FC2ブログ
ラテン語徒然  ラテン語の翻訳・覚え書きなど
log-in  ラテン語入門 作家別インデックス 文法資料 リンク集 ギリシア語フォントについて アーカイブ他
歴史地図 伊北 伊南 希北 希南 小ア PHI Perseus POxy KVK CiNii L-S Georges Gildersleeve 省略記号 Text Archive BMCR DCC BMCR 日本西洋古典学会

各国語の翻訳のために

久々に大物リンク集を発見.各国語の翻訳のためのネット上のリソースや,辞書が膨大に登録されています.

  翻訳と辞書 : 翻訳のためのインターネットリソース[無料]


今までネット上の辞書など,あまりないかと思っていたら,こんなにあるのですね.リンク集の重要性を改めて認識しました.


【2007/12/06 22:23】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻27歌

Natis in usum laetitiae scyphis
pugnare Thracum est. tollite barbarum
 morem verecundumque Bacchum
  sanguineis prohibete rixis.

vino et lucernis Medus acinaces     5
immane quantum discrepat. impium
 lenite clamorem, sodales,
  et cubito remanete presso.

vultis severi me quoque sumere
partem Falerni? dicat Opuntiae     10
 frater Megyllae, quo beatus
  vulnere, qua pereat sagitta.

cessat voluntas? non alia bibam
mercede. quae te cumque domat Venus,
 non erubescendis adurit       15
  ignibus, ingenuoque semper

amore peccas. quidquid habes, age,
depone tutis auribus. a miser!
 quanta laboras Charybdi,
  digne puer meliore flamma!     20

quae saga, quis te solvere Thessalis
magus venenis, quis poterit deus?
 vix illigatum te triformi
  Pegasus expediet Chimaera.


韻律:Alcaicum
― ―U― ―||―UU―UU
― ―U― ―||―UU―UU
 U―U― ― ―U―U
  ―UU―UU―U―U

愉しみの具として産まれた杯で
争うのはトラーキア人*1のすること.蛮人の
 習いは止めて,慎み深きバッコスを
  血みどろの争いより引き離せ.

酒とランプに,メーディア人*2の長刀は
釣り合わないにも程がある.行儀悪く
 声を張り上げるのは止めよ,君たち,
  そしてクッションの上に横になっていろ*3

君らは僕にもまた強い
ファレルヌム葡萄酒*4の分け前を取れというのか?ではオピュス*5
 メギュッラ*6の兄が,どんな恋の痛手に
  夢心地で,どんな愛神の矢で死にそうなのかを言うがよい.

勇気がないと?他の条件じゃあ僕は
飲まないよ.どんなウェヌスが君を支配しようと
 顔を真っ赤にするほどの火では
  焚き付けてはいないし,君はいつも真っ当な

愛に陥っているんだから.何であろうと,さあ,
秘密は保証する,この耳に打ち明けてくれ.ああ,酷い!
 なんてとんでもないカリュブディス*7にお前は手を焼いているのか,君は.
  もっとましな炎が相応しいのに?

どの占い女が,どの魔法使いが,テッサリアの
毒草でお前を解放できるだろう,どの神が?
 三つ姿もつキマイラ*8にがんじがらめの君なれば,
  ペーガソス*9すら解き難かろう.

*1 大酒飲みとされる.
*2 メーディアはほぼペルシア人やスキュティア人に等しい.
*3 古代の酒宴は寝椅子に横になって行われる.
*4 最高級葡萄酒.
*5 ロクリスの町.
*6 女性の名.
*7 イタリアとシチリアの間の海峡の難所の渦.ここでは魅力的で手に負えない女性の比喩.
*8 エキドナとテュポーンより生まれた,ライオンと蛇と山羊の姿を併せ持つ怪物.
*9 ペルセウスによって殺されたメドゥーサの首から産まれた,翼を持つ馬で,後にベッレロポーンの馬となり,彼がキマイラ退治を命じられた時,このペーガソスに乗って空中よりキマイラを射殺す.


