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古書渉猟の季節

大学を離れる人などが蔵書を整理してくれるので,この時期は古書を集めるにはなかなかいい季節です.今日はこんな本などをほぼ1000引きで入手.

ローレンス・ケッピー(小林雅夫・梶田知志 訳)『碑文から見た古代ローマ生活誌』東京:原書房,2006.(原著:Lawrence Keppie. Understanding Roman Inscriptions. Baltimore: Johns Hopkins UP., 1992)

原著は買ったら4-5千円.日本語訳で2500円が1500円ほどで入手できたというのはかなりありがたい話です.多分読む暇もなく無事卒業された方の蔵書だったのでしょう,ほぼ新刊本の状態です.
 もっとも,いろいろ書き込みのある古書も僕は大歓迎だったりします.たまに大学者の蔵書に行き当たると,いろいろ考えながら読んでいるのがわかって,勉強の仕方の勉強にもなります.
 内容についてはまた後ほど書くと思いますが,豊富に実例があって,拾い読みするだけでも面白いですね.著者は欧米の学者らしく,「その銘文を読み解く作業には必ずしも大学レベルのラテン語が必要なわけではない」(p.19)と書かれているように,我々が興味をもって碑文に接してゆけるように,わかりやすさのために腐心されて書かれているようです.もっとも,これは小林雅夫・梶田知志両氏による非常にこなれた翻訳技術にもよるのでしょう.拙サイトも見習わねば…….

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【2008/03/31 18:49】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ファイル訂正

カトゥッルス64の対訳ファイル,途中抜けていたりみにくかったりしたので,作り直しました.まだ原文や訳そのものにはあまり手は入れていないですが,ぼちぼち直していきたいと思います.


【2008/03/31 15:32】 Catullus | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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OCTプロペルティウスその後

あまり読む気がしないので,机から本棚に入れようとしたところ,ちょっとした(どうでもいい)発見が…….一応,中と表紙のタイトルは,

  SEXTI PROPERTI ELEGOS

となっているのですが,背のところをみると,

  Properti ELEGI

となっています.カバーを外しても同じでした.ELEGOSはギリシア語の元の形でしょうけど,背のELEGIはその複数(あるいは単数属格?)でしょうか.まあどちらでも間違いではないのでしょうけど,背と本タイトルが違うというのはなんだか不思議です.理由は英語の序文の中に書いてあるのかもしれませんが,なんだか面倒くさくて見る気になれません.いつかまたそのうち…….


【2008/03/28 12:16】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻16歌73-79(完結)

vir bonus et sapiens audebit dicere: 'Pentheu,
rector Thebarum, quid me perferre patique
indignum coges?' 'adimam bona.' 'nempe pecus, rem, 75
lectos, argentum: tollas licet.' 'in manicis et
compedibus saevo te sub custode tenebo.'
'ipse deus, simul atque volam, me solvet.' opinor,
hoc sentit. 'moriar.' mors ultima linea rerum est.

善良で賢い人は,敢えてこういうだろう.「ペンテウス*9よ,
テーバイの支配者よ,どんな不名誉を私が耐え被ることを
強いるのでしょうか?」「財産を奪おう」「家畜,金銭,
寝台,食器のことでしょうね.取って行ってかまいません」「手枷と
足枷につないで,厳しい見張りのもとに置こう」
「神ご自身が,私が望めばすぐに,私を解放するでしょう」思うに,
これはこの意味である:「私は死にましょう」死は物事の終着点である.

*9 テーバイの王.信者を増やしていた神ディオニューソスを捕えるが,鎖は解放され(あるいは惑わして馬を縛らせ),その後王宮は崩壊する.その後,キタイローン山での狂乱の儀式を覗き見に行くが,狂乱した母や姉妹に八つ裂きにされる.


【2008/03/28 11:31】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻16歌57-72

vir bonus, omne Forum quem spectat et omne tribunal,
quandocumque deos vel porco vel bove placat,
'Iane pater!' clare, clare cum dixit 'Apollo!'
labra movet metuens audiri: 'pulchra Laverna,  60
da mihi fallere, da iusto sanctoque videri,
noctem peccatis et fraudibus obice nubem.'
qui melior servo, qui liberior sit avarus,
in triviis fixum cum se demittit ob assem,
non video. nam qui cupiet, metuet quoque; porro, 65
qui metuens vivet, liber mihi non erit umquam.
perdidit arma, locum Virtutis deseruit, qui
semper in augenda festinat et obruitur re.
vendere cum possis captivum, occidere noli;
serviet utiliter: sine pascat durus aretque,    70
naviget ac mediis hiemet mercator in undis,
annonae prosit, portet frumenta penusque.

善き人とやらは,フォルムの全見物人と全法廷が見る時は,
豚や牛を捧げて神々をなだめる時にはいつも,
「父たるヤーヌス!」「アポッロー!」と大声で言ってから,
聞かれるのを恐れつつ,唇を動かすのだ:「麗しきラウェルナ様*7
私が人を欺けるよう,公正で罪に汚れぬように見えるようにしたまえ,
罪には夕闇を,詐欺には雲を覆いかぶせんことを」
どの点で貪欲な者が奴隷よりましで,どの点で自由なのか,
道ばたにくっ付けた1アス銭を拾おうと,彼が身を屈める時に*8
僕は分からなくなる.なぜなら,欲する者はまた恐れもするだろうから.さらに,
恐れつつ生きる者が自由であるようには,僕には決して思えないだろう.
財を殖やすに急ぎ,耽溺する者は,
武器を失い,美徳の位置を捨てたことになるのだ.
もし捕虜を奴隷に売る事ができるなら,殺すのは止めておきたまえ.
便利に役立つだろうから.丈夫な者には放牧させ,耕させ,
商人として航海させ,海のまっただ中で冬を越させ,
食料価格の値下げに貢献させ,穀物と食料備蓄品を運ばせたまえ.

