ラテン語徒然  ラテン語の翻訳・覚え書きなど
log-in  ラテン語入門 作家別インデックス 文法資料 リンク集 ギリシア語フォントについて アーカイブ他
歴史地図 伊北 伊南 希北 希南 小ア PHI Perseus POxy KVK CiNii L-S Georges Gildersleeve 省略記号 Text Archive BMCR DCC

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


【--/--/-- --:--】 スポンサー広告 | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻10歌1-11

Vrbis amatorem Fuscum salvere iubemus
ruris amatores. hac in re scilicet una
multum dissimiles, at cetera paene gemelli
fraternis animis, quidquid negat alter, et alter,
annuimus pariter vetuli notique columbi.    5
tu nidum servas, ego laudo ruris amoeni
rivos et musco circumlita saxa nemusque.
quid quaeris? vivo et regno, simul ista reliqui,
quae vos ad caelum fertis rumore secundo,
utque sacerdotis fugitivus liba recuso,    10
pane egeo iam mellitis potiore placentis.

5 sic interpungit Villeneuve. nonnulli malunt post pariter novam sententiam incipere

都会を愛するフククス殿に,田舎を愛する私が
ご挨拶申し上げます.この事一つだけにおいては,確かに
我々は多いに異なっているものの,しかし他の事では,我々は殆ど
兄弟の情を持つ双子で,一方が駄目だと言うものは他方も駄目だと言い,
永く知り合った鳩のように,一緒に賛成するのです.
君は巣を守っていますが,僕は心地よい田舎の
河と,苔むした岩と森とを讃えます.
要するに,君が賛同の声でもって,天にまで持ち上げている
ところのものを後にするや否や,生き返り,王のようになるのです.
そして,司祭の逃亡奴隷のように,供え菓子も要りません.
私は今,蜜のかかった菓子よりも,パンの方がずっと必要なのです.

スポンサーサイト

【2008/01/30 23:35】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


再びカッリマコス

 カッリマコスは残っているのは『縁起集』などの断片で伝わっているものだけですが,多少なりともまとまった部分をやっておいた方が便利かと思います.今年は多分『縁起集』で手一杯でしょうね…….冒頭の有名な序文など,ラテン語をやるならば,読まなければモグリだという物もありますし,カトゥッルスの翻訳のある『ベーレーニーケーの髪』,『アコンティオスとキューディッペー』とか,断片にしても面白い作品がぼちぼちあることを考えると,ここで取り上げてもいいかなあと思います(しばらく翻訳でそうにありませんし).まあ正直これを読んだからといって,すぐさま研究に役立つわけでもありません(まあ一応,読んでいるという安心感は結構大きいですが).
 ともあれ,ギリシア語が難しいのもさることながら,ユニコードの入力が一苦労なのが気が重いです.


【2008/01/29 19:38】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻7歌86-98(完結)

verum ubi oves furto, morbo periere capellae,
spem mentita seges, bos est enectus arando,
offensus damnis media de nocte caballum
arripit iratusque Philippi tendit ad aedis.
quem simul aspexit scabrum intonsumque Philippus, 90
'durus' ait 'Vultei, nimis attentusque videris
esse mihi.' 'pol, me miserum, patrone, vocares,
si velles' inquit 'verum mihi ponere nomen.
quod te per Genium dextramque deosque Penatis
obsecro et obtestor, vitae me redde priori.'     95
qui semel aspexit, quantum dimissa petitis
praestent, mature redeat repetatque relicta.
metiri se quemque suo modulo ac pede verum est.

しかし,羊が盗みにやられ,病気で山羊が全滅し,
作物は期待を裏切り,牛は耕作で疲労困憊するや,
損害に立腹した彼は,真夜中に馬を
引っ掴んで,怒りに燃えてピリップスの屋敷に向かいました.
みすぼらしく髭も剃らぬ彼を見るや否や,ピリップスは
こういいました.「君は余りに仕事熱心で倹約に過ぎるように
私には見えるな」「神かけて,ご主人,私を惨めな奴と呼ばれるがいいでしょう,
もし私に本当の名前を付けるのをお望みなら」と彼は答えました.
「貴方に,貴方の守護神と右腕と家の神にかけて,
誓ってお願い申します,私を以前の生活に戻して下さい」
得たものよりも,捨てたものの方が,どれほど勝っているかを一度見たならば,
その人は早々に引き返し,捨てた物を再び求めるべきです.
各々が自身の尺度と寸法によって自分をはかるのが真っ当なことなのです.


【2008/01/29 18:05】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻7歌72-85

ut ventum ad cenam est, dicenda tacenda locutus
tandem dormitum dimittitur. hic ubi saepe
occultum visus decurrere piscis ad hamum,
mane cliens et iam certus conviva, iubetur    75
rura suburbana indictis comes ire Latinis.
impositus mannis arvum caelumque Sabinum
non cessat laudare. videt ridetque Philippus
et, sibi dum requiem, dum risus undique quaerit,
dum septem donat sestertia, mutua septem   80
promittit, persuadet, uti mercetur agellum.
mercatur. ne te longis ambagibus ultra
quam satis est morer, ex nitido fit rusticus atque
sulcos et vineta crepat mera, praeparat ulmos,
immoritur studiis et amore senescit habendi.   85

彼が宴に来ると,言うべき事言うべからざる事をしゃべって,
最後に寝るために帰されました.この男がしばしば
餌に隠れた釣り針に向かう魚のごとく,
朝は付き人,そして今や常連の宴客と見られた時,彼は
ラティーナ祭*10が公示された折,郊外の田舎に同伴者として行く事を命じられました.
彼は子馬に乗って,サビーヌム*11の土地と気候を
讃えることを止めませんでした.ピリップスはこれを見て笑い,
そして,自分のためにあらゆる術で気晴らしと笑いを得るために,
7千セーステルティウス*12を与え,7千セーステルティウスの融資を
約束して,土地を買うように説得しました.
彼は土地を買いました.貴方を長々とした回り道で,
必要以上に引き止めないようにすると,つまり彼は洒落人から田舎者となり,そうして
畝と葡萄のことばかり喋りまくり,楡を先に植えたり*13
仕事に死ぬほど精を出して,物欲しさのために老け込むこととなりました.


