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ホラーティウス『談話集』2巻3歌128b-141

         (St.) "populum si caedere saxis
incipias servosve tuos, quos aere paratis,
insanum te omnes pueri clamentque puellae;  130
cum laqueo uxorem interimis matremque veneno,
incolumi capite es? quid enim? neque tu hoc facis Argis
nec ferro ut demens genetricem occidis Orestes.
an tu reris eum occisa insanisse parente
ac non ante malis dementem actum Furiis quam 135
in matris iugulo ferrum tepefecit acutum?
quin, ex quo est habitus male tutae mentis Orestes,
nil sane fecit, quod tu reprehendere possis:
non Pyladen ferro violare aususve sororem
Electran, tantum maledicit utrique vocando   140
hanc furiam, hunc aliud, iussit quod splendida bilis."

(ステルティニウスの言葉の続き)『君が人々を石で打ち
はじめたり,金で買った自分の奴隷達を打ちはじめたら,
女子供もみな,君は狂人だと叫ぶことだろう.
縄で妻をくびり殺したり,母親を毒殺する時,
君の頭はまともだろうか?一体何故?君は,狂ったオレステースがそうしたように,
これをアルゴスで行ったわけでも,刀でもって生みの親を殺したわけでもないが*23
それとも君は母親を殺したせいで彼が頭がおかしくなり,
そうして母親の喉に鋭い刀を刺して血塗らす以前には
災いの復讐女神に彼は苛まれていなかったと思うかね?
それどころか,オレステースは酷い精神状態だと思われた時からは,
君が非難できるそうな事は確かに何もしていない.
ピュラデースや自分の姉のエーレクトラーに刀で
犯行に及ぶことはあえてしなかった*24.ただ,両者に対して,悪口を言っていたのだ,
一方には復讐女神と呼び,一方は,つや光りする胆汁*25が言えという別な名前で呼ぶことで』


*23 オレステースは父アガメムノーンを殺した母とその愛人アイギストスに復讐するが,その後,母殺しの罪により,復讐女神エリニュースにおわれ狂気となる.
*24 ピュラデースはオレステースの従兄弟で,ポーキスに送られたオレステースとともに育つ.エーレクトラーはオレステースの姉.
*25 胆汁は怒りのもととされていた.

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【2009/02/17 01:11】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』2巻3歌104-128a

si quis emat citharas, emptas comportet in unum,
nec studio citharae nec Musae deditus ulli,   105
si scalpra et formas non sutor, nautica vela
aversus mercaturis: delirus et amens
undique dicatur merito. qui discrepat istis,
qui nummos aurumque recondit, nescius uti
compositis metuensque velut contingere sacrum? 110
si quis ad ingentem frumenti semper acervum
porrectus vigilet cum longo fuste neque illinc
audeat eruriens dominus contingere granum
ac potius foliis parcus vescatur amaris;
si positis intus Chii veteris Falerni        115
mille cadis, nihil est, tercentum milibus acre
potet acetum; age, si et stramentis incubet unde-
octoginta annos natus, cui stragula vestis,
blattarum ac tinearum epulae, putrescat in arca:
nimirum insanus paucis videatur, eo quod    120
maxima pars hominum morbo iactatur eodem.
filius aut etiam haec libertus ut ebibat heres,
dis inimice senex, custodis? ne tibi desit?
quantulum enim summae curtabit quisque dierum,
ungere si caules oleo meliore caputque     125
coeperis impexa foedum porrigine? quare,
si quidvis satis est, periuras, surripis, aufers
undique? tun sanus?

