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ルーカーヌス難しい……

 僕はあまりsilver latinの文学はやらないので,ちょっと試験的に翻訳してみました.冒頭からそうなのですが,元になった以前の古典作家の表現がわからないと,かなり読むのは大変そうです.ただ,ヘレニズム文学などを参照している気配はないようで,専門でやるにしても,基本的にアウグストゥス期のヘクサメター関係の作品をマスターしていればよさそうな感じですから,純粋ラテニスト用といえるかもしれないですね.
 さすがにこれをやっていたら収拾がつかなくなるので,これについてはここまで.

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【2008/08/31 02:35】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(4) | 記事修正

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ルーカーヌス『市民戦争記』1巻1-7

Bella per Emathios plus quam civilia campos
iusque datum sceleri canimus, populumque potentem
in sua victrici conversum viscera dextra,
cognatasque acies, et rupto foedere regni
certatum totis concussi viribus orbis
in commune nefas, infestisque obvia signis
signa, pares aquilas et pila minantia pilis.

エーマティア*1の野で繰り広げられた,市民戦争というにはあまりに大きい戦いと
悪事に対して権利が与えられたことを我は歌う,また覇者たる民*2
勝利の右手もて自らの腑に向かいしこと,
身内同士が戦列をなし,王国の同盟*3を破りて
全力もて戦い,世界揺るがす
不敬の行いを共に成したこと,そして敵対する徽章に
徽章が向かい,鷲旗が相対峙し,槍を槍が威嚇せることを我は歌う.


*1 エーマティアはマケドニアの地域であるが,ここではテッサリアのパルサーロスのことが意味されている.
*2 ローマ人のこと.
*3 カエサル,クラッスス,ポンペイユスの三頭による同盟のこと(前60-59).


【2008/08/31 02:20】 CARMINA LATINA | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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中世ヨーロッパの生活

中世ヨーロッパの生活を楽しみつつ知るためのサイトです:

  紗瑠々の資料室 【中世ヨーロッパ情報館】http://housecarl.blog.shinobi.jp/

現在は休止中とのことですが,過去ログが本当に大量にあります.是非再開されますように.

追記:
コメントにトリマルキオさん発見!


【2008/08/29 21:48】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) | 記事修正

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ギリシア語アクセント規則

 普通教科書で習うラテン語のアクセント規則は,ラテン文法家がギリシア文法家のアクセント規則の受け売りで作ったものらしいとのことですが,ギリシア語のアクセントも,どうも文法のための文法だったらしく,このあたりをやっていくと色々面白いことが出てきそうです(が完全に僕の能力外です).もっとも,ギリシア語でパピュロスを扱ったり,そもそも本文校訂などすることになったら,こういった問題は避けて通れないのでしょうから,専門家には常識なのかもしれないですが.
 一番手軽にこのあたりの問題を知るには,Barrettのエウリーピデースの注釈の'Appendix II: Enclitics' (pp.424-27)がいいようです.いきなりἡμᾶςなどにἥμαςという後椅辞形があったなどという(恐ろしい)話が出てきますし,アクセントの連続なども,実は実体と規則があっていないなど,面白い話が書かれています.Barrettは自分の本文のアクセントもこれに従って付けているようですね(気付かずに読んでいましたが(汗)).
 Barrettの注1(p. 424)にはめぼしい基本的文献もあがっていて,とりあえずはそれらを読めば,事情はわかりそうです.が,中にはこんな本が入っています:

Bernhard Laum. Das alexandrische Akzentuationssystem unter Zugrundlegung d. theoretischen Lehren d. Grammatiker u. mit Heranziehung d. praktischen Verwendung in d. Papyri. Studien zur Geschichte und Kultur des Altertums. Paderborn: Schöningen, 1928.

 アレクサンドリアの文法家のギリシア語アクセント論と,パピュロス資料などのアクセントの実態を突き合わせた研究のようですね.WebCatなども探してみましたが,カードをスキャンしたものが一つヒットした程度ですから,欧米の図書館でも入手は難しいかもしれません.こんな本を自由に使えるのはイギリスの先生ぐらいだろうと思ったら,片山英男先生の論文にもあがっていました(「カルリマコスの声」『西洋古典学研究』30(1982): p.57 n.16).
 とりあえず,ラテン語にはアクセント表記がなくて本当によかったと思う今日この頃です.


【2008/08/29 20:17】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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オウィディウス『黒海からの書簡集』注釈

多分次世代のNisbet-Hubbardでしょう:

Jan Felix Gaertner. Ovid: Epistulae ex Ponto, Book 1. Oxford Classical Monographs. Oxford: Oxford UP., 2005. Sanjaya ThakurによるBMCR書評

 何が凄いと言って,語彙の使用状況を徹底的に調べ上げてくれている点です.例えばlibellusという語は,散文では普通だが共和制期の詩ではカトゥッルスに3回,キンナ断片はfrg.11.3,アウグストゥス期ではプロペルティウスに7回,ホラーティウスではエポーディーに1回,談話集に4回,書簡集に2回…… (p. 97)という具合で,具体的な回数まで記して記述しています.言わば詩的語彙の辞書代わりですね.
 従来のタイプの注釈も,比較的詳しく解説してあり,特に単語のニュアンスには丁寧な解説があります.やや分厚いのを我慢できれば,対訳があることも含めて,初心者用としても使えると思います.
 本文は校訂まではしていないようですが,幾つか写本は見ているようです.やや行の削除が目立って,これには異論もあると思います.ドイツ人の英語ということもあってか,対訳も注釈本文もフラストレーションを感じませんし,Loebなどよりはよほど読みやすいですね.
 なお,上記のBMCRの書評で,"Typographical errors are almost non-existent."と書かれていますが,こんなことは電子化以降のOxford UP.では滅多におこらないことで,著者の凄さがこういうところにもでていると思います.
 今の所,ペーパーバックはでていないようですが,出たら即買いです.オウィディウス関係者ならびにエレゲイア研究者にはバイブル的な地位をしめる注釈になるでしょう.


