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ホラーティウス『詩論』275-294

ignotum tragicae genus invenisse camenae  275
dicitur et plaustris vexisse poemata Thespis,
quae canerent agerentque peruncti faecibus ora.
post hunc personae pallaeque repertor honestae
Aeschylus et modicis instravit pulpita tignis
et docuit magnumque loqui nitique coturno.  280
successit vetus his comoedia, non sine multa
laude. sed in vitium libertas excidit et vim
dignam lege regi; lex est accepta chorusque
turpiter obticuit sublato iure nocendi.
nil intemptatum nostri liquere poetae,     285
nec minimum meruere dexus vestigia Graeca
ausi deserere et celebrare domestica facta,
vel qui praetextas vel qui docuere togatas.
nec virtute foret clarisque potentius armis
quam lingua Latium, si non offenderet unum  290
quemque poetarum limae labor et mora. vos, o
Pompilius sanguis, carmen reprehendite quod non
multa dies et multa litura coercuit atque
praesectum deciens non castigavit ad unguem.

まだ知られていなかった悲劇の歌のジャンルを発案し,
車にてその歌を運んだのはテスピス*1だと言われています.
彼は顔中に酒の澱を塗りたくってそれを歌い演じたということです.
その人物の後,仮面と立派な長衣を発案した
アイスキュロス*2は,低い木組みに舞台を組み立て,
大言壮語し,高靴を履くことを教えました.
これらの後に,古喜劇*3が現れ,大喝采を
博しました.しかし,自由は悪徳に堕し,
法により規制を受けるに相応しい暴力となりました.法が受け入れられ,
情けなくも歌舞隊は,人を傷つける権利を奪われ押し黙りました.
我が国の詩人たちは,いかなることも試みぬまま放ってはおきませんでした.
また,プラエテクスタ劇*4を作った者,あるいはトガータ劇*5を作った者は,
ギリシアの足跡を敢えて捨て,そして自国の業績を讃えて,
決して少なからぬ賞賛を得ました.
ラティウムは,その言葉によるもの以上に,勇猛さと名高い軍事力によって
力を持つということにはならなかったでしょう,もし詩人たち一人一人が,
推敲の手間ひまを書けることを厭わなかったならですが.あなた方は,おお,
ポンピリウス*6の血筋の方々よ,
多くの日々と,多くの直しが罰し,そうして
十回切り整えた爪にかけて*7訂正しなかった歌は,非難しなさい.



*1 アテーナイでの最初の悲劇上演(前534頃)での優勝者である悲劇詩人であり,自ら俳優となって前口上と歌舞隊長との対話を導入したとされるが,現存するのは彼のものとされる(が真贋の疑義のないわけではない)断片のみ.
*2 前525/6-前456.7つの悲劇が現存する.
*3 前486年にアテーナイで公式の悲劇が上演される.
*4 ローマ史実を扱った劇.紫の縁取りのついた元老院議員のトガであるトガ・プラエテクスタにその名が由来する.断片しか残っていない.
*5 ローマの日常を舞台にした劇.トガを着て演じられたという意味.アフラーニウス(前150頃)により作られる.テレンティウスやプラウトゥスは,ギリシア新喜劇の舞台をそのまま使っているので,ギリシアの衣服であるパッラを着て演じられるという意味でパッリアータ劇と呼ばれる.
*6 ピーソー家はローマの第二の王,ヌマ・ポンピリウスの子の一人,カルプスに由来する氏族カルプルニウスに属する.
*7 古代の彫刻家は,きれいに切られた爪で継ぎ目をなぞり,その際に爪に傷がつくかどうかで,滑らかに仕上がっているかどうかを見極めた.


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【2012/08/29 03:19】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ゴールズワーシー『カエサル』

 待ちに待ったup-to-dateなカエサルの評伝がでました.しかしさすがに消費税を入れると1万円を越える値段.ようやく意を決して購入しました.

エイドリアン・ゴールズワーシー(宮坂渉 訳)『カエサル』上・下.東京白水社,2012年.

 訳者の方はローマ法の研究者の方のようです.読んだらまた何か書こうと思います.

 前に紹介した,こちらのアウグストゥス入門は大体80ページほど読み終わったところ.

Karl Galinsky. Augustus: Introduction to the Life of an Emperor. Cambridge et al.: Cambridge U.P., 2012.

 読みやすい英語ですが,アメリカ英語っぽい言い回しが結構多い印象がありますね.著者はテキサス大学で教鞭を取られているそうです.
 歴史の流れを追うというよりは,歴史の流れの中で,アウグストゥスが成功して,どう考えても当時のカエサル後継者の最有力候補が失敗したかの要因を明らかにして行く,という感じで書かれています.ですから,細かい歴史的事実などは敢えて省いていたり,書かれるにしても,先に描写されてから解説されるという感じでなくて,アウグストゥスのある意図を説明するために,エピソードとして触れられているという感じで書かれていることがわりと多いです.そのせいで,最初の60ページぐらいは,背後で色々とネゴシエーションしているはずのマエケーナースもでてこないので,文学に関心があると少々寂しい気がしないでもないですが,それでも非常に面白い入門でしょう.個人的には,アウグストゥスが共和制の体裁を残したのは,共和制というシステム自体,派閥型政治に陥る危険があり,共和制を取り続ける限り,アウグストゥスのような人物が必要とされるから,という見解が大変面白かったです(すでに常識の考え方かもしれませんが,僕には初見).
 しかし細かい歴史的事実などは,やっぱり年代順にもう少し詳しく記述された本が手元に欲しくなりますね.年表もついてはいますが,これもそれほど詳しくはないです.余計な知識で混乱させないようにという,入門者向きの配慮であると同時に,多少知識がある人には,勉強する気持ちを刺激するという意味でもいい本なのかもしれません.
 アマゾンで検索すると,上のカエサル本の著者ゴールズワーシーが,アウグストゥスの評伝も出版する予定のようです.来年の7月に出版予定となっているので,実現すればほんとうに嬉しいですね.こちらも早急に翻訳がでるともっと嬉しいですが,それは消費税10%以上になってからのことでしょうね…….




【2012/08/28 15:53】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『詩論』251-274

syllaba longa brevi subjecta vocatur iambus,
pes citus; unde etiam trimetris accrescere iussit
nomen iambeis, cum senos redderet ictus
primus ad extremum similis sibi +non ita pridem+.
tardior ut paulo graviorque veniret ad aures,  255
spondeos stabiles in iura paterna recepit
commodus et patiens, non ut de sede secunda
cederet aut quarta socialiter. hic et in Acci
nobilibus trimetris apparet rarus, et Enni
in scaenam missos cum magno pondere versus 260
aut operae celeris nimium curaque carentis
aut ignoratae premit artis crimine turpi.
non quivis videt immodulata poemata iudex,
et data Romanis venia est indigna poetis.
idcircone vager scribamque licenter? an omnes 265
visuros peccata putem mea, tuutus et intra
spem veniae cautus? vitavi denique culpam,
non laudem merui. vos exemplaria Graeca
nocturna versate manu, versate diurna.
at vestri proavi Plautinos et numeros et    270
laudavere sales: nimium patienter utrumque,
ne dicam stulte, mirati, si modo ego et vos
scimus inurbanum lepido seponere dicto
legitimumque sonum digitis callemus aure.

短い音節のすぐ後に長い音節が続くのは,イアンボスと呼ばれており,
早い詩脚です.そこから,さらにはイアンボスのトリメトロスに,その名が添えられるように
命じました*1.同じ六つずつの拍が
最初から最期まで繰り返すものであるにもかかわらず*2ですが(・・・・・)*3
ゆっくりと,そしてやや重みを持って耳に聞こえるようにと,
安定したスポンデイオスを,気前よく寛大に,
伝来の規則の中に受け入れましたが,第2や第4の位置に
許す程は気安くはありませんでした*4.これはアッキウス*5
高貴なトリメトロスには,滅多にあらわれず,またエンニウス*6については,
重厚な重みとともに舞台に贈られたその詩行は,
あまりのやっつけ仕事で入念さを欠いているとか,
技法の無知という汚名を着せられ責め立てられています.
さて,批評家の誰でもが,具合の良くない詩を見極められるというわけではなく,
そうして,ローマ詩人たちには,似つかわしくない自由が許されてきました.
だからといって,私は漫然として,好き勝手に書いたものでしょうか?それとも,
皆が私の欠点を見抜くと重い,安全策をとって,また
自由が見込める範囲内に,慎重に留まったものでしょうか?私は結果的に過ちは逃れますが,
賞賛は得られません.あなた方は,ギリシアの手本を
昼も夜も手に取って繙きなさい.
だが,あなた方の祖先は,プラウトゥスの韻律も讃え,
機知も讃えました.両方を賛嘆するのは,愚かとは言いませんが,
あまりにも寛大に過ぎます.ただもし,私もあなた方も,
田舎臭い言い回しと機知に富んだ言い回しを区別する術を知り,
指と耳とで正しい韻律を知ることができる限りにおいてですが.


