FC2ブログ
ラテン語徒然  ラテン語の翻訳・覚え書きなど
log-in  ラテン語入門 作家別インデックス 文法資料 リンク集 ギリシア語フォントについて アーカイブ他
歴史地図 伊北 伊南 希北 希南 小ア PHI Perseus POxy KVK CiNii L-S Georges Gildersleeve 省略記号 Text Archive BMCR DCC BMCR 日本西洋古典学会

ホラーティウス『談話集』2巻4歌12-34

longa quibus facies ovis erit, illa memento
ut suci melioris et ut magis alba rotundis,
ponere; namque marem cohibent callosa vitellum.
cole suburbano qui siccis crevit in agris    15
dulcior; irriguo mihi est elutius horto.
si vespertinus subito te oppresserit hospes,
ne gallina malum responset dura palato,
doctus eris vivam mixto mersare Falerno;
hoc teneram faciet. pratensibus optima fungis 20
natura est; aliis male creditur. ille salubris
aestates peraget, qui nigris prandia moris
finiet, ante gravem quae legerit arbore solem.
Aufidius forti miscebat mella Falerno,
mendose, quoniam vacuis committere venis  25
nil nisi lene decet; leni praecordia mulso
prolueris melius. si dura morabitur alvus,
mitulus et viles pellent obstantia conchae
et lepathi brevis herba, sed albo non sine Coo.
lubrica nascentes implent conchylia lunae;  30
sed non omne mare est generosae fertile testae;
murice Baiano melior Lucrina peloris,
ostrea Circeiis, Miseno oriuntur echini,
pectinibus patulis iactat se molle Tarentum.


13 alma Bentley : alma codd.


(カ) 卵は,見た目の長いものが,
丸いものより旨い汁があり,より肥えている*1ので,それを
出すのを忘れずに.なぜなら,それらは殻が固く,雄の黄身を持っているのだ.
郊外で育ったキャベツよりも,乾いた畑で育ったほうが
甘い.よく灌漑された菜園のものは,私見ではより味けないものだ.
夕方突然客が押し掛けて来た場合に,
雌鶏が固くて口に合わないことのないように,
生きた雌鶏を割ったファレルヌム葡萄酒につけておくのが賢いやりかただろう.
こうすることが,雌鶏を柔らかくするだろう.牧場の茸は
最上の品質がある.他のものは,信用し難い.健康に
夏を過ごす事ができるであろう,陽が強くなる前に樹から摘んだ
黒い野苺で昼食*2を終えるような者は.
アウフィディウス*3は,強い葡萄酒に蜂蜜を混ぜていたが,
間違っている.というのも,血管が空の時には,
軽い葡萄酒以外はふさわしくない.薄い蜂蜜酒で胃を
先に浸すほうがよい.もし腹が重く滞っているなら,
ムール貝とありきたりの貝,スイバ*4の短い草は,
つかえを追い出すだろう,だが必ずコースの白葡萄酒*5と一緒にだ.
新月は滑らかな貝の身を満たす.
しかし,全ての海が,上質の貝類で豊かというわけではない.
バイアエの紫貝よりも,ルクリーヌスのカラス貝のほうがよく,
牡蠣はキルケーイー,ウニはミーセーヌムの名産だ.
穏やかなタレントゥムは,大きいホタテ貝で自慢する*6


*1 Bentleyの憶測によるalmaで訳す.写本の alba の場合,「より白い」となる.
*2 ローマ人は,基本的に朝食(ientaculum)と夕食(cena)をとる.その間,昼食(prandium)を取る.
*3 不詳.
*4 wikipedia参照.http://ja.wikipedia.org/wiki/スイバ
*5 現代の白ワインとは異なる.海水が混ぜられた(!)葡萄酒で,leucocoumと呼ばれる.
*6 地名については地図参照.キルケーイーは地図上Ca,タレントゥムはGb,バイアエ,ルクリーヌス,ミーセーヌムはGbと右下"Vicinity of Naples"を参照.






【2012/06/18 17:22】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ギリシア語文法書の翻訳


体系的なギリシア語文法書の翻訳がでていました.しかも無料でDLできます.下のリンクをクリックして,CiNii 本文リンク1 と書かれているところを右クリックでpdfファイルをDLできます.ブラウザで開くと重すぎて落ちる事もあるかもしれません.

水崎 博明『Translation of Grammaire de GREC ANCIENNE written by Alessandra Lukinovich & Madeleine Rousset』福岡大学研究部論集. A, 人文科学編 10(2), pp.17-392, 2010.09.

訳者の言によると,「福岡西洋古典愛好会」での翻訳とのことです.

翻訳のもとになったものは:

Alessandra Lukinovich; Madeleine Rousset. Grammaire de grec ancien. 3e éd. rev. et augm. Genève: Georg, 2002

フランス語で書かれたギリシャ語文法書で,僕自身も聞いた事のないものです.Nacsis Webcatでも,日本中の大学でたった3件しかヒットしません.初版は1986年で,1996年に大幅に改訂,さらに2002年で改訂補遺とのことですから,現時点でおそらく一番新しく,しかも改訂が重ねられている文法書ということになるでしょう.一番新しい版は2008年となっていますが,第2刷のようで,この翻訳は2002年版を使っているようなので,現時点で一番新しいバージョンの翻訳ということになります.KVKなどを使って検索してみたら,イタリア語版などもあるようです.

 ざっと見たところ,基本的には入門後の学生が,さらに体系的に文法を学習して,ギリシア語原典に対応できる能力を身につけるためのものということになるようです.例文などはアッティカ方言中心ですね.学習用の付録なども,ふんだんについていて,索引もちゃんとしているようです.それらも全て翻訳されているのは大変ありがたいことです.

 しかしなんといっても,こういう語学学習にPDFの文法書があるというのは非常に大きいですね.写真のPDFではなくて,原稿のPDFですから,AdobeのAcrobat Pro などを使わなくても,コピーペーストを利用したり,適宜注釈をいれたりと,自己流に改造した版を作ることもできますから,学習者には大変便利といえるでしょう.