*7 泥棒の神.
*8 道に硬貨を貼付け,それを拾おうとする人をだまして嘲笑するという子供の遊びがあったらしい.


【2008/03/28 10:14】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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もう一息が大変……

 ホラーティウス『書簡集』もなかなか難しいです.昔読んだ時のメモなどは結構読み間違えていたりして,何をやっていたのやら,という感じです.
 難しい理由の一つは,連辞省略(asyndeton)が多くて,話のつながりを常に気にしていなければいけないことです.語彙などは案外簡単で,逆に安心して読み間違えていることも多いです(笑).しかし,正しく話のつながりが見えると,なかなか説得力のあるモラル談義で,非常に面白いです.翻訳でうまくそれが出せるといいのですが,なかなかそうはいかないですね.是非ともプロの翻訳が欲しい所です.


【2008/03/28 09:51】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻16歌39-56

falsus honor iuvat et mendax infamia terret
quem nisi mendosum et medicandum? vir bonus est quis? 40
'qui consulta patrum, qui leges iuraque servat,
quo multae magnaeque secantur iudice lites,
quo res sponsore et quo causae teste tenentur.'
sed videt hunc omnis domus et vicinia tota
introrsum turpem, speciosum pelle decora.       45
'nec furtum feci nec fugi' si mihi dicit
servus, 'habes pretium: loris non ureris' aio.
'non hominem occidi.' 'non pasces in cruce corvos.'
'sum bonus et frugi.' renuit negitatque Sabellus.
cautus enim metuit foveam lupus accipiterque     50
suspectos laqueos et opertum miluus hamum.
oderunt peccare boni virtutis amore:
tu nihil admittes in te formidine poenae;
sit spes fallendi, miscebis sacra profanis.
nam de mille fabae modiis cum surripis unum,      55
damnum est, non facinus, mihi pacto lenius isto.

偽りの名誉が喜ばせ,嘘の不名誉が脅かすものは,
嘘つきで治療されるべき者以外の誰であろうか?善き人とは誰のことか?
「元老院議決を守り,法律と裁判を守る者で,
その者が裁判官となっては,多くの重大な諍いが仲裁され,
保証人となっては財産が保たれ,そして証人となっては裁判に勝つ者だ」
しかし,家の皆が,また近隣皆が,この者の
内側が醜く,外面は奇麗な皮をしているのを見ている.
「私は盗みもした事はないし,逃亡したこともありません」もし僕にこう
奴隷が言えば,「褒美をとるがいい,お前は鞭打ちで焼かないでおこう」と言おう.
「人を殺めたことはありません」「磔台で鴉の餌になることはなかろう」
「善良で倹約しています」サベッリーの人*4は違うといい,否定し続けるだろう.
なぜなら,用心深い狼は罠を,鷹は
疑わしい括り罠を,ホウボウ*5は隠された餌を恐れるものだ.
善き人は,美徳への愛故に罪を犯すことを憎むもの.
お前はといえば,いかなる罪も犯さぬのは,罰を忌み嫌うが故だ.
誤摩化せる望みがあるとすれば,君は正邪を混同させることだろう.
実際,100樽の豆のうち,1樽を掠めとるなら,
お前の所行においては,私には損害は僅かだが,悪事は僅かなものじゃあないぞ,とね*6


*4 サビーヌム近郊に住む部族.厳しいモラルを持っていたとされる.
*5 魚の一種.
*6 ここまで49行のサベッリー人の見解.


【2008/03/28 09:35】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス入門

Bernhard Kytzler. Horaz: Eine Einführung. Universal-Bibliothek. Stuttgart: Reclam, 1996.

 手頃で多分一番短いホラーティウス入門です.ドイツ語の復習がてら読んでいる最中です.ドイツ語が得意ならおすすめ,そうでない方にも,ドイツ語の勉強に大変いい読み物だと思います.
 しかしこんなのもマンガになると,面白くて勉強しやすいだろうなあと思います(本気で).


【2008/03/27 22:18】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻16歌17-38

tu recte vivis, si curas esse, quod audis.
iactamus iampridem omnis te Roma beatum.
sed vereor, ne cui de te plus quam tibi credas,
neve putes alium sapiente bonoque beatum,  20
neu, si te populus sanum recteque valentem
dictitet, occultam febrem sub tempus edendi
dissimules, donec manibus tremor incidat unctis.
stultorum incurata pudor malus ulcera celat.
si quis bella tibi terra pugnata marique    25
dicat et his verbis vacuas permulceat auris,
'tene magis salvum populus velit an populum tu,
servet in ambiguo, qui consulit et tibi et urbi,
Iuppiter,' Augusti laudes agnoscere possis:
cum pateris sapiens emendatusque vocari,   30
respondesne tuo, dic, sodes, nomine? 'nempe
vir bonus et prudens dici delector ego ac tu.'
qui dedit hoc hodie, cras, si volet auferet, ut, si
detulerit fascis indigno, detrahet idem.
'pone, meum est' inquit: pono tristisque recedo. 35
idem si clamet furem, neget esse pudicum,
contendat laqueo collum pressisse paternum,
mordear opprobriis falsis mutemque colores?