*1 ホラーティウスは脚として ᴗ ― のことをイアンボスと呼んでいる.韻律単位(メトロン)としては,これの重なった形 ᴗ ― ᴗ ― が一つの単位になり,これがさらに三つ重なってイアンビコス・トリメトロス(イアンボスの3韻律単位からなる詩行という意味)となる.
   ᴗ ― ᴗ ― ᴗ || ― ᴗ ― ᴗ ― ᴗ ―
*2  ᴗ ― を一つの単位とするなら,6回繰り返されていることになるはずが,イアンビコス・トリメトロスと呼ばれているのに,ということ.
*3 non ita pridem「それほど以前ではなく」は,おそらく誤写.
*4 本来イアンボス・トリメトロスでは,冒頭と2番目の3番目最初の要素は ― になってもよかった.これをアンケプスと呼び,x で表す.本来の図式では
  x ― ᴗ ― x || ― ᴗ ― x ― ᴗ ―
となるが,ホラーティウスはここでは3番目の最初の要素を数に入れず,
  x ― ᴗ ― x || ― ᴗ ― ᴗ ― ᴗ ― 
と考えているようである.
*5 前170-前90頃.ウンブリア出身の悲劇詩人.
*6 前239-前169年.叙事詩Annalesや悲劇・喜劇を書く.



【2012/08/27 14:58】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『詩論』220-250

carmine qui tragico vilem certavit ob hircum, 220
mox etiam agrestes Satyros nudavit, et asper
incolumi gravitate iocum temptavit, eo quod
illecebris erat et grata novitate morandus
spectator, functusque sacris et potus et exlex.
verum ita risores, ita commendare dicaces  225
conveniet Satyros, ita vertere seria ludo,
ne quicumque deus, quicumque adhibebitur heros,
regali conspectus in auro nuper et ostro,
migret in obscuras humili sermone tabernas,
aut, dum vitat humum, nubes et inania captet. 230
efutire leves indigna Tragoedia versus,
ut festis matrona moveri iussa diebus,
intererit Satyris paulum pudibunda protervis.
non ego inornata et dominantia nomina solum
verbaque, Pisones, Satyrorum scriptor amabo; 235
nec sic enitar tragico differre colori,
ut nihil intersit Davusne loquatur et audax
Pythias emuncto lucrata Simone talentum,
an custos famulusque dei Silenus alumni.
ex noto fictum carmen sequar, ut sibi quivis  240
speret idem, sudet multum frustraque laboret
ausus idem: tantum series iuncturaque pollet,
tantum de medio sumptis accedit honoris.
silvis deducti caveant, me iudice, Fauni
ne velut innati triviis ac paene forenses   245
aut nimium teneris iuvenentur versibus umquam,
aut immunda crepent ignominiosaque dicta.
offenduntur enim quibus est equus et pater et res,
nec, si quid fricti ciceris probat et nucis emptor,
aequis accipiunt animis donantve corona.  250

安い山羊を賭けて,悲劇の詩で競った者は*1
やがて田舎のサテュロスたち*2を舞台で裸にし,そして荒々しくも
重みを損なうことなく,笑いを試みました*3.なぜなら,
つかみのネタと,楽しい新奇な趣向で,観客を引き止めねばならなかったからです.
というのも,観客は聖儀を済ませて酔って無礼講になっているのですから.
しかしながら,冗談を言い,皮肉をいうサテュロスたちをお披露目し,
厳粛なものをコミカルにすることは,次の条件でやるならしっくりくるでしょう.
すなわち,どの神も,どの英雄も,
王に相応しい黄金や紫衣にて今しがたあらわれていながら,
卑俗な言葉の使われる暗がりの居酒屋に移動したりせず,
また,地に落ちるのを避けて,かえって虚空の雲をつかまぬようにするならばです.
軽薄な詩句をおしゃべりするには相応しくはないものの,
悲劇は,祭日に踊るように命ぜられた主婦のごとく,
厚かましいサテュロスたちの中に,少々恥じらいつつ参加することになりましょう.
私なら,ピーソー家の方々よ,サテュロス劇を書く時には,
素っ気なく基本的な言葉と言い回しばかり好んで使うことはないでしょう.
また,悲劇の文体から離れるように努力したあげくに,
語っているのがダーウゥスか,
シモーを騙して1タレントゥムを手に入れた大胆なピューティアス*4か,
養い子の神*5の見張りかつ召使のシーレーノス*6か,何一つ異ならぬということなきよう計らいます.
私は知られたものから作られる詩を目指すでしょうが,
同じものを目指した誰もが,同じことを敢えてしたがために,大いに汗をかき,無駄骨を折るという
ことになるでしょう.それほどまでに,順序と連結は力を持ち,
それほどまでの栄誉が,一般的なことから取られたものに加わるのです.
私の判断では,ファウヌスたち*7は,森から連れ出されて
あたかも市井に生まれついたかのように,また殆ど都会人のように,
あまりにも軟弱な詩行でもって,若者の振る舞いをしたり,
汚く品位のない言葉をわめかぬよう,気をつけさせるべきです.
というのも,馬や父親や財産を持つ人々*8の気分が害されることになりますし,
また,もし焼き豆や胡桃を買う者*9が,何か良さを認めたとしても,
そういった人々は抵抗なくそれを受け入れたり,花冠を授けたりはしません.


*1 悲劇は(tragoedia)語源的には「山羊(trago)歌(oedia)」となる.なぜ山羊歌なのかということは諸説あるが,ある解釈では,山羊を賞品にしたことによるとしている.
*2 サテュロスは人間の上半身に馬あるいは羊の足や耳などを有した半神.
*3 サテュロスを登場させる劇は,神話の舞台のまま笑いや猥雑さを目指したものであった.
*4 ダーウゥス,シモー,ピューティアスはローマ喜劇に登場する人物.1タレントゥムは相当の大金.
*5 ディオニューソスのこと.
*6 年老いたサテュロスで,ディオニューソスを養い,また従者として仕えた.
*7 サテュロスと同一視されている.
*8 騎士階級のこと.
*9 焼き豆や胡桃は貧乏人の食べ物(Niall Rudd ad.loc. によると"roughly the equivalent of our fish and chips" となっている!!).すなわち,下層民のこと.



【2012/08/24 23:56】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『詩論』202-219

tibia non ut nunc orichalco vincta tubaeque
aemula, sed tenuis simplexque foramine pauco
adspirare et adesse choris erat utilis atque
nondum spissa nimis complere sedilia flatu; 205
quo sane populus numerabilis, utpote parvus,
et frugi castusque verecundusque coibat.
postquam coepit agros extendere victor et urbem
latior amplecti murus vinoque diurno
placari Genius festis impune diebus,     210
accessit numerisque modis licentia maior.
inductus quid enim saperet liberque laborum
rusticus urbano confusus, turpis honesto?
sic priscae motumque et luxuriem addidit arti
tibicen traxitque vagus per pulpita vestem; 215
sic etiam fidibus voces crevere severis,
et tulit eloquium insolitum facundia praeceps,
utiliumque sagax rerum et divina futuri
sortilegis non discrepuit sententia Delphis.

笛は今のように真鍮でつながれてはおらず,またラッパにも
対抗できず,いくつかの穴のある,か弱い単純なもので,
歌舞隊に伴奏し助力し,そうして
まだあまり混雑していない客席をその息吹で満たすのに役立っていました.
そこへは,全く数えられる程の少数の
実直かつ潔白で敬虔な人々が集まって来たものでした.
戦いに勝利して,支配地を広げはじめ,そして都を
より広い防壁が取り囲み,祭日には昼日中の葡萄酒で
ゲニウス*1が宥められても罰されることもなくなりはじめると,
より大きな自由が,韻律にも旋律にも加わりました.
なぜなら,何が理解できるたでしょうか,無知で労働から解放された
田舎者が都会人と混じり,下品な者が立派な人に混じったのですから.
そういうわけで,笛吹きは古の技術に動きと装飾を加え,
舞台中を衣装を引きずって歩き回りました.
そういわけで,厳格な弦にも音数が増え,
そして,怒濤の雄弁は聞き慣れぬ言い回しをもたらし,
有用な物事を知り,未来を予知する
発言は,デルポイの予言者にも相応しくなったのです*2


*1 個人が生まれて来たときから存在するとされる守護神で,それぞれの家で祀られており,酒宴の際には献酒がされた.昼日中の酒宴はないわけではなかったが,古くは放埒と見られた.
*2 デルポイ(地図Dd)にはギリシアの有名な神託所があった.概ね古代の神託は,曖昧でどうとでも解釈できるもの.ここでは,悲劇の発言がそのように曖昧模糊としたものとなったということが語られている.