【2007/12/06 16:39】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


恐らく最高傑作の一つ

 多分ホラーティウスの1巻9歌は,この巻では最高傑作でしょうね.Nisbet-Hubbardも"This is a great poem"と言っているぐらいですが,これを原文で読めただけでもラテン語勉強していた甲斐があるというものです.しかしこの詩なんか読んでいると,Oxford Latin DictionaryやHisbet-Hubbardや地図や神話辞典なんか見比べながら勉強していてはいけないと,つくづく思い知らされます.まあそんな勉強は年を取ればいくらでもできますからね(笑).


【2007/12/05 07:11】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻9歌

Vides ut alta stet nive candidum
Soracte, nec iam sustineant onus
 silvae laborantes, geluque
  flumina constiterint acuto?

dissolve frigus ligna super foco    5
large reponens atque benignius
 deprome quadrimum Sabina,
  o Thaliarche, merum diota.

permitte divis cetera, qui simul
stravere ventos aequore fervido   10
 deproeliantis, nec cupressi
  nec veteres agitantur orni.

quid sit futurum cras, fuge quaerere et
quem Fors dierum cumque dabit, lucro
 appone, nec dulcis amores     15
  sperne puer neque tu choreas,

donec virenti canities abest
morosa. nunc et Campus et areae
 lenesque sub noctem susurri
  composita repetantur hora,   20

nunc et latentis proditor intimo
gratus puellae risus ab angulo
 pignusque dereptum lacertis
  aut digito male pertinaci.


韻律:Alcaicum
― ―U― ―||―UU―UU
― ―U― ―||―UU―UU
 U―U― ― ―U―U
  ―UU―UU―U―U

みえないのか,いかに深い雪で白くなって
ソーラクテ山*1が聳え,そして今や森も
 重みに苦しみ耐えきれず,また凍てつく
  氷に河も止まっている様を?

寒さを追い払え,炉に薪を
たっぷりと焼べてな.そしてもっと気前よく,
 サビーニー*2の酒瓶から,
  おい,タリアルコス*3よ,4年ものの生酒を出してくれ.

他の事は神々に任せよ.彼らがひとたび
波たぎる海で争う風を
 鎮めれば,糸杉も
  トネリコの古木も揺さぶられはしない.

何が明日の日に起こるのかなぞ,尋ねるのは止めよ,そして
運命が与えてくれる日々は何であれ,利益に
 数えるがよい,そしてお前が少年たるうちは,甘き愛も
  歌舞も馬鹿にしてはいけない,

堅苦しい老年が青春の身に訪れていない間は.
今こそ,マルス広場と,競技場*1
 夜せまる時の小声の囁きを
  時を約束して求める時,

今こそ奥の角より隠れる乙女の居場所を
ばらしてしまう喜ばしい笑い声を,
 そして恋の証*5を抗いもせぬ
  腕や指より奪って求める時.


*1 ローマより北北東30kmほどの所の山.標高835m.現サントレステ(Sant'Oreste)山.
*2 ローマの北方で,ホラーティウスの別荘や農場があった地域.
*3 「宴の主」のようなものを意味するギリシア語の名前.
*4 広場や競技場は逢い引きなどの場所にも用いられた.
*5 指輪や腕輪.


【2007/12/05 07:04】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻17歌

Velox amoenum saepe Lucretilem
mutat Lycaeo Faunus et igneam
 defendit aestatem capellis
  usque meis pluviosque ventos.

impune tutum per nemus arbutos   5
quaerunt latentis et thyma deviae
 olentis uxores mariti,
  nec viridis metuunt colubras

nec Martialis haediliae lupos,
utcumque dulci, Tyndari, fistula   10
 valles et Vsticae cubantis
  levia personuere saxa.

di me tuentur. dis pietas mea
et Musa cordi est. hic tibi copia
 manabit ad plenum benigno    15
  ruris honorum opulenta cornu.

hic in reducta valle Caniculae
vitabis aestus et fide Teia
 dices laborantis in uno
  Penelopen vitreamque Circen.  20

hic innocentis pocula Lesbii
duces sub umbra, nec Semeleius
 cum Marte confundet Thyoneus
  proelia, nec metues protervum

suspecta Cyrum, ne male dispari   25
incontinentis iniciat manus
 et scindat haerentem coronam
  crinibus immeritamque vestem.



