ラテン語徒然  ラテン語の翻訳・覚え書きなど
log-in  ラテン語入門 作家別インデックス 文法資料 リンク集 ギリシア語フォントについて アーカイブ他
歴史地図 伊北 伊南 希北 希南 小ア PHI Perseus POxy KVK CiNii L-S Georges Gildersleeve 省略記号 Text Archive BMCR DCC

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


【--/--/-- --:--】 スポンサー広告 | 記事修正

TOPへ


オイディプス王など

オイディプス王対訳+注釈(ドイツ語)がでるようです.5000円前後になりそうなので,De Gruyterにしては安価ですね.

Bernd Manuwald Ed. Sophokles: König Ödipus. Griechische Dramen. Berlin: De Gruyter, 2012.10 (forthcoming). EUR 49.95.


こちらは僕もあまり知らなかったのですが,恐らくまとまった量の本文+注釈としては初めてのイビュコス.最初で最後となるかもしれませんね.

Claire L. Wilkinson Ed. The Lyric of Ibycus : Introduction, Text and Commentary. Sozomena. Berlin: De Gruyter, 2012.11 (forthcoming). EUR 109.95.



スポンサーサイト

【2012/09/30 14:08】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


リュグダムス(偽ティブッルス3巻)3歌 富よりもネアイラの愛 後編:23-38

sit mihi paupertas tecum iucunda, Neaera;
 at sine te regum munera nulla volo.
o niveam quae te poterit mihi reddere lucem, 25
 o mihi felicem terque quaterque diem!
at si, pro dulci reditu quaecumque voventur,
 audiat aversa non meus aure deus,
nec me regina iuvant nec Lydius aurifer amnis
 nec quas terrarum sustinet orbis opes.   30
haec alii cupiant; liceat mihi paupere cultu
 securo cara coniuge posse frui.
adsis et timidis faveas, Saturnia, votis,
 et faveas concha, Cypria, vecta tua.
aut si fata negant reditum tristesque sorores, 35
 stamina quae ducunt quaeque futura canunt,
me vocet in vastos amnes nigramque paludem
 Ditis et ignavam luridus Orcus aquam.


38 Ditis et ignavam luridus Orcus aquam Heinsius :
 dives in ignava luridus Orcus aqua Ω

僕にお前と一緒の楽しい貧困があらんことを,ネアエラよ.
 だが,お前なしには,王侯たちのいかなる贈り物をも僕は欲しない.
おお,僕にお前を返すことのできる純白の日!
 おお,僕にとって,三倍も四倍も幸福な日!
だがもし,愛しい帰還のために願掛けされた全てのことに,
 わが神が耳を背けてお聞きにならないのであれば,
僕は王国も嬉しくはなく,リュディアの黄金もたらす河*1も,
 大地が産する富も嬉しくはない.
他のものらがこれらを欲すればよい.僕のほうは,貧しくとも
 安全な生活をもって,親しい妻を享受できんことを.
サトゥルヌスの娘神*2よ,僕の慎ましい願掛けに姿あらわしたまえ.
 そして,あなたの貝によって運ばれるキュプロスの女神*3も,好意示したまえ.
あるいは,もし運命と,糸を繰り,運命を歌う姉妹が
 冷酷にも帰還を拒むのであれば,
土気色の冥王が僕を冥界の巨大な河,黒い沼,
 澱む水へと呼ばんことを.


*1 リュディアを流れるパクトルス河(現名Sart Çayı河)のこと.古代のリュディアの都市サルディス(地図Cd.現サリフリSalihli近郊)を流れ,ヘルムス河(現ゲディズGediz河)に注ぐ.砂金が採れていた(後に採れなくなった).
*2 婚姻を司る女神ユーノー.
*3 愛の女神ウェヌス.



【2012/09/30 13:39】 [Tibullus] | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


リュグダムス(偽ティブッルス3巻)3歌 富よりもネアイラの愛 前編:1-22

Qui prodest caelum votis implesse, Neaera,
 blandaque cum multa tura dedisse prece,
non ut marmorei prodirem e limine tecti,
 insignis clara conspicuusque domo,
aut ut multa mei renovarent iugera tauri    5
 et magnas messes terra benigna daret,
sed tecum ut longae sociarem gaudia vitae
 inque tuo caderet nostra senecta sinu,
tunc cum permenso defunctus tempore lucis
 nudus Lethaea cogerer ire rate?      10
nam grave quid prodest pondus mihi divitis auri,
 arvaque si findant pinguia mille boves,
quidve domus prodest Phrygiis innixa columnis,
 Taenare sive tuis, sive Caryste tuis,
et nemora in domibus sacros imitantia lucos  15
 aurataeque trabes marmoreumque solum,
quidve in Erythraeo legitur quae litore concha
 tinctaque Sidonio murice lana iuvat,
et quae praeterea populus miratur? in illis
 invidia est: falso plurima vulgus amat.    20
non opibus mentes hominum curaeque levantur;
 nam Fortuna sua tempora lege regit.


何の役に立つのか,ネアエラよ,僕が天を願掛けで満たしたことが,
 そして多くの祈りとともに,ご機嫌宥める香をあげたことが?
僕がそうするのは大理石の家の敷居から,
 高名な家から人目を引きつつ,見栄えよく僕が出て行くことを願ってのことでも,
あるいは僕の牛が幾ユーゲルム*1をも耕し,
 そして大地が恵み深く,多くの収穫を与えるように願ってのことでもなく,
光の時間を生き終えて死んだ僕が(9)
 裸のまま三途の川の筏に乗って行くことを強いられた時,(10)
お前とともに長い人生の喜びを分かち合い,(7)
 そしてお前の懐の中で,僕の老年が倒れるようにと願ってのこと.(8)
なぜなら,僕にとって,高価な金の重みが何の役に立とう,
 もし千もの牛が豊かな畑を耕したとしても,
あるいはプリュギアの柱*2に支えられている家が何の役に立とう,
 あるいはタイナロスよ,お前の柱*3に,あるいはカリュストスよ,お前の柱*4に支えられている家が?
また,家々の中で,聖なる林を模している森や,
 金箔の貼られた梁,大理石の床が,
あるいは,紅海の岸で集められる貝*5や,
 フェニキアの紫貝*6で染められた羊毛が,何の喜びとなろう,
また,その他人々が賛嘆するものが?それらの中には
 妬みがあるのだ.大衆は誤って極めて多くのものを愛好するものだ.
財によって人々の心と心労は軽くはならない,
 というのも,運命女神がその法に則って時節を支配しているのだから.


*1 1ユーゲルムは2.5km2
*2 紫に白の混じった大理石が,プリュギアのシュンナダ(地図Dc)の近くで産出した.
*3 ペロポンネーソス半島の南端タイナロス(地図Cc)で取れる大理石は黒いものだった.
*4 エウボイアの南端のカリュストス(地図Ea)では,緑に白の混じった大理石が産出した.
*5 紅海は今でいう紅海の範囲より広く,インド洋やペルシャ湾をも含んだ.貝はここでは真珠のこと.
*6 ツロツブリ(Hexaplex trunclus Wikipedia参照)あるいはシリアツブリボラ(Bolinus blandaris Wikipedia参照)のこと(和名のリンク先は『微小貝データーベース』様.驚くべき情熱と忍耐力により作られた素晴らしいデーターベースです).フェニキア人はこの貝から取れた紫の染料で染めた衣服を専売にしていた.



【2012/09/30 02:58】 [Tibullus] | TRACKBACK(0) | COMMENT(1) | 記事修正

TOPへ


プラトーン『ソークラテースの弁明』17. a-b

ΑΠΟΛΟΓΙΑ ΣΩΚΡΑΤΟΥΣ

17 Ὅτι μὲν ὑμεῖς, ὦ ἄνδρες Ἀθηναῖοι, πεπόνθατε ὑπὸ τῶν ἐμῶν κατηγόρων, οὐκ οἶδα· ἐγω δ᾽ οὖν καὶ αὐτὸς ὑπ᾽ αὐτῶν ὀλίγου ἐμαυτοῦ ἐπελαθόμην· οὕτω πιθανῶς ἔλεγον· καίτοι ἀληθές γε, ὡς ἔπος εἰπεῖν, οὐδὲν εἰρήκασιν. μάλιστα δὲ αὐτῶν ἓν ἐθαύμασα τῶν πολλῶν, ὧν ἐψεύσαντο, τοῦτο ἐν ᾧ ἔλεγον, ὡς χρὴ ὑμᾶς εὐλαβεῖσθαι, μὴ ὑπ᾽ ἐμοῦ ἐξαπατηθῆτε ὡς δεινοῦ ὄντος λέγειν. b τὸ γὰρ μὴ αἰσχυνθῆναι, ὅτι αὐτίκα ὑπ᾽ ἐμοῦ ἐξελεγχθήσονται ἔργῳ, ἐπειδὰν μηδ᾽ ὁπωστιοῦν φαίνωμαι δεινὸς λέγειν, τοῦτό μοι ἔδοξεν αὐτῶν ἀναισχυντότατον εἶναι, εἰ μὴ ἄρα δεινὸν καλοῦσιν οὗτοι λέγειν τὸν τἀληθῆ λέγοντα· εἰ μὲν γὰρ τοῦτο λέγουσιν, ὁμολογοίην ἂν ἔγωγε, οὐ κατὰ τούτους, εἶναι ῥήτωρ.