【2012/08/24 00:07】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『詩論』179-201

aut agitur res in scaenis aut acta refertur.
segnis irritant animos demissa per aurem,    180
quam quae sunt oculis subiecta fidelibus et quae
ipse sibi tradit spectator. non tamen intus
digna geri promes in scaenam, multaque tolles
ex oculis quae mox narret facundia praesens:
ne pueros coram populo Medea trucidet,    185
aut humana palam coquat exta nefarius Atreus,
aut in avem Procne vertatur, Cadmus in anguem.
quodcumque ostendis mihi sic, incredulus odi.
neve minor neu sit quinto productior actu
fabula, quae posci vult et spectanda reposci.  190
nec deus intersit, nisi dignus vindice nodus
inciderit; nec quarta loqui persona laboret.
actoris partes chorus officiumque virile
defendat, neu quid medios intercinat actus
quod non proposito conducat et haereat apte. 195
ille bonis faveatque et consilietur amice,
et regat iratos et amet peccare timentes;
ille dapes laudet mensae brevis, ille salubrem
iustitiam legesque et apertis otia portis;
ille tegat commissa, deosque precetur et oret, 200
ut redeat miseris, abeat fortuna superbis.


舞台では物事が演じられるか,あるいは行われたことが報告されるかします.
耳から送られることは,信頼できる眼を通して送られ,そして
観客が自分で自分に報告することよりも,
心を刺激する度合いが緩いものです.しかしながら,舞台外で
行われるに相応しいことは,舞台に持ち出すことなきよう,そして
後で登場者が雄弁に語るようなことの多くは,眼前から遠ざけてください.
人々の面前で,メーデーアが子供たちを殺戮することなきよう*1
あるいは非道のアトレウスが,人間の内臓を,人前で料理する*2ことなきよう,
あるいはプロクネーが鳥に*3,カドモスが蛇に*4変じませんよう,
あなたが私にこんな形で見せるものはなんであれ,私は信じられずに憎悪することになります.
劇は五幕よりも少なくも多くもならぬようにして下さい,
もしそれが上演してほしいと望まれ,再演も望まれて欲しいのならですが.
神は,救済者に相応しい難題が生じていない限り,
介入せぬよう.また,第4の俳優は話すことのないように*5
歌舞隊は俳優の役割と義務を一人前に
守らせ,また,主題になんらかの役目をし,適切に結びつくことのないような事柄は,
劇の途中で,歌うことなきよう,
それは善き人々に味方して親切に忠告し,
怒れるものを御し,そして過ちを恐れるものを愛するようにしてください.
それは簡素な食事の宴を讃え,それは健全な
正義と法と,門をあけておける閑暇を讃えるように.
それは秘密を守り,神々に祈り願うようにしてください,
悲運の者たちには幸運が戻り,奢れる者たちからは幸運が去るようにと.



*1 イアーソーンに捨てられたメーデーアは,彼の花嫁とその父を,贈った猛毒の衣装により焼き殺し,最期にイアーソーンとの間にもうけた子供たちを殺戮する.
*2 アトレウスは妻と内通していたテュエステースの子供たちを殺害し,テュエステースに食事として与えて,後に殺した子供の頭を見せて食事の内容を教えてから追放した.
*3 トラーキア王のテーレウスは,娶ったプロクネーの姉妹のピロメーラーを気に入って犯し,その事実を告げられぬように舌を切るが,ピロメーラーは織った長衣を贈ることによってプロクネーに事実を告げる.プロクネーはピロメーラーを探し出し,自分とテーレウスの間にできた子を料理してテーレウスに食わせる.事実を知ったテーレウスは二人を追いかけるが,その間にプロクネーは燕に,ピロメーラーはナイチンゲールに,テーレウスはヤツガシラとなる.
*4 フェニキアのテュロスの王アゲーノールの子.様々な冒険の後,テーバイ市を建設し,アレースとアプロディーテーの娘ハルモニアと結婚する.その後イリュリアを訪れ,その王となるが,妻とともに大蛇に変身する.
*5 ギリシア悲劇には,ソポクレースが三人目の俳優を加え,これが正式の俳優の数となる.



【2012/08/17 14:32】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラチウス『詩論』

 久保正彰先生のホラーティウス『詩論』の翻訳,確かにありました.

『詩学 . 詩人の心得 . 詩法 . 批評論 . 美学論文集』世界大思想全集:哲学・文芸思想篇21. 東京:河出書房新社, 1960年.

 『詩人の心得』がホラチウス(!)著,久保正彰先生翻訳になるようです.他に北条元一先生によるアリストテレースの『詩学』,ボワロー,ポウプ,ディドロなど.もちろん絶版で,古書では見かけませんし,あってもすごい値段になっていそうです.大学図書館や都道府県・市町村一般の図書館で,古くからある図書館なら所蔵しているかもしれません.




【2012/08/16 16:02】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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叙事詩の環の注釈

 ホラーティウスの『詩論』のちょっと前に訳したところで出て来た叙事詩の環についてですが,West による環の作品群の網羅的な注釈書が出版予定になっていました.

M. L. West Ed. The Epic Cycle: A Commentary on the Lost Troy Epics. Oxford: Oxford U.P., 2013.03 (forthcoming).

 来年の出版なので,少々気の長い話になりますが,叙事詩の環についてのこの規模での注釈書は,おそらくこれが最初で最期になるでしょうから,期待して待ちましょう.


【2012/08/15 23:27】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『詩論』153-178

tu quid ego et populus mecum desiderat audi.
si plosoris eges aulaea manentis et usque
sessuri donec cantor 'vos plaudite' dicat,    155
aetatis cuiusque notandi sunt tibi mores,
mobilibusque decor naturis dandus et annis.
reddere qui voces iam scit puer et pede certo
signat humum, gestit paribus colludere, et iram
concipit ac ponit temere et mutatur in horas.  160
imberbis iuvenis, tandem custode remoto,
gaudet equis canibusque et aprici gramine campi,
cereus in vitium flecti, monitoribus asper,
utilium tardus provisor, prodigus aeris,
sublilmis cupidusque et amata relinquere pernix. 165
conversis studiis aetas animusque virilis
quaerit opes et amicitias, inservit honori,
commisisse cavet quod mox mutare laboret.
multa senem circumveniunt incommoda, vel quod
quaerit et inventis miser abstinet ac timet uti  170
vel quod res omnes timide gelideque ministrat,
dilator, †spe longus†, iners, <p>avidusque futuri,
difficilis, querulus, laudator temporis acti
se puero, castigator censorque minorum.
multa ferunt anni venientes commoda secum, 175
multa recedentes adimunt. ne forte seniles
mandentur iuveni partes pueroque viriles:
semper in adiunctis aevoque morabimur aptis.

172 spe longus damn. Brink : spe tardus Bentley, alii alia
pavidusque Bentley : avidusque codd.


あなたは,私と,私同様人々が何を望んでいるのか,お聞き下さい.
もしあなたが,閉幕まで待って
歌い手が「皆様御喝采をお願いします」というまでずっと座っている客を必要とするなら,
それぞれの年齢の振る舞い方に,あなたは注意するべきで,
また,年に応じて移り変わる正確に相応しいものを付与するべきです.
もう言葉を知り,そしてしっかりした足で
地を踏む子供は,同じ年齢の者たちと遊びたがり,そして怒りを
覚えてはあっさりそれを止め,刻々と機嫌を変えます.
髭の生える前の若者で,ようやくお守りの離れた者は,
馬や犬や日当りのよい競技場の芝生を喜び,
蝋の如くに悪徳の型に応じて形を変え,忠告者には荒々しく,
有用な物事を見越すのはのろまで,金遣いは荒く,
高慢でよく深く,また愛せるものを捨てるのも早いのです.
成年の年齢の気持ちは,欲するものも変わり,
富と友情を求め,名声に隷属し,
後に取り繕うのに骨折りそうな過ちを犯すことを用心します.
老人は多くの不都合が取り巻いています.彼はものを
求め,そして手に入れたものには惨めにも手を付けられず,使うことを恐れたり,
あるいはあらゆる物事を,びくびくしながら情熱なく執り行い,
ものごとを先送りし,†望みに長く(?)†*1,無為で,将来をおそれ,
気難しく,不平に満ち,自分が子供の頃
過ごした時代を讃え,年少者を叱咤し,あら探しします.
上りの人生の年月は多くの良いことをそれとともにもたらしますが,
下りは多くのそれらを取り去ります.まさか老人の役を
若者に与えたり,子供に成年の役を与えてはいけません.
我々は常に年代に結びついた,相応しいものに注意し続けます.