 ただ,こちらの翻訳も,おそらく改訂は数回は必要と思います.文法用語など,たとえば「斜希求法」などは,「間接希求法」とかがわかりやすいかなとも思いますね.ちょっと見た感じ,まだ誤植などがちらほらあって,おそらくギリシア文字のアクセントなども確認が必要かもしれません.それらに注意しながら,読むというのも,また勉強になると思うので,決してこの翻訳の価値をそこなわないと思います.



【2012/06/16 13:07】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『談話集』2巻4歌1-11

Hor. unde et quo Catius? Cat. non est mihi tempus aventi
ponere signa novis praeceptis, qualia vincant
Pythagoran Anytique reum doctumque Platona.
Hor. peccatum fateor, cum te sic tempore laevo
interpellarim; sed des veniam bonus, oro.   5
quod si interciderit tibi nunc aliquid, repetes mox,
sive est naturae hoc sive artis, mirus utroque.
Cat. quin id erat curae, quo pacto cuncta tenerem,
utpote res tenuis, tenui sermone peractas.
Hor. ede hominis nomen, simul et Romanus an hospes. 10
Cat. ipsa memor praecepta canam, celabitur auctor.

(ホラーティウス) 何処から何処へ行くのですか,カティウスよ.(カ) 私には時間がないのだ,
新しい教説を暗記したいのでね.それは
ピーュタゴラースや,アニュトスの被告*1,博識のプラトーンにも勝るようなものだよ.
(ホ) あなたをこのように都合の悪い時に邪魔をしてしまい,
失礼をしました.ですが,快くお許し下さるようお願いします.
しかしもしあなたから今何かこぼれおちても,すぐにあなたは思い出すでしょう,
それがあなたの生まれつきであれ,技術であれ,あなたはどちらもすばらしいのですから.
(カ) それどころか,私が苦心していたのは,丸々全体をどうやって覚えるかなのだ,
なんとなればそれは精緻なもので,精緻な語り口で語り通されたのだから.
(ホ) その人の名をおっしゃってください,ローマ人かよその人かも一緒に.
(カ) その教説そのものを,私は暗唱しよう,作者は隠しておこう.


*1 ソークラテースのこと.




【2012/06/16 02:43】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


Cambridge Library Collection

Cambridge大学出版局で,重要な西洋古典関係の著作や校訂本などのリプリント版を,比較的安価に販売しているようです.

  Cambridge Library Collection - Classics

なんとHousmanのManiliusの校訂本も出ています.5巻組ですが,1巻なんと$19.99で買えてしまいます.円高の今なら8000円ぐらいで全巻揃うわけですね.Jebbのソポクレース対訳注釈セット,Bristol Classical Pressにもありましたが,こちらのシリーズにも入っているようです.もっとも,版権切れのものですから, Internet Archiveなどにある場合もあります.Housman の Manilius も,第1巻を除いて全部 Internet Archiveに入っていました(第1巻もあることになっていますが,違う校訂本でした).
  




【2012/06/16 00:15】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『談話集』2巻2歌112-136 (完結)

quo magis his credas, puer hunc ego parvus Ofellum
integris opibus novi non latius usum
quam nunc accisis. videas metato in agello
cum pecore et gnatis fortem mercede colonum, 115
'non ego' narrantem, 'temere edi luce profesta
quicquam praeter olus fumosae cum pede pernae.
ac mihi seu longum post tempus venerat hospes,
sive operum vacuo gratus conviva per imbrem
vicinus, bene erat non piscibus urbe petitis,   120
sed pullo atque haedo; tum pensilis uva secundas
et nux ornabat mensas cum duplice ficu.
post hoc ludus erat culpa potare magistra,
ac venerata Ceres, ita culmo surgeret alto,
explicuit vino contractae seria frontis.      125
saeviat atque novos moveat Fortuna tumultus,
quantum hinc imminuet? quanto aut ego parcius aut vos,
o pueri, nituistis, ut huc novus incola venit?
nam propriae telluris erum natura neque illum
nec me nec quemquam statuit: nos expulit ille, 130
illum aut nequities aut vafri inscitia iuris,
postremum expellet certe vivacior heres.
nunc ager Umbreni sub nomine, nuper Ofelli
dictus, erit nulli proprius, sed cedet in usum
nunc mihi, nunc alii. quocirca vivite fortes,    135
fortiaque adversis opponite pectora rebus.'

(ホラーティウス)これらを君がもっと信じられるように言うが,私が小さい時,このオフェッルスが
まだ財産がちゃんとあった時でも,財産が削られた今よりも
その財産を広く使っていなかったのを,この私が覚えている.君は刈り取られた畑で
家畜と子供と一緒に,雇われの逞しい小作人の彼が語るのを見るだろう.
「私はといえば,野菜と薫製の豚ハムの腿以外のものは
平日にやたらに食べたりなど決してしなかった,
そして,久しぶりに客が私のところにやって来たり,
雨のせいで仕事がなくて,隣人が楽しい宴客になりに来た時には,
魚を街で求めたりせずに,
鶏と仔山羊で楽しく過ごした.そのときは干し葡萄と
胡桃が,割った干し無花果とともにデザートの食卓を飾った.
この後で,恥を知る気持ちを宴の主として*1
そしてケレース女神が,高い穂先の上にあらわれますように,と崇められ,
葡萄酒に酔って,眉間によったしかめっ面がほどかれた.
運命女神が荒れ狂い,新しい内乱を引き起こしそうと,
ここからどれほどのものを取り去るというのか?私や,子供らよ,お前達が,
ここに新しい住人が来たてから,どれほど血色が悪くなったろうか.
なぜならば,自然は,彼らも私もいかなる者も,
大地の主人と決めてわがものにさせはしないのだ.我々をやつは追い出したが,
彼らを無能さと細かい法律の無知が,
最後にはもっと逞しい相続人がきっと追い払うだろう.
今はウンブレーヌスの名前で,最近まではオフェッルスの名前で
呼ばれていた畑は,誰の所有物でもなく,時に私が,
時に別な者に,使うに任されているのだ.それゆえ,お前達は逞しく生き,
そして逆境に力強く胸をあわせるがよい」

*1 ギリシア式の宴では,宴の主 magister (arbiter, rex) bibendi を選んで花冠をかぶせ宴を仕切らせ,飲んだあげくに羽目を外しすぎた宴客にペナルティー(酒を飲み干させたり,杯を取り上げるなど)を課した.ここでは宴の主を置かず,自分たち自身のモラル感覚で節度をもって宴をしたということが語られている.