【2008/08/29 02:01】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス少しだけ……

さすがに敵前逃亡もなんなので,一矢報いておきました.


【2008/08/28 23:17】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス2巻12歌

Quicumque ille fuit puerum qui pinxit Amorem,
 nonne putas miras hunc habuisse manus?
is primum vidit sine sensu vivere amantes
 et levibus curis magna perire bona.
idem non frustra ventosas addidit alas,    5
 fecit et humano corde volare deum:
scilicet alterna quoniam iactamur in unda
 nostraque non ullis permanet aura locis.
et merito hamatis manus est armata sagittis
 et pharetra ex umero Cnosia utroque iacet. 10
ante ferit quoniam, tuti quam cernimus hostem,
 nec quisquam ex illo vulnere sanus abit.
in me tela manent, manet et puerilis imago:
 sed certe pennas perdidit ille suas,
evolat heu nostro quoniam de pectore nusquam 15
 assiduusque meo sanguine bella gerit.
quid tibi iucundum est siccis habitare medullis?
 si pudor est, alio traice tela tua.
intactos isto satius temptare veneno:
 non ego, sed tenuis vapulat umbra mea.   20
quam si perdideris, quis erit, qui talia cantet
 (haec mea Musa levis gloria magna tua est),
qui caput et digitos et lumina nigra puellae
 et canat ut soleant molliter ire pedes?

愛神を子供の姿で描いたのは誰であれ,
 この者は驚くべき腕を持っていたと君は思わないかね?
彼は初めて,恋する者らが思慮なしに生きており,
 そして大事な諸徳が詰まらぬ恋で台無しになるのを見てとったのだ.
またこの者が,風に漂う翼を加えて,
 人の心の中でその神が飛ぶようにしたのも,的外れではない.
それはもちろん,寄せては返す波の中,我々が翻弄されており,
 我々に吹く風は一つ所に定まることもないからである.
そして,彼は鈎のついた矢で腕を武装しており,
 またクノッソスの矢筒*1を両肩からぶら下げているのも正当だ.
なぜなら,我々が的を見つけて身を守るよりも先に,彼は打ってくるからであり,
 そして,誰一人その傷から病むことなく去ることはないからである.
僕の場合は,矢は留まったままだ,留まっているのは子供の姿もだ.
 しかし,きっとあの神は自分の翼を駄目にしてしまったのだ.
なぜなら,ああ!彼は僕の胸からどこにも飛び去ることなく,
 絶えず僕の血の中で戦をしているのだから.
何がお前は楽しいのか,渇いた骨髄の中に住み着いて?
 もし恥を知るなら,別な奴にお前の矢を打ち込め.
お前の毒に触れたことのないやつを攻撃するほうがいい.
 僕ではなく,はかない僕の影が打たれているのだから.
それをもし駄目にしてしまえば,誰になるのだ,こういったことを歌うのは,
 (この僕の軟弱な歌は,お前の偉大な栄光なのだ),
誰だ?愛しの女の顔と指と黒き瞳を歌い,
 その脚がたおやかに歩む様を歌うのは?


*1 クノッソス=クレタ.クレタの射手は優れているとされていることから,しばしば弓矢に関するものに,この表現が枕詞的に用いられる.


【2008/08/28 23:15】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウスから敵前逃亡

プロペルティウスの4巻を訳そうとおもったのですが,あまりのテクストの問題の多さに音を上げてしまいました.やっぱりしばらく『談話集』をすることにします…….


【2008/08/27 23:20】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ポンペイ考古学監督局サイト

トリマルキオさんのブログの記事からの情報です:

  SOPRINTENDENZA ARCHEOLOGICA DI POMPEII
  http://www2.pompeiisites.org/database/pompei/pompei2.nsf/


公式サイトでも,ここまで充実したところはないのではないでしょうか.ポンペイ関係のサイトはここが最高峰でしょう.まるでその場にいるような感じでポンペイを体感できます.フラッシュを多用しているせいか,たまに落ちますが…….


【2008/08/27 07:37】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) | 記事修正

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ホラーティウスとヘクサメターからの退却

一応『談話集』1巻4歌を全部訳しました.さすがにこれだけ歯ごたえがある作品をやって,ホラーティウスもヘクサメターにもちょっとうんざりという感じなので,気分転換にもプロペルティウスあたりをやろうかと思います.これもホラーティウスに劣らず大変なことは大変ですが…….


【2008/08/26 01:52】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』1巻4歌126b-143(完結)

       avidos vicinum funus ut aegros
exanimat mortisque metu sibi parcere cogit,
sic teneros animos aliena opprobria saepe
absterrent vitiis. ex hoc ego sanus ab illis,
perniciem quaecumque ferunt, mediocribus et quis 130
ignoscas vitiis teneor; fortassis et istinc
largiter abstulerit longa aetas, liber amicus,
consilium proprium: neque enim, cum lectulus aut me
porticus excepit, desum mihi. 'rectius hoc est.'
'hoc faciens vivam melius.' 'sic dulcis amicis    135
occurram.' 'hoc quidam non belle; numquid ego illi
imprudens olim faciam simile?' ... haec ego mecum
compressis agito labris; ubi quid datur oti,
illudo chartis. hoc est mediocribus illis
ex vitiis unum; cui si concedere nolis,        140
multa poetarum veniet manus, auxilio quae
sit mihi: nam multo plures sumus, ac veluti te
Iudaei cogemus in hanc concedere turbam.

