ラテン語徒然  ラテン語の翻訳・覚え書きなど
log-in  ラテン語入門 作家別インデックス 文法資料 リンク集 ギリシア語フォントについて アーカイブ他
歴史地図 伊北 伊南 希北 希南 小ア PHI Perseus POxy KVK CiNii L-S Georges Gildersleeve 省略記号 Text Archive BMCR DCC

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


【--/--/-- --:--】 スポンサー広告 | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻7歌 プランクスに

Laudabunt alii claram Rhodon aut Mytilenen
 aut Epheson bimarisve Corinthi
moenia vel Baccho Thebas vel Apolline Delphos
 insignis aut Thessala Tempe;

sunt quibus unum opus est intactae Palladis urbem 5
 carmine perpetuo celebrare et
undique decerptam fronti praeponere olivam;
 plurimus in Iunonis honorem

aptum dicet equis Argos ditisque Mycenas:
 me nec tam patiens Lacedaemon        10
nec tam Larisae percussit campus opimae
 quam domus Albuneae resonantis

et praeceps Anio ac Tiburni lucus et uda
 mobilibus pomaria rivis.
albus ut obscuro deterget nubila caelo      15
 saepe Notus neque parturit imbris

perpetuo, sic tu sapiens finire memento
 tristitiam vitaeque labores
molli, Plance, mero, seu te fulgentia signis
 castra tenent seu densa tenebit        20

Tiburis umbra tui. Teucer Salamina patremque
 cum fugeret, tamen uda Lyaeo
tempora populea fertur vinxisse corona,
 sic tristis affatus amicos:

' quo nos cumque feret melior Fortuna parente,  25
 ibimus, o socii comitesque.
nil desperandum Teucro duce et auspice Teucro.
 certus enim promisit Apollo

ambiguam tellure nova Salamina futuram.
 o fortes peioraque passi            30
mecum saepe viri, nunc vino pellite curas:
 cras ingens iterabimus aequor.'


韻律: 第1アルキロコス風ストロペー

  ― UUUU ― || UUUU ― UU ― x
   ― UUUU ― UU ― x
  ― UUUU ― || UUUU ― UU ― x
   ― UUUU ― UU ― x


他の者は讃えるだろう,高名なロドス島*1やミュティレーネー*2
 あるいはエペソス*3や二つの海もつコリントスの
城壁*4,バッコスにて名高いテーバイ*5やアポッローンにより名高い
 デルポイや,テッサリアのテンペー渓谷を.

汚れなきパッラス*6の町を
 長々続く歌にて讃え,
あちこちより集めたオリーブ冠を額に掲げることを唯一の業とするものもいる,
 大多数のものらはユーノーの栄誉のために

馬によきアルゴスと財に満つミューケーナイ*7を語るであろう.
 私はといえば,さほどは忍耐強きラケダイモーンにも,
さほどは豊かなラーリーサ*8の野にも,心うたれることはない,
 木霊するアルブネア*9の住まいと

流れ落ちるアニオー*10と,またティーブルヌス*11の聖林と
 流れる川に潤う果樹園ほどには.
南風もしばしば澄んで,曇った空から雲を
 ぬぐい去り,雨を生むのが

四六時中というわけではないように,そのように貴殿も
 人生の悲しみにと労苦を
芳醇な生酒にて,プランクス*12よ,けりを付けるのが賢明だ,
 貴殿があるいは軍旗に輝く陣営にいようとも,あるいは

貴殿のティーブルの鬱蒼とした森にいようとも.テウクロス*13がサラミスと自分の父の許から
 追放されていた時,それでも酒浸りの
額にポプラの冠を巻き付けて
 悲しむ友らにこのように語ったと言う.