*10 春の祭りで,日にちは決まっておらず,執政官が公示した.
*11 ホラーティウスも別荘を持っていた,ローマの郊外の田舎.ただし,土地としては肥沃なほうではない.
*12 金額は現代とは対比が全く異なるため,換算が難しいが,1セーステルティウス=50-100円とすると,35-70万円程度.
*13 楡の木は葡萄の支えとされる.


【2008/01/28 23:54】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス注釈追加

Edward P. Morris Ed. Horace: Satires and Epistles. Norman: University of Oklahoma Press, 1968. Paperback. 1974.

 『談話集』『書簡集』の注釈書.著者は1938年にお亡くなりになっているので,多分年代的には1920年代以降に,別々に出た本ではないかと思います.とはいえ,Sermonesの英語の注釈書としては,一番新しいものになるでしょうか.ちょっと読んだ所,語注としては簡潔ですが,文脈を適宜補ってくれていて,助かるところが多いです.


【2008/01/28 01:06】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻7歌60-71

'scitari libet ex ipso quodcumque refers. dic   60
ad cenam veniat.' non sane credere Mena,
mirari secum tacitus. quid multa? 'benigne'
respondet. 'neget ille mihi?' 'negat improbus et te
neglegit aut horret.' Vulteium mane Philippus
vilia vendentem tunicato scruta popello     65
occupat et salvere iubet prior. ille Philippo
excusare laborem et mercennaria vincla
quod non mane domum venisset, denique quod non
providisset eum. 'sic ignovisse putato
me tibi si cenas hodie mecum.' 'ut libet.' 'ergo  70
post nonam venies. nunc i, rem strenuus auge.'

「お前が聞いてきた事を皆,彼自身から聞きたいものだな.彼に言いたまえ,
宴会にくるようにと」メーナはとても信じられず,
驚いて黙りこくっていました.要するに,彼は「結構です」
と答えました.「彼は私に断りを入れたというのか?」「不遜にも断りました.貴方を
軽んじているのか,恐れているのです」翌朝ピリップスはウゥルテイウムが
トゥニカを着た賤民にがらくたを売っている所を
捕まえて,そして先に挨拶をしました.彼はピリップスに
仕事と金稼ぎに縛られているせいで,
朝に家に伺うことができず,そうして
彼に先にあうこともできなかったと弁解しました.「そうしたら,勘弁するとしよう,
もし今日君が私と一緒に宴会をするならばね」「お望みのとおりに」「それじゃあ
第9時以降に来るがいい.今は行って,がんばって稼ぎたまえ」


【2008/01/28 00:36】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻7歌46-59

strenuus et fortis causisque Philippus agendis
clarus, ab officiis ocavam circiter horam
dum redit atque Foro nimium distare Carinas
iam grandis natu queritur, conspexit, ut aiunt,
arrasum quendam vacua tonsoris in umbra  50
cultello proprios resecantem leniter unguis.
'Demetri' (puer hic non laeve iussa Philippi
accipiebat), 'abi, quaere et refer, unde domo, quis,
cuius fortunae, quo sit patre quove patrono.'
it, redit et narrat, Vulteium nomine Menam,  55
praeconem, tenui censu, sine crimine, notum
et properare loco et cessare, et quaerere et uti,
gaudentem parvisque sodalibus et Lare certo
et ludis et post decisa negotia Campo.

精力旺盛で,訴訟弁護で著名な
ピリップス*6は,仕事の後,第8時頃*7
家に戻る途中,カリーナエ区*8がフォルムからあまりに離れていると,
もう高齢だった彼は不平を言っていた時のこと,彼は,人の伝える所では,
ある髭をさっぱりと剃った男が,人気のない床屋の暗がりで
小刀で自分の爪を悠々ときっているのを目にしたといいます.
「デーメートリウスよ」(この奴隷はピリップスの命令を非常に良く
聞いていました),「行って,尋ねて,返事を教えてくれ,彼はどこの家の出で,誰で,
どんな財産があって,父親は誰か,あるいは庇護者はだれかと」
彼は行って,戻ってきて,こう語りました.名前はウゥルテイウス・メーナで,
今日売人で,財産は僅かで,犯歴はなく,
しかるべき時によく働き,よく休み,稼いでは使う者として知られており,
低い身分の友と遊び,定住居と
仕事を切り上げた後の演劇とカンプス*9の催し物を楽しんでいる,と.


*6 前91年に執政官を勤めたルーキウス・マールキウス・ピリップスか.
*7 ローマでは,昼間を夜明けから日没まで12等分し,朝から1-12時に分けていた.第8時は春分・秋分なら2時頃.
*8 ローマの西の区.フォルムからは1kmほど.
*9 カンプス・マールティウスのこと.


【2008/01/27 20:52】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


カエサル『ガッリア戦記』1巻1

1 Gallia est omnis divisa in partes tres, quarum unam incolunt Belgae, aliam Aquitani, tertiam qui ipsorum lingua Celtae, nostra Galli appellantur. hi omnes lingua, institutis, legibus inter se differunt. Gallos ab Aquitanis Garunna flumen, a Belgis Matrona et Sequana dividit. horum omnium fortissimi sunt Belgae, propterea quod a cultu atque humanitate provinciae longissime absunt mimimeque ad eos mercatores saepe commeant atque ea, quae ad effeminandos animos pertinent, important proximique sunt Germanis, qui trans Rhenum incolunt, quibuscum continenter bellum gerunt. ...