君は正しく生きられるだろう,もし君の評判どおりであるようにすれば.
我々全ローマは,ずっと前から君を幸福な者と呼ばわっている.
しかし,僕が恐れるのは,君についての事を君自身以上に誰かを信じたり,
賢人・善人以外の誰かを幸福な者と思ったりするのじゃないかということだ.
あるいは,人々が君が健康で全く元気でいると
言い回っている時,熱が出ているのを食事の時まで隠して
ごまかし,ついには油の付いた手*3に震えが来たりするのじゃないかと.
愚者特有の勘違いした羞恥心は,傷を手当てせぬまま隠すもの.
もし誰かが大地に海に君が戦った戦争を
語り,そしてこんな言葉で空っぽの耳をくすぐるとすると:
「市民があなたの健康を欲する度合いが大きいか,あなたが市民のそれを欲する度合いが大きいか,
あなたとローマとを気遣って下さる方,ユッピテル様が決めずにおられんことを」
アウグストゥスへの賛辞だと,君は認めることができよう.
だが,君が人に,賢明かつ欠点を克服した人,と言われた時,そうしておいてから,
君は,友よ,自分の名前を言って,そうだと答えるのではないかね?「確かに
僕は善良で賢明なる者と呼ばれる事を喜ぶが,それは君と同じだ」
これを今日与えた者は,明日は,もし取り除こうと思えば,ちょうど
相応しからぬ者から束桿を取り返すときのように,その当人が取り去ることだろう.
「置くがよい,私のものだ」彼は言う.僕は置いて,悲しく引き下がることになる.
同じ者が,もし泥棒呼ばわりし,貞節を否定し,
父親の首を縄で絞め殺したと言い張るなら,
僕はこの偽りの非難によって苛まれ,顔色を変えるだろうか?

*3 ローマ人は手で食事をしていた.


【2008/03/27 21:59】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻16歌1-16

Ne perconteris, fundus meus, optime Quinti,
arvo pascat erum an bacis opulentet olivae,
pomisne an pratis an amicta vitibus ulmo,
scribetur tibi forma loquaciter et situs agri.
continui montes, ni dissocientur opaca     5
valle, sed ut veniens dextrum latus aspiciat sol,
laevum decedens curru fugiente vaporet.
temperiem laudes. quid si rubicunda benigni
corna vepres et pruna ferant? si quercus et ilex
multa fruge pecus, multa dominum iuvet umbra? 10
dicas adductum propius frondere Tarentum.
fons etiam rivo nomen idoneus, ut nec
frigidior Thracam nec purior ambiat Hebrus,
infirmo capiti fluit utilis, utilis alvo.
hae latebrae dulces et, iam si credis, amoenae, 15
incolumen tibi me praestant Septembribus horis.

僕の土地が,最も優れた者たるクィンティウスよ,
畑で主人を食わせているのか,それともオリーブの実が豊富なのか,
果物,それとも牧草地,それとも葡萄を纏った楡が豊富なのかと,尋ねたりせぬよう,
畑の外観と状態をはっきりと君に書くとしよう.
もし暗い谷が遮っていなければ,一連の山々だ,
だが,日の出には右側を太陽が照らし,
日が車を走らせ去る時には,左側が熱くなる.
温和な気候を君は讃えるだろう.茨では気前よく
赤いセイヨウサンシュユとスモモがとれるならどうだね?オークとヒイラギ*1
沢山の実で家畜を喜ばせ,沢山の日陰で主人を喜ばせるとしたらどうだね?
君は青々と茂るタレントゥム*1が近くに来たと言うことだろう.
その河は泉という名にすら相応しく,
トラキアを流れ巡るヘブルス川もそれより冷たく澄んではいないほどだ.
それは病弱な頭にも効き目があり,その効き目は病弱な腹にもある.
この甘美で,そして,もし信じてくれればの話だが,心地よい隠遁の地は
九月の季節でも,君,僕の健康を害さずに保ってくれるのだよ.

*1 クリスマスなどに飾られる,刺の多い葉と赤い実の着いた低木樹.
*2 カラブリアの町.イタリアを靴とすると,ハイヒールの踵の内側の一番上.


【2008/03/27 08:40】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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時計じかけのオレンジ

某大学某研究科近辺ではカルト的な位置を占めているといわれるLupa saevaさんのブログでナッドスタット語がちょっと出てきたので:

アンソニ・バージェス(乾信一郎訳)『時計じかけのオレンジ』アントニイ・バージェス選集.東京:早川書房,1980.

 内容は一言で言えば,未来世界で暴力に明け暮れる一方,クラシック音楽の熱烈な愛好者である若者の冒険談で,いわゆる悪漢小説になるのでしょうか.特筆すべきは,ロシア語の混じった独特の若者言葉であるナッドスタット語で,1人称小説である地の文からして,このナッドスタット語が使われ,作品は異様なアナーキーさに溢れた者になっています.
 ストーリーを簡単に説明すると,主人公アレックスは,暴力行為に明け暮れていたある日,仲間に裏切られて収監され,政府が進めるルドビコ法なる新更正法で,暴力シーンが現れると強制的に嫌悪感で苦しむようにされてしまいます.しかも,その時のBGMのおかげで,好きなクラシック音楽にすら苦しむようになるというおまけ付き.釈放後,さんざんな目にあった後に,彼が以前奥さんを死に追い込み,本人も車いす生活にした,反政府活動家の家にたどり着き,介抱されるものの,後に本人と分かり,自殺するようにしむけられます.すなわち,鍵のかかった部屋のなか,大音量のクラシック音楽の中で苦しみ,最後に窓から飛び降り自殺をはかります.大けがするものの幸い助かり,政府によって,反政府側からの批判への対抗のため,治療の時にルドビコ法を解かれて,元通りにもどり,政府のおかげで好きなだけ音楽が聞ける図書館司書となります.その後,彼は音楽の趣向もかわり,恋人を探そうとするところで終わります(ここが最終章).

これの映画版が:

『時計じかけのオレンジ 』スタンリー・キューブリック監督マルコム・マクドウェル主演.ワーナー,1971公開. DVD.ワーナー・ホーム・ビデオ,2006.

 まあ面白いうちには入りますが,原作のほうが数倍面白いです.それから,映画では最終章がカットされている版に従っていて,印象もあまりよくありません.キューブリックファンには欠かせない一作でしょうが,日本では凄く不評だったらしいです.映画のほうでは,当時はまだ新しかったシンセサイザーをつかったクラシック音楽が使われていて,こちらの方も面白かったですね.ボコーダーを使ったベートーヴェンの第九もなかなかいいものでした.作曲者ワルター・カーロス氏はその後性転換してウェンディ・カーロスさんになりました.サイトは:

  http://www.wendycarlos.com/

 考えてみると本当に読みふけった小説は高校時代はこれ一冊ぐらいしかありません…….文系とは思えないぐらい,文学には縁がなかった人間が,なぜラテン語なぞやっているのか全く自分でも理解できません.