ソークラテースの弁明

アテーナイの皆さん,あなた方が私の告発者たちによって,どんな気持ちにさせられてしまったか,私は知りません.しかし,少なくとも私は,彼らのせいで,自分でさえあやうく自分自身のことを忘れてしまうところでした.それほど彼らは説得力をもって語りました.しかしながら,真実に限って言えば,文字通り何一つ彼らは語らないでしまいました.ですが,私が彼らについて,最も驚いたことは,彼らのついた沢山の嘘のうちの,次の一つです.その嘘の中で,彼らはこう語りました.あなた方は,私によって騙されないよう,用心しなければいけない,なぜなら語るに手強い者であるから,と.どうして驚いたのかというと,どのみち私がちっとも語るに手強い者でないことが明らかになるや否や,たちまち私によって,事実上論駁されるであろうことを,恥じぬこと,そのことが,私は彼らの最も恥知らずなことであると思われたからです.もちろん彼らが語るに手強い者と呼ぶのが,真実を語る者であるとすれば,話は別ですが.というのも,もし彼らがそのように言うのならば,この私も,自分が弁論家——彼らの言う意味ではありませんが——であると,同意できますから.




【2012/09/29 07:40】 Plato Apologia | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


メルトダウン動画?

 2号機3号機の間のようです.おそらくドロドロに溶けて地下にある核燃料デブリが地下水か何かに触れて,地上から水蒸気(煙?)を吹き出させているであろう状態をとらえた動画.今月の4日のことだそうですが,以前にもやはり同じように水蒸気を吹き出しているものが動画で確認されています.
 まあこういう状態であれば,福島県内になど住めるどころの話ではなく,風向きを監視していないと,遠隔地でも被曝しかねない状態でしょう.

 いろいろ飛び交っているtwitter情報では,どうも北九州ならびに山口県が,汚染がれき焼却によって相当の放射生物質による汚染を被っているとのこと.近接地域の方々はご注意下さい.

 動画は以下で.

[READ MORE...]
【2012/09/28 23:57】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


プラトーン『ソークラテースの弁明』

納富信留先生の『弁明』を読んでちょっと刺激を受けたので,いっそのことこのブログでも全部訳してしまおうと思います(気が変わらなければですが).まあしばらく放棄していたギリシア語の勉強をちゃんともう一度軌道に乗せるのに,すこしリハビリも兼ねたいという意図もあるので,あまりスピードは早くないとおもいます.

先ず参考文献を……

本文:

E. A. Duke, W. F. Hicken, W. S. M. Nicoll, D. B. Robinson, J. C. G. Strachen. Platonis Opera. Tomus I. Tetralogias I-II Continens. Oxford Classical Texts. Oxford: Clarendon Press, 1995. (『弁明』はW.S.M.Nicoll)

Ioannes Burnet. Platonis Opera. Tomus I. Tetralogias I-II Continens. Oxford Classical Texts. Oxford: Clarendon Press, 1900.<http://archive.org/details/operarecognovitb01platuoft>

注釈付き本文:

John Burnet. Plato: Euthyphyro, Apology of Socrates, Crito. Edited with notes by. Oxford: Clarendon Press, 1924. Paperback, 1977. Reprint with corrections, 1986.

Christian Cron. Platon: Verteidigungsrede des Sokrates, Kriton. für den Schulgebrauch erklärt von. Bearbeitet von Heinrich Uhle. Neubearbeitet von Erdmann Struck. Leipzig;Berlin: Teubner, 1929.

James J. Helm. Plato:Apology. Text, Grammatical Commentary, Vocabulary by. Wauconda: Bolchazy-Carducci, 1981. Revised Edition, 1997. Corrected Reprint. 2003.

Arnim Müller. Platon: Apologie und Kriton. Nebst Abschnitten aus Phaidon. 2 Bände. Aschendorffs Sammlung lateinischer und griechischer Klassiker. Münster: Aschendorff, 1991.

田中美知太郎(校註)『プラトン ソクラテスの辯明』岩波ギリシア・ラテン原典叢書.東京:岩波書店,1950年(昭和25年)



まだ色々あるはずなのですが,とりあえず手当たり次第に.後から付け足すとおもいます.
 ちなみに納富信留先生の『弁明』には,参考文献表がほとんどついていないのがちょっと残念(和書の翻訳などの紹介は,文章であげられているものの,参考文献表はなし).これはおそらく,初学者に欧米文献まじりの文献表の形で紹介することで,怖じ気づかせないようにという配慮だと思いますが,せめて校訂本と,一番簡単な初学者用の『弁明』注釈(上のだとHelmのそれのようなもの)ぐらいは紹介してあっても良かったのではないかと思います.



【2012/09/25 03:25】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


テルマエ・ロマエ第5巻発売

 古代ローマブームを巻き起こしたローマ風呂マンガの最新刊が,明日発売のようです.

ヤマザキ・マリ『テルマエ・ロマエ』V.東京:エンターブレイン,2012年9月25日.


テルマエ・ロマエV (ビームコミックス)テルマエ・ロマエV (ビームコミックス)
(2012/09/25)
ヤマザキマリ

商品詳細を見る

 今は英語版はもとより,フランス語(欧明社)・イタリア語版(イタリア書房楽天市場)もでているようで,外国語勉強にもいいかもしれませんね.(リンク先は参考まで.英語版が2000円-4000円もするのをはじめとして,欧米語訳マンガのネット価格は,この円高にもかかわらず,法外に高いようです.店頭のほうが安いことがあるようなので,輸入マンガがおいてある書店を直接あたったほうがいいかもしれません.)


【2012/09/24 23:49】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


リュグダムス(偽ティブッルス3巻)2歌 リュグダムスの埋葬

Qui primus caram iuveni carumque puellae
 eripuit iuvenem, ferreus ille fuit.
durus et ille fuit, qui tantum ferre dolorem,
 vivere et erepta coniuge qui potuit.
non ego firmus in hoc, non haec patientia nostro 5
 ingenio: frangit fortia corda dolor.
nec mihi vera loqui pudor est vitaeque fateri
 tot mala perpessae taedia nata meae.
ergo cum tenuem fuero mutatus in umbram
 candidaque ossa super nigra favilla teget,   10
ante meum veniat longos incompta capillos
 et fleat ante meum maesta Neaera rogum.
sed veniat carae matris comitata dolore:
 maereat haec genero, maereat illa viro.
praefatae ante meos manes animamque recentem 15
 perfusaeque pias ante liquore manus,
pars quae sola mei superabit corporis, ossa
 incinctae nigra candida veste legant,
et primum annoso spargant collecta Lyaeo,
 mox etiam niveo fundere lacte parent,     20
post haec carbaseis umorem tollere velis
 atque in marmorea ponere sicca domo.
illuc, quas mittit dives Panchaia merces
 Eoique Arabes dives et Assyria,
et nostri memores lacrimae fundantur eodem:  25
 sic ego componi versus in ossa velim.
sed tristem mortis demonstret littera causam
 etque haec in celebri carmina fronte notet:
'Lygdamus hic situs est: dolor huic et cura Neaerae,
 coniugis ereptae, causa perire fuit.'      30


15 recentem Bach : rogatae Ω
19 spargant recc. : spargent Ω
21 velis recc. : ventis Ω
23 illuc recc. : illic Ω


