.  350
verum ubi plura nitent in carmine, non ego paucis
offendar maculis, quas aut incuria fudit
aut humana parum cavit natura. quid ergo est?
ut scriptor si peccat idem librarus usque,
quamvis est monitus, venia caret, et citharoedus 355
ridetur chorda qui semper oberrat eadem;
sic mihi qui multum cessat fit Choerilus ille,
quem bis terve bonum cum risu miror, et idem
indignor quandoque bonus dormitat Homerus;
verum operi longo fas est obrepere somnum.   360

349 del. A. Platt

詩人は人の役に立つこと,あるいは楽しませることを欲しますが,
また同時に,心地よく,かつ人生に相応しいことを語ることも欲します.
あなたが何を教えるにせよ,手短にしなさい.語られたことを素早く
心がつかみ,学びやすいよう,かつ忠実に覚えていられるようにするためです.
胸が一杯に満たされていれば,余計なものは皆流出するものです.
楽しみのために作られるものは,真実に極めて近いものにしてください.
劇が意図することは何でもかんでも信用される,ということを要求してはいけません.
食事をしたラミアの腹から,生きた子供を引っ張り出してははいけません*1
年長ケントゥリア*2は道徳を含まぬものを放逐し,
高貴なラムネース*3は,堅苦しい詩は素通りします.
全票を得るのは,読者を楽しませると同時に強化することにより,
有益なものに面白い者を混ぜる者です.
このような本が,ソシイー書房*4に金を稼がせ,このような本が海を渡り,
詩人に長い年月生きながらえさせ,有名にするのです.
しかしながら,我々が寛容したく思うような欠点もあります.
というのも,弦は必ずしも手と気持ちが欲している音を返すわけではなく,
[低い音を出そうとしているのに,四六時中高い音を返し,]*5
弓は必ずしも狙うものを打つとは限らないでしょう.
実際,歌の中で,大半がすばらしいのなら,私は少々の
瑕瑾に気分を害したりしません.それらは不注意からこぼれたものか,
人の性が,用心し損なったものなのです.それではどういうことでしょうか.
もし作家が,注意されているにもかかわらず,同じ過ちを気前よく
あちこちで犯すのならば,容赦の余地はなく,また,キタラ奏者で
常に同じ弦で間違える者は笑われるように,
多くをいい加減にする者は,私の眼にはコイリルス*6と映ります.
その彼が,二三度いい部分を見せれば,私は笑いながら賛嘆しますが,同じ私は
一流のホメーロスが眠っている時には,腹を立てます.
しかし,長い作品に,眠りが忍び込むのは,許されるべきことです.


*1 ラミアはリビアの女王で,子供をヘーラーの嫉妬により皆殺しにされるが,その後子供を食う食人鬼となる.
*2 ローマ市民は,ケントゥリア制度によって,財産額により193に区分されるケントゥリアに分割されていた.そのうち,歩兵は第一から第五までわかれ,それぞれ第一が40,第二〜第四が20,第5が30あった.それぞれがさらに同数の年長ケントゥリア(46歳以上)と年少ケントゥリア(17-45歳)に分かれた(つまり,40ある第一ケントゥリアは20の年長ケントゥリアと同数の年少ケントゥリアに分かれる,というぐあいに).
*3 騎士階級のケントゥリアは,18あり,上位からラムネース,ティティエース,ルケレースと愛称でよばれるケントゥリアが2つずつあった.ラムネースは馬にのることのできる30歳以下の,裕福な生まれのよい若者.
*4 ローマの有名な出版社.
*5 おそらく後世の挿入.「弦は必ずしも手と気持ちが欲している音を返すわけではなく」「弓は必ずしも狙うものを打つとは限らない」というのと,「低い音を出そうとしているのに,四六時中高い音を返し」はあわない.文脈としても,たまにある欠点は許されるが,四六時中間違えているのは許されないというものである.また,この行がないほうが,348と350の,neque ... nec ... の呼応がうまくいく.
*6 ホラーティウス『書簡集』2巻1歌233(注*1)参照.



【2012/09/11 22:37】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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