もし誰かがキタラを買ったなら,買ったそれを一カ所に運んで行って,
全然キタラにも音楽にも打ち込みもしないなら,
もし小刀や型を靴直しでもない者が買い,船の帆を
貿易商が嫌な者が買うなら,狂って正気を失った奴と
周りから言われて当然だろう.こういった者たちとはどこが違うだろうか,
お金や黄金を貯めていて,
貯めているそれらを使う事を知らず,あたかも聖物を触るが如く恐れている者は?
もし誰かが巨大な穀物の山の傍で常に
長い棒をもって横になって寝ずの番をしていて,主人であるのに
飢えてもそこから一粒にも触れる事をあえてせず,
そうしてケチケチと苦い葉っぱを食べているなら,
もしキオスや古いファレルヌム葡萄酒が入っている
瓶を千も,いやそんなもんじゃなく,30万も,家にしまっているのに,酷く
酸っぱい酢を飲むなら,さあどうだね,もし藁布団の上に79歳にもなって
寝ているなら,彼には敷蒲団があるのだが,
それは蛾や衣魚のごちそうになって,箪笥の中で腐っているのに?
僅かな者にしか,度を超した狂人と思われないだろう.というのも,
人の大部分は同じ病にやられているのだから.
息子か,あるいは解放奴隷の相続人さえもがこれを飲み尽くすために,
神々にも厭わしい老人よ,見張っているのか?なくならないように,と思ってか?
実際,全財産のどれほど僅かな量が,それぞれの日に減るだろうか,
もしもっといい油を野菜につけたり,ふけにまみれた頭に
櫛を入れ始めたなら?どうしてかね,
何であれ十分にありながら,君が至る所で偽証し,かすめ取り,
強奪するのは?君はまともだろうか?


【2009/02/16 01:02】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』2巻3歌77-103

(St.) "audire atque togam iubeo componere, quisquis
ambitione mala aut argenti pallet amore,
quisquis luxuria tristive superstitione
aut alio mentis morbo calet; huc propius me,  80
dum doceo insanire omnes vos ordine, adite.

danda est ellebori multo pars maxima avaris.
nescio an Anticyram ratio illis destinet omnem.
heredes Staberi summam incidere sepulcro,
ni sic fecissent, gladiatorum dare centum    85
damnati populo paria atque epulum arbitrio Arri,
frumenti quantum metit Africa. 'sive ego prave
seu recte hoc volui, ne sis patruus mihi': credo,
hoc Staberi prudentem animum vidisse. 'quid ergo
sensit, cum summuam patrimoni insculpere saxo 90
heredes voluit?' quoad vixit, credidit ingens  
pauperiem vitium et cavit nihil acrius, ut, si
forte minus locuples uno quadrante perisset,
ipse videretur sibi nequior: omnis enim res,
virtus, fama, decus, divina humanaque pulchris  95
divitiis parent; quas qui construxerit, ille
clarus erit, fortis, iustus. 'sapiensne?' etiam, et rex
et quidquid volet. hoc, veluti virtute paratum,
speravit magnae laudi fore. quid simile isti
Graecus Aristippus? qui servos proicere aurum 100
in media iussit Libya, quia tardius irent
propter onus segnes. uter est insanior horum?
nil agit exemplum, litem quod lite resolvit.

(ステルティニウスの言葉の続き)『トガを正して聞かんことを,誰であれ,
酷い野心や金銭への愛に窶れる者,
誰であれ,おぞましい迷信や
他の精神の病によって熱に浮かされている者は.ここへ,もっと私の近くに,
私が順に君達全ての者が狂っていることを教える間,君達は寄るがよい.

貪欲な者どもには,エッレボルス*17を,並外れた最大量与えるべし.
誰かの考えでは,アンティキュラ*18全体をこの者どもに処方するかもしれぬ.
スタベリウス*19の遺産相続人たちは,遺産の総額を墓石に刻んだ.
そうしなければ,遺書に従って,
アッリウスのやり方と同じく,人々に百もの剣闘士と宴と
アフリカの地で刈り取られるほどの穀物をふるまったろう*20.「私が
これを望んだのは正しいかどうかは別として,君は私に伯父然とするな*21」私は信じる,
スタベリウスの賢明な精神はこれを予期していたと.「それではどう
考えていたのか,相続人たちに遺産の総額を墓石に彫り込むことを
彼が望んだ時に?」生きていた限り,彼は貧困を
巨悪と信じていて,如何なるものもそれ以上には恐れなかった,そうして,もし
一文でも財を少なくして死んだなら,
自分がより詰まらぬものに思えようほどであった.実際全ての財産,
美徳,名声,栄誉,天上のもの,人間的なものは,素晴らしい
財産に服するのである.それを築いたなら,その者が
有名で,強力で,義しい者となるだろう.「賢者には?」それにもなろう,そして王でも
何でも好きな者になろう.彼はこれが,あたかも美徳によって得たものの如く,
後に大いに賞讃されることを望んだのだ.この者に,何か似た存在だろうか,
ギリシア人のアリスティッポス*22は?彼はリビアのまっただ中で
奴隷達に黄金を投げ出すように命じたのだ,彼らは
重荷のせいでゆっくりとすすんでいたからといって.これらのどちらがより狂っているのか?
問題で問題を解決する例は,何の役にも立たないのだ』