最初に若者から愛しい女性を奪った者,そして,女性より愛しい
 若者を奪った者は,鉄のごとき者だ.
そして,妻を奪われて,これほどの悲しみを
 耐え,生きて行くことができる者も冷徹な者だ.
私はといえば,この点においては頑強ではない.私の心には
 この忍耐力はない.苦しみは強気心をもくじくのだ.
また,私にとっては,真実を語ること,すなわち,かくも多くの
 不幸を耐えた私の人生に,嫌気が生じたことを告白することは,恥ではない.
それゆえ,私が小さな影*1と変じて,
 白い骨の上を黒い灰が覆う時,
私の薪の前に,長い髪も梳らぬネアエラが来たらんことを,
 そして,私の薪の前で,悲しみにくれて泣かんことを.
だが,悲しむ愛しき母に付き添われて来たらんことを,
 母は婿を悲しみ,彼女は夫を悲しまんことを.
彼女らは,先ず,私の霊と新しき魂を宣告し,
 そして,先ず,信心深い手に水を注ぎ流し,
私の肉体のうち,唯一残るであろう部分である
 白い骨を,黒い服を纏って集めんことを.
そして,最初に,年月を経た葡萄酒を,集められた骨に振りかけ,
 すぐに,さらに白い牛乳で洗い,
この後に,亜麻の布で湿り気を取り,
 そうして乾いた骨を大理石の家*2へと置く準備をせんことを.
そこへ,裕福なパンカイア*3
 東方のアラビア人やアッシュリアが送る商品*4
そして,私を記憶している涙を,同じ所に注がんことを.
 このように,私は骨となって埋葬されたい.
だが,文字は死の悲しき原因を示し,
 さらにこの歌を,人繁く見る前面に記さんことを.
「リュグダムスはここに眠る.この者には,奪われた妻である
 ネアエラへの苦しみと愛情が,破滅する原因であった」


*1 死霊のこと.
*2 墓のこと.
*3 哲学者エウエーメロス(前340頃-前260頃)が著作で言及している,豊かで香料を豊富に産する架空の島.アラビアを越えた海にあるとされる.
*4 香のこと.



【2012/09/24 18:12】 [Tibullus] | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


リュグダムス(偽ティブッルス3巻)1歌 ネアエラへの贈り物

Martis Romani festae venere kalendae
 (exoriens nostris hic fuit annus avis),
et vaga nunc certa discurrunt undique pompa
 perque vias urbis munera perque domos.
dicite, Pierides, quonam donetur honore    5
 seu mea, seu fallor, cara Neaera tamen.

'carmine formosae, pretio capiuntur avarae:
 gaudeat, ut digna est, versibus illa meis.
lutea sed niveum involuat membrana libellum,
 pumex et canas tondeat ante comas,    10
summaque praetexat tenuis fastigia charta,
 indicet ut nomen littera rubra tuum,
ante inter geminas pingantur cornua frontes:
 sic etenim comptum mittere oportet opus.'
per vos, auctores huius mihi carminis, oro   15
 Castaliamque umbram Pieriosque lacus,
ite domum cultumque illi donate libellum,
 sicut erit: nullus defluat inde color.
illa mihi referat, sic nostri mutua cura,
 an minor, an toto pectore deciderim.    20
sed primum meritam larga donate salute,
 atque haec submisso dicite verba sono:
'haec tibi vir quondam, nunc frater, casta Neaera,
 mittit et accipias munera parva rogat,
teque suis iurat caram magis esse medullis,  25
 sive sibi coniunx sive futura soror.
sed potius coniunx: huius spem nominis illi
 auferat extincto pallida Ditis aqua.'


8 meis Ω : tuis Muretus : novis Postgate
12 rubra Némethy : facta Ω : picta Luineius

ローマのマールスの月の朔日*1がやって来た
 (われらが父祖にとっては,これが一年の始まりであった*2),
そして,今や彷徨う贈り物は,至る所,確かな行進とともに,
 都の路地と家々を通り過ぎて散り散りに馳せまわっている.
語りたまえ,ピーエリアの女神*3らよ,いかなる名誉が
 わがネアイラに与えられようかを
     ——もし私が間違っていても,それでも愛しいネアイラに.
「美しい女性は歌により,貪欲な女性は報酬により虜となる.
 私の詩行により,彼女をよろこばせよ,彼女はそれに相応しい故.
だが,黄色い羊皮の覆いで白い巻子を包むがよい,
 そして,軽石が白い髪を刈りこむように.
そして,巻物の頂点は細い見返し紙を覆って,
 朱の文字がお前の名を示すようにせよ,
そうして芯の外側は両側とも彩色されるように.
 なぜなら,作品はこのように梳られて送るのが当然であるから」
あなた方,カスタリア*4の蔭とピーエリアの湖*5にかけて,
 私は願います,私にとってこの歌の著し手である方々よ,
家に行き,彼女に飾られたその本を送りたまえ,
 あらんがままに(?).いかなる色もそこから流れ出ることなきよう.
彼女は私に報告するだろう,私への思慕が両想いであるか,
 それともより小さいか,それとも私は心の中から全く抜け落ちているかを.
しかし,先ず,それに値する彼女に,たっぷりと挨拶を贈り,
 そうしてこの言葉を,声をひそめて語りたまえ.
「この歌を,かつては夫であり,今は兄弟*6である者が,純潔なネアエラよ,
 送ったのだ.そして,お前がその小さな贈り物を受け取るよう望んだのだ.
そして彼は,お前が骨の髄よりももっと愛しいと誓っている.
 お前が自分にとって妻となろうとも,姉妹*6となろうとも.
だが,できれば妻であってほしい.この名の望みを彼から
 奪い取るのは,死した後の青ざめた冥界の水であろう.


*1 3月1日のこと.この日はマートロナーリア祭が祝われ,女性に贈り物が贈られた.
*2 本来のローマの暦では,マールス神の月である3月が歳のはじめであった.
*3 学芸の女神ムーサたちのこと.ピーエリア地方(地図Db)に住んでいるとされる.
*4 デルポイのパルナッソス山(地図Dd)の麓にある泉.アポッローンと関係づけられる.
*5 ムーサの住む山とされるヘリコーン山(地図Dd)にある泉,ヒッポクレーネーとアガニッペーの泉のこと.
*6 恋愛・愛人関係を指す.



【2012/09/22 14:52】 [Tibullus] | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


スリーマイル島原発、大音響発し突然停止

 どういったトラブルかわかりませんが,あんな大事故のあとにまだ動かしていたことのほうが驚きです.政府広報が自らを被曝させつつ,野外で安全宣言を繰り返すという,筋金入りの原発推進派がいたおかげでしょうね.

  http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120921-OYT1T00640.htm


追記:なんか日本語が変だ…… 



【2012/09/21 16:08】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


めまい

 偽ティブッルス作品群を読み始めたのですが,[Tib.] 3巻1歌からめまいがしてきました.この作品は相当手強そう.ちょっと最初の数行だけ訳してみますが……


Martis Romani festae venere kalendae
 (exoriens nostris hic fuit annus avis),
et vaga nunc certa discurrunt undique pompa
 perque vias urbis munera perque domos.
dicite, pierides, quonam donetur honore  5
 seu mea, seu fallor, cara Neaera tamen.

'carmine formosae, pretio capiuntur avarae:
 gaudeat, ut digna est, versibus illa meis
...'

ローマのマールスの月の朔日がやって来た
 (われらが父祖にとっては,これが一年の始まりであった),
そして今や確かな(!)行進とともに,あちこちを彷徨いつつ(!)
 贈り物は,都の道々と家々をとおって散り散りに駈けてゆく.
語りたまえ,ピーエリアーの女神らよ,いかなる名誉が
 「わが」ネアエラに与えられるべきか,——私が間違っているとしても,
    それでも「愛しい」ネアエラに.
「美しい女性は歌により虜となり,貪欲な女性は報酬により虜となる.
 彼女は相応しい女性ゆえ,わが歌により,喜ばせしめよ
(以下略)」


 3-4行目こんな感じにしか訳せないですが,vaga ... munera と certa ... pompa が思いっきり矛盾しているように思います.どこか本文に問題があるのかもしれないですね.もっとも僕の理解力の問題である可能性のほうが高そうですが.


【2012/09/20 13:04】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス注釈購入

 ホラーティウスの注釈書,最新版で『歌集』4巻と『世紀讃歌』,『談話集』1巻がでていたので,遅ればせながら購入.

Richard F. Thomas. Ed. and Comm. Horace: Odes, Book IV and Carmen Saeculare. Cambridge Greek and Latin Classics. Cambridge U.P.: Cambridge, 2011.

Horace: Odes IV and Carmen Saeculare (Cambridge Greek and Latin Classics)Horace: Odes IV and Carmen Saeculare (Cambridge Greek and Latin Classics)
(2011/06/23)
Horace

商品詳細を見る

Emily Gowers. Ed. and Comm. Horace: Satires, Book I. Cambridge Greek and Latin Classics. Cambridge U.P.: Cambridge, 2012.

Horace: Satires Book I (Cambridge Greek and Latin Classics)Horace: Satires Book I (Cambridge Greek and Latin Classics)
(2012/01/12)
Horace

商品詳細を見る

 ブログの翻訳の点検の時に参考にできそうです.これに,『談話集』2巻の注釈がでれば,ホラーティウスの作品はすべて英語で最新のものが読めるということになりますね.