1. ガッリアは全体が三つの部分に分かれており,その一つにはベルガエ人が,もう一つにはアクィーターニー人が,もう一つには,自身の言葉ではケルタエ人,我々の言葉ではガッリー人と呼ばれる人々が居住している.これらはみな,言葉,習俗,法律の点で互いに異なっている.ガッリー人は,アクィーターニー人からはガルンナ河により,ベルガエ人からはマトローナ河とセクァーナ河により,切り離されている.これら全てのうちで最も強力なのはベルガエ人である.というのも,彼らは属州の文化・文明から最も遠くに離れており,そして彼らの所に商人が訪れて人心を軟弱にするような物も持ち込むことも最も少ない上,ライン川を渡った所に居住するゲルマーニー人とは最も近くにあって,彼らと絶えず戦争をしているからである.


【2008/01/27 13:18】 ORATIONES SOLUTAE LATINAE | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


世界ふしぎ発見

 世界ふしぎ発見でカエサルが取り上げられていました.クイズとタレントで盛り上げられているだけと言えばそれまでですが,イタリアの高校のラテン語教室が取り上げられていたり,なかなか面白かったです.ちなみに,普通ヨーロッパの高校などで先生をするには,結構厳しいラテン語の試験をくぐり抜けなければならない(大部の論文と,作文試験とか初見読解とか.もちろん辞書なし)はずなので,あそこで出ていた先生を日本の高校の古典の先生に対応するものと見てはいけません……(というか多分日本の大学の先生よりできたりすると思います).
 それにしても,ニンニク歌(『イアンボス集』3歌)のことが出ていたのには笑いました.しかしホラーティウスは「ある詩人」としてしか出てこなかった…….プリーニウスはちゃんと出てきていたのに,この辺りは,ちゃんとした翻訳があるかないかによる待遇の違いでしょうか.
 まあこんな感じで,ラテン語に興味を持つ人が増えてくれるといいなあと思います.


【2008/01/27 12:46】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


初級用ウェルギリウス

ウェルギリウスの初級用の注釈書はもう長い伝統はありますが,次のようなものが最近出ています.

Maclennan, Keith Ed.Virgil : Aeneid IV. London: Bristle Classical Press, 2007.

Maclennan, Keith Ed.Virgil : Aeneid VI. London: Bristle Classical Press, 2003.


どちらも註だけでなく,語彙もついているので,ラテン語初級者でなくても,寝ながら読んだりするのに便利です(笑).できたら日本語で欲しいものですけど…….


【2008/01/26 10:00】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


復調の兆し

ようやく仕事もできるようになった感じです.久々のラテン語はアエネーイス4巻から.


  at regina gravi iamdudum saucia cura
  vulnus alit venis et caeco carpitur igni.

  だが女王はずっと前より重き恋煩いに負傷して,
  血脈の内にて傷を養い,見えぬ炎に蝕まれる.

 いやはや,最初からすごい2行です.この2行を読んでいると,ウェルギリウスはエレゲイアなどを書いても十分すごい詩人だったのではないかと思います.
 こんなすごい詩を読んでいると,やっぱり無性に私家版翻訳が作りたくなりますね…….もう3セットぐらい翻訳があるので,需要はもはやないとは思いますが,ホラーティウスやプロペルィウスの全訳などが終わったら,最後はアエネーイス12巻全訳でブログを終えたいですね.まあこのブログがあと10年続けばの話ですが…….


【2008/01/26 09:45】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


Cappelli

 ちょっと体調を崩していて,もうしばらくお休みすると思います.

 面白い本を入手したので,ご報告まで:

Cappelli, Adriano. Dizionario di Abbreviature Latine ed Italiane. 6. Ed. Milano: Hoepli, 1990.

 古典文献学者は案外写本なんか読まないものですが,中世以降を扱う西洋史学者,思想史学者の方々は,印刷してもらったテクストを読んでいるだけだと最先端の研究なんか全然できないそうです.それも当時の印刷本なら上等なほうで,手写本でラテン語などを直接ばりばり読めなくてはいけなかったりします(つまり,普通の古典ラテン語学者よりもずっとラテン語が読めるということです).
 しかし,中世写本の解読は案外大変で,文字に慣れるのももちろんですが,多種多様な省略記号があって,これが分からなければ手も足もでません.膨大な量のそれらを集めて500頁ほどの小型聖書風ハンドブックに纏めてくれているのが,この『羅伊略記法辞典』なのです.この本があるおかげで,giなどと書かれていても,igiturと読むべきことが簡単にわかり,山勘ででたらめを読む危険を冒さずに済む訳です.中世あたりの資料を直接扱う可能性のある方は,必携の一冊ですね.別に絶版になっているわけではありませんが,古書店などで見かけたら即ゲットすべき一冊だと思います(イタリアの本は入手が面倒なので……).


【2008/01/23 22:47】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻7歌29行の問題

 29行以下のたとえでは,痩せた小狐が穀倉に入って,そこで食べて出られなくなるというたとえ話が出てきますが,この小狐vulpeculaがちょっと問題です.まあ普通に考えると,狐は小麦とか食べるとは考えられないですから,別な生き物では,ということで小鴉(cornicula, Giangrandeのconjecture),ヤマネ(nitedula, Bentleyのconjecture)が提案されています.
 しかし,小烏が食べて太って出られなくなるというのもなんだか変ですし,ヤマネなんか後で出てくるイタチの食べ物になりそうですから,それにアドバイスをするというのもなんというかちょっと変です.
 まあ古代の人が,狐が正確に何を食べるかを知っていた訳ではないでしょうし,有名な「あの葡萄は酸っぱい」といって,とれなかった葡萄に文句をいう狐もたとえ話で出てきますから,まあ小狐にしておいていいのではないかなあと思います.このあたり,古代の動物誌になにか記述があったら面白いですね(自分では調べるの面倒).