     近所の葬儀は,病んだ貪欲な者を
おびえさせ,そして死の恐怖によって,我が身を省みることを強いるものですが,
そのように,柔弱な心を,他人に対する非難はしばしば
悪徳から脅し遠ざけさせるものです.こういった教育により,私はといえば,
害毒をもたらすどんな悪徳からも健全であって,凡庸で
目をつぶるれるような悪徳に捕われているだけです.ひょっとしてそれらからも,
長い年月,そして忌憚なく言う友,自分自身の忠告によって,
かなりの部分,解放されるかもしれません.なぜなら,寝床に私が入ったり,
柱廊*22に入る時,私は気を抜いているわけではないのです.「これがもっと正しい」
「これをしたらより良く僕は生きられる」「こうしたら友達に会って
喜ばれるだろう」「ある人のこうしたことは怪しからん.まさか僕が
不注意で彼と同じことをいつかするだろうか?」……こういったことを私は
唇をつぐみながら自問自答しているのです.もし暇がなにがしかできたらすぐに,
私は戯れつつ紙に書きます.これがかの凡庸な悪徳のうちの
一つなのです.もしあなたがこれを容赦する気がないのなら,
私の援軍になるために,詩人達の大軍がやってくるでしょう.
なぜなら,我々はずっと多いのです.そうして,我々はユダヤ人の如く*23
あなたにこの一団の中に入るよう強いるでしょう.


*22 フォルムにあったもの.散歩の場所.
*23 当時ユダヤ人は改宗をしばしば熱心にせまったらしい.


【2008/08/26 01:43】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』1巻4歌107-126a

cum me hortaretur, parce, frugaliter atque
viverem uti contentus eo, quod mi ipse parasset,
'nonne vides, Albi ut male vivat filius utque
Barus inops? magnum documentum, ne patriam rem 110
perdere quis velit': a turpi meretricis amore
cum deterreret, 'Scitani dissimilis sis':
ne sequerer moechas, concessa cum venere uti
possem, 'deprensi non bella est fama Treboni'
aiebat. 'sapiens, vitatu quidque petitu       115
sit melius, causas reddet tibi: mi satis est, si
traditum ab antiquis morem servare tuamque,
dum custodis eges, vitam famamque tueri
incolumem possum: simul ac duraverit aetas
membra animumque tuum, nabis sine cortice'. sic me120
formabat puerum dictis, et sive iubebat,
ut facerem quid, 'haberes auctorem, quo facias hoc',
unum ex iudicibus selectis obiciebat,
sive vetabat, 'an hoc inhonestum et inutile factu
necne sit, addubites, flagret rumore malo cum    125
hic atque ille?'

倹しく,倹約して,そして彼自身が私に用意できるもので
満足して生きるようにと彼が私を励ます時は,
「アルビウス*20の息子の生活がいかにひどいか,また
いかにバールス*20が貧しいか,お前は見ていないのか?父親の財産を
誰も食いつぶさぬように,ということの明らかな証拠だ」売女へのみっともない愛から
脅し遠ざける時には,「スキターヌス*20とは違う人間たれ」
許されている情交を用いることができるのに,私が姦夫の真似をせぬように,
彼は「トレボーニウス*20は捕まって酷い噂となったぞ」
と言ったものでした.「賢い人は,何を避けるのがよりよいのか,
また何を求めるのがよりよいのか,理由をお前に与えるだろう.わしには十分だ,もし
いにしえの人々から伝わった習わしを守り,そして,
お前が見張りを必要としている間,お前の生活と評判を
わしが無傷に保つことができるなら.年齢を重ねて
お前の身体と心がしっかりしたらすぐ,お前は浮き木なしに泳げるだろう」この様に
父は私が子供の時に言い聞かせて教育してくれたのです.そして時に私に
何かをするよう命じた時には,「何のためにこうするのかという根拠を持て」と言って,
選出裁判官*21の一人を持ち出し,
時に何かを禁じる時には,「これが道徳に悖るかどうか,そして行うに益ないかどうか,
こういう人やああいう人が,酷い噂で炎上している時に,
疑問に思わないのか?」と言いました.


*20 不詳.アルビウスは28行でも登場.
*21 年毎に法務官により高潔であった人物から選出された,犯罪の裁判を担当する複数の裁判官.


【2008/08/25 22:06】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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第11回ギリシャ哲学セミナーへのご案内

勝手な転載ですが:

  第11回ギリシャ哲学セミナーへのご案内
  http://wwwsoc.nii.ac.jp/gps/frame11.html
  [主題]プラトン『ゴルギアス』『プロタゴラス』
  [日程]2008年 9月13日(土)・14日(日)
  [会場]千葉大学(千葉市稲毛区弥生町)

 あまり広く告知されていないようですので.ちなみに

2009年の第13回ギリシャ哲学セミナーの共同研究のテーマは「アリストテレス『弁論術』『詩学』」の予定です。

とのことです.西洋古典学のほうから悲劇関係の方々が参加したら,まれに見る面白い会になりそうですね.

追記:
そういえば9月にこれが出版されます:

Nicholas Denyer Ed. Plato : Protagoras. Cambridge Greek and Latin Classics. Cambridge: Cambridge UP., 2008.09 (forthcoming).

この会までに入手できるかどうかというところですね.