 本当はこれも買いたかったのですが,たまたま在庫切れ.今は入荷していますが,こんどはこちらの資金枯渇で買えません.

Richard Tarrant. Ed. and Comm. Virgil: Aeneid Book XII. Cambridge Greek and Latin Classics. Cambridge U.P.: Cambridge, 2012.

Virgil: <EM>Aeneid</EM> Book XII (Cambridge Greek and Latin Classics)Virgil: Aeneid Book XII (Cambridge Greek and Latin Classics)
(2012/07/26)
Virgil

商品詳細を見る




【2012/09/17 14:17】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


納富 信留『プラトン:ソクラテスの弁明』購入!

 ようやく購入.

納富 信留『プラトン:ソクラテスの弁明』光文社古典新訳文庫.東京:光文社,2012年9月12日

 じっくりは読んでいませんが,手に取った印象のみ書きます.

 まず,注が見開きの左ページ端についているだけで,こんなに読みやすくなるのかと感動しきり.活字も大きめで,レイアウトもきれいなものです.本書の半分は翻訳,半分は丁寧な解説になっています.p.171からは,『プラトン対話篇を読むために』という章になっており,初学者のための対話篇全体の概説と,対話篇の内容の極簡単な紹介があって,懇切丁寧なつくりです.全体については一通り読んでからまた書くかもしれませんが,こういう配慮をみているだけで,心が温かくなる一冊といえるでしょうか.

 ほんのちょっと,当たってるかどうかわからない難癖を.冒頭の1文と一番最初の注には,感心しつつも,ちょっと違和感はあるでしょうか.「アテナイの皆さん,皆さんが私の告発者たちによってどんな目にあわれたか,私は知りません」(p.16)というのが冒頭の1文の納富先生訳ですが,さすがに「どんな目にあわれたか」はないのではないかと.

 これには注がついており(注1: p.17),πάσχωの用例の平行例「害悪を被る」(33d, 35a)「罰を受ける」(36d, 37b),「報いを受ける」(42a)との対応から,このように訳されているとのことですが,LSJのπάσχω II.2 "of the influence of passion or feeling, to be affected in a certain way, be (or come to be) in a certain state of mind" 簡単にいえば「ある気持ちの状態になる,ある気持ちの状態にさせられる」というカテゴリーがあって,ここの例が引用されていますし,用例もプラトン内外にそれなりにあるようです(点検はしてませんが).「告発者たちによってどんな気持ちにさせられたか」,あるいは現在完了の意味も汲み取りつつ,もうちょっと強く訳すなら「どんな気持ちにさせられてしまっているか」という感じでしょうか.

 もっとも納富先生が同じ注でご指摘の通り,従来訳の「どのような印象をもったか」は,やっぱりあまりにも弱々しい訳し方でしょうね.まあ「意訳」と呼ばれる誤訳でしょう.当のソクラテスが「あやうく自分自身を忘れる」程度の影響力ですから,「印象をもたせられる」どころではないと思います……

 などとえらそうなことを書いてしまいましたが,これを書いている時点でなんかこのブログでも昔,『弁明』の冒頭を訳したような気がしてきたので,ブログ検索で探してみると,やっぱり訳してました.

  http://litterae.blog8.fc2.com/blog-entry-1742.html

 なにを血迷ったか,「信じ込まされているか」などと訳してます…….やっぱり「意訳」と呼ばれる誤訳?人のことなど言えません.申し訳ございませんでした.


【2012/09/17 00:33】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


読書予定

 ホラーティウスも終わってしまったので,今後はキケローの De divinatione のほうをメインでやっていこうかと思っています.
 詩もちょこちょこやろうと思いますが,アウグストゥス期の詩人の残りというと,プロペルティウスかオウィディウスになりますが,プロペルティウスはちょっと難しすぎるし,オウィディウスのほうとなるとやりかけの『イービス』も相当厳しい…….あえてちょっとあまり読まれないかなという corpus Tibullianum なんかがやりやすいかなと思います.この中には,5作だけですが,女性詩人 Sulpicia によるエレゲイアも入っているので,最近の流行のジェンダー論の視点から見ても,面白いと思います.
 corpus Tibullianum の注釈は,この一冊があれば他は殆どいらないでしょうね(というかあまりない).

Hermann Tränkle. Appendix Tibulliana. Herausgegeben und kommentiert von. Berlin; New York: de Gruyter, 1990.

 こちらは古いですがティブッルスでは未だ現役のSmithによる注釈.Corpus Tibullianum からは Sulpicia の作品のみ収録されています.幸い Text Archives に入っています.

Kirby Flower Smith. The Elegies of Albius Tibullus. New York; Cincinnati; Chicago: American Book Company, 1913.<http://archive.org/details/elegiesalbiusti00smitgoog>


 ところで納富先生の待望の『弁明』の新訳がでたようです.

納富 信留『プラトン:ソクラテスの弁明』光文社古典新訳文庫.東京:光文社,2012年9月12日


ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫)ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫)
(2012/09/12)
プラトン

商品詳細を見る

 まだ購入してませんが,今日明日で買うと思います.この機会に,久しぶりにプラトーンを読みなおしたいですね.ただ,このブログで訳すとすると,クセノポーンの『弁明』のほうかなと思います.


【2012/09/15 11:16】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス全訳終了……

 大分時間がかかりましたが,一応ホラーティウスの全作品の対訳ができました.色々間違いもあるので,まだまだ直し続けなければいけないのは他の翻訳同様ですが,これで一区切りです.こんなブログのやっつけの翻訳でなく,ちゃんとした翻訳者での,ホラーティウス全作品の翻訳が出版されるといいですね.


【2012/09/14 23:36】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『詩論』453-476 (完結)

ut mala quem scabies aut morbus regius urget
aut fanaticus error et iracunda Diana,
vesanum tetigisse timent fugiuntque poetam  455
qui sapiunt; agitant pueri incautique sequuntur.
hic, dum sublimis versus ructatur et errat,
si veluti merulis intentus decidit auceps
in puteum foveamve, licet 'succurrite' longum
clamet 'io cives', non sit qui tollere curet.    460
si curet quis opem ferre et demittere funem,
'qui scis an prudens huc se proiecerit atque
servari nolit?' dicam, Siculique poetae
narrabo interitum: deus immortalis haberi
dum cupit Empedocles, ardentem frigidus Aetnam 465
insiluit. sit ius liceatque perire poetis;
invitum qui servat idem facit occidenti.
nec semel hoc fecit, nec si retractus erit iam
fiet homo et ponet famosae mortis amorem.
nec satis apparet cur versus factitet, utrum   470
minxerit in patrios cineres, an triste bidental
moverit, incestus: certe furit, ac velut ursus,
obiectos caveae valuit si frangere clatros,
indoctum doctumque fugat recitator acerbus;
quem vero arripuit, tenet occiditque legendo,  475
non missura cutem nisi plena cruoris hirudo.

悪い疥癬か,王の病*1か,
神懸かりの狂気,すなわち怒れるディアーナ*2が苛む者の如く,
狂気の詩人に触れることを,良識ある人々は
恐れ,これを避けます.子供たちは苛めたて,恐れも知らず後を追います.
この者が,頭を高くして詩を吐き彷徨い歩くうちに,
あたかもクロウタドリ*3に熱中している鳥刺しのように,
もし井戸か穴に落ちたなら,たとえ「助けてくれ,
おーい,市民たち」と長々と叫んだとしても,引き上げようとする者はいないでしょう.
もし誰かが力を貸して縄を下ろしてやろうとすれば,
「どうして君はわかるのかね,彼は望んでここに身投げしたのではなく,
助けてもらいたいのだ,などと?」と私は言うでしょう,そしてシチリアの詩人の
死のことを語るでしょう.不死の神と思われることを
エンペドクレース*4は欲して,灼熱のエトナ山に,冷えた心*5
飛び込みました.詩人には死ぬ権利と自由があるべきです.
厭がっている者を助ける人は,殺す人と同じことをしているのです.
また,彼は一度ならずこれをしていますし,もし引っ張りだしても,もはや,
真人間になって美しい死への愛を捨てることは,ないでしょう.
彼がなぜ詩をつくってばかりいるのか,十分に明らかではありません.
先祖の遺灰に小便をしたのか,それとも恐ろしい落雷の跡*6
荒らして不浄の者となったのか.確かに彼は狂っています,そして,あたかも熊の如く,
檻に取り付けられた格子を破る力があったら,
見境なく朗読して学ある者もない者も逃げ惑わせます.
しかしもし誰かを捕まえれば,放さずに朗読し殺します.
血で満腹するまで皮膚を放そうとせぬ蛭なのですから.