【2008/03/26 21:56】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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聖書いろいろ

拙ブログとはあまり接点はありませんが:

  Multilingual Bibles

多国語聖書テクストで,検索可能です.ラテン語vulgataもあります.chatbrunさんのブログFESTINA LENTEより転載.


【2008/03/26 20:57】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ハーバードのサイト

『書簡集』ももう少しでおしまいですね……多分四月に入るとおもいますが.
 終わったら,もう少し多彩な韻律を楽しんでいただきたいので,『歌集』第2巻に移ろうと思います.多分その後で『談話集』(sermones)でしょうね.

さて,探し物をしていたら,こんな凄いサイトを発見してしまいました.

  HARVARD'S CENTER FOR HELLENIC STUDIES

いや,どこに動いても,凄い内容ばかり(例えばhttp://zeus.chsdc.org/chs/online_books_list).

それから,ここからも色々なサイトに移動できます:

  http://www.stoa.org/

こういう「すばらしい」を通り越した別世界のサイトを見ると,日本の学術研究も,もっと創造的なWebの活用を模索すべきだと思う今日この頃ですね.うちのブログも人の事は言えないレベルで申し訳ないのですが…….


【2008/03/26 18:45】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻15歌26-46(完結)

Maenius, ut rebus maternis atque paternis
fortiter absumptis urbanus coepit haberi,
scurra vagus, non qui certum praesepe teneret,
impransus, non qui civem dinosceret hoste,
quaelibet in quemvis opprobria fingere saevus, 30
pernicies et tempestas barathrumque macelli,
quidquid quaesierat, ventri donabat avaro.
hic ubi nequitiae fautoribus et timidis nil
aut paulum abstulerat, patinas cenabat omasi
vilis et agninae, tribus ursis quod satis esset;  35
scilicet ut ventres lamna candente nepotum
diceret urendos, correctus Bestius. idem
quidquid erat nactus praedae maioris, ubi omne
verterat in fumum et cinerem, 'non hercule miror'
aiebat 'si qui comedunt bona, cum sit obeso   40
nil melius turdo, nil vulva pulchrius ampla.'
nimirum hic ego sum. nam tuta et parvula laudo
cum res deficiunt, satis inter vilia fortis;
verum ubi quid melius contingit et unctius, idem
vos sapere et solos aio bene vivere, quorum   45
conspicitur nitidis fundata pecunia villis.

マエニウス*11は,父母の財産を
勇敢にも散財して後,酔狂人と思われるようになってからは,
定まった餌場をもたぬ,無頼の食客として,
食うに事欠くと市民を敵と区別せず,
手当たり次第に誰にでも激しく醜聞をでっち上げ,
破滅,災害,底なしの胃袋となり,
なんでも得たものは,貪欲な腹に贈呈したのであった.
この者がその悪行を擁護する者らや,恐れるものらから,何一つ,
あるいは僅かしか奪い取れない時は,三頭もの熊でも満腹する量の,
安い牛の内臓や,羊肉の鍋で食事をした.
そうして実に,放蕩者の腹は熱した鉄板で
焼きを入れるべきだ,と,改心したベースティウス*12よろしく,のたまった.
もっと大きな獲物を何でも手に入れると,全てを
灰燼に帰せしめた後に,「やれやれ,わしは驚かん」
と言った,「誰かが財産を食い尽くしたとしても,だって太らせた
ツグミよりも美味い物はなく,大きな豚の子宮よりも立派なものはないからね」
疑いなく,僕はこの手のやつだ.なぜなら,物がない時には
確実で小さいものを礼賛し,倹しい中に十分たくましく生きている.
しかし,もしもっとましで贅沢な物がたまたま手に入れば,同じ自分が
ピカピカの別荘からつぎ込まれた資金が伺えるような
君らだけが,物が分かっていてよく生きられる,と言うわけだから.

*11 ルーキーリウスの諷刺詩に登場する道楽者.
*12 同じくルーキーリウスの諷刺詩に登場するらしいが,不詳.


【2008/03/26 18:27】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻15歌1-25

Quae sit hiems Veliae, quod caelum, Vala, Salerni,
quorum hominum regio et qualis via (nam mihi Baias
Musa supervacuas Antonius, et tamen illis
me facit invisum, gelida cum perluor unda
per medium frigus; sane murteta relinqui,     5
dictaque cessantem nervis elidere morbum
sulpura contemni vicus gemit, invidus aegris,
qui caput et stomachum supponere fontibus audent
Clusinis Gabiosque petunt et frigida rura.
mutandus locus est et deversoria nota      10
praeteragendus equus. 'quo tendis? non mihi Cumas
est iter aut Baias' laeva stomachosus habena
dicet eques; sed equi frenato est auris in ore),
maior utrum populum frumenti copia pascat,
collectosne bibant imbris puteosne perennis   15
dulcis aquae (nam vina nihil moror illius orae;
rure meo possum quidvis perferre patique;
ad mare cum veni, generosum et lene requiro,
quod curas abigat, quod cum spe divite manet
in venas animumque meum, quod verba ministret, 20
quod me Lucanae iuvenem commendet amicae),
tractus uter pluris lepores, uter educet apros,
utra magis piscis et echinos aequora celent,
pinguis ut inde domum possim Phaeaxque reverti,
scribere te nobis, tibi nos accredere par est.    25