【2012/06/15 18:14】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


A Lexicon of the Homeric Dialect

Richard John Cunliffe. A Lexicon of the Homeric Dialect. Expanded Edition. Norman: University of Oklahoma Press, 2012 (forthcoming).


A Lexicon of the Homeric DialectA Lexicon of the Homeric Dialect
(2012/09/07)
Richard J. Cunliffe

商品詳細を見る


もう100年近く前に出版されたCunliffeのホメーロス辞典は,コンパクトで使い勝手がよい良作です(Georg AutenriethのA Homeric DictionaryperseusWebarchiveにもありますが,Cunliffeのほうがいいと思います).近々と(いっても9月らしいですが)これにHomeric Proper and Place Namesという42ページのホメーロス固有名詞と地名の辞典がついた拡張版がでるようです.現在でも旧版はAmazonで1000円程度で入手できますが,待てるなら9月ぐらいまで待ってから上の新版を買った方がいいでしょう.

同じ著者は,シェイクスピア辞典も出されていたようです.こちらはWebarchiveに入っています.
  
Richard John Cunliffe. A new Shakespearean dictionary. London: Gresham, 1922. (Webarchive)





【2012/06/15 17:18】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ローマ人の名言88

 たまたま立ち寄った本屋で現物を見てしまったので,これは買うべしという天命かと思って買いました.

山下 太郎『ローマ人の名言88』東京:牧野出版,2012.


ローマ人の名言88ローマ人の名言88
(2012/01)
山下 太郎

商品詳細を見る


格言集は色々でていますが,この本で集めているものは,さすが西洋古典学研究者が書いただけあって,結構独特なものだったりします.面白いところでは,ホラーティウスの"Nil admirari" (Hor.Epist.1.6.1) 「何ごとにも心ぶれないこと」(p.38)や,difficile est longum subito deponere amorem (Catul.76.13) 「長く続いた愛をただちに捨てることは困難である」(p.138)など,なかなか普通の格言集だとあげないかなと思います.

欲を言えば,もう少しラテン語のほうを大きい活字で印刷してほしかったことと,出典を作品の中の箇所まで示してもらいたかったことですが,このシリーズの普通の読者層だとそこまで必要としないのかもしれないですね.

諺自体は,僕はそんなに関心があるわけではないのですが,一つだけラテン語を勉強し始めたときから気になっている諺があります.

  Mors certa, hora incerta.   死は確実,時は不確実 (p.48)

これの出典が,「ローマ時代の格言」(p.48)となっているのですが,少なくとも,ラテン語の古典作品には,この言葉は見当たらないですね.田中秀央・落合太郎『ギリシア・ラテン引用語辭典』(新増補版, 1963)にも乗っていないですし,まあそこまで本気で探したことがないということもあるのですが,いまだわからないのですね.今のところ,この諺が,下のリンク先の写真(wikipediaから)のライプツィヒの新市庁舎の時計台にある言葉だというのがわかる程度なのです.もし何かご存知の方がいらっしゃったら,ご教示下さるとありがたいです.

http://de.wikipedia.org/w/index.php?title=Datei:Rathausuhr_Detail.jpg&filetimestamp=20110523155405




【2012/06/15 05:14】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『談話集』2巻2歌89-111

rancidum aprum antiqui laudabant, non quia nasus
illis nullus erat, sed, credo, hac mente, quod hospes 90
tardius adveniens vitiatum commodius quam
integrum edax dominus consumeret. hos utinam inter
heroas natum tellus me prima tulisset!
das aliquid famae, quae carmine gratior aurem
occupat humanam? grandes rhombi patinaeque  95
grande ferunt una cum damno dedecus; adde
iratum patruum, vicinos, te tibi iniquum
et frustra mortis cupidum, cum derit egenti
as, laquei pretium. 'Iure,' inquit, 'Transius istis
iurgatur verbis; ego vectigalia magna       100
divitiasque habeo tribus amplas regibus.' ergo
quod superat non est melius quo insumere possis?
cur eget indignus quisquam te divite? quare
templa ruunt antiqua deum? cur, improbe, carae
non aliquid patriae tanto emetiris acervo?     105
uni nimirum recte tibi semper erunt res,
o magnus posthac inimicis risus! uterne
ad casus dubios fidet sibi certius, hic qui
pluribus adsuerit mentem corpusque superbum,
an qui contentus parvo metuensque futuri     110
in pace, ut sapiens, aptarit idonea bello?