*17 狂気に効くとされた薬草.
*18 ポーキスの町で,エッレボルスの産地.
*19 不詳.
*20 キケローによると,前59年にアッリウスは何千もの市民に葬式の宴を催したとされる.
*21 伯父はモラルに厳しいとされる.
*22 キュレーネー派の哲学者.ロング『ヘレニズム哲学』pp.11-12. 


【2009/02/14 13:07】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』2巻3歌53b-76

              (St) "est genus unum
stultitiae nihilum metuenda timentis, ut ignis,
ut rupes fluviosque in campo obstare queratur;  55
alterum et huic varum et nihilo sapientius ignis
per medios fluviosque ruentis: clamet amica
mater, honesta soror cum cognatis, pater, uxor:
'hic fossa est ingens, hic rupes maxima: serva!'
non magis audierit, quam Fufius ebrius olim,   60
cum Ilionam edormit, Catienis mille ducentis
'mater, te appello' clamantibus. huic ego vulgus
errori similem cunctum insanire docebo.
insanit veteres statuas Damasippus emendo:
integer est mentis Damasippi creditor? esto.   65
'accipe, quod numquam reddas mihi' si tibi dicam:
tune insanus eris, si acceperis, an magis excors
reiecta praeda, quam praesens Mercurius fert?
scribe decem a Nerio: non est satis; adde Cicutae
nodosi tabulas, centum, mille adde catenas:   70
effugiet tamen haec sceleratus vincula Proteus.
cum rapies in ius malis ridentem alienis,
fiet aper, modo avis, modo saxum et, cum volet, arbor.
si male rem gerere insani est, contra bene sani:
putidius multo cerebrum est, mihi crede, Perelli  75
dictantis, quod tu numquam rescribere possis."

   (ステルティニウスの言葉の続き)『愚かしさの一つのタイプは,
決して恐れるべくもないものを恐れて,そうして火が,
岩が,河が平地で邪魔になると文句をいうような輩のタイプだ.
もう一つのタイプは,これとは正反対で,かつ少しも賢さに優るわけではないのだが,火の
まっただ中,河のまっただ中へと突進する輩のタイプだ.愛しの
母,無辜の姉妹,父,妻は,親戚ともども叫ぶ.
「そこには大きな溝が,ここには馬鹿でかい岩がある.気をつけて!」
彼は大して聞きもしないのは,フーフィウスがかつて酔っぱらって,
千二百もの観衆がカティエーヌスになって「母よ,私はあなたを呼んでいるのです」
と叫ぶのに,イーリオネーの役で眠りこけているのとかわらぬ*13.私は全ての大衆が
この間違いと同様のことを狂気のうち犯しているということを教えよう.
ダマシッポスは古い彫像を買い狂っている.
だが正気だろうか,ダマシッポスに金を信用貸しするものは?そうだとしておこう.
『これを受け取り給え,決して私に返さないでいいから』もし私が君にこう言って,
もし君が受け取ったら,君は狂人となるだろうか,それとも,むしろ馬鹿者とならんかね?
メルクーリウス神が目の前に持ってきた獲物を拒めば?
ネリウスからの借金の借用書を十通書いても,それでも十分じゃない.法令に長けた
キクータの保証書も付けて,百通も,千の鎖も加えるがいい*14
しかし,これらの縛めも,悪辣なプローテウス*15は逃れるだろう.
他人の不幸を嗤うこの者をひっさらって法廷に突き出したら,
こいつは時に猪,時に鳥,時に岩,そして,お望みとあらば,樹に化けるだろう.
もし財産を作るのがへたくそなことが狂人の徴なら,逆にうまいのがまともだ.
だが,疑うなかれ,ペレッリウス*16の脳みそのほうがずっと腐っていることになるのだ,
奴は君が決して払えないような証書を口述したのだから』