*1 原文が正しく伝承されていないと思われる.



【2012/08/15 22:47】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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Galinsky のアウグストゥス本入手

 ホラーティウスの『詩論』,なかなか大変です.ところどころ出てくるテクストの問題もかなり難しいです.この500行足らずの作品を本当の意味で理解するには,一生かかっても足りなくて,結局冥界のホラーティウスに答えを聞くしかなくなるということになるかもしれないですね.

 ところで期待のアウグストゥス本入手しました.

Karl Galinsky. Augustus: Introduction to the Life of an Emperor. Cambridge et al.: Cambridge U.P., 2012.

 詳しくはまた読了してから報告するとおもいますが,豊富な図版や興味深い囲み記事などで盛りだくさんの,初心者から安心して使えるアウグストゥス入門でしょう.英語も平易ですから,日本の学生でも読むのは大変ではないと思います.まるっきりの初心者で不安という方は,グリマル『アウグストゥスの世紀』(クセジュ文庫 東京:白水社,2004年)などで,予習してから読めば問題ないと思います.pp. xix-xxi では,古代の歴史資料の重要なものをピックアップしてくれており,どの資料がどの局面の情報を提供するかなどがコンパクトにまとめられています,このあたりに,初心者に対する心遣いが感じられますね.
 もちろん入門だけでは物足りないという文献学の猛者の方々には,アウグストゥスのアグリッパ葬礼演説のパピュロス断片 Papyrus Köln 249 の写真と訳などもある(p.116)ので,ギリシア語断片のトランスクリプションの練習になると思います.Galinsky本の写真は白黒なので,やや読みにくいですが,原著のカラー写真版はこちらにあります.下のリンク先に言って下の方の Abbildung の所にあるリンクをクリック.

  http://www.uni-koeln.de/phil-fak/ifa/NRWakademie/papyrologie/Karte/VI_249.html

 こういった新刊本の邦訳がでると,もっと古典・古代史のほうに足を踏み入れる(あるいは踏み外す)人も増えるとおもうのですが…….本文200ページ程度ですから,それほど時間はかからないと思うので,誰か訳して出版してくれませんか?


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ホラーティウス『詩論』131-152

publica materies privati iuris erit, si
non circa vilem patulumque moraberis orbem,
nec verbo verbum curabis reddere fidus
interpres, nec desilies imitator in artum,
unde pedem proferre pudor vetet aut operis lex, 135
nec sic incipies ut scriptor cyclicus olim:
'fortunam Priami cantabo et nobile bellum.'
quid dignum tanto feret hic promissor hiatu?
parturient montes, nascetur ridiculus mus.
quanto rectius hic qui nil molitur inepte:     140
'dic mihi, Musa, virum, captae post tempora Troiae
qui mores hominum multorum vidit et urbes.'
non fumum ex fulgore, sed ex fumo dare lucem
cogitat, ut speciosa dehinc miracula promat,
Antiphaten Scyllamque et cum Cyclope Charybdin.145
nec reditum Diomedis ab interitu Meleagri,
nec gemino bellum Troianum orditur ab ovo;
semper ad eventum festinat et in medias res
nec secus ac notas auditorem rapit, et quae
desperat tractata nitescere posse, relinquit,   150
atque ita mentitur, sic veris falsa remiscet,
primo ne medium, medio ne discrepat imum.

公共の素材は,個人の権利に属する事になります,もし
あなたが安っぽい平凡な「環」*1の周りに留まることなく,
また忠実な翻訳者となって逐語訳することを望まず,
恥を感じる気持ちと作品の規則が歩みを禁じるような狭い場所に
飛び込んで,模倣者となってしまうこともなく,
また,「環」の詩人がかつてしたように,
「プリアモス*2の運命と高貴な戦を我は歌わん」と始めたりしなければ*3
これほどの大口に相応しいどんなことを,約束したこの者はもたらすでしょう?
山々が子を産まんとしていますが,滑稽な鼠一匹しか生まれないでしょう.
虚しい努力はなんらしない,次のような者は,どれほど上手くやってのけることでしょう.
「我に語れ,ムーサよ,トロイヤが陥落せし時以後,
多くの人々の習俗と諸都を見し男のことを」*4
彼は雷光より煙ではなく,煙から雷光を与えることを
考えており,そうしてここから美しき不思議,
アンティパテース*5,スキュッラ*6,キュクロープス*7にカリュブディス*8を現そうとしています.
彼はディオメーデースの帰還をメレアグロスの死から始めたり*9せず,
トロイヤの戦いを双子の卵*10から始めたりもしません.
彼は常に結末に急ぎ,そして話の真っただ中に,
まったく知られているものかの如くに,聴衆を引き込み,そして
扱っても輝きを得られないものは捨て,
そうして真実に偽りを混ぜるような形で嘘をついて,
序盤と中盤,中盤と終盤が食い違わないようにするでしょう.


*1 ホメーロスの二大叙事詩と並んで存在した叙事詩群は叙事詩の環と呼ばれ,質的には劣る凡庸なものとされた.現在は断片的にしか伝わっていない.
*2 トロイヤの王.
*3 トロイヤ戦争丸ごとを歌うような,ばかでかい作品を歌い始めなければ,ということ.おそらく叙事詩の環の作品の一つの開始部.
*4 オデュッセイアの開始部.
*5 人を食う巨人族の王.オデュッセイアに登場.
*6 6頭12足の海の怪物.オデュッセイアに登場.
*7 一つ目で人を食う,牧人の巨人.オデュッセイアに登場.
*8 スキュッラの居場所の対面にある大渦で,船を飲み込む.オデュッセイアに登場.
*9 ディオメーデースはトロイヤ戦争で活躍した後に,帰国するが,その後妻の密通などの話が加えられる.メレアグロスは,ディオメーデースの叔父(祖父の兄弟).カリュドーンの猪狩りの後,その皮を女傑アタランテーに与えようとしたメレアグロスとその叔父たちがもめ,叔父たちは殺されたために,それが燃え尽きれば死ぬ定めであった燃えさしを,母アルタイアーが火に投じたために死んでしまう.
*10 トロイヤ戦争の原因となった美女ヘレネーは,白鳥となってあらわれたゼウスとレーダーの子.その際,ヘレネーはポリュデウケースと同じ卵から生まれたとされ,もう一つの卵からはカストールとクリュタイムネーストラーが生まれたとされる説がある.



【2012/08/14 10:12】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『詩論』119-130

aut famam sequere aut sivi convenientia finge,
scriptor. honoratum si forte reponis Achillem, 120
impiger, iracundus, inexorabilis, acer,
iura neget sibi nata, nihil non arroget armis.
sit Medea ferox invictaque, flebilis Ino,
perfidus Ixion, Io vaga, tristis Orestes.
si quid inexpertum scaenae committis et audes 125
personam formare novam, servetur ad imum
qualis ab incepto processerit et sibi constet.
difficile est proprie communia dicere; tuque
rectius Iliacum carmen deducis in actus
quam si proferres ignota indictaque primus.  130

伝承に従うか,自分に首尾一貫したものを作りなさい,
作家の方よ.もしひょっとして名高きアキッレウスを新たに描くとすれば,
活動的で,怒りやすく,宥め難く,激しく,
法は自分のためならずと言い,全てを武力で成さしめなさい.
メーデーアは獰猛で打ち勝ち難く,イーノー*1は涙にくれ,
イクシーオーン*2は裏切り者,イーオー*3は放浪し,オレステース*4は陰鬱にして下さい.
もし何か試みられたことのないものを舞台にあげ,そして敢えて
新しい人物を作り上げるとすれば,最初始めたときのような人物のまま
最期まで保ち,首尾一貫させなさい.
ありきたりの事柄を独特に語るのは難しいことです.あなたもまた,
イーリアスの歌を取って幾幕かにするほうが,
知られてもおらず語られた事もないことを初めて公にするよりも,上手くいくでしょう.