韻律:Alcaicum
― ―U― ―||―UU―UU
― ―U― ―||―UU―UU
 U―U― ― ―U―U
  ―UU―UU―U―U

足速きファウヌス*1は,しばしばリュカイオン*2の山から
愛らしきルクレーティリス*3に場所を替え,そして焼け付く
 夏の暑さと風雨から,私の山羊の群を
  お守りくださる.

害されることなく安全に
ぷんぷん臭う雄山羊の妻たちは,道から離れて
 森の中を,隠れた木苺や麝香草を探し,
  子山羊達も青い蛇や

マルスゆかりの狼を恐れはしない,
甘美な牧笛で,テュンダリス*4よ,
 谷となだらかに横たわるウスティーカ*5
  滑らかな岩が響き渡る時には.

神々は僕をお守りになる.神々には僕の敬虔さと
ムーサがお気に入りなのだ.ここではお前のために,
 田舎の栄光に恵まれた豊穣の角*6のゆたかな量が
  心行くまで溢れて来るだろう.

ここの奥まった谷間にて,お前は犬座の
暑気を避ける事だろう,そしてテオス*7の弦に合わせて
 お前は一人の男*8に恋煩いする
  ペーネロペーと玻璃色のキルケーを語るだろう.

ここの影の下で,お前は無垢のレスボスの杯を
飲むだろう,そしてセメレーの子
 テュオーネウス*9もマールスと戦いを
  繰り広げないだろうし,またお前も怖がることはないだろう,恥知らずな

キューロス*10がお前を疑って,お似合いでもないお前に
容赦なく暴力を振るい,
 髪につけた花冠を毟り
  八つ当たりして衣服を引き裂くのではないか,などとは.

*1 森の神で,パーンと同一視される,豊穣・多産の神.
*2 アルカディア中央やや南西にある山.パーンの生誕地とされ,その神殿もあった.
*3 Nisbet-Hubbardはローマから東北東40kmほどの所にあるLicenzaの西側の山と見ている.ホラーティウスの別荘からほぼ3km程南西のところ.
*4 酒席でかしずく女性の名.
*5 文脈からホラーティウスの別荘近辺と見られるが,正確な位置は不明.
*6 コルヌーコピアと呼ばれる角で,ゼウスを養育した山羊アマルテイアのもので,神々の飲み物と食べ物に溢れていたが,折れてから後にはその角は好きな果物に満ちあふれるものとなった(cf. 高津『神話辞典』「アマルテイア」).
*7 小アジアの町.アナクレオーンの出身地.テオスの弦はアナクレオーンの調子で,ということ.
*8 オデュッセウス.
*9 セメレーはディオニュソスの母.テュオーネウスもまた,「テュオーネーの子」という意味でディオニュソスをさす.テュオーネーはセメレーの別名.
*10 恐らく下男の名.


【2007/12/04 20:52】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


週末も終わり……

 後少しと思いきや,ちょっとした注なんかをつけていると結構時間が取られます.あと4つなんですがねえ.週末はホラーティウス漬けでした.1.18がなかなかに手強くて,昔読んでいた時には殆どどれも歯が立たなかったのを思い出しました.

 終ったら本当に『イービス』を再開しなくては…….どうしても苦手なものは後回ししたくなります.

 来年は一応ホラーティウス『歌集』第2巻,キケロー『卜占論』第1巻,プロペルティウス第4巻,ギリシア語はビオーン全訳,カッリマコスの『縁起集』のめぼしい所あたりを考えているのですが,なにかやってもらいたいものなどあったら,適切な資料などが手に入ればやってみますので,リクエストでも下さい(応じられない事も多いとは思いますが).