臭くなった猪を古の人々は讃えたものだ,それは彼らの
鼻が利かなかったからではなく,思うに,食いしん坊の
主人が傷んでいない肉を食べ尽くしてしまうより,遅れてやってくる客が,
傷んだ肉を食べられるほうが都合よいと思ってのことである.願わくば,これらの
英雄達の間に,原初の大地が私を生みもたらしてくれたならよかったのに!
君は名声になにがしか重きを置いているのか?それは歌よりも喜ばしく
人の耳を奪うものであるが.大きなオヒョウや深鉢は
損害と一緒に大きな不名誉ももたらすのだ.加えて
腹を立てる叔父,隣人たち,
困窮して首つり縄代の一アスも事欠いた時に,君自身に敵対し,
虚しく死を望む君を考慮するがいい.「もっともです」あるものは言う.
「トラーンシウス*1があなたの言葉で叱責されるのは.私はといえば,大きい収入と
財産を私はもっています,王様三人分に匹敵するほどのがね」それでは,
残った金を,よりよく君が使える方法はないのかね?
なぜある者は,君が金持ちでいる一方で,不当にも困窮しているのか?どうして
古の神々の神殿は毀れ落ちているのか?なぜ,不埒な者よ,君は愛しい
祖国に,それほどの財の山からなにがしかを分与しないのか?
君一人に,あまりに当然にいつも財産があるのだな,
おお,敵対者の大きな笑い種になるやつよ!どちらの者が
先の見えぬ事態に,より確実に自分を信じられるかね?
より多くの物に気持ちも体も慣れさせて傲慢にしてしまう者かね,
それとも,少しの物に満足して,平時にも先々を恐れ,
賢く戦にふさわしい物を装備しておく者かね?

*1 この名前で特定の人物が指されているわけではない.



【2012/06/15 03:50】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ヒュパティア@Suda

そういえばSudaはオンラインになっていたことを思い出して,ヒュパティアについて探してみたら,ちゃんと載っていました.今はSuda On Lineも殆ど完成した状態で,しかも各記事英訳付きです.存分に活用すべきですね.

  Ὑπατία

かなり長いので,全訳はしませんが,身の毛もよだつ死に様だけ…….

αὕτη διεσπάσθη παρὰ τῶν  ̓Αλεξανδρέων, καὶ τὸ σῶμα αὐτῆς ἐνυβρισθὲν καθ᾽ ὅλην τὴν πόλιν διεσπάρη.
彼女はアレクサンドリアの人々によってバラバラに引き裂かれ,そして暴行された彼女の肉体は,全市にばらまかれた.

しかしこんなことができる人っているのだろうかと思ったら,そういえば大阪で関係ない人を無惨に刺し殺したような人などもいましたね……


【2012/06/13 22:32】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『談話集』2巻2歌70-88

accipe nunc victus tenuis quae quantaque secum 70
adferat. In primis valeas bene: nam variae res
ut noceant homini credas, memor illius escae
quae simplex olim tibi sederit; at simul assis
miscueris elixa, simul conchylia turdis,
dulcia se in bilem vertent, stomachoque tumultum 75
lenta feret pituita. vides ut pallidus omnis
cena desurgat dubia? quin corpus onustum
hesternis vitiis animum quoque praegravat una,
atque affigit humo divinae particulam aurae.
alter, ubi dicto citius curata sopori        80
membra dedit, vegetus praescripta ad munia surgit.
hic tamen ad melius poterit transcurrere quondam,
sive diem festum rediens advexerit annus,
seu recreare volet tenuatum corpus, ubique
accedent anni et tractari mollius aetas      85
imbecilla volet; tibi quidnam accedet ad istam,
quam puer et validus praesumis, mollitiem, seu
dura valetudo inciderit seu tarda senectus?

今度は,質素な食事が,何をどれほどそれとともに
もたらすか,聞きたまえ.何より健康になろう.というのも,雑多な物が
いかに人を害するか,君は信じられよう,もし君自身にかつて
落ち着いた,簡素な食べ物のことを思い出すなら.だが,ひとたび焼きものに
煮ものを,ひとたびツグミに牡蠣を混ぜたなら,
美味なるものは胆汁に姿を変え,胃袋の中で
粘つく粘液となって騒動をもたらそう.君はわからないかね?皆が
選ぶに迷う宴から立ち上がる時,いかに青ざめているのかが?それどころか,
昨日の不養生で体も心も一緒に重たくして,
そして神的な風の分子を大地に固着させているのだ.
だが一方は,言うより早く,食事を終えた体を
眠りに委ねたら,すぐに元気に課された仕事に向かって起き上がる.
しかしながら,この者も,いつかはより楽なほうにやり方を変えることができるだろう.
それは年が巡って祭日を持って来た時や,
やつれた体を休めたいと思う時,そして
年を重ねて,弱い老齢となり,より安楽に
扱われたくなった時にだ.君はといえば,君が若者で元気なうちから先取りしてしまった
柔弱さの上に,一体何が加えられるだろうか,もし
ひどい健康状態や,鈍重な老年が降り掛かった時に?


【2012/06/13 19:41】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


イギリスの小学校では6カ国語が全部必修?

ネット上で,「イギリスの小学校では6カ国語が全部必修になる」というすごいニュースが飛び交ってますが…

「小学校6カ国語必修」のソース(?)はこちら.

英政府の当計画では、2014年から中国語(標準語)、ラテン語、ギリシア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語を含む6つの外国語が小学校の必修科目になる。
http://news.livedoor.com/article/detail/6647136/

しかし,いくらなんでも,これ本当なのかなと思って,イギリスの名門新聞ガーディアン紙を見てみたところ……

All children are to be taught a foreign language – which could include Mandarin, Latin or Greek – from the age of seven under reforms to the national curriculum being unveiled by the education secretary, Michael Gove.
マイケル・ゴーヴ教育相よって明らかにされつつある国の教育カリキュラムの改革の元では,全ての子供は,7歳から,外国語を一つ教えられなければならない——それは,中国語またはラテン語またはギリシャ語を含みうるとのこと
http://www.guardian.co.uk/education/2012/jun/10/foreign-languages-compulsory-aged-7

