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ホラーティウス『詩論』251-274

syllaba longa brevi subjecta vocatur iambus,
pes citus; unde etiam trimetris accrescere iussit
nomen iambeis, cum senos redderet ictus
primus ad extremum similis sibi +non ita pridem+.
tardior ut paulo graviorque veniret ad aures,  255
spondeos stabiles in iura paterna recepit
commodus et patiens, non ut de sede secunda
cederet aut quarta socialiter. hic et in Acci
nobilibus trimetris apparet rarus, et Enni
in scaenam missos cum magno pondere versus 260
aut operae celeris nimium curaque carentis
aut ignoratae premit artis crimine turpi.
non quivis videt immodulata poemata iudex,
et data Romanis venia est indigna poetis.
idcircone vager scribamque licenter? an omnes 265
visuros peccata putem mea, tuutus et intra
spem veniae cautus? vitavi denique culpam,
non laudem merui. vos exemplaria Graeca
nocturna versate manu, versate diurna.
at vestri proavi Plautinos et numeros et    270
laudavere sales: nimium patienter utrumque,
ne dicam stulte, mirati, si modo ego et vos
scimus inurbanum lepido seponere dicto
legitimumque sonum digitis callemus aure.

短い音節のすぐ後に長い音節が続くのは,イアンボスと呼ばれており,
早い詩脚です.そこから,さらにはイアンボスのトリメトロスに,その名が添えられるように
命じました*1.同じ六つずつの拍が
最初から最期まで繰り返すものであるにもかかわらず*2ですが(・・・・・)*3
ゆっくりと,そしてやや重みを持って耳に聞こえるようにと,
安定したスポンデイオスを,気前よく寛大に,
伝来の規則の中に受け入れましたが,第2や第4の位置に
許す程は気安くはありませんでした*4.これはアッキウス*5
高貴なトリメトロスには,滅多にあらわれず,またエンニウス*6については,
重厚な重みとともに舞台に贈られたその詩行は,
あまりのやっつけ仕事で入念さを欠いているとか,
技法の無知という汚名を着せられ責め立てられています.
さて,批評家の誰でもが,具合の良くない詩を見極められるというわけではなく,
そうして,ローマ詩人たちには,似つかわしくない自由が許されてきました.
だからといって,私は漫然として,好き勝手に書いたものでしょうか?それとも,
皆が私の欠点を見抜くと重い,安全策をとって,また
自由が見込める範囲内に,慎重に留まったものでしょうか?私は結果的に過ちは逃れますが,
賞賛は得られません.あなた方は,ギリシアの手本を
昼も夜も手に取って繙きなさい.
だが,あなた方の祖先は,プラウトゥスの韻律も讃え,
機知も讃えました.両方を賛嘆するのは,愚かとは言いませんが,
あまりにも寛大に過ぎます.ただもし,私もあなた方も,
田舎臭い言い回しと機知に富んだ言い回しを区別する術を知り,
指と耳とで正しい韻律を知ることができる限りにおいてですが.


*1 ホラーティウスは脚として ᴗ ― のことをイアンボスと呼んでいる.韻律単位(メトロン)としては,これの重なった形 ᴗ ― ᴗ ― が一つの単位になり,これがさらに三つ重なってイアンビコス・トリメトロス(イアンボスの3韻律単位からなる詩行という意味)となる.
   ᴗ ― ᴗ ― ᴗ || ― ᴗ ― ᴗ ― ᴗ ―
*2  ᴗ ― を一つの単位とするなら,6回繰り返されていることになるはずが,イアンビコス・トリメトロスと呼ばれているのに,ということ.
*3 non ita pridem「それほど以前ではなく」は,おそらく誤写.
*4 本来イアンボス・トリメトロスでは,冒頭と2番目の3番目最初の要素は ― になってもよかった.これをアンケプスと呼び,x で表す.本来の図式では
  x ― ᴗ ― x || ― ᴗ ― x ― ᴗ ―
となるが,ホラーティウスはここでは3番目の最初の要素を数に入れず,
  x ― ᴗ ― x || ― ᴗ ― ᴗ ― ᴗ ― 
と考えているようである.
*5 前170-前90頃.ウンブリア出身の悲劇詩人.
*6 前239-前169年.叙事詩Annalesや悲劇・喜劇を書く.



【2012/08/27 14:58】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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