【2007/12/02 15:14】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻24歌 ワールスの死に

Quis desiderio sit pudor aut modus
tam cari capitis? praecipe lugubris
cantus, Melpomene, cui liquidam pater
 vocem cum cithara dedit.

ergo Quintilium perpetuus sopor    5
urget: cui Pudor et Iustitiae soror,
incorrupta Fides nudaque Veritas
 quando ullum inveniet parem?

multis ille bonis flebilis occidit,
nulli flebilior quam tibi, Vergili.    10
tu frustra pius, heu, non ita creditum
 poscis Quintilium deos.

quid si Threicio blandius Orpheo
auditam moderere arboribus fidem?
num vanae redeat sanguis imagini   15
 quam virga semel horrida,

non lenis precibus fata recludere,
nigro compulerit Mercurius gregi?
durum, sed levius fit patientia
 quidquid corrigere est nefas.    20


韻律:Asclepiadeum alterum
― ― ― UU ― || ― UU ― U U
― ― ― UU ― || ― UU ― U U
― ― ― UU ― || ― UU ― U U
― ― ― UU ― U U

どんな気後れや節度があり得るだろうか?
かくも親しき故人への思慕に?哀悼の歌を
教えたまえ,メルポメネー*1よ,父神が滑らかな
 声をキタラとともにお与えになった女神よ.

それではクィーンティリウス*2に永久の眠りが
のしかかっているのか?「廉恥」と「正義」の兄弟たる
堕落することなき「信義」,そして真直ぐな「真実」は,
 その彼に並ぶ者を何時見出せるであろうか.

彼の死は多くのよき人々に悼ましいものだったが,
誰よりもお前にとって最も悼ましかったのだ,ウェルギリウスよ.
お前こそが,敬虔にも,ああ,このように委ねたわけではない
 クィーンティリウスを,神々に返せと迫ったが,虚しきこと.

どうなろうというのか,たとえトラーキアのオルペウスよりも甘美に
樹々にも耳傾けられる弦の音を奏でたところで?
虚しい影に血が戻るとでも言うのか,
 ひとたび恐ろしい杖を使って,

祈りにも死の門を開かぬ頑迷な
メルクリウスが,黒い死者の群に追い立てたその影に?
辛いことだが,取り返しの許されざることは何であれ,
 忍耐により辛さが薄れるもの.


*1 ムーサらの一人で,悲劇を担う.
*2 クィーンティリウス・ワールス.ホラーティウスやウェルギリウスと親交のあった詩人.没年は前24/23年で,この詩もその直後に成立したと思われる.


【2007/12/02 14:02】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻18歌 酒は飲んでも飲まれるなかれ

Nullam, Vare, sacra vite prius severis arborem
circa mite solum Tiburis et moenia Catili.
siccis omnia nam dura deus proposuit, neque
mordaces aliter diffugiunt sollicitudines.

quis post vina gravem militiam aut pauperiem crepat?  5
quis non te potius, Bacche pater, teque, decens Venus?
ac ne quis modici transiliat munera Liberi,
Centaurea monet cum Lapithis rixa super mero

debellata, monet Sithoniis non levis Euhius,
cum fas atque nefas exiguo fine libidinum       10
discernunt avidi. non ego te, candide Bassareu,
invitum quatiam, nec variis obsita frondibus

sub divum rapiam. saeva tene cum Berecyntio
cornu tympana, quae subsequitur caecus Amor sui
et tollens vacuum plus nimio Gloria verticem      15
arcanique Fides prodiga, perlucidior vitro.



韻律:Asclepiadeum quintum
― ― ― UU ― ― UU ― ― UU ― U U

いかなる樹も,ワールス*1よ,葡萄よりも先に植えることなかれ,
ティーブル*2の柔らかな土とカーティルス*3の城壁の周辺には.
なぜなら,素面の者たちには,神はあらゆることを吹っかけ,そして
心苛む煩い事を退けるには他の術はないのだから.