*1 セメレーとゼウスの間の子を育てたために,ヘーラーによって狂気に陥り,我が子を煮殺して,その亡骸とともに海に身投げし,海の女神レウコテアーとなる.
*2 デーイオネウスの娘を娶った際に約束した結納金を受け取りに来た彼を殺し,あわれんだゼウスにその罪を清めてもらうも,今度はその妻へーラーを犯そうとし,車輪に貼付けられ永遠に回されている.
*3 ヘーラー女神の女神官であったが,ゼウスと交わることとなり,ヘーラーを恐れるゼウスにより,雌牛に姿を変えてごまかそうとしたが,ヘーラーはそれを知りつつ雌牛をもらい,百目のアルゴスに見張らせる.ヘルメースがアルゴスを殺すと,虻を送って雌牛となったイーオーを追わせ,ヨーロッパからエジプトまでさまよい歩き,そこで人間に戻される.
*4 アガメムノーンとクリュタイムネーストラーの子.クリュタイムネーストラーはアイギストスに通じ,イーリオンから帰還した夫アガメムノーンを殺す.オレステースは,父の復讐を成人後果たし,アイギストスと母を殺すが,母殺しのせいで復讐女神に追われ狂うこととなる.



【2012/08/13 23:48】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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原発事故証言……福島の幼稚園から

 相変わらず,いつ新規あるいは再度爆発するかわからない原発を抱えていることを自他ともに忘れがちなので,鬱陶しいかもしれませんが,定期的に原発関連の記事は投稿することにしています.

 こちらは山下太郎先生のtwitterで知った,京都府私立幼稚園連盟の月報.福島に震災と原発事故の状況を視察に行った際の記事がでています.
 富岡幼稚園からの報告(下のPDFのpp.3-4)では,やはり噂通り,福島の住民には事故当時,放射能漏れについては一切知らされず,ようやくiPadの海外ニュースで危険を知ったとのこと.その他,こんな恐ろしい事が現在も続いているということがわかります.

  http://www.kyoshiyoh.com/20120714.pdf

 現在も地面の放射線量は針が振り切って測る事もできないとか,地面に一番近い所にいることになる幼稚園児をあずかる先生方にはとても恐ろしい現実なのでしょうね.


【2012/08/13 20:32】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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アリストテレース『詩学』

ホラーティウスの『詩論』を研究するなら必読なのはアリストテレースの『詩学』ですが,もうすぐ最新の校訂本+注釈書が出版されるようです.

Leonardo Taran, Dimitri Gutas Edd. Aristotle Poetics : Editio Maior of the Greek Text with Historical Introductions and Philological Commentaries. Mnemosyne Supplements. Leiden: Brill, 2012.8.30.


Aristotle Poetics: Editio Maior of the Greek Text With Historical Introductions and Philological Commentaries (Mnemosyne Supplements)Aristotle Poetics: Editio Maior of the Greek Text With Historical Introductions and Philological Commentaries (Mnemosyne Supplements)
(2012/08/30)
Leonardo Taran、Dimitri Gutas 他

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今までだとこれがあれば十分だったと思いますが.

D. W. Lucas Ed. Aristotle: Poetics. Introduction, commentary and appendixes by. Oxford: Clarendon Press, 1968.


Aristotle: Poetics (Clarendon Paperbacks)Aristotle: Poetics (Clarendon Paperbacks)
(1981/07/30)
David W. Lucas

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あとこんな本も出ていました.

Walter Watson. The Lost Second Book of Aristotle's Poetics. Chicago: University of Chicago Press, 2012.


The Lost Second Book of Aristotle's PoeticsThe Lost Second Book of Aristotle's Poetics
(2012/07)
Walter Watson

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【2012/08/13 16:01】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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なかなか進まず……

 『詩論』なかなか進まないですね.一日50行いくかどうかといったペースです.これでは岡道男先生のゼミにはとても参加できません.大分昔に相当苦労して読んだはずなのですが,苦しかった記憶だけが残っています.その当時の書き込みなどを見ても,単語の意味の書き込みすら間違っていたりして,さっぱり訳に立ちません.昔の自分はとんでもなく馬鹿だったようです(今でも大いにそうですが).まあ,過去の間違いが判る程度には進歩したと考えるべきかもしれませんが,もともとラテン語には向いてなかったのかもしれませんね.


【2012/08/09 23:04】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『詩論』99-118

non satis est pulchra esse poemata; dulcia sunto,
et quocumque volent animum auditoris agunto. 100
ut ridentibus arrident, ita flentibus adflent
humani vultus. si vis me flere, dolendum est
primum ipsi tibi; tum tua me infortunia laedent,
Telephe vel Peleu; male si mandata loqueris
aut dormitabo aut ridebo. tristia maestum   105
vultum verba decent, iratum plena minarum,
ludentem lasciva, severum seria dictu.
format enim natura prius nos intus ad omnem
fortunarum habitum; iuvat aut impellit ad iram
aut ad humum maerore gravi deducit et angit; 110
post effert animi motus interprete lingua.
si dicentis erunt fortunis absona dicta,
Romani tollent equites peditesque cachinnum.
intererit multum divusne loquatur an heros,
maturusne senex an adhuc florente iuventa  115
fervidus, et matrona potens an sedula nutrix,
mercatorne vagus cultorne virentis agelli,
Colchus an Assyrius, Thebis nutritus an Argis.

詩は,見栄え良いというのでは十分ではありません.甘美ならしめてください,
そしてどこでも詩の思うところに,聴衆の気持ちを動かさしめてください.
人の顔は笑っている者には笑いかけるのと同様,泣いている者には
泣きかけます.もし私を泣かそうと欲するなら,まず
あなた自身が悲しまねばなりません.テーレポスよ,あるいはペーレウスよ,
その時あなたの不幸が私の胸を痛めるのです,もしあなたが台詞を拙く語れば,
私は眠るか笑うかするでしょう.悲しみの言葉は
悲しみに相応しく,威嚇に満ちた言葉は怒った顔に,
ふざけた言葉は戯れる者の顔に,語るに荘重な言葉はまじめな顔に相応しいのです.
というのも,自然は全ての幸不幸の状態に応じて,我々を先ず内側から
形成します.それは我々を楽しませたり,悲しませたり,怒りに駆り立てたり,
大きな悲しみとともに地面に引き下ろし,そして苦しめます.
その後で,言葉を仲介として,心の動きを表出します.
もし語る者の運命に語られている言葉が不釣り合いなら,
ローマ人は騎士であろうと歩兵であろうと,哄笑をあげることでしょう.
神が語るのか,それとも英雄が語るのかで,大きな違いがあるでしょう.
円熟の老人か,それともまだ若さも盛りで
血気にはやる者かでも,そして,威厳のある細君か,それともせっせと働く乳母かでも,
そして流浪の商人か,それとも青々とした畑耕す耕作人かでも,
コルキス*1人か,アッシュリア*2人か,テーバイ*3で育った者か,アルゴス*4かでも.


*1 地図Fb.
*2 地図Fc.
*3 地図Ca.
*4 地図Cb.



【2012/08/09 22:49】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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Kraftwerk: Radioactivity (No Nukes 2012, Tokio, Japan)

クラフトワークが No Nukes コンサートに来日していました.公式動画で「放射能」がYouTubeに登場.やると思ってましたが,ちゃんとフクシマが入った日本語版.動画は Read More 以下で.

[READ MORE...]
【2012/08/09 11:03】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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タキトゥスとプロペルティウス新刊

Rhiannon Ash ed. Oxford Readings in Tacitus. Oxford Readings in Classical Studies. Oxford: OUP, 2012.8.15. (forthcoming)

すでに出ている論文を集め直した論文集ですが,若干著者の補遺があったり,原文は全て翻訳がされていたり,外国語のものは英語にされていたりという感じのはずです.Ronald Symeの論文もあります.

Oxford Readings in Tacitus (Oxford Readings in Classical Studies)Oxford Readings in Tacitus (Oxford Readings in Classical Studies)
(2012/08/15)
Rhiannon Ash

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Ellen Greene; Tara S. Welch edd. Oxford Readings in Propertius. Oxford Readings in Classical Studies. Oxford: OUP, 2012.08. (forthcoming)

Oxford Readings in Propertius (Oxford Readings in Classical Studies)Oxford Readings in Propertius (Oxford Readings in Classical Studies)
(2012/10/15)
不明

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最近高い本が次々にでるプロペルティウスですが,これも上のタキトゥスと同じく,既存の論文集.ただ,ちょっと面白いのは,今はやりのジェンダー論を応用しているとおもわれる論文が集められているところでしょうか.しかし"Paul Allen Miller: Why Propertius is a Woman"というのはなんかすごいタイトル.