*13 パークウィウスの悲劇『イーリオネー』の一場面.プリアモス王の娘イーリオネーはトラーキア王ポリュメーストールと,デーイピュロスをもうける.彼女はプリアモスの子ポリュドーロスを預けられるが,密かにこの二人の子を入れ替えて育てていた.のちポリュメーストールはトロヤ陥落後,ギリシア側から賄賂を受け,プリアモスの子と信じて我が子を殺す.この場面は,眠っている母を死んだデーイピュロスが,埋葬を願って起こす場面.フーフィウスはイーリオネー役で眠りながら,酔っているせいで本当に眠ってしまい,デーイピュロス役のカティエーヌスの起こす声も聞こえないので,観客たちも一緒に起こそうとしているという様子がここで語られている.
*14 つまり借用書や保証書があっても,借金をしたほうは逃れる術はあるということ.
*15 海の老人で.予言の術があり,また姿を変える術を使う.予言を頼むには,彼を捕まえ,彼が様々に姿を変えても離さずにいなければならない.
*16 65行の,ダマシッポスに金を貸した人物.


【2009/02/13 00:16】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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新約聖書ギリシア語教本

聖書ギリシア語をやりたいとうわけでもないのですが,新約聖書ギリシア語の新刊本です:

ジェレミー・ダフ著,浅野淳博訳『エレメンツ 新約聖書ギリシア語教本』東京:新教出版社,2008.3,990円.(原著:Canon Dr. Jeremy Duff. The Elements of New Testament Greek. Paperback and Audio CD narrated by Jonathan Pennington. 3rd Ed. Cambridge: Cambridge UP., 2005.)

原著のほうも2005年改訂版で,翻訳も早々とでたところからも,新約聖書ギリシア語をやるにはいい本らしいですね.原著はCD付き版をあげておきましたが,CDのみも別売しています:

Canon Dr. Jeremy Duff. Narrated by Jonathan T. Pennington. New Testament Greek Listening Materials: for the Elements of New Testament Greek
3rd Edition
. Cambridge: Cambridge UP., 2005.

一部録音と訳者による単語朗読は以下の頁から:

  http://member.kwangaku.net/theology/profs/asano/

その他,新約聖書には次のような音声資料頁があるそうです(上記HPから転載)

  http://www.greeklatinaudio.com/(ラテン語聖書朗読も)
  http://www.ccel.org/a/anonymous/gnt/home.html

これらのサイトで,聖書ほぼ全部がギリシア語朗読で聞けるようです.いずれも英語なまりですが,その範囲内では正確にやろうとしていて,聞きやすいのではないかと思います.ただ福音書冒頭の系譜のところを聞いていると,なんとも異様な雰囲気がしますが,これをまともに聞けないところが信仰がない徴でしょうね.


【2009/02/11 11:02】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』2巻3歌37-53a

(D) 'nam male re gesta cum vellem mittere operto
me capite in flumen, dexter stetit et (Stertinius) "cave faxis
te quicquam indignum. pudor" inquit "te malus angit,
insanos qui inter vereare insanus haberi.     40
primum nam inquiram, quid sit furere: hoc si erit in te
solo, nil verbi, pereas quin fortiter, addam.
quem mala stultitia et quemcumque inscitia veri
caecum agit, insanum Chrysippi porticus et grex
autumat. haec populos, haec magnos formula reges, 45
excepto sapiente, tenet. nunc accipe, quare
desipiant omnes aeque ac tu, qui tibi nomen
insano posuere. velut silvis, ubi passim
palantis error certo de tramite pellit,
ille sinistrorsum, hic dextrorsum abit, unus utrique 50
error, sed variis illudit partibus: hoc te
crede modo insanum, nihilo ut sapientior ille,
qui te deridet, caudam trahet." '