【2008/08/25 12:10】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』1巻4歌86-106

saepe tribus lectis videas cenare quaternos,
e quibus unus amet quavis adspergere cunctos
praeter eum, qui praebet aquam; post hunc quoque potus,
condita cum verax aperit praecordia Liber.
hic tibi comis et urbanus liberque videtur,    90
infesto 'nigris'; ego si risi, quod ineptus
pastillos Rufillus olet, Gargonius hircum,
lividus et mordax videor tibi? mentio si qua
de Capitolini furtis iniecta Petilli
te coram fuerit, defendas, ut tuus est mos:   95
'me Caapitolinus convictore usus amicoque
a puero est, causaque mea permulta rogatus
fecit, et incolumis laetor quod vivit in urbe;
sed tamen admiror, quo pacto iudicium illud
fugerit.' hic nigrae sucus loliginis, haec est   100
aerugo mera: quod vitium procul afore chartis
atque animo prius, ut si quid promittere de me
possum aliud, vere promitto. liberius si
dixero quid, si forte iocosius, hoc mihi iuris
cum venia dabis: insuevit pater optimus hoc me, 105
ut fugerem exemplis vitiorum quaeque notando.

3つの寝台に4人ずつが寝て食事していて,
その内の一人が,何であれ冗談を,水を差し出す者*16を除いては,
全員に投げつけるのを好み,真実明かす酒神が人の隠れている心を明らかにする時には,
酔っぱらって,この者にも投げつけるのを,あなたはしばしば目にするかもしれません.
この者はあなたには,機智に富み,粋で忌憚なく言う人に見えるのです,
「腹黒い輩」を忌み嫌うあなたには.もし私が,能無しの
ルーフィッルスは消臭丸の匂いをさせ,ガルゴニウスは山羊の匂いだ*17,ということを笑ったら,
私はねたみ深く,辛辣な男に見えますか?もし何か,
カピトリーヌス・ペティッルスの泥棒*18についての言及が
あなたの面前でなされた時には,あなたの習慣どおりあなたは弁護するでしょう.
「カピトリーヌスは子供の時から私を同胞であり友として
用いてくれた,そして私のためには,頼めば実に多くのことを
やってくれた,そして彼が無事で都で暮らしているのを喜んでいる.
しかしながら,不思議なのは,どうやって彼があの判決を
逃れたのかだ」これこそ黒いイカの墨であり,これこそ
混じり気ない緑錆なのです*19.このような悪徳は,私の頁からは遠くにありますし,
それ以前に私の心から遠くにあるということを,もし何か私が自分について
約束できることがあるとすれば,心より約束します.もし私がもっと自由に
何かをいい,もしひょっとするともっと可笑しいことを言ったら,あなたはそうする権利を
ご容赦とともに与えて下さるでしょう.これを私に習慣づけてくれたのは私の最も良き父親です,
例を挙げて悪徳のそれぞれを断罪することによって,悪徳を避けるようにすることを.


*16 宴会の主人のこと.水はおそらく酒を割るためのもの(古代では葡萄酒は普通割ってのまれた).
*17 1巻2歌27行と同じ.
*18 カピトーリウムのユッピテルの黄金の王冠を着服したが,寵愛していたカエサルによって特赦されたとされる.おそらく事実ではなく,諺化した表現.
*19 つまり,自分が世話になっている者をあしざまに皮肉ることが,腹黒いことだと言っている.イカの墨はおそらく先の「腹黒い」に対応する.緑錆の毒は知られており,妬みの悪意の比喩に用いられる.


【2008/08/25 11:34】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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オリンピック終了

なんだかんだいっても,結局オリンピックの最中は気になってしようがありませんでした.
終わってしまうと,自分ではなにもしていないのに虚脱状態です.それにしても,ソフトボールの金はすごかったです.現代日本女性の元気を象徴しているようでした.


【2008/08/25 02:35】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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いま、〈古典〉とはなにか――クラシカル・ターンを問う

DLはこちらから:

  http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/from/publications/2008/03/what_are_the_classics_in_our_t/

 特に読むことをおすすめするものでもないです.まあ言いたいことをはっきり書いても角が立つでしょうから書きませんが…….
 ラテン語をやっているものとして指摘しておきたいのは,ペルソナの語源解釈の間違いですね.対談では,これはpersonareと関係があり,「そこを通して(per)音(sonus)が出てくるもの」ように解釈していますが,長短を正確に表記すれば,personaはペルソーナであって,音のsonusはソヌス,personareはペルソナーレです(そもそも意味も,「そこを通して……」などではなく,「反響する」等の意味です).つまり,ペルソーナは少なくともラテン語の「音」とは関係はないのですね.ペルソーナの語源自体は,はっきりはわからないものの,エトルリア語起源とされているようです.

追記:
 おなじみのにくさんが,この解釈の起源がゲッリウスの5.7.1で引用されているGabius Bassusの語源解釈にあることを指摘して下さいました(ただ,微妙に対談者の解釈とも異なりますが).

  http://d.hatena.ne.jp/nikubeta/20080824

ここまで突っ込めないと,ラテン語をやっているものとしては不勉強ですね…….


【2008/08/24 21:56】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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Brillから『アエネーイス』注釈とFGrHistのCD-ROM版

期待のウェルギリウス注釈ですが,相変わらずBrill価格です:

Nicholas Horsfall. Virgil: Aeneid 2. Mnemosyne Supplements. Leiden: Brill, 2008.11(forthcoming). Euro 169.00.

Horsfallの注釈はすべてBrillからでて,しかも全くペーパーバックがでる気配もないのですね.

こちらは高いものの,専門家なら買って損はないかもしれません.というか古代ギリシア史をやる人なら,今や必携かもしれないですね.Jacobyの『ギリシア歴史家断片集』です:

Felix Jacoby. Die Fragmente der Griechischen Historiker. CD-ROM Edition, Volume Individual license (single user). Leiden: Brill, 2005. Euro 384.00

ただ,Online版もあって,大学によってはライセンスを取っているかもしれないので,そのあたり確認してから買った方がいいと思います.というか,気の利いた大学だったら買っているのが当然なのですが.
 しかしHorsfallの注釈書2巻半分ぐらいで,Jacobyの10巻本分のCD-ROMが買えるというのは,どちらが高過ぎあるいは安すぎなのでしょう…….