プロペルティウスはHeyworthのOCT以降,ちょっと新刊ブームが続きました.さすがに買ってませんが,タイトルのみどうぞ.

Giancarlo Giardina (ed.), Properzio. Elegie. Testi e commenti 25. Pisa/Roma: Fabrizio Serra editore, 2010. BMCR書評:Donncha O'Rourke


Hans Peter Syndikus. Die Elegien des Properz: Eine Interpretation. Studium. Darmstadt: Wissenschaftliche Buchgesellschaft, 2010.


S. J. Heyworth; J. H. W. Morwood. A Commentary on Propertius, Book 3. Oxford: Oxford University Press, 2011. (BMCR書評:Tara S. Welch)







【2012/08/08 23:21】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『詩論』73-98

res gestae regumque ducumque et tristia bella
quo scribi possent numero, monstravit Homerus.
versibus impariter iunctis querimonia primum,  75
post etiam inclusa est voti sententia compos;
quis tamen exiguos elegos emiserit auctor,
grammatici certant et adhuc sub iudice lis est.
Archilocum proprio rabies armavit iambo;
hunc socci cepere pedem grandesque coturni  80
alternis aptum sermonibus et populares
vincentem strepitus et natum rebus agendis.
Musa dedit fidibus divos puerosque deorum
et pugilem victorem et equum certamine primum
et iuvenum curas et libera vina referre.     85
descriptas servare vices operumque colores
cur ego si nequeo ignoroque poeta salutor?
cur nescire pudens prave quam discere malo?
versibus exponi tragicis res comica non vult;
indignatur item privatis ac prope socco     90
dignis carminibus narrari cena Thyestae.
singula quaeque locum teneant sortita decentem.
interdum tamen et vocem comoedia tollit,
iratusque Chremes tumido delitigat ore
et tragicus plerumque dolet sermone pedestri, 95
Telephus et Peleus cum, pauper et exsul, uterque
proicit ampullas sesquipedalia verba,
si curat cor spectantis tetigisse querella.

王たち,将軍たちの業績と,恐ろしい戦争は
どの韻律で書くことができるか*1を,ホメーロスは示しています.
不均等につながれた詩行*2で,初めは哀悼が,
後にはまた,祈願成就の言葉が歌われました.
しかしながら,誰が小さきエレゲイア*3を世に出した創始者かは,
文法家らは意見を戦わせており,今まで結論にあたっては論争のあるところです.
アルキロコスは怒りをそのイアンボス*4により武装させました.
この韻律を,軽靴も,荘重な高靴も受け入れました*5
それは対話に相応しく,人々の
喧噪にも勝り,また動作に元来向いているからです.
ムーサは竪琴*6に,神々と神々の子供たちを,
そして拳闘の勝利者を,そして競争で一位となった馬,
そして若者等の恋の悩みと,憂いを払う葡萄酒を歌うことを許しました.
作品毎の役割と調子は決まっており,
もし私がそれをこなすことができず,知りもしないなら,私は詩人と仰ぎ見られるでしょうか.
なぜ学ぶことを欲するよりも,間違った恥じ方をして,知らないでいることを欲するでしょうか.
喜劇のテーマは,悲劇の詩行で描かれることは欲しません.
同じく,大衆的で,かつ殆ど軽靴に相応しい歌で
語られると,テュエステースの宴*7は腹を立てます.
どれもがそれぞれ相応しい一つの場所を割り振られて持つべきなのです.
しかし,時には喜劇も声を上げ,
腹を立てたクレメース*8が激高した口調で言い争い,
また,テーレポス*9とペーレウス*10が,貧しく追放の身で,両者とも
誇張した表現や長々続く言葉を捨てて,
不平不満によって観客の心情に触れようとするときには,
悲劇も大抵は巷の言葉を使って悲しみます(95).


*1 すなわちヘクサメトロスのこと.韻律を図示すると:
  ― ᴗ͞ᴗ ― ᴗ͞ᴗ ― ᴗ͞ᴗ ― ᴗ͞ᴗ ― ᴗᴗ ― x 
*2 エレゲイアの韻律の詩行.すなわちヘクサメトロスと,それから1つだけ ᴗ͞ᴗ が除かれたペンタメトロスの組が繰り返されるもの.韻律を図示すると:
  ― ᴗ͞ᴗ ― ᴗ͞ᴗ ― ᴗ͞ᴗ ― ᴗ͞ᴗ ― ᴗᴗ ― x  (ヘクサメトロス)
    ― ᴗ͞ᴗ ― ᴗ͞ᴗ ― || ― ᴗ͞ᴗ ― ᴗᴗ x  (ペンタメトロス)
*3 ヘクサメトロスによる叙事詩が戦争などを歌う大きい詩とされるのにたいして,エレゲイア詩は,恋愛などを歌い,小さい詩とされた.
*4 短長 ᴗ ― を基本とする韻律.アルキロコスは前7世紀半ばの叙情詩人の一人.
*5 上演の際,喜劇では軽い靴(soccus)が履かれ,その一方,悲劇では高い靴(coturnus)が履かれた.ここでは喜劇,悲劇そのものを指している.喜劇・悲劇ともに,イアンビコス・トリメトロスが用いられた.韻律を図示すると:
   x ― ᴗ ― x || ― ᴗ ― x ― ᴗ ―
*6 竪琴によって伴奏される叙情詩の韻律のこと.
*7 自分の兄弟アトレウスにより殺された我が子の肉の料理を食べることとなった.
*8 喜劇の stock figure で,気難しい父親役.
*9 ヘラクレスの子で,ミューシアの王となる.アキッレウスの槍で傷つき,その傷が癒えないため,乞食となってギリシアに行き,アキッレウスの槍の錆で傷を癒される.
*10 アキッレウスの父.異母兄弟ポークスを殺して故郷アイギナを追われる.




【2012/08/08 21:30】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『詩論』46,45-72

in verbis etiam tenuis cautusque serendis    46
hoc amet hoc spernat promissi carminis auctor.  45
dixeris egregie, notum si callida verbum     47
reddiderit iunctura novum. si forte necesse est
indiciis monstrare recentibus abdita rerum,
fingere cinctutis non exaudita Cethegis     50
continget, dabiturque licentia sumpta pudenter;
et nova fictaque nuper habebunt verba fidem, si
Graeco fonte cadent parce detorta. quid autem
Caecilio Plautoque dabit Romanus ademptum
Vergilio Varioque? ego cur, acquirere pauca   55
si possum, invideor, cum lingua Catonis et Enni
sermonem patrium ditaverit et nova rerum
nomina protulerit? licuit semperque licebit
signatum praesente nota producere nomen.
ut silvae foliis pronos mutantur in annos,    60
prima cadunt ・・・・・・・・・・・・・    61a
・・・・・・・ita verborum vetus interit aetas,  61b
et iuvenum ritu florent modo nata vigentque.
debemur morti nos nostraque; sive receptus
terra Neptunus classes aquilonibus arcet,
regis opus, sterilisve palus diu aptaque remis   65
vicinas urbes alit et grave sentit aratrum,
seu cursum mutavit iniquum frugibus amnis
doctus iter melius, mortalia facta peribunt,
nedum sermonum stet honos et gratia vivax.
multa renascentur quae iam cecidere, cadentque 70
quae nunc sunt in honore vocabula, si volet usus,
quem penes arbitrium est et ius et norma loquendi.

45 post 46 Bentley
61 lacunam indic. Ribbeck
65 diu palus] palus diu Gesner

さらには,約束された歌の作者は,言葉の結合においても,
繊細で注意深く,あるものは採用し,あるものは捨てます.
もし知られている言葉が,巧みな新しい言い回しを作るのであれば,
優れた語り方ができるでしょう.もしひょっとして
知られていないことを新しい表現で示す必要があるなら,
腰巻きするケテーグス家*1の人々に聞かれたことのないものをでっち上げることにも
なるでしょうし,もし,慎み深く行われるなら,その自由も与えられるでしょう.
そして,ギリシアの源泉から下って来たものであって,節度を持って取り入れられたものなら,
新しく最近作られた言葉は信頼を得るでしょう.だがなぜ,
ローマ人は,ウェルギリウスとワリウス*2からは取り上げたことを,
カエキリウス*3とプラウトゥスには許可するのでしょうか.どうして,この私は,僅かなものを
もし創ることができたなら,妬まれるのでしょう?カトー*5とエンニウス*6の舌は,
祖国の言葉を富ませ,そして諸物の新たな
名称をもたらしたというのに?許されていたことだし,永遠にゆるされることでしょう,
現代の刻印の捺された言葉を作り出すということは.
急ぎ過ぎ行く年毎に森は葉を変え,
最初のものは落ち・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・そのように,言葉の古い世代は死に,
そして,最近生まれた言葉は,若者の如くに繁り栄えるのです.
我々も,我々のものも,死の定めを負っています.大地に
受け入れられたネプトゥーヌス*7が,艦隊を北風から守ろうとも
——王の仕事です——,長く不毛で櫂に適した沼が,
近隣の諸都市を養い,重い鋤を感じようと,
川が作物に仇なす流れを変えて
よりよい道を知ることとなろうと,死すべき者の業は滅びることでしょう,
ましてや言葉の栄光と魅力も,長生きするものではないでしょう.
慣習が欲するなら,もう死んでしまった多くの言葉は再生し,そして
今名声のうちにある言葉は死ぬでしょう,
言葉の裁量も法も規範も,慣習の許にあるのです.