というわけで,この新聞記事によると,一つ必修ということだったようです.少し安心しました.しかし小学校からギリシア語・ラテン語が教えられるというのは,19世紀ぐらいならあり得た話ですから(7歳からだったかどうかは知りませんが),ある意味昔にもどったということになるでしょうか.
 まあイギリスの記事をみると,7歳から外国語かよ,というショックもあるのかもしれませんが,結構この決定が大騒ぎになっているようです.しかし,案外イギリスの学校教育というのは,英語が母語であるゆえの問題もあるのかもしれませんね.現在英語が世界的にみて,最初に学ばれる外国語であるという情勢の中で,最初から英語が母語の英米オーストラリアなどは,かえって外国語を学ぶ動機付けや機会が乏しくて,そのせいで何らかの教育的なマイナス面があったのかもしれません.そうしたことの反省として,あえて強制的に外国語を通しての知的トレーニングのチャンスを作る方針を打ち出したということなのかもしれませんね.
 ただ,7歳からというのは,僕の感覚からすると,少し早すぎという気もします.母語話者同様に外国語に接する時間を与えるというのなら,それでもいいと思いますが,ある程度限られた時間割の中でやるとなると,せめて10歳以降になってからかなあと思います.
 ちなみに,日本の学校では,中学高校と6年かけてもあまり英語ができるようにならない,といいますが,まあこれは教科書がすごく使いにくいというのが一番大きな原因でしょうね.これは,教科書会社が,おそらく受験産業促進のため,教科書を独習できないように作ってあるせいなのです.考えてみれば,殆ど解説も訳もついてない英語文法の教科書でどう勉強しろというのでしょう.その点では,ラテン語の文法書のほうがよほど親切です.このわかりにくさのせいで,それぞれ思い思いに教科書ガイドや参考書を買ったり,塾に通ったりするわけですが,これが教科書会社の意図するところなのですね.


【2012/06/13 19:34】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


パッラダース作 ヒュパティア讃 A.P. 9. 400

      ΠΑΛΛΑΔΑ
ὅταν βλέπω σε, προσκυνῶ, καὶ τοὺς λόγους,
τῆς παρθένου τὸν οἶκον ἀστρῷον βλέπων·
εἰς οὐρανὸν γάρ ἐστι σοῦ τὰ πράγματα,
Ὑπατία σεμνή, τῶν λόγων εὐμορφία,
ἄχραντον ἄστρον τῆς σοφῆς παιδεύσεως.

      パッラダース作*1
私があなたを見る度に,私はあなたを敬う,そしてその言葉も敬う.
乙女の星々の家を目にする時に.
なぜなら,天球があなたの本分なのだ,
聖なるヒュパティアよ,言論の美,
知的教育の穢れなき星よ.


*1 紀元後4世紀後半,アレクサンドリアの詩人で,エピグラムを残している.ヒュパティアとの関係は不明.



【2012/06/13 04:22】 CARMINA GRAECA | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


Amores 注釈

 今のところこれが一番喉から手が出る程欲しい本でしょうか.

Maureen B. Ryan, Caroline A. Perkins Ed. Ovid's Amores, Book One: A Commentary. Oklahoma Series in Classical Culture. Norman: University of Oklahoma Press, 2011.



Ovid's Amores, Book One: A Commentary (Oklahoma Series in Classical Culture)Ovid's Amores, Book One: A Commentary (Oklahoma Series in Classical Culture)
(2011/01/15)
Maureen B. Ryan、Caroline A. Perkins 他

商品詳細を見る


いつも通りラテン語語彙は全部ついている模様(つまり寝ながら読める).しかしJ. C. McKeownのOvid Amores: Text, Prolegomena and Commentary in Four Volumes (Liverpool:Francis Cairns, 1987-)が,第1巻の出版から四半世紀ほど経って,近々第4巻(Amores 3 の注釈)の出版で完結する様子なので,こちらの方が優先順位高いかもしれないですね.




【2012/06/13 02:57】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『談話集』2巻2歌53-69

sordidus a tenui victu distabit, Ofello
iudice; nam frustra vitium vitaveris illud,
si te alio pravum detorseris. Avidienus  55
cui Canis ex vero ductum cognomen adhaeret,
quinquennis oleas est et silvestria corna,
ac nisi mutatum parcit defundere vinum, et
cuius odorem olei nequeas perferre, licebit
ille repotia, natalis, aliosve dierum    60
festos albatus celebret, cornu ipse bilibri
caulibus instillat, veteris non parcus aceti.
quali igitur victu sapiens utetur, et horum
utrum imitabitur? hac urget lupus, hac canis, aiunt.
Mundus erit, qua non offendat sordibus, atque 65
in neutram partem cultus miser. hic neque servis,
Albuci senis exemplo, dum munia didit,
saevus erit, nec sic ut simplex Naevius unctam
convivis praebebit aquam; vitium hoc quoque magnum.


汚い生き方は,質素な生き方からは,オフェッルスの判断では
かけ離れたものとなろう.なぜなら,もし別の方向へ自分を枉げて
しまうなら,その悪徳を避けても意味がなかろう.アーウィディエーヌスには,
真実から来たところの,犬儒という添え名がついているが,
5年もののオリーブと森の西洋サンシュユ*1を食い,
その上,すえたものでなければ,葡萄酒を注ぐのもケチり,そして,
臭いが耐えられないようなオリーブ油を,
結婚の後祝いの宴*2や誕生日やその他の祭日を
当人が白い晴れ着を来て祝う時でも,自ら2リブラ*3の角の油差しから
キャベツに垂らす.古い酢ならば彼はケチりもしないのだが.
それでは,賢人はどのような生き方を取るだろうか,そして,これら
のうち,どちらに倣うべきか.諺にあるように,こちらでは狼が迫り,こちらでは犬が迫るのだ.
人は上品だといえるだろう,そうすることで,汚物で気分を害することもなく,そして
どちらの方向にも生き様惨めとならなければ.こうした者は,奴隷達に
仕事を与える時に,アルブキウス老人の例のように,
厳しくはならないだろう,また,単純なナエウィウスのように,脂の浮いた
手水を宴客に差し出しはしないだろう.これもまた,大きな悪徳なのだ.



*1 http://www.weblio.jp/content/西洋山茱萸参照.森の中から取る食物は,耕作を知る以前の人間の食べ物で,野蛮さや貧しさを表す.
*2 結婚式の後日になって宴が催され,祝われた.
*3 650gぐらい.




