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ホラーティウス『談話集』1巻8歌1-22

Olim truncus eram ficulnus, inutile lignum,
cum faber, incertus, scamnum faceretne Priapum,
maluit esse deum. deus inde ego, furum aviumque
maxima formido; nam fures dextra coercet
obscaenoque ruber porrectus ab inguine palus, 5
ast inportunas volucres in vertice harundo
terret fixa vetatque novis considere in hortis.
huc prius angustis eiecta cadavera cellis
conservus vili portanda locabat in arca;
hoc miserae plebi stabat commune sepulcrum; 10
Pantolabo scurrae Nomentanoque nepoti.
mille pedes in fronte, trecentos cippus in agrum
hic dabat, heredes monumentum ne sequeretur.
nunc licet Esquiliis habitare salubribus atque
aggere in aprico spatiari, quo modo tristes   15
albis informem spectabant ossibus agrum,
cum mihi non tantum furesque feraeque suetae
hunc vexare locum curae sunt atque labori,
quantum carminibus quae versant atque venenis
humanos animos: has nullo perdere possum  20
nec prohibere modo, simul ac vaga luna decorum
protulit os, quin ossa legant herbasque nocentis.

かつて私は無花果の幹,無用の木材*1であったが.
しかし大工は,椅子を作るかプリアープス*2を作るか迷って,
神像を作るほうに決めた.そうして私は神となった.泥棒どもや鳥達には
最大の脅威だ.なぜなら,泥棒どもは私の右手と
卑猥な陰部からのびた真っ赤な男根が阻止し,
そうして厚かましい鳥どもは,頭のてっぺんにくっつけられた
葦が脅かして,新しくできた庭に居座ることを許さないのだから.
ここ*3には以前は狭苦しい部屋から投げ出された死体を
同僚奴隷が粗末な箱*4に入れて運んで置いたものであった.
ここには貧民のための共同墓地があったのだ.
道化のパントラブスや浪費家ノーメンターヌスのようや輩のためのだ.
ここでは石柱が横1000尺,縦300尺*5の場所を
確保しており,墓碑が相続人のものとならぬようにしていた.
今はエスクィリーアエの丘*6はきれいになって住むこともできるし,
日当りよい城塁*7は散歩もできる.そこでは以前は
白骨散らばるおぞましい有様の地面を見て人は胸を悪くしたものだったが.
しかしながら,私にとっては,この場所を四六時中荒らす
泥棒も獣も,悩みでも骨折りでもなかった.
歌や毒薬で人の心を変えるのをこととする
女どもに比べればだが.月が彷徨い出て,美しい顔を
見せるや否や,この女どもは骨や毒草を集めるのだが,
どうあっても私は退治したり邪魔立てして止めさせることはできないのであった.

*1 無花果の木は砕けやすかった.
*2 ヘッレスポントスのランプサコスの豊穣神であったが,のちにギリシア世界に広まり,イタリアでも極普通に見られる,庭園の守護神でありかつ害獣よけの装飾物となった.鎌と巨大な赤い男根を備えている.
*3 下記の地図の北東にある,Garden of Maecenas (Horti Maecenati)のこと.
W.R. Shepherd. Historical Atlas. New York: Henry Holt, 1911: pp.22-23:
http://www.lib.utexas.edu/maps/historical/shepherd_1911/shepherd-c-022-023.jpg

We appreciate the courtesy of the University of Texas Libraries.
*4 通常高貴な人の亡骸はlecticaと呼ばれる立派な担架にのせられた.
*5 ローマの1尺(pes)は約30cm.
*6 注*4の地図参照. 
*7 注*4の地図の,agger of Servilius Tullius (セルウィウス・トゥッリウスの城塁)のこと(見にくいですが,Garden of Maecenasの文字のところを縦に入っている線).


拙訳はクロアシさんの以下の翻訳に非常に多くを負っています:
ホラーティウス『風刺詩』第一巻第八歌1‐22行


【2008/09/20 22:55】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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