【2008/01/14 03:55】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻7歌29-45

forte per angustam tenuis vulpecula rimam
repserat in cumeram frumenti pastaque rursus 30
ire foras pleno tendebat corpore frustra.
cui mustela procul 'si vis' ait 'effugere istinc,
macra cavum repetes artum, quem macra subisti.'
haec ego si compellar imagine, cuncta resigno.
nec somnum plebis laudo satur altilium nec   35
otia divitiis Arabum liberrima muto;
saepe verecundum laudasti 'rex'que 'pater'que
audisti coram, nec verbo parcius absens:
inspice, si possum donata reponere laetus.
haud male Telemachus, proles patientis Ulixei:  40
'non est aptus equis Ithace locus, ut neque planis
porrectus spatiis nec multae prodigus herbae.
Atride, magis apta tibi tua dona relinquam.'
parvum parva decent. mihi iam non regia Roma,
sed vacuum Tibur placet aut imbelle Tarentum.  45

 29 vulpecula codd. : cornicula Giangrande : nitedula Bentley

たまたま狭い隙間を通って,痩せた小狐が
穀倉に這って入り込み,そこで食べてから再び
太った身体で外に出ようと試みましたが,うまく行きませんでした.
彼に鼬が遠くから言いました「もし君がそこから逃げ出したいなら,
君が痩せていた時に通った狭い穴は,痩せてからまた試せばよい」
この喩えによって,私が責められるのなら,私は全てを諦めます.
私は鶏で満腹しながら平民の眠りを賞賛しませんし,また
全く自由気ままな暇をアラビア人の富と引き換えはしません.
何度も貴方は私を慎ましやかな者と褒め,また「王」とか「父」とか
呼ぶのを貴方は面前で聞きましたし,おそばを離れても言葉を惜しみはしません.
お確かめください,私が喜んで贈られた物を返す事ができるかどうか.
忍耐強いウリクセースの子テーレマコスは決して間違ったことをしたわけではありません.
「イタケーは馬に適さぬ地です,そこはたっぷりと
場所が広がるわけでもなく,多くの草が気前よくある訳でもありませんから.
アトレウスの子よ,貴方の贈り物は貴方のほうに相応しい故,お返しします」*5
小人物には小さな物が相応しいのです.私には今,王様然としたローマではなく,
人騒がしくないティーブルや,戦に縁なきタレントゥムが気に入っています.


*5 『オデュッデイア』4巻601-8行.


【2008/01/14 03:42】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻7歌14-28

non quo more piris vesci Calaber iubet hospes
tu me fecisti locupletem. 'vescere, sodes.'    15
'iam satis est.' 'at tu quantumvis tolle.' 'benigne.'
'non invisa feres pueris munuscula parvis.'
'tam teneor dono quam si dimittar onustus.'
'ut libet. haec porcis hodie comedenda relinques.'
prodigus et stultus donat, quae spernit et odit.  20
haec seges ingratos tulit et feret omnibus annis.
vir bonus et sapiens dignis ait esse paratus,
nec tamen ignorat, quid distent aera lupinis;
dignum praestabo me etiam pro laude merenti.
quod si me noles usquam discedere, reddes    25
forte latus, nigros angusta fronte capillos,
reddes dulce loqui, reddes ridere decorum et
inter vina fugam Cinarae maerere protervae.

カラブリア人の主人が梨を食べるように言うやり方では
あなたは私を裕福にしてくれませんでした.「客人よ,召し上がれ」
「もう十分です」「じゃあ君が欲しいだけ持っていきたまえ」「結構です」
「小さな子供達に,ケチ臭くない土産を持っていきなさいな」
「背負い込む荷物の重さほど,お振る舞いには申しようもありません」
「お好きなように.お残しになっても今日のうち豚の餌になるはずです」
放蕩で馬鹿な者は,大切でもない嫌な物を贈りつけます.
この蒔かれた種は,忘恩の輩を生みましたし,また毎年毎年生み出すでしょう.
善良で賢い人は,それに相応しい人には自分は助ける用意があると言いますが,
またしかし,正規の銅貨と羽団扇豆*3の何が違うかは,知らぬ訳ではありません.
私もまた,賞賛に値する方には,それに相応しく振る舞うでしょう.
しかしもし,私がどこにも引きこもることをお望みでないなら,お返しください,
力強い脇腹*4を,後退せぬ額の黒髪を,
お返しください,甘美に語る事を,お返しください,優美に笑い,また
宴の間に,気の多いキナラが逃げたと泣きを入れることを.


*3 喜劇でお金の代わりに用いた.
*4 精力の象徴.


【2008/01/12 22:31】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ヘレニズム哲学

 突然ですが,今なんとしても読んでおきたいのがこの本.

A.A.ロング著 金山弥平訳『ヘレニズム哲学 ストア派,エピクロス派,懐疑派』京都:京都大学学術出版会,2003.(原著:A.A.Long. Hellenistic Philosophy: Stoics, Epicreans, Sceptics. London: Duckworth; New York : C. Scribner, 1974. 2nd Ed. London: Duckworth; Berkeley: University of California Press, 1986.)

 どうしてもホラーティウスを読み解くには,ヘレニズムの哲学はやっぱり避けては通れないようなので.しかし,どうも哲学というのは,性格からなのか,最初からなんだかあまり乗り気になれない分野です.最初の数十ページは,何度も読みかけているのですが,その後までどうしても進まないし,読んだ場所には線や書き込みも多いのですが,まったくもって記憶が残っていませんで,他人が線を引いた古本を買ったような錯覚すら覚えます.まあ大体,ヘレニズムの哲学をプラトーンやアリストテレースの知識なしに読もうというのがすでに問題あるのかもしれません.しかし今回ばかりは,ホラーティウスのためにも,ちゃんと読む決心を固めて読みきろうと思います(日本語なのに……).
 この本,最初の翻訳草稿は故種山恭子氏によるものだったそうですが,それを出発点として金山弥平氏が新たに翻訳されたものだそうです.種山恭子氏は重病の内にガレーノスの翻訳とこの著作の翻訳(こちらは草稿段階)をされたそうで,本当にすごいことです.せっかくこのような命を賭した努力とともに翻訳されて下さったのに,やはりそれに相応しい熱意で読もうと思います.