ウェリア*1の冬はどんなか,ワーラ*2よ,サレルヌム*3の天気はどんなか,
どんな人々が住む地域か,どのような道路か??というのも,僕にはバイアエ*4
無用ということにしたのはアントーニウス・ムーサ*5だが,それなのに,やつは彼らに
僕の方が嫌われるようにしたのだ,僕が寒中まっただ中
冷水を浴びることでね.実際,天人花の森から人が離れ,
そして神経から慢性病を追い払うと言われている
硫黄泉が軽んじられることを,その村は嘆いている.そうして憎んでいるのだ,
頭と胃をクルーシウム*6の泉に敢えて浸け,
ガビイー*7の寒村に赴く病人らのことを.
僕は場所を変えねばならないし,よく知る宿も
馬でやり過ごさねばならない.「どこに行くんだ?俺の行き先は
クーマエ*8やバイアエではないぞ」立腹して左の手綱をひきつつ,
御者は言うだろう,馬の耳は轡をはめた口にあるのだがね*9??
養っている穀物が多いのはどちらの民か,
彼らは雨水を集めて飲むのか,それとも永久に湧く人口泉の
甘い水を飲むのか??というのも,僕は彼の地の葡萄酒はいけないのだ.
僕の田舎じゃ何でも我慢して耐えるのだが.
海に行ったら,僕は高貴で口当たりよいやつを所望するのだ,
心労を追い出し,豊かな望みとともに,
僕の血管と心を潤し,言葉を供しては
僕を若々しくしてルーカーニア*10の彼女に気に入らせるようなやつをね??
どちらの地が兎を,どちらの地が猪を多く産するのか,
どちらの海が沢山魚とウニを隠しているのか,ということを,
僕が太ってパエアークス人*11になって家に帰れるようにするには,
君の方は僕に書いてよこし,僕の方は君を信じるのがよいだろう.

*1 ルカーニアの海岸沿いの村.下のサレルヌムから約50kmほど南.
*2 不詳.
*3 現サレルノ(Salerno).
*4 現ナポリの東側20kmほどのところの海岸の町.当時の観光地.
*5 冷湿布でアウグストゥス帝を救った医者.
*6 ペルージアから30kmほど西の村.
*7 ローマとプラエネステの間の村.
*8 バイアエのやや北.
*9 つまり,馬は通い慣れた方に曲がろうとしているということ.「馬の耳は轡をはめた口にあるのだがね」というのは,馬は手綱で言う事を聞くだけで,御者の喋っていることはどのみち馬には分からないのだが,ということ.
*10 イタリアの靴の甲の部分.
*11 オデュッセイアに登場する人々.贅沢の代名詞とされた.


【2008/03/20 15:17】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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論文の書き方

前にも書いているのですが,たまたま棚の整理で出てきたので:

山内志朗『ぎりぎり合格への論文マニュアル』平凡社新書.東京:平凡社,2001.

そろそろ卒業論文が気になる頃,という方もいると思うので…….
 卒業論文の書き方の本は沢山ありますが,これといって凄く良い本はあまりないです.そもそも,最先端の研究をやっている論文書きのプロとでもいうべき方々は,忙しいのと,どのみち重要なノウハウは一般化して本にできるわけがないことを知っているので,こういったマニュアルを出さないですしね.また,出ている論文指南書の中には,参考文献表の書き方がおかしかったりするものもあります(こんなの参考にしたら大変なことになります).時におもしろおかしく書こうとしたのか,先生と生徒の対話形式だったり(うっとうしくて読んでられない……)しますが,これを切羽詰まった時に読んだら頭がパニック状態になるでしょうね.
 山内志朗氏のこの本はコンパクトで,かつ文章が簡潔.訳の分からないノウハウを書いていないし,何より面白いです.参考文献の書き方も,短いながら,推奨できるものを教えてくれています.一冊読むとすれば,これをおすすめします.
 どのみち,論文はその分野の研究方法論や研究史を知っていなければ書けないものですし,各分野で色々慣行が違っていたりもします.結局いい卒業論文を書くコツは,卒業論文を一度書いてみることだったりするので(笑),その道の大学院生の方々などに教えていただくのがベストですね.ちょっとしたテクニックなんかも,こういった方々は知っていて,つまらないことでも作業が凄くはかどったりするものです.
 まあともかく,卒業論文これから書く方は,めげずにがんばって下さい.指導を請われる方々は,辛抱強く教えてあげて下さいますように.


【2008/03/20 11:17】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ビオーン『アドーニス追悼』28-39

相変わらずのろのろと……

  ビオーン『アドーニス追悼』28-39


【2008/03/17 22:27】 Bion | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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New OCT Propertius

ついにお待ちかねのOCTプロペルティウス.前回のBarber (2nd Ed. 1960)から48年ぶりです.

S.J. Heyworth Ed. Sexti Properti Elegos. Critico Apparatu Instructos Edidit. Scriptorum Classicorum Bibliotheca Oxoniensis. Oxonii: E typographeo Clarendoniano, 2007.


 フォーマットなど「普通のもの」とちょっと違って,あれっとおもうところもありますが,思ったよりはおとなしいテクストかもしれませんね.

外見でいえば,詩の番号は横付け.

            VII
  Dum tibi Cadmeae dicuntur, Pontice, Thebae
      ....

と普通はなりそうですが,

  Dum tibi Cadmeae dicuntur, Pontice, Thebae vii
      ....

となっています.あと,写本で詩の区切りがはっきりしないという事態がよくあるため,詩の最後の行と見なされるものの終わりに⊗をつけています(よくHTML実体参照にあったものです……それともHTML参照でも使えるからこの記号を選んだのでしょうか).例えば:

   uiuere me duro sidere certus eris. ⊗

という感じです.あと,改竄部として,本文中から削除されるべきとされたものは,本文から取り出して,詩の終わりの後に[ ]に入れて書いているなど,これもちょっと変則的です(が,読みやすいといえば読みやすいです).

主要写本は,これはここ四半世紀ほどの調査によって,参照すべきものが大幅に変わっています(一番上のほうは変わっていないようですが).