*1 黄疸のこと.
*2 ディアーナはギリシア神話の狩りの女神アルテミスと同一視される.アルテミスはさらに月の女神セレーネーとも同一視された.狂気は月によって引き起こされるとされた.
*3 wikipedia参照
*4 前493頃-433頃.シチリアの哲学者,科学者.物の根源は四大元素で,その友愛(集合)・憎悪(離散)で万物が作られるとされた.また,転生を信じ,それを避けて神となることができるとした.
*5 日本語の語感で連想される「冷静な頭で」という意味ではない.愚者の心(横隔膜)の辺りには,冷たい血が流れるとされ,おそらくここの「冷えた心」は「愚かさ」「不活発さ」を意味する表現.
*6 雷に打たれた場所は,聖なる場所とされ,羊の生け贄を捧げる儀式で清められ,柵で囲われた.



【2012/09/14 23:28】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『詩論』438-452

Quintilio si quid recitares, 'corrige sodes
hoc' aiebat 'et hoc'; melius te posse negares,
bis terque expertum frustra, delere iubebat   440
et male tornatos incudi reddere versus.
si defendere delictum quam vertere malles,
nullum ultra verbum aut operam insumebat inanem,
quin sine rivali teque et tua solus amares.
vir bonus et prudens versus reprehendet inertes, 445
culpabit duros, incomptis allinet atrum
transverso calamo signum, ambitiosa recidet
ornamenta, parum claris lucem dare coget,
arguet ambigue dictum, mutanda notabit;
fiet Aristarchus, nec dicet 'cur ego amicum   450
offendam in nugis?' hae nugae seria ducent
in mala derisum semel exceptumque sinistre.

もしあなたがクィーンティリウス*1に何かを朗読したなら,「もしよかったら
これを直したまえ,そしてこれも」と言ったでしょう.二度三度試みるも無駄で,
改善できないとあなたが言うとすれば,かれは拙くこしらえられた詩行を捨て,
金敷きへ戻すように言ったでしょう.
もしあなたが過ちを改めることよりも,弁護することを欲するのなら,
一人で競争相手もないまま自分と自分の作品に自惚れることなきよう,
言葉をかけたり,無駄骨をおることなど,彼は決してしないでしょう.
善良で思慮深い人は,拙い詩行を非難し,
無骨な詩行をとがめ,雑な詩行は葦筆で斜めに
黒い線を引いて印をつけ,これみよがしの
文飾は削り,あまり明朗でないものは,明るさをくわえるよう言い,
曖昧に語られているものは明快にし,改めるべきものをチェックするでしょう.
彼はアリスタルコス*2となるでしょう,そして「なぜこの私が友人の気を
詰まらぬことで害するだろう?」とはいいますまい.この詰まらぬことが,
一度笑い者となり,幸先悪く受け入れられた者を,深刻な禍に導くでしょう.

*1 ウェルギリウスやホラーティウスと親交のあった批評家クィーンティリウス・ワールス.没年は前23年ないし22年とされるので,この詩が書かれた時点(前10年頃)で,彼の死語10年以上経っていることになる.『歌集』1.24はこの人物への追悼歌となっている.
*2 サモトラケー出身のアリスタルコス(前216頃-前145頃)は,アレクサンドリア図書館長にもなった大文献学者で,膨大な量の校訂本・注釈書などを残している.ここでは厳しい批評家の代名詞として用いられている.



【2012/09/14 21:15】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『詩論』419-437

ut praeco, ad merces turbam qui cogit emendas,
adsentatores iubet ad lucrum ire poeta    420
dives agris, dives positis in faenore nummis.
si vero est unctum qui recte ponere possit
et spondere levi pro paupere et eripere artis
litibus implicitum, mirabor si sciet inter-
noscere mendacem verumque beatus amicum. 425
tu seu donaris seu quid donare voles cui,
nolito ad versus tibi factos ducere plenum
laetitiae; clamabit enim 'pulchre, bene, recte',
pallescet super his, etiam stillabit amicis
ex oculis rorem, saliet, tundet pede terram.  430
ut qui conducti plorant in funere dicunt
et faciunt prope plura dolentibus ex animo, sic
derisor vero plus laudatore movetur.
reges dicuntur multis urgere culillis
et torquere mero quem perspexisse laborent, 435
an sit amicitia dignus; si carmina condes,
numquam te fallent animi sub vulpe latentes.


群衆に物を買うように強いる呼び込み人のように,
農地にも富み,利子付きの金貸しでも富んだ詩人は
媚びへつらう人々を利益のほうに来させます.
しかし,もし豪勢な宴をちゃんと催すことができ,
軽薄な貧乏人のためにも保証人となり,そして窮した
係争に巻き込まれている者を救うことができる者がいて,その裕福な者がもし
偽りの友と真実の友とを見分ける術をしっていれば,私は驚くでしょう.
あなた自身は,誰かに物を送ったり,送りたい人がいるなら,
その喜びに満ちた人を,あなたの手になる詩に引き合わせることは
しませんように.というのも,かれは「素晴らしい,良い,本格的だ」と叫ぶでしょうし,
これのために顔を青ざめさせ,さらには親しげな眼から
涙の雫を零し,小躍りしては足で地を踏みならすでしょう.
葬式で雇われて泣く人々は,
ほとんど心から悲しんでいる人々以上のことを語り,行うように,そのように
馬鹿にして笑う者は,本当の賞賛者以上に感動してみせるものです.
王侯たちは,友誼に相応しいかどうか見極めようとしている者を,
多くの杯を重ねさせて責め,
生酒でその人となりを試すということです.もしあなたが詩をものするなら,
狐の下に隠れている意図が,あなたを決して欺きませんよう*1


*1 イソップ寓話集にある,チーズをくわえている烏の歌を褒め,調子にのって歌ったためにチーズを落として狐に奪われる話が念頭にあると思われる.



【2012/09/14 20:12】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


サッポー注解とホラーティウス必携

Dimitrios Yatromanolakis. Fragments of Sappho : A Commentary. Hellenic Studies. Cambridge, Mass.: Harvard University Center for Hellenic, 2012.12 (forthcoming). US$ 29.95.

 なんだか3年前ぐらいから待たされているような気もしますが,紀伊国屋さんによると,遂に12月にはサッポー注解最新版が出版されるようです.値段も2500円以下と,円が強いという事情もあるかもしれませんが,良心的すぎるぐらい良心的.これは今すぐサッポーを読む必要がないという人でも買っておくべきでしょう.

 一方こちらは相変わらず鬼のような値段です.

Hans Christian Gunther Ed. Brill's Companion to Horace. Brill's Companions in Classical Studies. Leiden: Brill, 2012.11 (forthcoming). US$ 258.







【2012/09/14 14:42】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『詩論』391-418

silvestres homines sacer interpresque deorum
caedibus et victu foedo deterruit Orpheus,
dictus ob hoc lenire tigris rabidosque leones;
dictus et Amphion, Thebanae conditor urbis,
saxa movere sono testudinis et prece blanda  395
ducere quo vellet. fuit haec sapientia quondam,
publica privatis secernere, sacra profanis,
concubitu prohibere vago, dare iura maritis,
oppida moliri, leges incidere ligno.
sic honor et nomen divinis vatibus atque    400
carminibus venit. post hos insignis Homerus
Tyrtaeusque mares animos in Martia bella
versibus exacuit. dictae per carmina sortes,
et vitae monstrata via est, et gratia regum
Pieriis temptata modis, ludusque repertus   405
et longorum operum finis: ne forte pudori
sit tibi Musa lyrae sollers et cantor Apollo.
natura fieret laudabile carmen an arte
quaesitum est, ego nec studium sine divite vena
nec rude quid possit video ingenium; alterius sic 410
altera poscit opem res et coniurat amice.
qui studet optatam cursu contingere metam
multa tulit fecitque puer, sudavit et alsit,
abstinuit venere et vino; qui Pythia cantat
tibicen, didicit prius extimuitque magistrum.  415
nec satis est dixisse 'ego mira poemata pango,
occupet extremum scabies; mihi turpe relinqui est,
et quod non didici sane nescire fateri.'