 あと,A.A.ロング氏の近刊は:

A.A.Long. From Epicurus to Epictetus: Studies in Hellenistic and Roman philosophy. Oxford : Clarendon Press, 2006. BMCRの書評




【2008/01/11 21:33】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


イタリア語関連

 久々にイタリア語関連リンクなど.

  Bocelli, Italia, Amore!

 イタリアのテノール歌手,ボチェッリのファンサイトですが,イタリア語の情報もこれでもかとばかり詰め込まれています.イタリア語をネットで勉強できる素材は,此処だけで十分あつまるでしょう.それにしても,この情報の集め方など,すごく好感が持てます.最近ちょっとうちのブログの情報が浅めになってきているので,もう少しがんばらねば…….


【2008/01/10 23:52】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻7歌1-13

Quinque dies tibi pollicitus me rure futurum
Sextilem totum mendax desideror. atqui,
si me vivere vis sanum recteque valentem,
quam mihi das aegro, dabis aegrotare timenti,
Maecenas, veniam, dum ficus prima calorque 5
dissignatorem decorat lictoribus atris,
dum pueris omnis pater et matercula pallet
officiosaque sedulitas et opella forensis
adducit febris et testamenta resignat.
quod si bruma nives Albanis illinet agris,   10
ad mare descendet vates tuus et sibi parcet
contractusque leget. te, dulcis amice, reviset
cum Zephyris, si concedes, et hirundine prima.

5日で私は田舎から帰ってくることをあなたに約束していながら,
8月いっぱい,約束を違えてお暇しております.しかしながら,
もし私に健康でちゃんと元気に生きていて欲しいなら,
病気の私に与えるお許しを,病気になるのを恐れている私に,
マエケーナース様,お与えください.出始めの無花果と暑気が
葬儀屋に黒い喪服を着た警吏を伴わせ*1
全ての父母は子供を心配して青くなり,
公用に忙しくしたり,フォルムの些事にかまけていると
熱病を引き起こして,遺言状の封を開けさせる,などといったことがある間はです.
しかし,もし冬がアルバ*2の野原に雪を塗ったら,
あなたの詩人は海の方へ降りて,我が身をいたわり,
引きこもって読書をするでしょう.親愛なる方よ,あなたにお会いするのは,
もしお認めになるのならですが,西風や最初の燕と一緒でしょう.


*1 重要人物の葬儀には,権力の象徴たるfascesをもつ警吏が付き添った.
*2 ローマの南西25kmほどのアルバ山の丘陵.


【2008/01/10 00:33】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻6歌49-68(完結)

si fortunatum species et gratia praestat,
mercemur servum, qui dictet nomina, laevum    50
qui fodicet latus et cogat trans pondera dextram
porrigere: 'hic multum in Fabia valet, ille Velina;
cui libet, hic fascis dabit eripietque curule,
cui volet, importunus ebur.' 'frater,' 'pater' adde;
ut cuique est aetas, ita quemque facetus adopta. 55
si, bene qui cenat, bene vivit, lucet: eamus,
quo ducit gula. piscemur, venemur, ut olim
Gargilius, qui mane plagas, venabula, servos
differtum transire Forum Campumque iubebat,
unus ut e multis populo spectante referret    60
emptum mulus aprum. crudi tumidique lavemur,
quid deceat, quid non, obliti, Caerite cera
digni, remigium vitiosum Ithacensis Ulixei,
cui potior patria fuit interdicta voluptas.
si, Mimmermus uti censet, sine amore iocisque  65
nil est iucundum, vivas in amore iocisque.
vive, vale. si quid novisti rectius istis,
candidus imperti; si nil, his utere mecum.

もし外観と人気が人を幸運にするなら,
我々は奴隷を買うとしよう,名前を呼ばわって,左脇を
ついて,そして仕切り石を越えて右手を
延べさせるような奴隷を.「この人はファビア区で,あの人はウェリーナ区で力がある.
この人は,お望みの人にファスケースを与えるだろうし,好きな人から
容赦なく象牙の執政官席を奪うだろう」.「兄弟よ」「父よ」と言い添えよ.
それぞれの年齢に応じて,それぞれを巧みに親戚扱いするがよい.
もし,いい食事をする者が,よい人生を送ることになるなら,日が出たら,
喉のつれてゆく所に行こうではないか,釣りをしよう,狩りをしよう,かつて
ガルギリウス*12がそうしたように.彼は朝早く,網に狩猟槍を持って奴隷達が
人でいっぱいのフォルムやカンプスを通り過ぎるように命じたものだが,
沢山の驢馬のたった一匹だけが,人々の注目する中,買った猪を
運んでいくようにするためにそうしたのだった.消化もせず満腹のまま入浴しよう,
何が相応しいか,なにがそうではないかなぞ忘れ,カエレの蝋板名簿*13
相応しい者として,イタケーのウリクセースの堕落した漕ぎ手として.
彼らにとっては,祖国よりも,禁じられていた食欲のほうが強かったのだ.
もし,ミンメルモス*14が考えるように,恋と遊びなしには,
何事もつまらぬのであれば,恋と遊びに生きるがよい.
長命と健康を.もしなにかこれらよりも良いことを君が知っているなら,
素直に教えたまえ.もし何もなければ,これらを私とともに用いたまえ.