【2012/06/13 02:11】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


映画『アレクサンドリア』DVD発売

アレクサンドリアで実在した女性の数学・天文学者で,暴徒に虐殺されて死んだヒュパティア(370-415)を描いた映画が昨年公開されていました.巻物の本が沢山でてくるので,古代の書物のイメージを持つには,なかなかいい映画です.主人公もイメージにぴったりと言う感じですね.ただ,映画が進む毎に,キリスト教信者の頭の固さが目について,クライマックスにいたるまでずっとキリスト教憎しという気持ちで満たされていくきらいはあります.しかし,本当にどういったことが事実としてあったのかは,彼女の研究などと同様,闇の中ということになるようですね.

アレハンドロ・アメナーバル監督『アレクサンドリア』DVD, Blu-ray. 東京:松竹,2012.

公式サイト:http://alexandria.gaga.ne.jp/


アレクサンドリア [DVD]アレクサンドリア [DVD]
(2011/09/09)
レイチェル・ワイズ、マックス・ミンゲラ 他

商品詳細を見る


この映画見た時にちゃんとこの人物のことを調べていなかったのですが,DVDを見直しつつ,ヒュパティアのこともすこし調べてみようかとおもいます.今のところ手近にある資料でヒュパティアと関係あるのはA.P.9.400ぐらいですから,そのうち翻訳してみようかと思います.


【2012/06/12 22:40】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


『ガッリア戦記』と『弁明』注釈

オクラホマ大学出版局から出ている,カエサル『ガッリア戦記』プラトーン『ソークラテースの弁明』エウリーピデース『エーレクトラー』の初学者向き語彙付き注釈書.

Herbert W. Benario. Caesar's Gallic War: A Commentary. Oklahoma Series in Classical Culture. Norman: University of Oklahoma Press, 2012.

Caesar's Gallic War: A Commentary (Oklahoma Series in Classical Culture)Caesar's Gallic War: A Commentary (Oklahoma Series in Classical Culture)
(2012/03/23)
Herbert W. Benario

商品詳細を見る


Paul Allen Miller, Charles Platter Ed. Plato's Apology of Socrates: A Commentary. Oklahoma Series in Classical Culture. Norman: University of Oklahoma Press, 2010.

Plato's Apology of Socrates: A Commentary (Oklahoma Series in Classical Culture)Plato's Apology of Socrates: A Commentary (Oklahoma Series in Classical Culture)
(2010/01/15)
Paul Allen Miller、Charles Platter 他

商品詳細を見る


H. M. Roisman, C. A. E. Luschnig. Euripides' Electra: A Commentary. Oklahoma Series in Classical Culture. Norman: University of Oklahoma Press, 2011.

Euripides' Electra: A Commentary (Oklahoma Series in Classical Culture)Euripides' Electra: A Commentary (Oklahoma Series in Classical Culture)
(2011/01/15)
H. M. Roisman、C. A. E. Luschnig 他

商品詳細を見る



こちらも復刊されるといいですが…….

田中美知太郎 校註『プラトン:ソクラテスの弁明』岩波ギリシア・ラテン原典叢書.東京:岩波書店,1950.






【2012/06/12 21:24】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『談話集』2巻2歌39-52

'porrectum magno magnum spectare catino
vellem' ait Harpyiis gula digna rapacibus. at vos  40
praesentes, Austri, coquite horum obsonia. quamquam
putet aper rhombusque recens, mala copia quando
aegrum sollicitat stomachum, cum rapula plenus
atque acidas mavolt inulas. necdum omnis abacta
pauperies epulis regum: nam vilibus ovis     45
nigrisque est oleis hodie locus. haud ita pridem
Galloni praeconis erat acipensere mensa
infamis. quid? tunc rhombos minus aequor alebat?
tutus erat rhombus tutoque ciconia nido,
donec vos auctor docuit praetorius. ergo     50
siquis nunc mergos suavis edixerit assos,
parebit pravi docilis Romana iuventus.



「大きな深皿に大きいやつが乗っかっているのを私は見たい
ものだ」と,貪欲なハルピュイア*1にふさわしい喉は言うだろう.だが汝ら
南風よ,ここに来てこいつらのおかずを腐らせよ.たとえ
猪肉とオヒョウは新しいうちから臭っているにせよ,大量の飲食が
胃袋を悩ませ病ませている時には,満腹した者は,小カブや
苦いオオグルマ*2のほうを欲しがるだろう.それに,まだ全ての
貧乏が,王族の宴から追い出されてはいない.なぜなら,安い卵と
黒いオリーブに,今日でも場所があるのだから.さほど以前ではないのだ,
競売人のガッローニウスの宴がチョウザメのせいで
不名誉を被った*3のは.何?その時海はあまりヒラメを養っていなかったか?
ヒラメはちゃんといたし,コウノトリもちゃんと巣の中にいた.
法務官*4が先頭に立って君たちにご教示するまではな.それゆえ,
もし今誰かが焼いた海鳥*5は美味だと告知したなら,
ひねたことをすぐ真似るローマの若者はそれに倣うだろう.


*1 半分女性で半分鳥の化け物.貪欲で,食事を奪い,糞尿でけがす.
*2 苦みがあり,当時は薬として用いられていた.
*3 Publius Galloniusという人物は,ルーキーリウスによって,大きなチョウザメを宴に出して不名誉を被ったと,諷刺されている.チョウザメはこの時は高級魚であったが,しかし,ホラーティウスの時には既に高級魚ではなくなっていた.
*4 Sempronius Rufusという人物で,法務官には立候補したものの,落選.宴にコウノトリを出すことを始めた.
*5 海に潜るカイツブリやアビの類い.肉が少なくまずいという.