森に棲む人間たちに,神官であり神々の預言者たる
オルペウス*1は,殺戮とおぞましい食事*2を止めさせましたが,
このことにより,彼は虎と荒れ狂うライオンを宥めると言われたのです.
そして,テーバイの都を建設したアンピオーン*3は,
亀甲琴の音によって岩々を動かし,乞い願う祈りによって
彼の欲する所へと導くと言われたのです.以下のことがかつては知恵だったのです.
すなわち,公私・聖俗を区別すること,
乱婚を禁ずること,婚姻したものに定めを与えること,
町を建設し,板に法律を刻むことです.
このように,栄誉と名声が,神聖なる詩人と
詩に訪れました.これらの後に,高名なホメーロスと
テュルタイオス*4は,男たちの心をマールスしろしめす戦に向かうよう,
詩行によって研ぎすましました.歌によって神託が語られ,
生き方の道が示され,そして王たちの恩寵が
ピーエリア*5の旋律により乞われ,祝祭の始まりであり,
長い労働の終わりが見いだされます.まさかあなたは
リュラに長けたムーサと,歌い手アポッローンをお恥じにならぬよう.
賞賛されるべき歌は,天性によって作られるのか,それとも技術によるのかは,
問われ続けて来た問題です.私はといえば,豊かな天分なき学習も,
生のままの天才も,何かができるとは思いません.それほどに,一方は
一方の助けを要求しており,親密に結びついています.
競走で望んでいる到達点に達せんとしている者は,
子供のときから多くのことを耐え,訓練し,汗をかき,寒さに耐え,
情欲も葡萄酒も遠ざけました.ピューティア競技会*6で演奏する
笛吹き*7は,まず学習し,師匠を畏れました.
こんなふうに言っただけでは十分ではないのです.「この私は素晴らしい詩を作る.
疥癬が最後尾のやつにつくがいい!私にとっては,遅れをとるのはみっともないこと,
そして学んだことのないことを,知らぬときっぱり告白することも」

*1 歌と竪琴に優れ,人間のみならず獣や草木,山河までが聞き惚れたとされる,伝説上の音楽家.死んだ妻エウリディーケーを取り戻しに,冥界に下った際には,歌の力で,冥界の王に,妻を連れ戻すことを許可させた(ただし振り向いては行けないという決まりを守れずに,失敗に終わる).
*2 ヘーシオドスの原初の人間のように,ゼニアオイや団栗や生の野獣の肉などを指すとも,人同士互いに殺し合ってその肉を食べるとも取れる.caedibus et victu foedo と並べられているところからすると,後者のほうが自然か.Orph.fr.292 ἦν χρόνος ἡνίκα φῶτες ἀπ᾽ ἀλλήλων βίον εἶχον | σαρκοδακῆ 「人間たちが互いから肉を食らう生活をする時代があった」
*3 ゼウスとアンティオペーの子.テーバイの王となり,ヘルメースから得た竪琴の名手となり,その音で石を動かしてテーバイの城壁を作ったとされる.
*4 7世紀のエレゲイア詩人.
*5 マケドニア南部の,オリュンポス山の北東の地域(地図Db).学芸の女神であるムーサたちと関係づけられる.「ピーエリアの」はすなわち「ムーサたちの」「叙情詩の」の意味.
*6 アポッローンが大蛇ピュトンに勝利したことの記念として,デルポイで4年毎に行われた競技会.
*7 おそらく祝勝歌の伴奏となる演奏.



【2012/09/14 14:17】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


『シカゴスタイル研究論文執筆』8,400円(税込み)

 論文執筆マニュアルを買うだけで,参考文献2-3冊分の予算が消えてなくなる勢いです.

ケイト・トゥラビアン(沼口 隆・沼口 好雄 訳)『シカゴスタイル研究論文執筆』東京:慶應義塾大学出版会,2012.8,400円(税込み).<http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766419771/>

 論文の手引書はありがたいですし,一度は読んでおかないといけないですが,さすがに学生用でこれはちょっとひどい値段.それに,慶応大学出版界のサイトをみても,翻訳した元の本がわかりません.シカゴマニュアル関係は,メインのThe Chicago Manual of Styleの他に,いくつか類書がありますが,著者名がケイト・トゥラビアンとなっているところをみると,次の2冊のどちらかが原著でしょうか.

Kate L. Turabian (Gregory G. Colomb, Joseph M. Williams, University of Chicago Press Staff Edd.) Student's Guide to Writing College Papers. Chicago Guides to Writing, Editing, and Publishing. 4th Ed. Chicago: U. of Chicago Press, 2010.

Kate L. Turabian, Wayne C. Booth, Gregory G. Colomb, Joseph M. Williams. A Manual for Writers of Research Papers, Theses, and Dissertations: Chicago Style for Students and Researchers . Chicago Guides to Writing, Editing, and Publishing. 7th Ed. Chicago: U. of Chicago Press, 2007.

 どちらにしても,シカゴマニュアル見直して,著者名を正確に書いて欲しいと思います.
 アマゾンで買うと,ペーパーバックで1500円前後.訳すとこんなに高く売れるとは,いつものことながら驚きです.大方慶大生に強制的に買わせるから,高くても売れるだろういうことなのでしょうが,せめて5000円以内にしてあげてほしいですね.学費だけでも相当なのですから.

 本家 OnLine版.35ドルで,個人ですが,同じ値段で5人までの小グループも使えるようですから,そうなると7ドルということになりますね.でも購入は自己責任で…….なお,ひょっとすると大学などで加入している可能性もありますから,大学生や大学関係者の方は,購入前に大学図書館などに問い合わせた方がいいとおもいます.

The Chicago Manual of Style. 16th Ed.<http://www.chicagomanualofstyle.org/home.html>

 これのQuidk Guide(無料),参考文献などの記述の仕方が簡単に解説してありますが,これだけでも結構役立つかもしれません.


 最近はこういうマニュアル見直していないので,参考文献などの記述が大変ルーズになっています……
 そういえば『MLA英語論文の手引き』(北星堂),どうも日本版が絶版になっているような気がするのですが,どうでしょう?


【2012/09/13 14:54】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『詩論』361-390

ut pictura, poiesis: erit, quae, si propius abstes,
te capiat magis, et quaedam, si longius abstes;
haec amat obscurum, volet haec sub luce videri,
iudicis argutum quae non formidat acumen;
haec placuit semel, haec deciens repetita placebit. 365
o maior iuvenum, quamvis et voce paterna
fingeris ad rectum et per te sapis, hoc tibi dictum
tolle memor, certis medium et tolerabile rebus
recte concedi, consultus iuris et actor
causarum mediocris abest virtute diserti      370
Messallae nec scit quantum Cascellius Aulus,
sed tamen in pretio est: mediocribus esse poetis
non homines, non di, non concessere columnae.
ut gratas inter mensas symphonia discors
et crassum unguentum et Sardo cum melle papaver 375
offnedunt, poterat duci quia cena sine istis,
sic animis natum inventumque poema iuvandis,
si paulum summo decessit, vergit imum.
ludere qui nescit, campestribus abstinet armis,
indoctusque pilae discive trochive quiescit,    380
ne spissae risum tollant impune coronae:
qui nescit versus tamen audet fingere. quidni?
liber et ingenuus, praesertim census equestrem
summam nummorum, vitioque remotus ab omni.
tu nihil invita dices faciesve Minerva:       385
id tibi iudicium est, ea mens. si quid tamen olim
scripseris, in Maeci descendat iudicis aures
et patris et nostras, nonumque prematur in annum,
membranis intus positis; delere licebit
quod non edideris, nescit vox missa reverti.    390

詩は絵の如くです.近くに立つほうが
より人を引きつけるものもあれば,遠く離れて立つ方がそうであるものもありましょう.
あるものは,暗い所がよく,あるものは,批評家の鋭い舌鋒を恐れず,
光の下で見られるのを好みます.
あるものは一見に限り好まれ,あるものは10回繰り返し見られても気に入られるでしょう.
おお,年長のほうの若君よ,たとえ父の言葉によって,
あなたが正しくしつけられ,将来の分別があるにしても,あなたに向けたこの言葉を
取り上げ,忘れずにいてください.ある物事には,凡庸さや,我慢できる程度が
譲歩されてしかるべきです.凡庸な法律家と
弁護士は,雄弁なメッサーッラ*1の美徳からはかけ離れており,
また,カスケッリウス・アウルス*2程にはものを知らないのですが,
しかしながらそれでも価値があります.が,詩人が凡庸であることは,
人々も神々も円柱*3も許しはしません.
楽しい食事の間,調子はずれの合奏,
べとつく香油,サルディニアの蜜付きの芥子*4は,
気分を害します.というのも,そんなものなしに,宴は催されうるのですから.
そのように,心を楽しませるために生まれ,考えだされた詩は,
もし最高より少しでも落ちれば,最低にまで堕するのです.
競技を知らぬものは,競技用具から離れ,
球・円盤・輪を知らぬ者は,何もせずにいます.
それは罪もないのに,混み合う群衆に笑い声を上げられぬためです.
詩を知らぬ者は,しかしながら,あえて詩を作ります.どうしてだめなのか?
自由人だし,名家の生まれで,とりわけ騎士の
総財産*5を戸口調査により認められており,あらゆる犯罪から無縁なのですが.
あなたは,ミネルウァ*6の意に反しては,何も語れず,なし得ないでしょう.
それはあなたの判断であり,良識なのです.しかしながら,もしいつか何かを
あなたが書いたなら,批評家マエキウス*7の耳に,
父親の耳に,私の耳に聞かせ,そして9年目まで
箱の中にしまっておいて下さい.あなたが出版していないものは
ボツにできますが,放たれてしまった言葉は戻ることを知らないのです.