それから,この新OCT版も,序文は英語で書かれています.批判は色々あると思いますが,プロペルティウスほど複雑な写本事情をラテン語で書くことに意味があるかどうかという気もするので,(ラテン語のできない)僕としては有り難いと思います.

誤植は早速見つけました(入手15分後ほど):
 本文じゃないですが,表紙カバーの裏のところ,citation ofとあるべきところがcitationofになっています.
 p.168ですが,詩の番号がviとあるべき所,vに間違えています.これはこのフォーマットにしたせいで見つからなかったのでしょうね……(下手に新しい事をすると危険という教訓かも).

このルーズな僕が見つけられるぐらいですから,もっと沢山ありそうですね…….

ところで,序文のp. lvxiのAcknowledgementを見ると……な,なんと,上で書いた,「ここ四半世紀ほどの精査」を,Heyworthと並んでやっていたJames Butrica氏(*1)が,ごく最近お亡くなりになってしまったことが書かれていました.このOCT版はButrica氏に多大な恩恵をこうむっているそうです.おそらくButrica氏自身も,独自に校訂本を用意していたと思われるのですが,これは本当にとんでもないプロペルティウス研究上の損失でしょう.冥福をお祈りします.


*1 James L. Butrica. The Manuscript Tradition of Propertius. Phoenix Supplementary Volume xvii. Toronto; Buffalo; London: U. of Toronto Press, 1984.


【2008/03/16 18:24】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ビオーン『アドーニス追悼』15-27
ちょっとだけ先に進みました.しかしシンプルながら,繰り返しの妙があって,一種独特のメランコリーが漂う詩ですね.

  http://blog-imgs-40.fc2.com/l/i/t/litterae/Bion_Adonis.html



【2008/03/16 15:17】 Bion | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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地中海学会

これも西洋古典語学のお得意さんの多い地中海学会の大会です.

  第32回地中海学会大会
  日程:6月21日(土)・22日(日)
  早稲田大学 小野記念講堂 (早稲田キャンパス27号館)
  〒169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1
  プログラム:http://wwwsoc.nii.ac.jp/mediterr/taikai.html

が,今年はあまり古典関係はないですね.ミューケーナイ考古学の発表が一つあるだけ.しかしこれはかなり面白そうです.去年はテオクリトスなどもあったのですけど.
 しかしプログラムを見ると,初日は殆どトーキング(と多分盛大にやる飲み会).なんだか凄い大会です.

 しかしnikubetaさんのブログでもご批判を受けているのですが,確かに西洋古典学の文学・文献学関係は全然発表ないですね…….寂しいので是非皆さんがんばって下さい(人ごと).


【2008/03/16 12:27】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻14歌31-44(完結)

nunc, age, quid nostrum concentum dividat audi.
quem tenues decuere togae nitidique capilli,
quem scis immunem Cinarae placuisse rapaci,
quem bibulum liquidi media de luce Falerni,
cena brevis iuvat et prope rivum somnus in herba. 35
nec lusisse pudet, sed non incidere lusum.
non istic obliquo oculo mea commoda quisquam
limat, non odio obscuro morsuque venenat.
rident vicini glaebas et saxa moventem.
cum servis urbana diaria rodere mavis.       40
horum tu in numerum voto ruis: invidet usum
lignorum et pecoris tibi calo argutus et horti.
optat ephippia bos, piger optat arare caballus.
quam scit uterque, libens, censebo, exerceat artem.

さあ今度は,何が我々の見解の一致を分断しているのか,聞き給え.
上物の上着と油でセットした髪がお似合いで,
ご存知の通り,贈り物もせずに欲張りなキナラに気に入られ,
真っ昼間から澄んだファレルヌス葡萄酒を飲んだくれていたその男は,
さっぱりした夕食と川の側の草原での眠りが気に入っている.
遊んだ事は恥じではないが,遊びを止めないのは恥だ.
君のいるところじゃ,誰一人横目で僕の快適な生活を
すり減らしはせず,隠れた憎々しい誹謗で害することもせず,
隣人は土塊と岩を動かしている僕を笑っている.
君は奴隷と一緒に都の配給食をかじるほうがいいという.
君は乞い願ってこれらの数に入ろうとしている.薪と
家畜と庭を使えることで,お前を賢い馬丁は羨んでいるのだが.
だらけた牛こそ鞍を望み,だらけた馬こそ耕作を望む.
どちらも知っているその技術を行使することを望むべきだと僕は意見したい.


【2008/03/16 00:01】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻14歌14-30

tu mediastinus tacita prece rura petebas;
nunc urbem et ludos et balnea vilicus optas:   15
me constare mihi scis et discedere tristem,
quandocumque trahunt invisa negotia Romam.
non eadem miramur; eo disconvenit inter
meque et te. nam quae deserta et inhospita tesqua
credis, amoena vocat, mecum qui sentit, et odit, 20
quae tu pulchra putas. fornix tibi et uncta popina
incutiunt urbis desiderium, video, et quod
angulus iste feret piper et tus ocius uva,
nec vicina subest, vinum praebere taberna
quae possit tibi, nec meretrix tibicina, cuius   25
ad strepitum salias terrae gravis. et tamen urges
iampridem non tacta ligonibus arva bovemque
disiunctum curas et strictis frondibus exples;
addit opus pigro rivus, si decidit imber,
multa mole docendus aprico parcere prato.   30

君が下僕だった時,君は公言せぬものの,田舎に行きたがっていた.
君は管理人となった今,都と娯楽と浴場を欲している.
知っての通り,僕は首尾一貫しており,嫌な仕事が
僕をローマに引きずって行く時には,僕は悲しみつつ立ち去るのだ.
僕らは同じものを有り難がらない.そのせいで,僕と君の間では
不一致が生じているのだ.というのも,君が寂しい人寄せつけぬ荒れ地と
思っているものは,僕と意見を同じにする人は,心地よい場所と呼び,そして
君が奇麗だと思っているものを嫌うのだ.居酒屋と香水じみた置屋が
君に都恋しさを引き起こしているのは分かっている,そして
お前の区画は葡萄よりも胡椒と香料を早く産するし,
葡萄酒を君に出すことのできる居酒屋も
近所にはないし,その音にあわせて君が地面を踏みしめて踊るような
売女の笛吹きもいない.だがそれなのに君は苦労して
ずっと前から手入れしていない畑を鋤で耕し,牛を
軛から解いては世話をし,むしった葉っぱで腹を満たすのが常だ.
もし雨が落ちてくれば,川がお休み中の君に仕事を加えることにもなる.
沢山盛り土してその川が開けた牧草地を台無しにせぬようにしなければならないから.