誰が葡萄酒を飲んでから,戦の辛さや貧窮をぐじぐじと言うだろう?
誰があなたを,父たるバッコスよ,だれがあなたを,優美なウェヌスよ,語らないだろう?
だが,だれも節度ある酒の習いを越えぬようにと,
破滅に至ったケンタウロスの,酒の上でのラピュタイ族との諍い*4

警告し,シートニオイ族にエウヒウスの神*5も厳罰をもって警告する*6
情欲に貪るあまり,許されることと許されざることとの境界を
僅かにしかつけぬ時には.私はといえば,あなたを,輝かしいバッサレウスの神*7よ,
気の向かないままで呼び出しはしないし,様々な葉にて被われた

ものを,日の下にはさらすまい*8.荒々しいシンバルを,ベレキュントスゆかりの
角笛*9とともに控えるがよい,それには見境ない「自己愛」,
そして空しい頭をあまりにも高く持ち上げる「虚栄」と,
ガラスよりも透き通った,秘密をばらす「信頼」が続くのだから.


*1 クィーンティーリウス・ワールス.ウェルギリウス,ホラーティウスと親交があった詩人(ただし法律家であったプーブリウス・アルフェーヌス・ワールスという人物の可能性もある.それについてはNisbet-Hubbard: pp. 227-28を参照).
*2 ローマの東方25kmほどの所の,アニオー河沿いの町.
*3 ティーブルの創始者の一人.
*4 テッサリアのラピタイ族の王,ペイリトウスと,ヒッポダメイアとの結婚式の酒席で,招かれていたケンタウロスの一人が酔って花嫁を奪おうとし,ラピタイ族とケンタウロスたちの戦いが始まった.絵画のテーマにもなる有名な逸話.
*5 バッコスのこと.この神の秘儀でのかけ声「エウホイ」にちなんだ名前.
*6 シートニアは3つあるカルキディケーの岬の真ん中のもの.この種族は酒に酔うと相姦に及ぶというポリュピュリオスらの記述があり,始祖のシートーンは,娘パッレーネーを犯し続け,ディオニューソスはそれを止めさせるため,パッレーネーを妻に要求したところ,拳闘で自分に勝つ事を条件にし,その際にシートーンは殺されるという話が伝わっている(cf. Kleine Pauly: Bd. 5. p.216 "sithon")
*7 ディオニューソスの異名の一つ.バッコス信女が着る狐の皮衣を,トラキアの言葉でバッサラというところから来ているとされる.
*8 バッコスの聖品は秘技に与らないものには見る事は許されなかった.
*9 ベレキュントスは,バッコス信者同様狂乱の儀式をもつキュベーレーの祭りの中心であるプリュギアの一民族.ここではプリュギアそのものを指す.プリュギアの角笛は一種のクラリネット状のリード楽器(Nisbet-Hubbard: ad loc.).


【2007/12/02 08:15】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻15歌21-36 (2/2)


non Laertiaden, exitium tuae
genti, non Pylium Nestora respicis?
urgent impavidi te Salaminius
 Teucer, te Sthenelus sciens

pugnae, sive opus est imperitare equis, 25
non auriga piger. Merionen quoque
nosces. ecce furit te reperire atrox
 Tydides, melior patre,

quem tu, cervus uti vallis in altera
visum parte lupum graminis immemor,  30
sublimi fugies mollis anhelitu,
 non hoc pollicitus tuae.

iracunda diem proferet Ilio
matronisque Phrygum classis Achillei;
post certas hiemes uret Achaicus    35
 ignis Iliacas domos.