【2008/08/23 02:37】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』1巻4歌63-85

hactenus haec: alias iustum sit necne poema,
nunc illud tantum quaeram, meritone tibi sit
suspectum genus hoc scribendi. Sulcius acer   65
ambulat et Caprius rauci male cumque libellis,
magnus uterque timor latronibus; at bene si quis
et vivat puris manibus, contemnat utrumque.
ut sis tu similis Caeli Birrique latronum,
non ego sim Capri neque Sulci: cur metuas me?  70
nulla taberna meos habeat neque pila libellos,
quis manus insudat volgi Hermogenisque Tigelli:
nec recito cuiquam nisi amicis, idque coactus,
non ubivis coramve quibuslibet. in medio qui
scripta foro recitent, sunt multi, quique lavantes: 75
suave locus voci resonat conclusus. inanes
hoc iuvat, haud illud quaerentes, num sine sensu,
tempore num faciant alieno. 'laedere gaudes'
inquit, 'et hoc studio pravus facis'. unde petitum
hoc in me iacis? est auctor quis denique eorum,  80
vixi cum quibus? 'absentem qui rodit, amicum
qui non defendit alio culpante, solutos
qui captat risus hominum famamque dicacis,
fingere qui non visa potest, commissa tacere
qui nequit: hic niger est, hunc tu, Romane, caveto.' 85

これらについてはここまでとし,別な時にこれがちゃんとした詩かどうかを問うとしましょう.
今は次のことだけを私は問いましょう,あなたが
この種の書き物を疑ったのは,当を得たことかどうかを.敏腕なスルキウスと
カプリウス*13は,いつも声を酷く嗄らして訴状を持って歩き回ります.
両者とも泥棒どもには大いなる脅威です.しかし,もし誰かが
立派に手を汚すことなく生きていれば,どちらも恐るるに足らぬと思うでしょうし,
たとえあなたが泥棒のカエリウスやビッルスに類する輩だとしても,
私はカプリウスやスルキウスに類する者とはならないでしょう.なぜ,私を恐れるのでしょう.
どの本屋も,どの宣伝柱*14も私の本は持たないでしょう,
人々やヘルモゲネース・ティゲッルス*15の手が汗ばむ私の本など.
また,私は友達でなければ誰にも朗読しませんし,それも強いられねばしません,
どこでもするわけでもなく,誰の前でもするわけではありません.フォルムの
真ん中で,書いたものを朗読するような者は多く,また風呂に入ってするものも多くいます.
その閉ざされた場所は,声を甘く反響させます.虚栄を好むものは
これを喜び,趣もなく,また時宜に敵わずに
やっていないかどうかも問いません.「君は人を傷つけるのを喜ぶのだ」
人は言います,「そしてこれを意図的に悪意もって行っているのだ」どこからこんなことを
あなたは見つけて来て,私に投げつけるのでしょうか?そもそも私と一緒に暮らす者の中の,
誰かがそのことを主張しているのですか?「その場にいない者に噛み付き,
他の者が非難する時に友を弁護しない輩,人々の
馬鹿笑いと,機智に富んだという名声を得ようとする輩,
見たことでないことを拵えて,打ち明けられたことを黙っていることの
できない輩,この輩は腹黒く,この輩を用心するがよい,ローマ人たる君よ」


*13 有名な告発者.
*14 本屋の前の柱廊の柱には本の宣伝が貼られていた.
*15 内容のない詩を書く人物.1巻10歌80, 90でも登場.


【2008/08/23 01:24】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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『談話集』難しい……

『談話集』ですが,一応1巻は一通り読み終わったものの,まだ理解したというにはほど遠いですね.先に訳したところも,順次点検して,誤訳をできるかぎり除去しなければいけないです.これぐらい難しいと,やっていて自分のラテン語が心細くなりますが,こういうものこそしっかり勉強しなければいけないですね.


【2008/08/22 01:11】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』1巻4歌39-62

primum ego me illorum, dederim quibus esse poetas,
excerpam numero: neque enim concludere versum 40
dixeris esse satis; neque, si qui scribat, uti nos,
sermoni propiora, putes hunc esse poetam.
ingenium cui sit, cui mens divinior atque os
magna sonaturum, des nominis huius honorem.
idcirco quidam, comoedia necne poema      45
esset, quaesivere, quod acer spiritus ac vis
nec verbis nec rebus inest; nisi quod pede certo
differt sermoni, sermo merus. 'at pater ardens
saevit, quod meretrice nepos insanus amica
filius uxorem grandi cum dote recuset,      50
ebrius et, magnum quod dedecus, ambulet ante
noctem cum facibus.' numquid Pomponius istis
audiret leviora, pater si viveret? ergo
non satis est puris versum perscribere verbis,
quem si dissolvas, quivis stomachetur eodem,  55
quo personatus pacto pater. his, ego quae nunc,
olim quae scripsit Lucilius, eripias si
tempora certa modosque et, quod prius ordine verbum est,
posterius facias, praeponens ultima primis:
non, ut si solvas 'postquam Discordia taetra   60
Belli ferratos postes portasque refregit',
invenias etiam disiecti membra poetae.