(ダ)「というのも,私が失敗をして頭を隠して
河に身投げしようとした時,彼は右に立って,そして言ったのだ.(ステルティニウス)『よせ,
何であれ君に相応しからぬことをすることは.酷い恥の気持ちが君を苛んでいるのだ,
気違いどもの中で気違いと思われるのを恐れているせいで.
まず実際私は言おう,「狂う」とは何の謂いかと.もしこれが
君だけにかかわることであれば,勇敢に死ねという以外,何の言葉も付け加えるまい.
誰であれ,愚かしさと真実に対する無知が人をして
盲目たらしめて入るなら,その者をクリュシッポスの学派と信奉者群*12は狂人と
呼ぶのだ.この呼び名は人々を,この呼び名は王達をも,
賢者を除き,含むのだ.さあ君は知るがいい,どうして皆が,
君と同様に蒙昧なのかということを.自身に狂人のレッテルを貼っている君
と同じくな.あたかも,至る所で
彷徨い歩く人々が正しい道からそれてしまうような森の中,
ある者は左に,ある者は右にそれて行くように,両者ともに誤りは
只一つなのだが,その誤りは,しかし異なった方向に迷わせているのだ.君は狂人であるにしても,
その狂い方は,君を嗤う者も尻尾を引きずっている*13奴であり,
毫も賢くはないような形でそうなのだ.』」


*12 ストア派学徒のこと.クリュシッポスはストア派の哲学者.前3世紀後半活躍(前208/4年没).
*13 お笑いぐさであるということ.


【2009/02/09 22:40】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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Toilets in the Roman World

なかなかお目にかかれなそうな本が6月出版予定です.

Barry Hobson. Latrinae et Foricae: Toilets in the Roman World. London: Duckworth, 2009.06 (forthcoming).

 タイトルのlatrinaもforicaもトイレのことで,後者は公衆トイレだそうです.ローマの衛生環境は,実は近代文明になってようやく上をいくことができるようになったというぐらい,非常に発達していたらしいのですね.しかしこういうところは,実は非常に重要なことなのですが,なかなか文学などではお目にかかれないものですから,大変貴重な文献になりそうです.なお,著者の次回作はToilets and Downpipes in Pompeiiだそうで,こちらも楽しみです.
 それにしても,上のリンクにある表紙の写真など,玉座といっても良さげですね.古典語学研究室のトイレも,こういう形に変えたらいいように思います.


【2009/02/05 19:51】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』2巻3歌18b-36

        (Da)'postquam omnis res mea Ianum
ad medium fracta est, aliena negotia curo
excussus propriis. olim nam quaerere amabam, 20
quo vafer ille pedes lavisset Sisyphus aere,
quid sculptum infabre, quid fusum durius esset;
callidus huic signo ponebam milia centum;
hortos egregiasque domos mercarier unus
cum lucro noram: unde frequentia Mercuriale  25
imposuere mihi cognomen compita.' (Hor)'novi,
et miror morbi purgatum te illius.' (Da)'atqui
emovit veterem mire novus, ut solet, in cor
traiecto lateris miseri capitisve dolore,
ut lethargicus hic cum fit pugil et medicum urget.' 30
(Hor)'dum ne quid simile huic, esto, ut libet.' (Da)'o bone, ne te
frustrere: insanis et tu stultique prope omnes, 
si quid Stertinius veri crepat, unde ego mira
descripsi docilis praecepta haec, tempore quo me
solatus iussit sapientem pascere barbam    35
atque a Fabricio non tristem ponte reverti.'

(ダ)「私の全財産がヤーヌス街*7
まっただ中でご破算になった後は,私は他人の仕事を心配しているのだ,
自分の財産から放り出されたのでね.なぜなら元々調べるのが好きだったのだ,
かのずる賢いシーシュポス*8が,どの銅器で足を洗ったか,
どの彫刻が素人臭いとか,どの鋳物が荒っぽいとかをね.
抜け目なく,またある彫像には10万の値をつけたものだ.
庭やとびきりの家を売って大もうけするのは
私が随一だった.そんなことから巷の人々はメルクーリウス*9
呼び名を私につけたものだ」(ホ)「僕は知っています,
そして,あなたがその病気から癒えたとは,驚きですよ」(ダ)「しかし,
新しいのが古いやつを追い出したのだ,よくあることだよ,
酷い脇腹や頭の痛みが心臓に転移したり,
ある昏睡病だった奴が,拳闘士になって医者を脅かす時のようにね」
(ホ)「それに似たことが起こらぬ限りは,お好きなように」(ダ)「おお,良き人よ,自分を
誤摩化しちゃいけない.あなたもおかしいし,殆ど皆が愚者なのだ,
もしなにかステルティニウス*10が正しいことを喚いていたらだが.その彼から,私は
こういった素晴らしい教えをいただいて,勉強熱心に書き留めたのだ.それは
彼が私を慰めて,私に賢者の髭を生やして
そうして元気をだしてファーブリキウス橋*11から帰るように言った時のことだ」