【2012/06/12 01:31】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『談話集』2巻2歌23-38

vix tamen eripiam, posito pavone velis quin
hoc potius quam gallina tergere palatum,
corruptus vanis rerum, quia veneat auro     25
rara avis et picta pandat spectacula cauda:
tamquam ad rem attineat quicquam. num vesceris ista,
quam laudas, pluma? cocto num adest honor idem?
carne tamen quamvis distat nil hac magis illa,
imparibus formis deceptum te patet. esto:    30
unde datum sentis, lupus hic Tiberinus an alto
captus hiet, pontesne inter iactatus an amnis
ostia sub Tusci? laudas, insane, trilibrem
mullum, in singula quem minuas pulmenta necesse est.
ducit te species, video: quo pertinet ergo     35
proceros odisse lupos? quia scilicet illis
maiorem natura modum dedit, his breve pondus:
ieiunus raro stomachus volgaria temnit.



しかしながら,孔雀が出された時に,君が鶏よりもこちらでもって
口を喜ばせることを望むのを,私は妨げることはできまい,
物事の虚栄におかされてる君が.そうする理由は,この希少な鳥は
黄金によって買われ,そして尾を広げる様も見事だからだということなのだ.
あたかもそれが何かの役に立つかの如くにね.しかし君はそいつを食べるのか?
君が有り難がるその尾を?料理した孔雀に,同じ栄誉はあるだろうか?
肉のほうは,しかしながら,こちらもあちらも違いは全くないにも関わらず,
明らかに君は,異なる見かけに惑わされているのである.それは措くとしよう.
どこで手に入ったか,君はわかるだろうか,この口を開けているオオカミウオ*3
ティベル産か海で穫れたか,橋と橋*4の間で波にもまれたものか,それとも
ティベルの河口で穫れたものか?愚かな者よ,君は3リブラ*5
ヒメジ*6を有り難がるが,そいつは君は一つ一つの切り身に切り分けなければならないのだ.
思うに,君は見かけに惹かれているのだ.なんとなれば,何と関わりあるのか,
長いオオカミウオを嫌うということが?なぜなら,当然前者には
自然はより大きい分量を与え,後者には小さい目方を与えているのだから.
滅多に餓えたことのない胃袋は,ありふれたものを馬鹿にするのだ.

*3 cf. http://en.wikipedia.org/wiki/Seawolf_(fish)
*4 ファブリーキウス橋とケスティウス橋で,具体的にはティベル河の中州の辺りをさす.地図W.R. Shepherd. Historical Atlas. New York: Henry Holt, 1911: pp. 22-23.参照.We appreciate the courtesy of the University of Texas Libraries.
*5 1リブラは3分の1kg.すなわち,3リブラ=1kg.
*6 英語名 red mullet. cf. http://en.wikipedia.org/wiki/Mullus_surmuletus.あまり大きくならないらしい.



【2012/06/11 23:05】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


再開準備中 『ローマ諷刺詩集』
 ホラーティウスの『談話集』2巻2歌,途中までやって放り出していましたが,続きをやるよりはもう一回仕切り直しで最初からやって行くことにしました.ブログずっと続けられるかどうかはわかりませんが,気力のあるうちに『談話集』は最後まで翻訳したいものです.あとはとりあえず一番使われていると思われるリンク集のほう,リンク修正などしています.翻訳自体も今見直すと間違いが目立ちますね,こちらもぼちぼち訂正していく予定です.あとはギリシア語部分はユニコードで打ち直ししたいです……とまあ色々やることはありますね.



 新刊書ですが,岩波から国原吉之助先生による,ペルシウスとユウェナーリスの翻訳がでています.これも絶版になると古書店で4-5千円になるので,古典に関心のある方は買い逃しのないよう,お気をつけ下さい.

ペルシウス,ユウェナーリス 作 国原吉之助 訳『ローマ諷刺詩集』岩波文庫.東京:岩波書店,2012.


ローマ諷刺詩集 (岩波文庫)ローマ諷刺詩集 (岩波文庫)
(2012/05/17)
ペルシウス、ユウェナーリス 他

商品詳細を見る



こちらは山下太郎のラテン語入門で有名な山下太郎先生の新刊(といっても半年前の出版でした).

山下 太郎『ローマ人の名言88』東京:牧野出版,2012.



ローマ人の名言88ローマ人の名言88
(2012/01)
山下 太郎

商品詳細を見る



『古代ローマ人の24時間』は古代ローマの日常を生き生きと描いている本.著者はイタリアの古代ローマ愛好家の,学術ジャーナリストのようです.文庫版がでてさらに手軽になりました.

アルベルト・アンジェラ( 関口 英子 訳)『古代ローマ人の24時間 ーーよみがえる帝都ローマの民衆生活』河出文庫.東京:河出書房新社,2012.



古代ローマ人の24時間 ーーよみがえる帝都ローマの民衆生活 (河出文庫)古代ローマ人の24時間 ーーよみがえる帝都ローマの民衆生活 (河出文庫)
(2012/04/05)
アルベルト・アンジェラ

商品詳細を見る



アルベルト・アンジェラはテレビ番組でよく解説もしているということなので,探してみたらネット上でもみることができます.しかしもちろんどれもイタリア語…… 

  Gladiatori
  Graffiti di Pompei
  Circo Massimo
  Il Foro Romano


  



【2012/06/11 04:36】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『談話集』2巻2歌1-22

Quae virtus et quanta, boni, sit vivere parvo
(nec meus hic sermo est, sed quae praecepit Ofellus
rusticus, abnormis sapiens crassaque Minerva),
discite non inter lances mensasque nitentes,
cum stupet insanis acies fulgoribus et cum   5
adclinis falsis animus meliora recusat,
verum hic impransi mecum disquirite. cur hoc?
dicam, si potero. male verum examinat omnis
corruptus iudex. leporem sectatus equove
lassus ab indomito, vel, si Romana fatigat   10
militia adsuetum graecari, seu pila velox
molliter austerum studio fallente laborem
seu te discus agit — pete cedentem aera disco:
cum labor extuderit fastidia, siccus, inanis
superne cibum vilem: nisi Hymettia mella Falerno 15
ne biberis diluta. foris est promus, et atrum
defendens pisces hiemat mare: cum sale panis
latrantem stomachum bene leniet. unde putas aut
qui partum? non in caro nidore voluptas
summa, sed in te ipso est. tu pulmentaria quaere 20
sudando: pinguem vitiis albumque neque ostrea
nec scarus aut poterit peregrina iuvare lagois.