*12 不詳.
*13 ローマからほぼ西北西50kmほど離れた海岸沿いのエトルリアの町.蝋板名簿は,登録された市民の名簿.カエレでは選挙権が剥奪(これは独立市民と認められず,また不名誉であった)されたことがあった.
*14 前6世紀,コロポーン(サモス島の近くの小アジアの町)で活躍した詩人.


【2008/01/08 01:13】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻6歌28-48

si latus aut renes morbo temptantur acuto,
quaere fugam morbi. vis recte vivere, quis non?
si virtus hoc una potest dare, fortis omissis   30
hoc age deliciis. virtutem verba putas et
lucum ligna? cave, ne portus occupet alter,
ne Cibyratica, ne Bithyna negotia perdas;
mille talenta rotundentur, totidem altera, porro et
tertia succedant et quae pars quadret acervum. 35
scilicet uxorem cum dote fidemque et amicos
et genus et formam regina Pecunia donat
ac bene nummatum decorat Suadela Venusque.
mancipiis locuples eget aeris Cappadocum rex:
ne fueris hic tu. chlamydes Lucullus, ut aiunt,   40
si posset centum scaenae praebere rogatus
'qui possum tot?' ait: 'tamen et quaeram et, quot habebo,
mittam.' post paulo scribit sibi milia quinque
esse domi chlamydum; partem vel tolleret omnis.
exilis domus est, ubi non et multa supersunt   45
et dominum fallunt et prosunt furibus. ergo,
si res sola potest facere et servare beatum,
hoc primus repetas opus, hoc postremus omittas.

もし脇腹や腎臓が激しい病に罹っているならば,
病からの逃げ道を探すがよい.いい生活をしたいと君は望んでいる.誰が望まないだろうか?
もしただ徳一つだけがこれを与えうるのなら,勇気を出して快楽を放棄し,
これを行いたまえ.君は徳をただの言葉だと思っているのか,そして
聖林を薪だと?注意したまえ,他の奴が港を独占しないように,
君がキビュラ*8とビーテューニア*9のビジネスを台無しにしないように.
千タレントゥムの収入があり,同じだけのタレントゥムがあり,さらにまた
三回目のタレントゥムが続き,そして,その金の山を4倍にする部分が手に入ったとしよう.
もちろん,婚資付きの妻に,信用に,友人達と
生まれと容姿とを,女王たる「金銭」は与えるし,
よく金銭に恵まれる者を,「説得力」と「魅力」が飾る.
奴隷を沢山持っていながら,カッパドキアの王*10は金銭に事欠いていた.
君自身は彼にならぬように.ルークッルス*11は,話によると,外套を
100着,舞台のために提供できないかと頼まれて,
「どうやって私がそんなに手配できるか?しかし,聞いてみるし,持っているだけ
送るとしよう」と言った.少ししてから,彼は5000着の
外套が自分の家にあり,一部でも全部でも持ってゆくように,と書いてよこした.
貧弱な家だ,沢山のものが有り余って
主人もそれが分からぬ程で,泥棒にも利益になる,ということがない家は.それゆえ,
財産だけが人を幸福にし,幸福に保てるのなら,
真っ先にこの仕事に取りかかり,一番最後にこれをやめるがよい.

*8 プリュギアの町.
*9 黒海の南岸の属州.
*10 アルケラーオスを指すとされる.
*11 前74年に執政官を勤めた,ルーキウス・リキニウス・ルークッルス.有能な軍人・政治家であると同時に,膨大な富で有名であった.


【2008/01/07 22:47】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ちょっと難しいところです

 先の17-27は,Sh.Baileyらが行の移動を提案していたりして,意味のつながりとしてはちょっと難しいところがあります.個人的には行の移動まではしないものの,若干手の入る解決案はないわけではないのですが,あんまり文面を変更するよりは,解釈にゆだねるべきかなあと思います.実際それでなんとかなりそうなので.


【2008/01/07 18:56】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻6歌17-27

i nunc, argentum et marmor vetus aeraque et artis
suspice, cum gemmis Tyrios mirare colores;
gaudes, quod spectant oculi te mille loquentem.
navus mane Forum et vespertinus pete tectum, 20
ne plus frumenti dotalibus emetat agris
Mutus et (indignum, qui sit peioribus ortus)
hic tibi sit potius quam tu mirabilis illi.
quidquid sub terra est in apricum proferet aetas;
defodiet condetque nitentia. cum bene notum  25
porticus Agrippae, via te conspexerit Appi,
ire tamen restat, Numa quo devenit et Ancus.

19 post 55 transp. Bouhier  gaudes] gaude recc.
20-23 post 48 transp. Shackleton Bailey

それじゃあ今,銀食器と古の大理石像,銅像に芸術作品を
眺め,宝石とともにテュロスの色*2に驚嘆するがよい.
君は喜んでいる,千もの目が君が語るのを注視するのを.
せっせと朝にはフォルムに行き,日暮れに家に向かうがよい,
ムートゥス*3が,婚資で得た畑から君より作物を沢山刈り入れることにならぬよう,
そして(君より低い身分の生まれのものがそうなるのは酷い話だろうが)
君が彼にという以上に,むしろ彼が君に驚嘆に値する,などということにならぬよう.
年月は地下にあるすべてのものを白日の下にもたらし,
光り輝くものを埋め,隠すのだ.君が著名になった様を
アグリッパの門*4が,アッピウスの街道*5が見たとしても,
しかし,ヌマ*6とアンクス*7が下った場所へ君は行く事になるのだ.


*2 テュロスの紫貝により染色された織物は高級品であった.
*3 不詳.
*4 マールクス・アグリッパにより,前25年に建造された門.アルゴー船が描かれていた.
*5 アッピア街道(Via Appia).アッピウス・クラウディウス・カエクスにより,前312年に建造される.
*6 伝説的なローマの2代目の王.
*7 伝説的なローマの4代目の王.