*7 フォルムの一部で,金融業者の集まっている通り.正確な位置は不詳.
*8 伝説的なコリントスの王で,最もずる賢い人間とされた.神々や死神や冥王をも騙したのちに,地獄で石を転がして坂を上らせ,最後の一歩で岩は転がり落ちるちる刑を受けている.ここでは異常に古い古物を集める趣味を誇張したと思われる.
*9 メルクーリウスは商売の神.
*10 スコリアによると,ストア派の学者で,大量の著作をものした.
*11 前62年,ルーキウス・ファーブリキウスによって建造された,ティベル河の中州の島Insula Tiberinaとローマ市を結ぶ橋.


【2009/02/05 18:59】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』2巻3歌1-18a

'Sic raro scribis, ut toto non quater anno
membranam poscas, scriptorum quaeque retexens,
iratus tibi, quod vini somnique benignus
nil dignum sermone canas. quid fiet? at ipsis
Saturnalibus huc fugisti sobrius. ergo      5
dic aliquid dignum promissis. incipe. nil est.
culpantur frustra calami immeritusque laborat
iratis natus paries dis atque poetis.
atqui voltus erat multa et praeclara minantis,
si vacuum tepido cepisset villula tecto.     10
quorsum pertinuit stipare Platona Menandro?
Eupolin, Archilochum, comites educere tantos?
invidiam placare paras virtute relicta?
contemnere miser. vitanda est improba Siren
desidia, aut quidquid vita meliore parasti    15
ponendum aequo animo.' 'di te, Damasippe, deaeque
verum ob consilium donent tonsore. sed unde
tam bene me nosti?'

(ダマシッポス)「君が滅多に書かないのは,一年通して4回も
羊皮紙を欲しがらない*1ほどで,書いたものは何であれ書き直す.
葡萄酒も眠りも豪勢にやるくせに,お話に相応しいことは
自分は何一つ歌えないと,自分に腹を立てながらね.どういうことになるのかね?だが
まさにサートゥルナーリア祭の今*2,君はここに,素面で逃げて来たのだ.それだから,
何か君の約束に相応しいものを語るがいい.始め給え.何もなしか.
ペンのせいにしても無駄だ.謂れもないのに難儀するのは
苛ついている神々や詩人どものために生まれた壁たち*3だ.
しかし君の顔つきたるや,この小別荘が暖かい屋根の下君を受け入れ,気苦労から解放した暁には,
沢山のそして素晴らしいものを書くのを期待させる者のそれだったのだ,
何のためにしたことか,プラトーンをメナンドロスのところに押し込んだのは?
エウポリス,アルキロコス*4といった,こんなに多くのお伴を連れて来たのは?
美徳を捨てて,「妬み」に取り入る準備かね?
君は哀れな者と蔑まれるだろうよ.人惑わすセイレーンの怠慢*5
避けるべきだ.そうでなければ,何であれ君がよりよい生き方で蓄えてきたものを,
平気で捨て去るべきだ」(ホラーティウス)「神々と女神たちが,ダマシッポス*6よ,
あなたのその正しい忠告の故に,君に床屋を授けますように.しかし,どうして
あなたはそんなによく僕のことを知っているのですか?」


*1 下書きは普通は蝋板に書かれ,それからパピュロスや羊皮紙に清書された.
*2 イタリアの古い祭り.本来12月17日の1日だけだったが,共和制末期には7日ほど祝われた.
*3 要するに,腹立ちまぎれに叩いたり蹴られたりするということ.
*4 プラトーンは哲学者のプラトーン(喜劇詩人とする説もある),メナンドロスは新喜劇詩人(前4世紀),エウポリスは古喜劇詩人(前5世紀),アルキロコスはイアンボス詩を書いた抒情詩人(前7世紀).
*5 歌で人を惑わし死に至らしめる魔女(Od.12.39以下).
*6 ユーニウス・ダマシップス.美術品愛好家で,キケローはこの人物から庭を購入している.