*1 204年頃執政官.弁論で有名.古くはローマ人は,トガの下は肩をはだけて腰布のみをまいており,ケテーグス家の人々はそうしていたという.
*2 ウェルギリウスの友人であり,悲劇・叙事詩詩人.
*3 前180年頃活躍した喜劇詩人.
*4 前284-前184年.有名な喜劇詩人.
*5 前213-前149年執政官.有名な弁論家.
*6 前239-前169年.叙事詩Annalesや悲劇・喜劇を書く.
*7 港の防波堤のこと.具体的にはルクリーヌス湖(地図A 'Vicinity of Naples' の左側)の港で,オクターウィアーヌスによって作られたユーリウス港のことが念頭にあるとされる.



【2012/08/08 01:08】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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マイワシからセシウムを大幅に上回るプロトアクチニウム,トリウム検出

 プロトアクチニウムというのはちょっと聞いたことがないですが,猛毒で,かつ強い発癌性をもつ放射性物質だそうです.

  http://ja.wikipedia.org/wiki/プロトアクチニウム

 自主的に食品などの放射性物質を検査している Security Tokyo さんのデータによると,日立・鹿島沖(千葉県産)のマイワシから,セシウムが0.3 Bq/kg検出されていて,こちらは食品基準的には相当低いのですが,プロトアクチニウム(Pa-234m)のほうが,それを大幅に上回る23 Bq/kg検出されており,またトリウム(Th-234)も10 Bq/kg検出されています.いずれも,α線を出し,内部被曝の場合には,プルトニウムなどのように,非常に高い危険性があるもののようで,そんなものが食材からこれだけの量検出されているというのはやはり異常事態です.

  http://securitytokyo.com/data/maiwashi1.html

 放射性セシウム0.3Bq/kgは,それほど高くはない汚染状態ですから,厳し目にみても,普通に流通可能といっていいでしょう.しかし,この検査結果がミスなどでないとすると,たとえセシウムの検出量が微量でも,普通検査されていない,それ以外の危険な放射性物質のほうは,場合によってはとんでもない量が含まれている可能性があるということですね.


【2012/08/07 13:12】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『詩論』24-44

maxima pars vatum, pater et iuvenes patre digni,
decipimur specie recti. brevis esse laboro,  25
obscurus fio; sectantem levia nervi
deficiunt animique; professus grandia turget;
serpit humi tutus nimium timidusque procellae;
qui variare cupit rem prodigialiter unam,
delphinum silvis appingit, fluctibus aprum:  30
in vitium ducit culpae fuga, si caret arte.
Aemilium circa ludum faber unus et ungues
exprimet et molles imitabitur aere capillos,
infelix operis summa, quia ponere totum
nesciet. hunc ego me, si quid componere curem, 35
non magis esse velim quam naso vivere pravo,
spectandum nigris oculis nigroque capillo.
sumite materiam vestris, qui scribitis, aequam
viribus, et versate diu, quid ferre recusent,
quid valeant umeri. cui lecta potenter erit res, 40
nec facundia deseret hunc nec lucidus ordo.
ordinis haec virtus erit et venus, aut ego fallor,
ut iam nunc dicat iam nunc debentia dici,
pleraque differat et praesens in tempus omittat.


32 unus ς Ioann.Saresber. : imus codd.vett., Porph.

我々詩人の大多数は,父と父に相応しき若者らよ,
正しさの見かけに欺かれています.簡潔であろうと骨折って
曖昧になります.洗練を追求すれば,力強さと
気迫を欠きます.壮大なことを予告すると大げさになります.
あまりに安全策をとって嵐にびくびくすると,地を這うことになります.
一つのことに驚く程変化を付けようとして,
海豚を森に書き加え,流れに猪を書き加えることになります.
もし技術がなければ,瑕瑾を逃れることは失敗に通じてしまいます.
アエミリウス学校*1の周りにいる優れた鍛冶屋は,青銅で爪を
表し,そして柔らかい髪を模倣することはできましょうが,
作品の大詰めでは上手く行かないでしょう.なぜなら,全体の配置のすべを
知らないでしょうから.この私は,何かを作ろうと思うなら,
こんな者にはなりたくありません.それは黒い目と黒い髪で
見栄え良い者であっても,曲がった鼻で生きること以上に嫌なことです.
あなた方は,書いているあなた方の力に見合った
テーマを選びなさい.そして,長い間,自分の肩は何を背負うことができ,
何を背負えないかを考えなさい.選ばれたテーマ力量にあった人は,
雄弁も明快な順序も失うことはありません.
順序の長所と魅力は,以下のようなものです(それとも私は間違っているでしょうか?)
今こそ言わねばならぬことを今こそ言い,
多くのことは後回しにし,当分は省いておく,ということです.


*1 ポルピュリオーによると,アエミリウス・レピドゥスという人物の剣闘士養成所のこと.正確な所在位置は不明.



【2012/08/07 10:29】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『詩論』1-23

Humano capiti cervicem pictor equinam
iungere si velit, et varias inducere plumas
undique collatis membris, ut turpiter atrum
desinat in piscem mulier formosa superne,
spectatum admissi risum teneatis, amici?    5
credite, Pisones, isti tabulae fore librum
persimilem cuius, velut aegri somnia, vanae
fingentur species, ut nec pes nec caput uni
reddatur formae. 'pictoribus atque poetis
quidlibet audendi semper fuit aequa potestas.' 10
scimus, et hanc veniam petimusque damusque vicissim;
sed non ut placidis coeant immitia, non ut
serpentes avibus geminentur, tigribus agni.
inceptis gravibus plerumque et magna professis
purpureus, late qui splendeat, unus et alter   15
adsuitur pannus, cum lucus et ara Dianae
et properantis aquae per amoenos ambitus agros,
aut flumen Rhenum aut pluvius describitur arcus.
sed nunc non erat his locus. et fortasse cupressum
scis simulare. quid hoc, si fractis enatat exspes 20
navibus aere dato qui pingitur? amphora coepit
institui; currente rota cur urceus exit?
denique sit quivis, simplex dumtaxat et unum.


人間の頭に,馬の頸をくっつけ,
そして色とりどりの羽を,
様々な獣から集めて来た四肢にまとわせようと画家が欲した結果,
上は美しい女性で始まったものが,陰鬱な魚となって終わったなら,
あなた方が鑑賞を許可された日には,親しき方々よ,笑いをこらえることができましょうか?
疑いなきよう,ピーソー家の方々*1よ,そんな絵画に
実にそっくりなのです,あたかも病人の夢の如く,とりとめない
見かけがでっち上げられて,足も頭も一つ姿となっていないような
本というのは.「画家にも,そうして詩人にも,
何であれ好きなことを敢行する当然の権利が常にあるのだ」
私は知っていますし,その許可を乞いもし,また逆に与えもします.
しかしそうするのは,柔和温厚なものを,陰惨凶暴なものと混じり合わせるためではありません,
蛇を鳥とつがわせたり,虎を羊をつがわせるためではありません.
大抵の場合,荘重で,大きな展開を約束する開始部には,
あたりに広く輝きわたらせようという意図で,紫色の布切れ*2が一つか二つばかり
縫い付けられています.それは,ディアーナの聖林と祭壇と
心地よい野を通ってほとばしる水の流れ,
あるいはライン川や虹が描かれる時です.
しかし,そういう時には,これらの物は必要ないのです.さて,ひょっとすると,糸杉を
あなたはそっくりに描くことがおできになる.ですがそれがどうだと言うのでしょう,もし
砕けた船から命からがら泳ぎ出た人を,報酬をもらって描いているのだとすれば*3?アンポラ*4
作られ始めます.ろくろが回ると,どうしてウルケウス*4が出来上がるのでしょう?
要するに,何であれ,少なくとも単一で,ひとまとまりであるべきなのです.


