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ホラーティウス『詩論』275-294

ignotum tragicae genus invenisse camenae  275
dicitur et plaustris vexisse poemata Thespis,
quae canerent agerentque peruncti faecibus ora.
post hunc personae pallaeque repertor honestae
Aeschylus et modicis instravit pulpita tignis
et docuit magnumque loqui nitique coturno.  280
successit vetus his comoedia, non sine multa
laude. sed in vitium libertas excidit et vim
dignam lege regi; lex est accepta chorusque
turpiter obticuit sublato iure nocendi.
nil intemptatum nostri liquere poetae,     285
nec minimum meruere dexus vestigia Graeca
ausi deserere et celebrare domestica facta,
vel qui praetextas vel qui docuere togatas.
nec virtute foret clarisque potentius armis
quam lingua Latium, si non offenderet unum  290
quemque poetarum limae labor et mora. vos, o
Pompilius sanguis, carmen reprehendite quod non
multa dies et multa litura coercuit atque
praesectum deciens non castigavit ad unguem.

まだ知られていなかった悲劇の歌のジャンルを発案し,
車にてその歌を運んだのはテスピス*1だと言われています.
彼は顔中に酒の澱を塗りたくってそれを歌い演じたということです.
その人物の後,仮面と立派な長衣を発案した
アイスキュロス*2は,低い木組みに舞台を組み立て,
大言壮語し,高靴を履くことを教えました.
これらの後に,古喜劇*3が現れ,大喝采を
博しました.しかし,自由は悪徳に堕し,
法により規制を受けるに相応しい暴力となりました.法が受け入れられ,
情けなくも歌舞隊は,人を傷つける権利を奪われ押し黙りました.
我が国の詩人たちは,いかなることも試みぬまま放ってはおきませんでした.
また,プラエテクスタ劇*4を作った者,あるいはトガータ劇*5を作った者は,
ギリシアの足跡を敢えて捨て,そして自国の業績を讃えて,
決して少なからぬ賞賛を得ました.
ラティウムは,その言葉によるもの以上に,勇猛さと名高い軍事力によって
力を持つということにはならなかったでしょう,もし詩人たち一人一人が,
推敲の手間ひまを書けることを厭わなかったならですが.あなた方は,おお,
ポンピリウス*6の血筋の方々よ,
多くの日々と,多くの直しが罰し,そうして
十回切り整えた爪にかけて*7訂正しなかった歌は,非難しなさい.



*1 アテーナイでの最初の悲劇上演(前534頃)での優勝者である悲劇詩人であり,自ら俳優となって前口上と歌舞隊長との対話を導入したとされるが,現存するのは彼のものとされる(が真贋の疑義のないわけではない)断片のみ.
*2 前525/6-前456.7つの悲劇が現存する.
*3 前486年にアテーナイで公式の悲劇が上演される.
*4 ローマ史実を扱った劇.紫の縁取りのついた元老院議員のトガであるトガ・プラエテクスタにその名が由来する.断片しか残っていない.
*5 ローマの日常を舞台にした劇.トガを着て演じられたという意味.アフラーニウス(前150頃)により作られる.テレンティウスやプラウトゥスは,ギリシア新喜劇の舞台をそのまま使っているので,ギリシアの衣服であるパッラを着て演じられるという意味でパッリアータ劇と呼ばれる.
*6 ピーソー家はローマの第二の王,ヌマ・ポンピリウスの子の一人,カルプスに由来する氏族カルプルニウスに属する.
*7 古代の彫刻家は,きれいに切られた爪で継ぎ目をなぞり,その際に爪に傷がつくかどうかで,滑らかに仕上がっているかどうかを見極めた.



【2012/08/29 03:19】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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