倹しく生きることが,善良なる諸君,いかなる美徳で,どれほど大きいものかを
(しかしこれは僕の話ではなく,オフェッルスという
田舎者で,異形の賢人,学識粗野なる者の言である),
君たちは皿と豪勢な食卓に囲まれて学ぶなかれ.
そういう時には心狂わす輝きが心眼を黙させ,そして
まやかしに心は傾き,より善き物事を拒むのである.
そうではなく,ここで食事前に私と一緒に探求するがよい.これはどうしてか?
私は言おう,できるのであれば.収賄した判官はみな,
真実を歪曲して判断するものだ.兎を追いかけ,あるいはじゃじゃ馬に
疲れた者,あるいは,ローマ式軍事訓練が
ギリシア式に慣れた者を疲労させる時,あるいは玉の早投げや
円盤投げが——虚空に円盤を投げつけてみたまえ——
熱心にやるあまり,その労苦を知らず知らず忘れさせる時,
すなわち労苦が嫌気を消し飛ばす時に,喉も渇いて,腹も空っぽの状態で,
安っぽい食べ物を馬鹿にできるならするがいい.ファレルヌム葡萄酒*1で割ったヒュメットゥスの
蜂蜜以外は,飲まないでいられるならそうすればいい.料理人が出払い,そして海が
黒く荒れて魚を穫らせない時,塩つきのパンは
ぐうぐう鳴る腹をちゃんと宥めるだろう.なぜ,どうしてそんな事が起こると
君は思うかね?最大の快楽は,高級な香りに
あるのではなく,君自身にあるのだからだ.君は汗を流して
おかずを求めるがよい.悪徳により太った血色悪い者を,牡蠣も
ベラも,外国産の雷鳥も喜ばせることはないだろう.


*1 最高級葡萄酒.
*2 アッティカのヒュメットゥスでは蜂蜜が特産品であった.


【2012/06/11 02:47】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ




PROFILE

  • Author:メレアグロス
  • 気が向いた時にラテン語を訳したりしています.
    ヘレニズムのギリシア語もたまに訳しています.

    問い合わせ先(メールフォーム)
  • RSS1.0
  • CM, TB, ARCHIVE

    COMMENT
  • メレアグロス [06/06 15:20] 
  • outis [06/05 21:42] 
  • メレアグロス [06/05 10:37] 
  • outis [06/01 22:33] 
  • メレアグロス [05/28 18:31] 
  • outis [05/26 23:35] 
  • Succarum [09/24 20:12] 
  • メレアグロス [09/24 00:15] 
  • Succarum [09/23 16:32] 
  • メレアグロス [11/06 01:49] 
    TRACKBACK
  • えいじゅなすの本棚 - 英語, 医学, 投資の専門書レビューブログ:Wheelock's Latin(05/26)

  • ARCHIVE
  • 2019年03月 (1)
  • 2018年11月 (1)
  • 2018年08月 (1)
  • 2018年05月 (3)
  • 2018年03月 (20)
  • 2018年02月 (25)
  • 2016年07月 (1)
  • 2016年05月 (1)
  • 2016年01月 (1)
  • 2015年08月 (1)
  • 2015年07月 (1)
  • 2015年06月 (1)
  • 2015年05月 (2)
  • 2015年04月 (1)
  • 2015年03月 (4)
  • 2015年02月 (1)
  • 2015年01月 (1)
  • 2014年12月 (4)
  • 2014年11月 (24)
  • 2014年10月 (6)
  • 2014年08月 (1)
  • 2014年07月 (3)
  • 2014年06月 (10)
  • 2014年04月 (3)
  • 2014年03月 (3)
  • 2014年02月 (1)
  • 2014年01月 (2)
  • 2013年12月 (3)
  • 2013年11月 (4)
  • 2013年10月 (25)
  • 2013年09月 (1)
  • 2013年08月 (5)
  • 2013年07月 (6)
  • 2013年06月 (1)
  • 2013年05月 (2)
  • 2013年04月 (1)
  • 2013年03月 (1)
  • 2013年02月 (2)
  • 2013年01月 (2)
  • 2012年12月 (1)
  • 2012年10月 (6)
  • 2012年09月 (27)
  • 2012年08月 (32)
  • 2012年07月 (47)
  • 2012年06月 (50)
  • 2012年05月 (3)
  • 2009年10月 (1)
  • 2009年09月 (2)
  • 2009年08月 (12)
  • 2009年07月 (7)
  • 2009年06月 (14)
  • 2009年05月 (2)
  • 2009年03月 (40)
  • 2009年02月 (14)
  • 2009年01月 (75)
  • 2008年12月 (26)
  • 2008年11月 (22)
  • 2008年10月 (60)
  • 2008年09月 (95)
  • 2008年08月 (68)
  • 2008年07月 (42)
  • 2008年06月 (54)
  • 2008年05月 (49)
  • 2008年04月 (49)
  • 2008年03月 (35)
  • 2008年02月 (9)
  • 2008年01月 (27)
  • 2007年12月 (40)
  • 2007年11月 (35)
  • 2007年10月 (26)
  • 2007年09月 (43)
  • 2007年08月 (10)
  • 2007年05月 (33)
  • 2007年04月 (8)
  • 2007年03月 (61)
  • 2007年02月 (51)
  • 2007年01月 (75)
  • 2006年12月 (68)
  • 2006年11月 (23)
  • 2006年10月 (56)
  • 2006年07月 (1)
  • 2006年06月 (7)
  • 2006年05月 (125)
  • 2006年04月 (77)
  • 2006年02月 (34)
  • 2006年01月 (69)
  • 2005年12月 (54)
  • 2005年11月 (50)
  • 2005年10月 (7)
  • 2005年09月 (106)
  • 2005年08月 (38)
  • 2005年07月 (4)