【2008/01/07 18:49】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻6歌1-16

Nil admirari prope res est una, Numici,
solaque quae possit facere et servare beatum.
hunc solem et stellas et decedentia certis
tempora momentis sunt qui formidine nulla
imbuti spectent: quid censes munera terrae,  5
quid maris extremos Arabas ditantis et Indos,
ludicra quid, plausus et amici dona Quiritis,
quo spectanda modo, quo sensu credis et ore?
qui timet his adversa, fere miratur eodem
quo cupiens pacto; pavor est utrubique molestus, 10
improvisa simul species exsterret utrumque.
gaudeat an doleat, cupiat metuatne, quid an rem,
si, quidquid vidit melius peiusve sua spe,
defixis oculis animoque et corpore torpet?
insani sapiens nomen ferat, aequus ininqui,   15
ultra quam satis est, virtutem si petat ipsam.

何物にも驚嘆せぬことこそ,殆ど唯一無二の,ヌミーキウス*1よ,
人を幸福にすることができ,またその状態に保つ事ができるものである.
この太陽を,そして星々を,定まった時に
過ぎてゆく季節を,いかなる恐れにも
染まらず眺めるような人々がいる.君は大地の産物をどう考えるか,
また最果てのアラビア人とインド人とを富ませる海の産物を,
ローマ人が与える見せ物や拍手を?
どのように,どんな気持ちで,どんな顔でこれらを見るべきだと君は思うか?
これらの逆を恐れるものは,喜んで驚嘆する者と
殆ど同様に驚嘆しているのだ.一度思いがけぬ光景が
両者を激しく狼狽させれば,どちらの側にも,不快な動揺が起こるのだ.
喜ぶかそれとも悲しむか,欲するか恐れるかに,何の違いがあろう,
もし,想像以上に良いあるいは悪いものを見た時,それがなんであれ,
凝視して心も体も金縛りにあわせるのであれば?
美徳でさえも,十分の度合いを越えて求めるならば,
賢人も狂人の名を持ちうるだろうし,公平な者も不公平なものの名を持ちうるだろう.


*1 不詳.


【2008/01/06 23:37】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


思いがけず

 ホラーティウスの『書簡集』1巻11歌は,別に新年初エントリーのために選んだわけでもないのですが,思いがけず深い味わいのあるいい作品で,この1年のテーマとしてもなかなか良かったような気もします.22行ぐらいから,お馴染みのcarpe diemテーマが,この歌のテーマにあわせて出てくるのもホラーティウスファンには待ってましたという感じで嬉しいですね.もっと広く読まれていい歌の一つだと思うのですが,拙訳はあまりにこなれなくて,あまりよい訳し初めというわけではなくて残念です.


【2008/01/02 12:20】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻11歌17-30(完結)

incolumi Rhodos et Mytilene pulchra facit quod
paenula solstitio, campestre nivalibus auris,
per brumam Tiberis, Sextili mense caminus.
dum licet et vultum servat Fortuna benignum,   20
Romae laudetur Samos et Chios et Rhodos absens. 
tu, quamcumque deus tibi fortunaverit horam,
grata sume manu neu dulcia differ in annum,
ut, quocumque loco fueris, vixisse libenter
te dicas; nam, si ratio et prudentia curas,     25
non locus effusi late maris arbiter, aufert,
caelum, non animum, mutant, qui trans mare currunt.
strenua nos exercet inertia; navibus atque
quadrigis petimus bene vivere. quod petis hic est,
est Vlubris, animus si te non deficit aequus.    30

健全な者にとっては,ロドス*9も麗しきミュティレーネー*9も,
夏至の時の外套,吹雪の時の軽体操着,
冬のティベリス河*10,8月の暖炉に等しい.
それができるうちは,そして運命女神が好意的な顔をしているうちは,
ローマに居て,離れたサモスにキオスにロドスを讃えたまえ.
君は,神が君にどんな時間を恵んでくれようとも,
感謝して手で取りたまえ,そして楽しいことを年延ばしにするな,
どの場所に君がいようとも,自分は喜んで生きたと
言えるように.なぜなら,もし理性と先見の明が
心労を取り除くもので,茫洋の海を眺める地ではないなら,
海行く人が替えるのは天地であって,心ではない.
無為は我々を忙しく駆り立てるもの.我々は船に
四頭立て馬車により,よく生きることを求めるものだ.君が求めるものは此処にある,
ウルブラエ*11にあるのだ,もし君に平静な気持ちがちゃんとありさえすれば.


*9 地図参照.
*10 ティベリス河でよく行われていた水浴が意味されている.
*11 アンティウムから北東20kmほどの所の,アッピア街道沿いの町.現Cisterna Roma.


【2008/01/02 11:47】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


明けましておめでとうございます

 新年明けましておめでとうございます.好き勝手に翻訳しているだけのブログですが,今年もよろしくお願いします.

 今年の目標としては:

  ホラーティウス『書簡集』全訳
  オウィディウス『イービス』全訳
  キケロー『卜占について』第1巻翻訳
  プロペルティウス第4巻翻訳
  ホラーティウス『歌集』第2巻翻訳

という感じでしょうか.あとは『ラテン語基礎語彙集』なぞ作成しようと思っています.ともかく,昨年から続いている『書簡集』第1巻を早いうちに完訳したいですね.


【2008/01/01 22:20】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『書簡集』1巻11歌1-16

Quid tibi visa Chios, Bullati, notaque lesbos,
quid concinna Samos, quid Croesi regia Sardis,
Zmyrna quid et Colophon? maiora minorane fama?
cunctane prae Campo et Tiberino flumine sordent?
an venit in votum Attalicis ex urbibus una?    5
an Lebedum laudas odio maris atque viarum?
scis, Lebedus quid sit? Gabiis desertior atque
Fidenis vicus. tamen illic vivere vellem
oblitusque meorum obliviscendus et illis
Neptunum procul e terra spectare furentem.   10
sed neque qui Capua Romam petit imbre lutoque
aspersus volet in caupona vivere nec, qui
frigus collegit, furnos et balnea laudat
ut fortunatam plene praestantia vitam,
nec, si te validus iactaverit Auster in alto,    15
idcirco navem trans Aegaeum mare vendas.