*1 マールクス・ワレリウス・メッサーッラ・コルウィーヌス(前64-後8).軍人であると同時に著名な弁論家でもあり,ティブッルスなどのパトロンであった.
*2 前104生まれ.死亡年不詳.著名な法律家であった.
*3 本屋の近くの柱廊の柱には,本の広告がだされていた.
*4 サルディニアの蜂蜜はひどい味であったという.
*5 40万セーステルティウス.
*6 文芸の女神.ギリシア神話のアテーナーに相当.
*7 スプリウス・マエキウス・タルパ.著名な批評家だったらしく,キケローによると,ポンペーイウスの劇場で上演される劇の選択を任されている.



【2012/09/12 20:07】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


福島で最初の甲状腺がん発見

http://www.asahi.com/national/update/0911/TKY201209110627.html

……425人で5.1ミリ以上のしこり(結節)や、2.1センチ以上の液体の入った袋状の「嚢胞(のうほう)」が見つかり、2次検査が必要とされた。このうち、38人で2次検査が終わり、1人が甲状腺がん、27人が良性腫瘍(しゅよう)と診断された。……

 あまり詳しいことは判りませんが,2次検査が必要な425人中,たった38人の再検査が済んだ時点で,既に一人が甲状腺がんにかかっているということです.ところが,医師団の見解では,チェルノブイリ事故後では「甲状腺がんは被曝(ひばく)から最短でも4〜5年後に発症している」から,これは原発事故による影響ではないということです.とてもまともな科学者の発言とは思えません.そもそもチェルノブイリのケースでも,最短で4-5年経つまで,甲状腺がんの患者が全くいなかったとはとても思えないですが.こんな見解が通るのなら(おそらく政府・東電・医師は通してしまうでしょうが),この甲状腺がん患者はもちろん,4-5年経つ以前に発症した甲状腺がん患者は,東京電力などから補償を受けることができないということになります.ある立場の人々にとっては,いろいろ都合の良い発言ではあるようですね.
 あと10倍以上の人数に再検査がされることになりますが,この割合で甲状腺がん患者が発見されるなら,甲状腺がん患者は10人は出る計算になります.なんだかとても恐ろしい結果がでそうな気がします…….


【2012/09/12 02:21】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


『詩論』再開

 ちょっと中断してましたが,再度鋭意ホラーティウス『詩論』をやっています.下訳は終わってるのですが,打ち込むのが面倒で時間がかかっています.次に投稿するのが有名な ut pictura, poiesis の名言なのですが,ここはもう一度,どう翻訳するか考えています.多分あっさりしたつまらない翻訳になると思いますが…….


【2012/09/11 22:49】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『詩論』333-360

aut prodesse volunt aut delectare poetae
aut simul et iucunda et idonea dicere vitae.
quidquid praecipies esto brevis, ut cito dicta  335
percipiant animi dociles teneantque fideles;
omne supervacuum pleno de pectore manat.
ficta voluptatis causa sint proxima veris:
ne quodcumque velit poscat sibi fabula credi,
neu pransae Lamiae vivum puerum extrahat alvo. 340
centuriae seniorum agitant expertia frugis,
celsi praetereunt austera poemata Ramnes;
omne tulit punctum qui miscuit utile dulci,
lectorem delectando pariterque monendo.
hic meret aera liber Sosiis, hic et mare transit   345
et longum noto scriptori prorogat aevum.
sunt delicta tamen quibus ignovisse velimus.
nam neque chorda sonum reddit quem vult manus et mens
[poscentique gravem persaepe remittit acutum]
nec semper feriet quodcumque minabitur arcus.  350
verum ubi plura nitent in carmine, non ego paucis
offendar maculis, quas aut incuria fudit
aut humana parum cavit natura. quid ergo est?
ut scriptor si peccat idem librarus usque,
quamvis est monitus, venia caret, et citharoedus 355
ridetur chorda qui semper oberrat eadem;
sic mihi qui multum cessat fit Choerilus ille,
quem bis terve bonum cum risu miror, et idem
indignor quandoque bonus dormitat Homerus;
verum operi longo fas est obrepere somnum.   360

349 del. A. Platt

詩人は人の役に立つこと,あるいは楽しませることを欲しますが,
また同時に,心地よく,かつ人生に相応しいことを語ることも欲します.
あなたが何を教えるにせよ,手短にしなさい.語られたことを素早く
心がつかみ,学びやすいよう,かつ忠実に覚えていられるようにするためです.
胸が一杯に満たされていれば,余計なものは皆流出するものです.
楽しみのために作られるものは,真実に極めて近いものにしてください.
劇が意図することは何でもかんでも信用される,ということを要求してはいけません.
食事をしたラミアの腹から,生きた子供を引っ張り出してははいけません*1
年長ケントゥリア*2は道徳を含まぬものを放逐し,
高貴なラムネース*3は,堅苦しい詩は素通りします.
全票を得るのは,読者を楽しませると同時に強化することにより,
有益なものに面白い者を混ぜる者です.
このような本が,ソシイー書房*4に金を稼がせ,このような本が海を渡り,
詩人に長い年月生きながらえさせ,有名にするのです.
しかしながら,我々が寛容したく思うような欠点もあります.
というのも,弦は必ずしも手と気持ちが欲している音を返すわけではなく,
[低い音を出そうとしているのに,四六時中高い音を返し,]*5
弓は必ずしも狙うものを打つとは限らないでしょう.
実際,歌の中で,大半がすばらしいのなら,私は少々の
瑕瑾に気分を害したりしません.それらは不注意からこぼれたものか,
人の性が,用心し損なったものなのです.それではどういうことでしょうか.
もし作家が,注意されているにもかかわらず,同じ過ちを気前よく
あちこちで犯すのならば,容赦の余地はなく,また,キタラ奏者で
常に同じ弦で間違える者は笑われるように,
多くをいい加減にする者は,私の眼にはコイリルス*6と映ります.
その彼が,二三度いい部分を見せれば,私は笑いながら賛嘆しますが,同じ私は
一流のホメーロスが眠っている時には,腹を立てます.
しかし,長い作品に,眠りが忍び込むのは,許されるべきことです.


*1 ラミアはリビアの女王で,子供をヘーラーの嫉妬により皆殺しにされるが,その後子供を食う食人鬼となる.
*2 ローマ市民は,ケントゥリア制度によって,財産額により193に区分されるケントゥリアに分割されていた.そのうち,歩兵は第一から第五までわかれ,それぞれ第一が40,第二〜第四が20,第5が30あった.それぞれがさらに同数の年長ケントゥリア(46歳以上)と年少ケントゥリア(17-45歳)に分かれた(つまり,40ある第一ケントゥリアは20の年長ケントゥリアと同数の年少ケントゥリアに分かれる,というぐあいに).
*3 騎士階級のケントゥリアは,18あり,上位からラムネース,ティティエース,ルケレースと愛称でよばれるケントゥリアが2つずつあった.ラムネースは馬にのることのできる30歳以下の,裕福な生まれのよい若者.
*4 ローマの有名な出版社.
*5 おそらく後世の挿入.「弦は必ずしも手と気持ちが欲している音を返すわけではなく」「弓は必ずしも狙うものを打つとは限らない」というのと,「低い音を出そうとしているのに,四六時中高い音を返し」はあわない.文脈としても,たまにある欠点は許されるが,四六時中間違えているのは許されないというものである.また,この行がないほうが,348と350の,neque ... nec ... の呼応がうまくいく.
*6 ホラーティウス『書簡集』2巻1歌233(注*1)参照.



【2012/09/11 22:37】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『詩論』309-332

scribendi recte sapere est et principium et fons.
rem tibi Socraticae poterunt ostendere chartae, 310
verbaque provisam rem non invita sequentur.
qui didicit patriae quid debeat et quid amicis,
quo sit amore parens, quo frater amandus et hospes,
quod sit conscripti, quod iudicis officium, quae
partes in bellum missi dulcis, ille profecto    315
reddere personae scit convenientia cuique.
respicere exemplar vitae morumque iubebo
doctum imitatorem et vivas hinc ducere voces.
interdum speciosa locis morataque recte
fabula nullius veneris, sine pondere et arte,   320
valdius oblectat populum meliusque moratur
quam versus inopes rerum nugaeque canorae.
Grais ingenium, Grais dedit ore rotundo
Musa loqui, praeter laudem nullius avaris.
Romani pueri longis rationibus assem      325
discunt in partes centum diducere. 'dicat
filius Albini: si de quincunce remota est
uncia, quid superat? poteras dixisse.' 'triens.' 'eu.
rem poteris servare tuam. redit uncia, quid fit?'
'semis.' an haec animos aerugo et cura peculi  330
cum semel imbuerit, speremus carmina fingi
posse linenda cedro et levi servanda cupresso?