【2009/02/04 21:24】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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羅和辞典

研究社の羅和辞典ですが,水谷先生の編集で改訂版がでるようです.

水谷智洋 編『羅和辞典』改訂版.東京:研究社,2009年3月26日(刊行予定).

「古ラテン語から近代の学術用語まで幅広く収録し、古典語学習者のみならず宗教音楽や動植物の学名などに関心のある方にも便利」ということで,古典学からみると中途半端になりはしないか危惧されるところもありますが,値段が6,300円(予価)とのことで,ようやく普通に買える辞書がでるというのはうれしいことです.


【2009/02/04 18:57】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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古代世界地図

古典学関係で使える歴史地図は,かなり細かい地名まで網羅していないと使えないので困るのです.一般的な古代?現代の歴史地図は安いことは安いのですが,ちょっとフラストレーションがたまりますね.古代専門は今度は高くなるので困るのです…….しかしこれは便利そうな感じですね.

Anne-Maria Wittke/Eckart Olshausen/Richard Szydlak Edd. Historischer Atlas der antiken Welt. Der Neue Pauly - Supplemente, Band 3. Stuttgart: Metzler, 2007. EUR 179,95.

新パウリーの補遺です.ただ,どんなにユーロが下がっても多分2万円は超えてしまう値段ですね.1ユーロ70円ぐらいになったら買えるかもしれませんが.


【2009/02/03 23:12】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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統語論講義

Jacob Wackernagel. David Langslow Ed. Lectures on Syntax: With Special Reference to Greek, Latin, and Germanic. Oxford: Oxford UP., 2009.03 (forthcoming).

これは

Jacob Wackernagel. Vorlesungen über Syntax: Mit besonderer Berücksichtigung von Griechisch, Lateinisch und Deutsch. 2 Bde. 2. Aufl. Basel: Birkhäuser Verlag, 1926-28.

の英訳版です.80年以上たってから英訳がでるというのもなんだかいまさらという感じで不思議ですが,イギリスやアメリカの大学が,古典関係をやる新しい研究者にドイツ語を教育する能力あるいは時間がなくなってきているということなのかもしれないですね.しかし日本も同じ事情ですし,僕もドイツ語よりはよほど英語のほうが歓迎ですから,大変ありがたいことです.そのうちKühnerやLeumann-Hofmann-Szantyrが英訳されないかと心待ちにしています.


【2009/02/03 17:19】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(5) | 記事修正

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今月の新刊

小川 正廣『ウェルギリウス『アエネーイス』――神話が語るヨーロッパ世界の原点――』書物誕生 あたらしい古典入門.東京:岩波書店,2009.02 (刊行予定).

ラテン語愛好家には待ちに待った一冊ですね.出たら即買いです.

ドミニク・ブリケル著/平田 隆一 監訳/斎藤 かぐみ 訳『エトルリア人:ローマの先住民族 起源・文明・言語』文庫クセジュ.東京:白水社,2009.01.

こちらは既刊.古いクセジュではなく,最新の研究動向を紹介している2005年新版のクセジュの翻訳です.こういう翻訳を出してくれるのですから,白水社には頭が上がりません.

 興味深いのは,やはりエトルリア語の解読ですね(第5章 pp.109-139).進歩は極僅かながら,少しづつ堅実な解読はすすんで来ていることがこの短い章からわかって来て,なかなか面白いです.これによると,母音に[o]はなく,[s]のほかに[∫]があって(ドイツ語のsch),有声子音[b, d, g]はなかったらしく,それから少なくとも名詞のほうは膠着語のようですね.

 参考文献も原著にならんで,監修者による日本語のめぼしい文献もあるので,これもいい手引きになりそうです.


【2009/02/01 23:58】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウィトルーウィウスと記憶

なんだか庭大bibの司書の方に推薦されそうなタイトルにたまたまでくわしたもので.もうご存知でしょうが:

Daniel M. Millette. Vitruvius, Memory, and the Classical Imagination : De architectura as Mnemonic. Saarbrücken: VDM Verlag Dr. Müller, 2008.



【2009/02/01 22:17】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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