まず私は自分を,詩人であると認めた人々の
数から取り除きたいのです.というのも,詩行を完成させるのでは
十分ではないとあなたはおっしゃるでしょうから.また,もし誰かが,私のように,
おしゃべりにより近いものを書くなら,その人も詩人ではないと考えるでしょうから.
天賦の才があり,神々しい精神に加えて
偉大なことを語る口がある人に,この名前の栄誉を与え下さい.
それゆえ,ある人々は,喜劇は詩であるか
どうかを問うたのです.というのも,激しい気性と力が
言葉にも内容にもなく,一定の詩脚の点で
おしゃべりと異なっている以外は,単なるおしゃべりだという理由でです.「だが,
娼婦の彼女に入れあげた放蕩者の
息子が,大金の婚資つきの妻を拒み,
とんでもなく不名誉なことに,酔っぱらっては夜になる前に
松明をもって歩き回っているといって,父が激しく怒っている」一体ポンポーニウス*9
もし父が生きているなら,あなたのその言葉より穏やかな言葉を聞くでしょうか?それ故,
もしそれをバラバラにしても,誰であろうと,その登場人物の父のように
腹を立てていることになるような,ありきたりの言葉で詩を書き付けるのでは
十分ではありません*10.私が今書いている,
そしてルーキリウスがかつて書いたところの詩から,もし
定まった韻律と構成とを取り除いて,順番が先に来ている言葉を
後に回し,最後のものを最初にしても:
つまり例えば,もし「忌まわしき 不和の神こそ
戦神の 鉄の柱と 門もまた 打ち壊したる その後に」*11をバラバラにしても
バラバラなった詩人の四肢が見いだされるということにはならないでしょう*12


*9 不詳.
*10 つまり,(以下で描写されるような仕方で)韻律から解き放って語順を変えたりしてしまっても,殆ど同じような調子であるとすれば,それは詩とはいえないということ.つまり,韻律があるというだけでは不十分で,より高度な表現が使われることが詩の条件ということ.
*11 エンニウスの『年代記』断片.戦時にはローマでは戦争の神の門が開け放たれていた.
*12 つまり,ちゃんとした詩人の詩は,韻律から解き放って語順を入れ替えても,詩としての表現力を持っているということ.「バラバラになった詩人」は,バッコス信女に八つ裂きにされて死んだオルペウスを暗示する.


【2008/08/22 00:49】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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トゥーキューディデース入門

トゥーキューディデースでギリシア語の中級講読にあたる本を2冊:

Blaise Nagy Ed. Thucydides Reader: Annotated Passages from Books I-VIII of the Histories. Newburyport: Focus, 2005.
1-8巻からの学習者用のコメント付きテクスト抜粋.リンクにはサンプルPDFもあります.

H. D. Cameron Ed. Thucydides Book I: A Students' Grammatical Commentary. Ann Arbor: University of Michigan Press, 2003.
これは1巻のみの学習者用コメント.テクストはついていないので,Perseusを使ったり,OCTやLoebなどを別に入手する必要があります.こちらではPDFによる内容を一部みることができます.





【2008/08/21 03:08】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』1巻4歌21b-38

          beatus Fannius ultro
delatis capsis et imagine, cum mea nemo
scripta legat volgo recitare timentis ob hanc rem,
quod sunt, quos genus hoc minime iuvat, utpote plures
culpari dignos. quemvis media elige turba,    25
aut ob avaritiam aut misera ambitione laborat.
hic nuptarum insanit amoribus, hic puerorum;
hunc capit argenti splendor; stupet Albius aere;
hic mutat merces surgente a sole ad eum, quo
vespertina tepet regio, quin per mala praeceps  30
fertur, uti pulvis collectus turbine, ne quid
summa deperdat metuens aut ampliet ut rem.
omnes hi metuunt versus, odere poetas.
'faenum habet in cornu, longe fuge: dummodo risum
excutiat, sibi non, non cuiquam parcet amico,   35
et quodcumque semel chartis illeverit, omnes
gestiet a furno redeuntes scire lacuque
et pueros et anus.' agedum, pauca accipe contra.

          おめでたくもファンニウス*4はすすんで
本のケースと肖像*5を売り出しに持っていきますが,私の
書いたものは,だれも読みません.私は公衆の前で朗読するのが怖いからです,
なぜなら,この種のものを全然喜ばない人がいるからです.というのも,大多数は
非難されるに相応しい人々なのですから.大衆のまっただ中からだれでも好きな人を選べば,
その人は貪欲か,惨めな野心にあくせくしている人なのです.
ある者は,既婚女性への愛に狂い,ある者は稚児への愛に狂っています.
ある者は銀の食器に取り憑かれ,銅像はアルビウス*6を黙らせます.
ある者は日の登る所から,夕日が暖める地域まで,
交易をし,それどころか,災いに中に真っ逆さまに
取り込まれる様は,ちょうど塵がつむじ風に巻き上げられるようです.だが彼がその際
恐れるのは,資産を失いはしないか,財産を増やせないのではないか,ということです.
これらの人々はみな,詩をおそれ,詩人を恐れるのです.
「やつは角に藁をつけている*7,遠くに逃げろ!やつが笑いを
引き出していられるうちは,自分にも,どの友にも容赦はしないぞ,
そしてなんであれ,ひとたび紙に書きなぐったら,
かまどから戻って来たものも水場から戻って来た者も,奴隷でも老女中でもみな,
それを知ることを切望しているのだ*8」さあ,これに対して,少しだけ返事を聞いて下さい.


*4 おそらく実在しない詩人.内容のない詩人として1巻10歌にも登場.
*5 当時の本は巻物であって,円筒の大きい箱にいくつも巻物をいれて運ばれた.肖像は著者近影のようなもの.
*6 不詳.
*7 凶暴な家畜の角には,藁を括って目印にした.
*8 つまり,どうでも些細な人物にまで,自分の書いた物を知って欲しがっているということ.

(2008.08.22訂正)

【2008/08/20 23:41】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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沓掛訳『恋愛指南』入手……

一日遅れで入手しました:

沓掛良彦 訳『オウィディウス:恋愛指南----アルス・アマトリア----』岩波文庫.東京:岩波書店,2008.