正しく良識を持つことは,書くことの基本であり源泉です.
素材は,ソークラテースの書籍があなたに明らかにすることができます.
言葉は素材が準備されれば,大いに喜んでついて行きます.
祖国に何を負い,友人たちには何を負っているか,
いかなる愛情をもって両親を,兄弟を,客を愛すべきか,
元老院議員の職責,裁判官の職責は何か,
戦場に送られた将軍の務めは何かを学んだ者は,疑いなく
それぞれの人物にぴったり合った性格づけの仕方を知っています.
私は,模倣に習熟した者には,生き様や習慣の手本を
観察し,生きた声をここから引き出すようにと言います.
金言によって魅力的であり,いかなる愛嬌もない
正しく道徳的である劇は,しばしば,重みも技巧もなくとも,
素材の貧困な詩句,声麗しき戯れ言よりも,
人々を喜ばすにより力強く,人々をよりよく劇に引き止めておけます.
ギリシア人には天才を,ギリシア人には洗練された語り口で語ることを,
ムーサはお授けになりましたが,彼らは賞賛以外にはいかなるものにも頓着しませんでした.
ローマ人の子供たちは,長々と計算をして,1アスを
100に割ることを学びます.「言いたまえ,
アルビーヌスの息子よ.12分の5から
12分の1を引けば,いくつ残るかね?君はもう言えたはずだ」「3分の1です」「よし.
君は自分の財産を管理できるだろう.12分の1を戻したら,どうなる?」
「2分の1です」財産に対する,この害毒であり欲望であるものが
一度心を穢したなら,ヒマラヤ杉の油*1が塗られて,
滑らかに磨かれた糸杉*2に保管されるべき詩が作られることを,我々は望めますかどうか.


*1 ヒマラヤ杉は古来建築用にもちいられ,その油は害虫の食害予防のために,パピュロスなどに塗られた.
*2 保存用の糸杉製の本箱のこと.古注によると,これも普通の保管以上に,害虫の食害予防効果があると考えられたらしい.



【2012/09/11 14:53】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『詩論』295-308

ingenium misera quia fortunatius arte     295
credit et excludit sanos Helicone poetas
Democritus, bona pars ungues ponere curat,
non barbam, secreta petit loca, balnea vitat.
nanciscetur enim pretium nomenque poeta[e],
si tribus Anticyris caput insanabile numquam 300
tonsori Licinio commiserit. o ego laevus,
qui purgor bilem sub verni temporis horam;
non alius faceret meliora poemata. verum
nil tanti est. ergo fungar vice cotis, acutum
reddere quae ferrum valet exsors ipsa secandi. 305
munus et officium nil scribens ipsa docebo,
unde parentur opes, quid alat formetque poetam,
quid deceat, quid non, quo virtus, quo ferat error.

299 poeta Peelkamp : poetae codd.


拙い技術よりも才能のほうがより成功につながると,デーモクリトス*1
信じ,そうして全うな詩人たちをヘリコーンから追い出したため,
結構な数の者が,爪を切ろうとも,
髭も剃ろうともせず,人気ない場所を求め,風呂を避けています.
というのも,三度のアンティキュラの薬*2でも直し得ない頭を,
床屋のリキニウス*3に一度も委ねることをしなければ,
報酬と名声が詩人の手に入ることになるからです.ああ,私は変わり者です,
春の季節が巡る頃に,憂鬱を追い出しているこの私は!
他の者が,私以上にすばらしい詩を作ることはなかったろうに.しかし,
それはさほどの事ではありません.それでは,私は砥石の代わりとなりましょう.
自分自身は切ること能わずとも,刃物を研いで鋭くすることのできる砥石の代わりを.
詩人の義務と職責を,自分では何も書くことなく,私は教えましょう.
どこから素材を容易するか,何が詩人を養い形作るか,
何が詩人に相応しく,何がそうではないのか,どこに美徳が人を導き,どこに悪徳が導くかを.


*1 前5-4世紀(?-前361年)アブデラ(地図Hb)生まれの原子論を唱えた哲学者.断片のみ残る『詩について』のなかで,詩人の熱情と神的なインスピレーションによる詩は優れたものとしている.ただし,ここではホラーティウスはおそらく,その発想を相当極端に誇張している.
*2 ヘッレボルス(wikipedia記事)のこと.狂気に効く薬とされ,ポーキスのアンティキュラ(地図Dd)で採れた.
*3 全く不詳.



【2012/09/10 18:20】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ




PROFILE

  • Author:メレアグロス
  • 気が向いた時にラテン語を訳したりしています.
    ヘレニズムのギリシア語もたまに訳しています.

    問い合わせ先(メールフォーム)
  • RSS1.0
  • CM, TB, ARCHIVE

    COMMENT
  • メレアグロス [06/06 15:20] 
  • outis [06/05 21:42] 
  • メレアグロス [06/05 10:37] 
  • outis [06/01 22:33] 
  • メレアグロス [05/28 18:31] 
  • outis [05/26 23:35] 
  • Succarum [09/24 20:12] 
  • メレアグロス [09/24 00:15] 
  • Succarum [09/23 16:32] 
  • メレアグロス [11/06 01:49] 
    TRACKBACK
  • えいじゅなすの本棚 - 英語, 医学, 投資の専門書レビューブログ:Wheelock's Latin(05/26)

  • ARCHIVE
  • 2016年07月 (1)
  • 2016年05月 (1)
  • 2016年01月 (1)
  • 2015年08月 (1)
  • 2015年07月 (1)
  • 2015年06月 (1)
  • 2015年05月 (2)
  • 2015年04月 (1)
  • 2015年03月 (4)
  • 2015年02月 (1)
  • 2015年01月 (1)
  • 2014年12月 (4)
  • 2014年11月 (24)
  • 2014年10月 (6)
  • 2014年08月 (1)
  • 2014年07月 (3)
  • 2014年06月 (10)
  • 2014年04月 (3)
  • 2014年03月 (3)
  • 2014年02月 (1)
  • 2014年01月 (2)
  • 2013年12月 (3)
  • 2013年11月 (4)
  • 2013年10月 (25)
  • 2013年09月 (1)
  • 2013年08月 (5)
  • 2013年07月 (6)
  • 2013年06月 (1)
  • 2013年05月 (2)
  • 2013年04月 (1)
  • 2013年03月 (1)
  • 2013年02月 (2)
  • 2013年01月 (2)
  • 2012年12月 (1)
  • 2012年10月 (6)
  • 2012年09月 (27)
  • 2012年08月 (32)
  • 2012年07月 (47)
  • 2012年06月 (50)
  • 2012年05月 (3)
  • 2009年10月 (1)
  • 2009年09月 (2)
  • 2009年08月 (12)
  • 2009年07月 (7)
  • 2009年06月 (14)
  • 2009年05月 (2)
  • 2009年03月 (40)
  • 2009年02月 (14)
  • 2009年01月 (75)
  • 2008年12月 (26)
  • 2008年11月 (22)
  • 2008年10月 (60)
  • 2008年09月 (95)
  • 2008年08月 (68)
  • 2008年07月 (42)
  • 2008年06月 (54)
  • 2008年05月 (49)
  • 2008年04月 (49)
  • 2008年03月 (35)
  • 2008年02月 (9)
  • 2008年01月 (27)
  • 2007年12月 (40)
  • 2007年11月 (35)
  • 2007年10月 (26)
  • 2007年09月 (43)
  • 2007年08月 (10)
  • 2007年05月 (33)
  • 2007年04月 (8)
  • 2007年03月 (61)
  • 2007年02月 (51)
  • 2007年01月 (75)
  • 2006年12月 (68)
  • 2006年11月 (23)
  • 2006年10月 (56)
  • 2006年07月 (1)
  • 2006年06月 (7)
  • 2006年05月 (125)
  • 2006年04月 (77)
  • 2006年02月 (34)
  • 2006年01月 (69)
  • 2005年12月 (54)
  • 2005年11月 (50)
  • 2005年10月 (7)
  • 2005年09月 (106)
  • 2005年08月 (38)
  • 2005年07月 (4)
  • 上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。