【2008/03/15 18:25】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻14歌1-13

Vilice silvarum et mihi me reddentis agelli,
quem tu fastidis habitatum quinque focis et
quinque bonos solitum Variam dimittere patres,
certemus, spinas animone ego fortius an tu
evellas agro et melior sit Horatius an res.   5
me quamvis Lamiae pietas et cura moratur
fratrem maerentis, rapto de fratre dolentis
insolabiliter, tamen istuc mens animusque
fert et avet spatiis obstantia rumpere claustra.
rure ego viventem, tu dicis in urbe beatum.  10
cui placet alterius, sua nimirum est odio sors.
stultus uterque locum immeritum causatur inique:
in culpa est animus, qui se non effugit unquam.

森と僕に自分を取り戻してくれる畑の管理人よ,
君はそれを嫌がっているのだがね,そこには5つの竃があって,
5人の善き主人を常々ワリア*1へと送り出すのが常なのに―
競おうじゃないか,僕が僕の心から茨を抜くのに力がいるか,それとも君が
農場から茨を抜くほうが力がいるか,そして,ホラーティウスと農場のどっちがましかを.
兄を悼んで,兄を奪われて癒されようもなく悲しんでいる
ラミアへの親愛の情と気遣いが僕を引き止めているというのに,
それでも僕の精神と気持ちは君の所へと
僕を連れてゆき,そしてその場所へ行くのを邪魔する閂を壊したがっている.
僕は田舎に生きるものが,君は都会に生きるものが幸福だと言う.
他人の運命のほうが気に入っている者は,自分の運命が当然嫌になるもの.
どちらも愚かしく,非難に値せぬ場所を不当に理由に挙げているのだ.
責められるべきは自らを決して逃れ得ぬ心である.

*1 ローマから東北東訳30kmほどの所にある,サビーヌムの町.現Vicovaro.市などがあった.


【2008/03/14 23:55】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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カトゥッルス新刊

カトゥッルス最近あまり読んでませんでした.随時翻訳を点検する予定だったのですが.で,Oxfordから新刊が.といっても去年にでていたものですが.

Gaisser, Julia Haig Ed. Catullus. Oxford Readings in Classical Studies. Oxford: Oxford UP., 2007.

大変買いたい本ですが,高いです.ペーパーで8000円以上.ああ,1ドル30円ぐらいになってくれれば…….

ところでOCTのPropertius,ようやく到着しそうです.いや,なかなか楽しみというか,こわいというか…….こちらは5000円近くしてしまいました.


【2008/03/14 20:25】 Catullus | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻12歌21-28(完結)

verum seu piscis seu porrum et caepe trucidas,
utere Pompeio Grospho et, si quid petet, ultro
defer; nil Grosphus nisi verum orabit et aequum.
vilis amicorum est annona, bonis ubi quid deest.
ne tamen ignores, quo sit Romana loco res,   25
Cantaber Agrippae, Claudi virtute Neronis
Armenius cecidit; ius imperiumque Pharaates
Caesaris accepit genibus minor. aurea fruges
Italiae pleno defudit Copia cornu.

しかし君が屠るのが魚だろうと,葱と玉葱であろうと*4
ポンペイユス・グロスプスを君は用い給え.そして,もし彼が何か欲しがれば,すすんで
授け給え.グロスプスは正しく公正な物しか望まないだろう.
善き人が何か欠乏している時には,友人の値段は安くなるのだ.
さてしかし,ローマの状況がいかなる位置にあるか,君が知らずにいることのないように言うが,
カンタブリア人*5はアグリッパの,アルメニア人はクラウディウス・ネローの
勇猛さによって征服された.パラアーテース王*6
皇帝の膝もとにひれ伏して,ローマの法と支配を受け入れた.黄金の「豊穣」は
そのいっぱいの角から,イタリアに実りを注ぎ込んだのだ.

*4 やや難解な一文.エンペドクレースの奉じたピタゴラス派は,生物は人の生まれ変わりとし,当然それを奉じているものにとっては,魚を殺す事は殺人である.あるいは,高級食材である魚と,安価な葱・玉葱を対比させているのかもしれない(以上Mayer: ad loc.).
*5 スペインの部族.
*6 パルティアの王.前20年にクラッススから奪った軍旗(前53)を返還する.


【2008/03/14 00:24】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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学会が……

第59回西洋古典学会大会があります:

  日時:6月7日(土)?8日(日)
  場所:同志社大学

プログラム・要旨は日本西洋古典学会HPで.

残念ながらラテン文学はないですし,ローマ関係も2つと,ちょっとラテニストには寂しい学会になりそうです.プラトーン関係は4つもあるので,古代哲学の方々には非常に楽しみな学会でしょうか.
 ところで,いつも思うのですが,西洋古典学会の応募の締め切りって,異常にはやいような気がするのですがどうでしょう.確か6月発表で前の年の10月ぐらいだったと思うのですが,半年以上前というのは,ほかの学会もそうなのでしょうかねえ.僕なぞ,そんな長い間生きていられるかどうかも怪しいので,応募できません……というか,発表内容が当初と相当変わりそうですね.