キオス*1の君の印象はどうだね,ブッラーティウス*2よ,そして著名なレスボスは?
絢爛なサモス*1はどうだね,クロイソス*3の王宮たるサルディス*1はどうだね,
ズミュルナ*1とコロポーン*1はどうだね?噂に勝るものだったかね,噂ほどでもなかったかね?
何れもカンプス*4とティベリスの河に比べてつまらなかっただろうか?
それとも,アッタロス*5の都のうちで,一つでも君の期待に添えただろうか?
それとも,君はレベドスを賛嘆しているだろうか,海路陸路に嫌気がさして?
レベドスがどんなものか,君は知っているか?ガビイー*6よりも,さらには
フィーデーナエ*7よりも閑散とした村だ.しかし僕はそこに暮らせるものなら暮らしてみたい,
そして,友達を忘れて,また友達から忘れられて,
陸から遠く,荒れ狂う海を見てみたいものだ.
しかし,カプア*8からローマへ行こうとする者は,雨と泥に
まみれてまで旅籠にいようとは思わないし,また,
寒さに凍えきった者も,暖炉と浴場を
人生を至福にするものとしては讃えず,
もし激しい南風が海で翻弄しても,
だからといってエーゲ海の向こうで船を売ってしまいはしないだろう.

*1 地図参照.
*2 不詳.
*3 6世紀のリュディアの王.
*4 ローマの北西,ティベリス河近くにあるマールスの野(campus Martius).
*5 ペルガモン(地図参照),エペソス(地図参照)などの王(前133没).豪奢の代名詞.
*6 ローマの東北東10kmほどの町.
*7 ローマのほぼ北10kmほどの町.
*8 カンパーニアの町.


【2008/01/01 22:10】 Horatius Epistulae | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ




PROFILE

  • Author:メレアグロス
  • 気が向いた時にラテン語を訳したりしています.
    ヘレニズムのギリシア語もたまに訳しています.

    問い合わせ先(メールフォーム)
  • RSS1.0
  • CM, TB, ARCHIVE

    COMMENT
  • メレアグロス [06/06 15:20] 
  • outis [06/05 21:42] 
  • メレアグロス [06/05 10:37] 
  • outis [06/01 22:33] 
  • メレアグロス [05/28 18:31] 
  • outis [05/26 23:35] 
  • Succarum [09/24 20:12] 
  • メレアグロス [09/24 00:15] 
  • Succarum [09/23 16:32] 
  • メレアグロス [11/06 01:49] 
    TRACKBACK
  • えいじゅなすの本棚 - 英語, 医学, 投資の専門書レビューブログ:Wheelock's Latin(05/26)

  • ARCHIVE
  • 2016年07月 (1)
  • 2016年05月 (1)
  • 2016年01月 (1)
  • 2015年08月 (1)
  • 2015年07月 (1)
  • 2015年06月 (1)
  • 2015年05月 (2)
  • 2015年04月 (1)
  • 2015年03月 (4)
  • 2015年02月 (1)
  • 2015年01月 (1)
  • 2014年12月 (4)
  • 2014年11月 (24)
  • 2014年10月 (6)
  • 2014年08月 (1)
  • 2014年07月 (3)
  • 2014年06月 (10)
  • 2014年04月 (3)
  • 2014年03月 (3)
  • 2014年02月 (1)
  • 2014年01月 (2)
  • 2013年12月 (3)
  • 2013年11月 (4)
  • 2013年10月 (25)
  • 2013年09月 (1)
  • 2013年08月 (5)
  • 2013年07月 (6)
  • 2013年06月 (1)
  • 2013年05月 (2)
  • 2013年04月 (1)
  • 2013年03月 (1)
  • 2013年02月 (2)
  • 2013年01月 (2)
  • 2012年12月 (1)
  • 2012年10月 (6)
  • 2012年09月 (27)
  • 2012年08月 (32)
  • 2012年07月 (47)
  • 2012年06月 (50)
  • 2012年05月 (3)
  • 2009年10月 (1)
  • 2009年09月 (2)
  • 2009年08月 (12)
  • 2009年07月 (7)
  • 2009年06月 (14)
  • 2009年05月 (2)
  • 2009年03月 (40)
  • 2009年02月 (14)
  • 2009年01月 (75)
  • 2008年12月 (26)
  • 2008年11月 (22)
  • 2008年10月 (60)
  • 2008年09月 (95)
  • 2008年08月 (68)
  • 2008年07月 (42)
  • 2008年06月 (54)
  • 2008年05月 (49)
  • 2008年04月 (49)
  • 2008年03月 (35)
  • 2008年02月 (9)
  • 2008年01月 (27)
  • 2007年12月 (40)
  • 2007年11月 (35)
  • 2007年10月 (26)
  • 2007年09月 (43)
  • 2007年08月 (10)
  • 2007年05月 (33)
  • 2007年04月 (8)
  • 2007年03月 (61)
  • 2007年02月 (51)
  • 2007年01月 (75)
  • 2006年12月 (68)
  • 2006年11月 (23)
  • 2006年10月 (56)
  • 2006年07月 (1)
  • 2006年06月 (7)
  • 2006年05月 (125)
  • 2006年04月 (77)
  • 2006年02月 (34)
  • 2006年01月 (69)
  • 2005年12月 (54)
  • 2005年11月 (50)
  • 2005年10月 (7)
  • 2005年09月 (106)
  • 2005年08月 (38)
  • 2005年07月 (4)
  • 上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。