 まず頁を開いて,最初の小さなショッックは,行数がついていないこと(笑).以前の樋口勝彦訳にもついていなくて,対訳代わりにつかっているとちょっと不便をしたのですが,ここでもついていないのには何か理由でもあるのでしょうか.
 参考文献がちょっと混沌としています.書き方もたとえば:

Publius Ovidius Naso LIEBESKUNST Herausgegeben und übersetzt von Niklas Holzberg Artemis Verlag München und Zürich (Tusculum), 1985

はさすがにないでしょう.まあ通例なら:

Niklas Holzberg. Publius Ovidius Naso: Liebeskunst. Herausgegeben und übersetzt von. Sammulung Tusculum. München; Zürich: Artemis, 1985.

でしょうね.これは書き方の問題ですが,使っている参考文献が,基本的に2-30年前の研究状態というのも残念です.前の記事(http://litterae.blog8.fc2.com/blog-entry-1463.html)で挙げた注釈がせっかく出ているのに,一つも使われていませんし,KennyのOCTも初版です(今注文すれば最新版が届くのは確かでしょうけど).翻訳に影響がどれぐらいでるかわかりませんが,この本で興味を持ったので,参考文献を集めて原典を読みたいという人には,あまり役に立たない参考文献表です.
 訳文については,原典と比較して読みながら検討しようと思います.ちょっと気がついたところでは,括弧の使い方がへんでした.[ ]はオウィディウス自身の挿入句に使われていて,普通の括弧( )を,訳者の補った言葉につかっていますが,普通は逆にするか,[ ]は---- ----にするとか,そうでなければ訳者の補った部分は注に回すかすべきでしょうね.

 なんだか難癖だらけになってしまいましたが,翻訳があるという事自体のメリットは計り知れないですし,それがこれだけ安価に手にはいるわけですから,大変ありがたい本であることは間違いないですね.


【2008/08/20 19:06】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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『アテネ 最期の輝き』読了

澤田典子『アテネ 最期の輝き』東京:岩波書店,2008.

 読み終わりました.感想を一言でいえば,凄い本です.
 一般に理解されているような,末期アテーナイは民主制の衰退期,という見解はあたっておらず,マケドニアの恩寵による最後の民主制が花開いた時期とみるべき,ということと,この時期の政治的様相をみるにあたっては,当時の弁論家の行動が私情や立身の野心などに基づく要素が相当程度あることを注意すべきで,デーモステネースの反マケドニアの態度を,反マケドニア=民主制の擁護者を真剣に目指した結果とみるべきではなく,真意をこまやかに読み取る必要があること,などを主張されていると理解しました.が,素人の僕がこんな単純なまとめをすると作者の意図を誤解させてしまいそうなので,是非本を手に取って,著者によるデーモステネースをはじめとしたアテーナイの弁論家の動きの追跡のさまを,是非読んでいただきたく思います.
 ともかく,この本は西洋古典学をやるなら,まず最初に読むべき文献の一つといえるでしょうね.ただ歴史的研究の成果というだけでなく,西洋の従来の研究に対して,日本人がどう切り込むべきかというヒントも非常に多くあるように思います.
 やや残念なのは,おそらく一般の読者も視野にいれているせいか,注を殆ど付けられていないことでしょうか.とりあえず章ごとにまとめられている文献表で追えないことはないですが,できれば,他の学者の意見などの出典を注にいれておいて下さると,この分野の研究を志す学習者には便利ではあったかなあと思います.

 最後に,著者の出されている雑誌論文と,著者の指導教官であったRaphael Sealey教授の,これも興味深い著書を:

Noriko Sawada. "Athenian Politics in the Age of Alexander the Great: A Reconsideration of the Trial of Ctesiphon." Chiron 26 (1996): pp.57-84.

Raphael Sealey. Demosthenes and His Time: A Study in Defeat. Oxford: Oxford UP., 1993.



【2008/08/20 02:12】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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知泉書館

  知泉書館 http://www.chisen.co.jp/index.html

この出版社のカタログをみると,驚くべき数の中世・キリスト教関係の著作があってびっくりです.なにより注釈の類も結構あるのがすばらしいです.中にはこのような対訳版も:

トマス・アクィナス著 長倉久子・松村良祐訳註『自然の諸原理について <ラテン語対訳版>兄弟シルヴェストゥルに』東京:知泉書館,2008.

ラテン語の対訳付き注釈です.こういう本が西洋古典学で登場するのを,今か今かとまっていたのですが,完全に先を越されてしまいました.まあこれが日本における学問の勢力差というものなのでしょうか…….


【2008/08/19 02:58】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) | 記事修正

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『アルス・アマトリア』いよいよ明日発売

ついに明日発売にまで近づいたので,再掲します:

沓掛良彦 訳『オウィディウス:恋愛指南 アルス・アマトリア』岩波文庫.東京:岩波書店,2008年8月19日(出版予定).

この翻訳を頼りに,今『アルス・アマトリア』をラテン語で読むとすると,次の本文があります:

E.J. Kenney. P. Ovidi Amores Medicamina Faciei Femineae Ars Amatoria Remedia Amoris. OCT. 2nd Ed. Oxford: Clarendon Press, 1994. Reprinted with corrections. 2005. [同じ校訂者でも,初版はかなり違うので,古書で買う時には注意!]

Antonio Ramírez de Verger Ed. Ovidi Carmina Amatoria. Bibliotheca Scriptorum Graecorum et Romanorum Teubneriana. Editio Altera. München: Saur, 2006.

Loebなどの訳書は省きます.

注釈は各巻それぞれに出そろったところですね:

第1巻:
A.S. Hollis Ed. Ovid: Ars Amatoria: Book 1. Edited with an Introduction and Commentary by. Oxford: Oxford UP., 1977.

第2巻:
Markus Janka. Ovid: "Ars amatoria" Buch 2: Kommentar. Wissenschaftliche Kommentare zu griechischen und lateinischen Schriftstellern. Heidelberg: Winter, 1997.