【2008/03/13 23:36】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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Princeton/Stanford Working Papers in Classics

プリンストン大学とスタンフォード大学の古典学関係の成果(雑誌論文など)を読む事ができます.

  Princeton/Stanford Working Papers in Classics

ラテン文学関係では

Joshua Katz "Dux reget examen (Epistle 1.19.23): Horace's Archilochean Signature". Materiali e Discussioni 59 (2007). Forthcoming.

がありました.いずれ『書簡集』1.19を訳した時にでも見る事にしましょう.



【2008/03/13 22:45】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻12歌1-20

Fructibus Agrippae, Siculis quos colligis, Icci,
si recte frueris, non est, ut copia maior
ab Iove donari possit tibi. tolle querelas;
pauper enim non est, cui rerum suppetit usus.
si ventri bene, si lateri est pedibusque tuis, nil 5
divitiae poterunt regales addere maius.
si forte in medio positorum abstemius herbis
vivis et urtica, sic vives protinus, ut te
confestim liquidus Fortunae rivus inauret,
vel quia naturam mutare pecunia nescit    10
vel quia cuncta putas una virtute minora.
miramur, si Democriti pecus edit agellos
cultaque, dum peregre est animus sine corpore velox,
cum tu inter scabiem tantam et contagia lucri
nil parvum sapias et adhuc sublimia cures:   15
quae mare compescant causae, quid temperet annum,
stellae sponte sua iussaene vagentur et errent,
quid premat obscurum lunae quid proferat orbem,
quid velit et possit rerum concordia discors,
Empedocles an Stertinium deliret acumen.   20

君がシチリアから収穫しているアグリッパの作物を,イッキウス君,
もしきちんと享受しているなら,もっと多くの富を
ユッピテル様が君に授けることなどあり得ない.抗うのは止め給え.
なぜなら,必要なものが手に入る者は,貧しくはないのだから.
もし君の腹,脇と脚が五体満足なら,決して
王侯の富もより大きなものを加える事はできないのだ.
もしひょっとして自由に取れる物を節度もって用い,野草や
刺草等を食べて生きるなら,たとえ君を運命女神の流れる
川がたちどころに君を黄金に富ませようと,今同様に君は暮らすだろう.
なぜなら金は本性を変えることはできないのであるし,
君は唯一美徳だけには余の全ての物は劣ると考えているのだから.
我々はデーモクリトスの家畜が,彼の肉体欠く速き心が外界にいる間,
牧草地と畑を食い尽くしてしまったことに驚くが,
しかし君も,金儲けへのこれほどの伝染性疥癬の最中,
些事には関知せず,そして今まで崇光なものを求めている.
いかなる原因が海を抑制しているのか*1,何が一年を調節しているのか,
星が回り巡るのは自発的なのか命ぜられてなのか,
何が月の輪を塞いで暗くし,何が露にするのか,
事物の不和なる調和は何を意味し何をなすのか,
エンペドクレース*2と天才ステルティニウス*3のどちらが狂っているのか,などと.


*1 すなわち,波がどうしてもとに戻るのか,あるいは川が絶えず流れ込んでいるのに,どうして溢れないのかということ(Mayer ad loc.).なんだか落語に出てきそうです.
*2 前5世紀のシチリアの哲学者.
*3 キケローと同時代の哲学者.


【2008/03/13 11:45】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ビオーン『アドーニス追悼』1-14

今年の野望の一つ,ビオーンの全訳計画を開始します.といっても,量は300行もないのですけど.殆ど断片なのですが,100行足らずのやや長目の詩があるので,それから始めたいと思います.

  ビオーン『アドーニス追悼』1-14

参考文献は:

J. D. Reed. Bion of Smyrna: The Fragments and the Adonis. Edited with Introduction and Commentary by. Cambridge Classical Texts and Commentaries. Cambridge: Cambridge UP., 1997.

OCTも出ていますし,他にも探せばあると思いますが,これが事実上の定番でしょう(と勝手に思っています).詳細なapparatus criticusに,大変わかりやすい翻訳もついています.

Neil Hopkinson. A Hellenistic Anthology. Selected and Edited by. Cambridge Greek and Latin Classics. Cambridge: Cambridge UP., 1988. (Bion fr.13, Adonisのみ. pp.58-62, 215-26)

どちらかといえば初学者用の注釈.

 ちょっと訳してみましたが,大変シンプルで,繰り返しが多いですね.これがスタイルなのかどうか,全然知らないのでなんとも言えないですが.


【2008/03/11 22:42】 Bion | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『書簡集』1巻10歌42-50(完結)

cui non conveniet sua res, ut calceus olim,
si pede maior erit, subvertet, si minor, uret.
laetus sorte tua vives sapienter, Aristi,
nec me dimittes incastigatum, ubi plura    45
cogere quam satis est ac non cessare videbor.
imperat aut servit collecta pecunia cuique,
tortum digna sequi potius quam ducere funem.
haec ubi dictabam post fanum putre Vacunae,
excepto quod non simul esses, cetera laetus. 50

自分の持ち物が自分にあわなければ,靴でしばしばあるように,
足よりもそれが大きければ,その人は転び,もし小さければ,靴擦れするのです.
君の運命に満足するなら,アリスティウス君,君は良識もって生きられるでしょう.
また,僕が十分以上に多くの者を集め,止むこと無きよう見える時には,
君は僕を叱ることなく放っておいてはいけない.
集めたお金は,各々を支配するか,各々に隷属するか,二つに一つです.
撚り縄*3は,引っぱるよりも,それに従う方がむしろ相応しいことです.
これをウァクーナ*4の朽ちた祠の向こうで口述している今,
君が一緒にいないこと以外,他の事には僕は満足しています.

*3 動物などをつなぐ紐の事.
*4 サビーヌム(ホラーティウスの別荘のある場所)の勝利の女神.


【2008/03/11 01:55】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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