*1 この人物たちの特定は難しいが,L. カルプルニウス・ピーソとその息子たちというのが有力.詳しくは Rudd (1989): pp.19-21参照.
*2 高級な生地でつけられる衣服のふち飾りであるsegmentumを指す.
*3 古注によると,糸杉ばかり上手に描ける無能な画家が,ある時,難破した船から逃れた水夫に,その様子を描くように頼まれた時に,糸杉を加えてはいかがかと尋ねた故事があるとのこと.
*4 アンポラは先の尖った,取っ手の二つついた巨大な瓶.ウルケウスは底の平たい丈の短い瓶.



【2012/08/07 00:02】 Horatius De arte poetica | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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『詩論』参考文献

 とりあえずすることもないので,『詩論』でもやってみます.

 定番の注釈書となると:

C. O. Brink. Horace on Poetry: The 'Ars Poetica'. Cambridge: Cambridge U.P., 1971. Paperback. 2011.

 和訳としては,最新版はおそらく故岡道男先生のそれでしょう.ワイド版も最近登場.

松本仁助 岡道男 訳『アリストテレース 詩学・ホラーティウス 詩論』岩波文庫.東京:岩波書店,1997.ワイド版岩波文庫.2012.


 久保正彰先生の翻訳もあったような気がしますが,気のせいだったでしょうか.
 あとは全てこちらと重なります.


【2012/08/06 19:17】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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Tyrtarion ラテン詩合唱団

YouTubeにもラテン語朗読などは色々ありますが,こちらはTyrtarionというラテン詩合唱団.
(n様提供情報です.久しぶりにお世話になります)
カトゥッルスやホラーティウスなどの詩に伴奏をつけて合唱で演奏しています.発音は古典的発音でやってくれています.

母体はイタリアの学校のようですね.HPもありました.

  http://www.vivariumnovum.net/tyrtarion.htm

ラテン語ウィキペディアにも記事がありました.こちらからも色々演奏が聞けます.

  http://la.wikipedia.org/wiki/Tyrtarion


とりあえず4つだけ動画を貼付けておきます.Read more 以下で.

[READ MORE...]
【2012/08/04 12:12】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(1) | 記事修正

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未だに放射性ヨウ素検出?

 半減期が8日程度なので,相当大量に出たとしても,1年後には完全にと言っていい程なくなっているはずの放射性ヨウ素が,下水処理場で,未だに時折検出されているようです.まだフレッシュに放射性物質が作られている,つまり福島第一原発かどこかで,臨界状態が時々起こっているということのようです.処理場近くの空間線量も,0.1μSv/h を越えていることもありますね.


 埼玉県日高市では,7月になって突然放射性ヨウ素が検出されているということがよくわかります.しかも,セシウムなどより何倍も多いぐらい.




【2012/08/04 11:01】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』完訳!

 なんとかホラーティウス『書簡集』を全て翻訳しました.まだまだ間違いも多いので,今後もぼちぼち訳の点検などをやって行く予定ですが,とりあえず一通り終わりです.
 あとは『詩論』でホラーティウス全訳完成ですが,500行弱あるので,ちょっと一休みしてからになるでしょうか.夏休み中にできればいいですが,ちょっと厳しいかも.というか既に最初の50行ほどやっているのですが,なんだか書簡集の2巻よりも難しい感じですね.そんなにハイスピードではできなそうです.



【2012/08/04 03:59】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』2巻2歌205-216 (完結)

'non es avarus: abi. quid? cetera iam simul isto 205
cum vitio fugere? caret tibi pectus inani
ambitione? caret mortis formidine et ira?
somnia, terrores magicos, miracula, sagas,
nocturnos lemures portentaque Thessala rides?
natales grate numeras? ignoscis amicis?   210
lenior et melior fis accedente senecta?
quid te exempta levat spinis de pluribus una?
vivere si recte nescis, decede peritis.
lusisti satis, edisci satis atque bibisti:
tempus abire tibi est, ne potum largius aequo 215
rideat et pulset lasciva decentius aetas.'

「お前は貪欲ではないと.よろしい.ではどうか?今,お前のその
悪徳と同時に,他の悪徳も逃げ去ったのか?お前の胸は,虚しい
野心はなくなっているか?死の恐怖と怒りはなくなっているか?
夢,魔術の恐怖,奇跡,魔女ども,
夜の悪霊ども,テッサリア*1の怪物を,お前は笑い飛ばせるか?
誕生日を感謝とともに数えられるか?友人たちを赦せるか?
老年が近づくほどに,より穏やかに,より善良になれるか?
多くの刺の中から,一つを抜いたところで,どうしてお前に気休めとなろう?
もしお前が正しく生きることを知らねば,経験者たちに譲るがよい.
十分お前は遊び,十分飲み食いした.
普通以上にたっぷり飲んだくれたお前が,やんちゃをするほうが似合う世代に
笑い者にされ,打擲されずに済むように,お前の去るべき時が来たのだ」


*1 地図CcDc.魔術で有名であった.



【2012/08/04 03:32】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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なでしこブラジルに勝利!

 やっぱりなでしこJAPANやってくれました.しかも2-0!強豪ブラジル相手に一点も入れさせず勝利とはすごいです.この調子で金を取って帰って来てほしいですね.


【2012/08/04 02:54】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』2巻2歌180-204

'gemmas, marmor, ebur, Tyrrhena sigilla, tabellas, 180
argentum, vestes Gaetulo murice tinctas
sunt qui non habeant, est qui non curat habere.
cur alter fratrum cessare et ludere et ungui
praeferat Herodis palmetis pinguibus, alter
dives et importunus ad umbram lucis ab ortu  185
silvestrem flammis et ferro mitiget agrum,
scit Genius, natale comes qui temperat astrum,
naturae deus humanae, mortalis in unum
quodque caput, voltu mutabilis, albus et ater.
utar et ex modico, quantum res poscet, acervo 190
tollam nec metuam, quid de me iudicet heres,
quod non plura datis invenerit: et tamen idem
scire volam, quantum simplex hilarisque nepoti
discrepet et quantum discordet parcus avaro.
distat enim, spargas tua prodigus an neque sumptum
invitus facias neque plura parare labores,    196
ac potius, puer ut festis quinquatribus olim,
exiguo gratoque fruaris tempore raptim.
pauperies immunda modo ut procul absit: ego utrum
nave ferar magna an parva, ferar unus et idem. 200
non agimur tumidis velis aquilone secundo:
non tamen adversis ducimus austris,
viribus, ingenio, specie, virtute, loco, re
extremi primorum, extremis usque priores.

「宝石,大理石,象牙,エトルリアの彫像,絵画,
銀器,アフリカ産の紫で染められた衣服を
持たないような人々,持つことを欲せぬ人がいる.
どうして兄弟の一方は怠け,遊び,香油を塗ることを
ヘロデ王の豊かなナツメヤシ以上に好み*1,一方は
裕福ながら無闇に日の出から日没まで
炎と鉄で森の畑を拓いているのか,ということは,
星を司る生まれついての伴侶であり,
人間の性の神であり,一人一人の中にある
死すべき存在で,顔のよく変わり,喜怒哀楽を表すゲニウス*2が知っている.
私は,必要とされる分だけ取り,そして用いるだろう,
そして,与えたそれ以上のものが見つからないという理由で,
自分について相続人がどう判断するかを,恐れはすまい.しかし,その私は
知りたいものだ,素朴で快活な者が,浪費家と
異なり,そしてどれほど節約する者が,貪欲な者と異なるかを.
なぜなら,お前が放蕩して自分の物をばらまくのか,それとも嫌々支出する
こともなく,またより多くの物を持とうと苦労することもなく,
そうしてむしろ,かつて子供の頃,五日祭*3の時にそうしたように,
短く楽しい時を急いで享受するのかでは,大きな違いがあるのだ.
汚らわしい困窮が,遠くにありさえすればよい!私の方は,
大船に乗ろうとも,小舟に乗ろうとも,一人の同じ私である.
順風の北風に膨らむ帆にて,私は運ばれてはいない.
しかしながら,逆風の南風とともに,人生を過ごしているわけでもなく,
力,才能,容姿,美徳,地位,財産の点で,
私は上位者群では最下位,下位者群では常に先行しているのだ.


*1 聖書に登場するヘロデ王.広大なナツメヤシの森を持っていた.
*2 個人の生まれついての守護神.
*3 ミネルワ女神の祭日で,3月19日(すなわち3月のIdus からその日も含めて数えて5日目)に祝われる.学童の祭りで,プレゼントなどがもらえた.



【2012/08/04 02:10】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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