(ネーレウスの言葉の続き)
お前の民の破滅の元たるラーエルテースの子*1を,
ピュロスのネストール*2をお前は気にせぬのか?
恐れる事もなくお前に迫るのは,サラミスの
 テウクロス*3,またお前に迫るのはステネロス*4

戦もよく知り,もし馬を御すのが必要なら
優れた御者たる男だ.メリオーネース*5をもまた
お前は知る事となろう.みよ,お前を見つけんと荒れ狂うのは
 父より偉大なテューデウスの子*6

その男をお前は,ちょうど谷の逆側に
狼を見て,草も忘れる鹿の如く,
軟弱にも激しく息をひいひい言わせて逃がれることだろう.
 こんなことをお前の女に約束はせぬものを. 

怒りに満ちたアキッレウスの艦隊は,イーリオンと
プリュギアの妻どものため,この日を先延ばしするだろう*7が,
定まった冬が過ぎてから,アカイアの放つ
 火はイーリオンの家々を焼くだろう」

*1 オデュッセウス.
*2 3世代を生きた長老の武将.
*3 『歌集』1巻7歌注*13参照.
*4 アルゴスから来た,ディオメーデースの御者.
*5 クレータ出身で,同じクレータ出身のイードーメネウスの御者.
*6 ディオメーデース.
*7 アキッレウスは大将であるアガメムノーンにブリセーイスを奪われた事に腹を立て,一次戦いを止めたことを指す(イーリアスの経緯).


【2007/12/01 09:25】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻15歌1-20 (1/2)

Pastor cum traheret per freta navibus
Idaeis Helenen perfidus hospitam,
ingrato celeris obruit otio
 ventos, ut caneret fera

Nereus fata: ' mala ducis avi domum,    5
quam multo repetet Graecia milite
coniurata tuas rumpere nuptias
 et regnum Priami vetus.

heu heu, quantus equis, quantus adest viris
sudor! quanta moves funera Dardanae   10
genti! iam galeam Pallas et aegida
 currusque et rabiem parat.

nequiquam Veneris praesidio ferox
pectes caesariem grataque feminis
imbelli cithara carmina divides,      15
 nequiquam thalamo gravis

hastas et calami spicula Cnosii
vitabis strepitumque et celerem sequi
Aiacem; tamen, heu, serum adulteros
 crinis pulvere collines.         20



韻律:Asclepiadeum alterum
― ― ― UU ― || ― UU ― U U
― ― ― UU ― || ― UU ― U U
― ― ― UU ― || ― UU ― U U
― ― ― UU ― U U

不実な牧人*1が歓待せる側のヘレネー*2
イーダー山の船*3で海を越えて連れて行く時,
速き風どもを嬉しくもない
 暇にて押しとどめて,ネーレウス*4

過酷な運命を語った.「お前が父祖の家に凶兆とともに連れて行くのは,
ギリシアがお前の婚姻と,プリアモスの古の王国を
破壊することを誓って,
 大群で取り返しに来る女だ.

ああ,ああ,どれほどの汗が馬どもから,どれほどの汗が男どもから
流れることか!どれほどの葬儀をお前はダルダノス*5の民に
もたらしつつあるのか!今やパッラス*6は,兜とアイギス盾*7
 戦車と狂気の怒りを用意している.

無駄なことだ,ウェヌスの守りの下,お前は勇猛にも
長髪を梳り,女どもに喜ばれる
歌を,戦好まぬキタラにて調子をとっても.
 無駄なことだ,閨にて重い

槍とクノッソス*8の葦の矢を避け,
また音たてて追う足も速き
アイアース*9を逃れようとも.しかし,ああ,後にお前は
 姦夫の髪を塵まみれにするだろう.

*1 イーダー山で牧人に育てられたトロヤの王子パリス.
*2 スパルタの王メネラーオスの妻で,絶世の美女.彼女をパリスが連れていったことがトロヤ戦争の発端.
*3 すなわちトロヤの船.
*4 海の老人.
*5 トロヤの祖先.すなわち,ダルダノスの民はトロヤ人.
*6 アテーネー.
*7 アテーネーの胸当ての盾.ゴルゴーンの首がついている.
*8 クレータ島の町.クノッソスの弓矢はしばしば言及される.
*9 小アイアース.