第3巻:
Roy K. Gibson. Ovid: Ars Amatoria: Book 3. Cambridge Classical Texts and Commentaries. Cambridge: Cambridge UP., 2003.


そのほか抜粋による中・上級講読は:

Paul Murgatroyd. Ovid with Love : Selections from Ars Amatoria Books I and II. Wauconda: Bolchazy-Carducci, 1982.

Graves Haydon Thompson. Ovid: Selections from Ars Amatoria and Remedia Amoris. 1952. Reprint. Wauconda: Bolchazy-Carducci, 1997.




【2008/08/18 20:32】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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『談話集』6歌まで

『談話集』のほう,読むのは6歌までなんとか読み終わりました.7歌からあとはやや短めなものばかりで,8歌はクロアシさんが翻訳されていますから,大分気が楽になりました.白眉はやはり5歌と6歌でしょうか.6歌は父親へのオマージュで,なんだかほろりとくる詩ですね.5歌はなかなか楽しい旅行です.この旅行にはウェルギリウスまで登場するので,なんだか壮観な感じもしますね.ホラーティウスが思わず失笑するような失敗もやらかすところも楽しいです.


【2008/08/18 03:28】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『談話集』1巻4歌1-21a

Eupolis atque Cratinus Aristophanesque poetae
atque alii, quorum comoedia prisca virorum est,
si quis erat dignus describi, quod malus ac fur,
quod moechus foret aut sicarius aut alioqui
famosus, multa cum libertate notabant.    5
hinc omnis pendet Lucilius, hosce secutus
mutatis tantum pedibus numerisque, facetus
emunctae naris, durus componere versus.
nam fuit hoc vitiosus: in hora saepe ducentos,
ut magnum, versus dictabat stans pede in uno. 10
cum flueret lutulentus, erat quod tollere velles;
garrulus atque piger scribendi ferre laborem,
scribendi recte; nam ut multum, nil moror. ecce,
Crispinus minimo me provocat: 'accipe, si vis,
accipe iam tabulas; detur nobis locus, hora,  15
custodes; videamus, uter plus scribere possit.'
di bene fecerunt, inopis me quodque pusulli
finxerunt animi, raro et perpauca loquentis;
at tu conclusas hircinis follibus auras
usque laborantes, dum ferrum molliat ignis,  20
ut mavis, imitare.

エウポリスとクラティーヌスとアリストパネース*1といった詩人と
さらに他の,古い喜劇を書いたところの人々は,
もし,役立たずや泥棒,姦夫や殺し屋や別の点で
悪名高いものであって,書かれるに相応しい人がいれば,
そのような者を全く自由に彼らは描き批判したのです.
これらの作者に,ルーキリウス*2は全く依存しており,これらの作者に追従して
詩の韻律だけを変えたのです.彼は機智たっぷりに,
抜け目なかったのですが,詩を拵えるには荒っぽかったのです.
というのも,次の点で欠点があったのです.彼はしばしば,一時間に200行も,
それが凄いことだとばかりに,片足で立ったままで*3詩を口述したものでした.
詩は淀んで流れるので,削りたくなるようなものもありました.
彼はおしゃべりで,詩を書く苦労を耐えるには怠け者です----
正しく書く苦労にはですが.なぜなら,沢山書いたにしても,私は全然評価しないので.ご覧ください,
クリスピーヌスがつまらぬことで私に挑んだとしましょう:「取るがいい,もしその気があれば,
さあ書板を取るがいい.我々は場所と時間を決め
審査員を置こう.どちらがより沢山書く事ができるか,見ようではないか」
神々は,有り難いことに,私を乏しくちっぽけな
心意気の者,滅多に,また僅かしかしゃべらない心意気の者と拵えて下さいました.
一方,あなたは,鉄を日で溶かす間,
ずっと山羊革のふいごに空気を詰め込む仕事をする者らを,
好きでまねているのですが.


*1 三者とも前5世紀に活躍した古喜劇の有名な作者.
*2 前180年頃-103年頃の詩人で,エンニウス(前239年-196年)に続いてサトゥラを書く.
*3 たやすさを示す表現.日本語では「朝飯前」の表現に近いか.

(2008.08.22訂正)

【2008/08/18 03:09】 Horatius Sermones | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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トゥーキューディデースを読む

10月2日から4回,久保正彰先生が岩波市民セミナーでトゥーキューディデースについての講演をされるそうです.詳しくは

  http://www.iwanami.co.jp/seminar/citizens/081002.html

を参照ください.ちなみに参考文献になるかどうかわかりませんが:

久保正彰『ギリシァ・ラテン文学研究 : 叙述技法を中心に』東京 : 岩波書店,1992.

の後半がまるまる「ツキジデス『戦史』における叙述技法の諸相」となっています.これのほか,珍しく古典的基本文献の翻訳も:

コーンフォード著 大沼忠弘・左近司祥子 訳『トゥーキューディデース 神話的歴史家』東京:みすず書房,1970.(原著:F.M. Cornford. Thucydides Mythistoricus. London: Edward Arnold, 1907.)

しかし一番読むべきはトゥーキューディデースのギリシア語本文でしょうね.まだ読んだ事がなくても,週に1巻ずつよめば開講時までに大半読み終わる計算になります.古典学徒なら石にかじり付いても挑戦すべきでしょう.僕はとてもそんなことはできそうにありませんが…….


【2008/08/18 00:56】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) | 記事修正

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買えそうもないのでこれで我慢

Hans-Christian Günther Ed. Brill's Companion to Propertius. Leiden: Brill, 2006. $323.00(!).
Christina Shuttleworth KrausによるBMCRの書評

Brillってどうしてこんな値段になるのでしょうね.到底買える値段ではないので,書評で我慢するしかありません.


【2008/08/17 23:34】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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