【2007/12/01 05:16】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ




PROFILE

  • Author:メレアグロス
  • 気が向いた時にラテン語を訳したりしています.
    ヘレニズムのギリシア語もたまに訳しています.

    問い合わせ先(メールフォーム)
  • RSS1.0
  • CM, TB, ARCHIVE

    COMMENT
  • メレアグロス [06/06 15:20] 
  • outis [06/05 21:42] 
  • メレアグロス [06/05 10:37] 
  • outis [06/01 22:33] 
  • メレアグロス [05/28 18:31] 
  • outis [05/26 23:35] 
  • Succarum [09/24 20:12] 
  • メレアグロス [09/24 00:15] 
  • Succarum [09/23 16:32] 
  • メレアグロス [11/06 01:49] 
    TRACKBACK
  • えいじゅなすの本棚 - 英語, 医学, 投資の専門書レビューブログ:Wheelock's Latin(05/26)

  • ARCHIVE
  • 2019年03月 (1)
  • 2018年11月 (1)
  • 2018年08月 (1)
  • 2018年05月 (3)
  • 2018年03月 (20)
  • 2018年02月 (25)
  • 2016年07月 (1)
  • 2016年05月 (1)
  • 2016年01月 (1)
  • 2015年08月 (1)
  • 2015年07月 (1)
  • 2015年06月 (1)
  • 2015年05月 (2)
  • 2015年04月 (1)
  • 2015年03月 (4)
  • 2015年02月 (1)
  • 2015年01月 (1)
  • 2014年12月 (4)
  • 2014年11月 (24)
  • 2014年10月 (6)
  • 2014年08月 (1)
  • 2014年07月 (3)
  • 2014年06月 (10)
  • 2014年04月 (3)
  • 2014年03月 (3)
  • 2014年02月 (1)
  • 2014年01月 (2)
  • 2013年12月 (3)
  • 2013年11月 (4)
  • 2013年10月 (25)
  • 2013年09月 (1)
  • 2013年08月 (5)
  • 2013年07月 (6)
  • 2013年06月 (1)
  • 2013年05月 (2)
  • 2013年04月 (1)
  • 2013年03月 (1)
  • 2013年02月 (2)
  • 2013年01月 (2)
  • 2012年12月 (1)
  • 2012年10月 (6)
  • 2012年09月 (27)
  • 2012年08月 (32)
  • 2012年07月 (47)
  • 2012年06月 (50)
  • 2012年05月 (3)
  • 2009年10月 (1)
  • 2009年09月 (2)
  • 2009年08月 (12)
  • 2009年07月 (7)
  • 2009年06月 (14)
  • 2009年05月 (2)
  • 2009年03月 (40)
  • 2009年02月 (14)
  • 2009年01月 (75)
  • 2008年12月 (26)
  • 2008年11月 (22)
  • 2008年10月 (60)
  • 2008年09月 (95)
  • 2008年08月 (68)
  • 2008年07月 (42)
  • 2008年06月 (54)
  • 2008年05月 (49)
  • 2008年04月 (49)
  • 2008年03月 (35)
  • 2008年02月 (9)
  • 2008年01月 (27)
  • 2007年12月 (40)
  • 2007年11月 (35)
  • 2007年10月 (26)
  • 2007年09月 (43)
  • 2007年08月 (10)
  • 2007年05月 (33)
  • 2007年04月 (8)
  • 2007年03月 (61)
  • 2007年02月 (51)
  • 2007年01月 (75)
  • 2006年12月 (68)
  • 2006年11月 (23)
  • 2006年10月 (56)
  • 2006年07月 (1)
  • 2006年06月 (7)
  • 2006年05月 (125)
  • 2006年04月 (77)
  • 2006年02月 (34)
  • 2006年01月 (69)
  • 2005年12月 (54)
  • 2005年11月 (50)
  • 2005年10月 (7)
  • 2005年09月 (106)
  • 2005年08月 (38)
  • 2005年07月 (4)