「運命女神が何処に我らをもたらそうと,親よりはましなものだから*14
 我らはゆくとしよう,同胞よ,伴の者らよ.
テウクロスが導き,テウクロスが予見するうちは,絶望するなかれ.
 なぜならアポッローンは確かに約束したのだ,

新しき土地に二つ目の名のサラミスがあらんと.
 おお,逞しく,これよりも酷いことごとを
幾度も我と耐えし男ども,今は葡萄酒にて心労をはらえ.
 また大海を行くのは明日の事だ」

*1 小アジアのカリアの南向かいにある島.
*2 レスボス島の南東の町.
*3 小アジアのリュディアにある町.
*4 コリントスは二つの港があった.城壁は既に壊されていたが,それが観光の対象となっていた.
*5 バッコスはテーバイ王カドモスの娘セメレーからゼウスにより産まれた.
*6 アテーネー.すなわちこの町はアテーナイ.
*7 アルゴスとミューケーナイはヘーラーのお気に入りの町であった.
*8 テッサリア中央やや東よりで,ペーネイオス河沿いの町.
*9 ティーブルに住む女予言者シビュッラ.その住まいはアニオー河の滝壷の深淵あるいはその近くの洞穴と考えられる.
*10 ローマのやや上流でティベリス河に流れ込む河.
*11 ティーブルにはその町の創始者ティーブルヌス崇拝があり,場所は定かではないが,その神聖視された林があったと考えられる.
*12 ルーキウス・ムナーティウス・プランクスは,この時代の重要な政治家の一人.一次マールクス・アントーニウス側につくが,前32年,オクタウィアーヌス側に鞍替えし,また前27年にはオクタウィアーヌスにアウグストゥスの称号を与えることを発案.
*13 サラミース王テラモーンの子.アイアースの異母兄弟で,トロイア戦争でアイアースが自殺したため,テラモーンに追放され,後住む事となったキュプロスに新たにサラミースを作ることとなった.
*14 つまり自分を追放したテラモーンよりはましであるということ.

スポンサーサイト

【2007/11/30 22:03】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻12歌33-60 (2/2)

Romulum post hos prius an quietum
Pompili regnum memorem an superbos
Tarquini fascis, dubito, an Catonis    35
 nobile lectum.

Regulum et Scauros animaeque magnae
prodigum Paulum superante Poeno
gratus insigni referam Camena
 Fabricumque.             40

hunc et incomptis Curium capillis
utilem bello tulit et Camillum
saeva paupertas et avitus apto
 cum Lare fundus.

crescit occulto velut arbore aevo    45
fama Marcelli: micat inter omnis
Iulium sidus velut inter ignis
 luna minores.

gentis humanae pater atque custos,
orte Saturno, tibi cura magni      50
Caesaris fatis data; tu secundo
 Caesare regnes.

ille, seu Parthos Latio imminentis
egerit iusto domitos triumpho
sive subiectos Orientis orae       55
 Seras et Indos,

te minor laetum reget aequus orbem;
tu gravi curru quaties Olympum,
tu parum castis inimica mittes
 fulmina lucis.             60

これらの後には最初にロームルス*1を語るか,それとも
ポンピリウス*2の穏やかな王国を語るか,それとも傲慢な
タルクィーニウス*3の権勢を語るか,それともカトーの
 高貴な死*4を語るかと,私は迷っている,

レーグルス*5とスカウルス父子*6,そして,
フェニキアが勝った時に,偉大な気概を存分に発揮したパウルス*7を,
私は喜んで傑出した歌にて語ろう.
 そうしてファブリクス*8をも.

彼と,髪梳らぬクリウス*9
カミッルス*10を戦に長けた者としたのは
厳正なる質素と,相応しい家もつ
 父祖伝来の土地.

時知らぬうちに樹木の如く
マルケッルス*11の名声は高まる.全てのうちで
ユーリウス*12の星は,あたかも小さな星々のうちの
 月の如くに輝いている.

人の種族の父であり守り手たる者よ,
サートゥルヌスより生まれし者よ,あなたには偉大な
カエサル*13への世話が,運命により与えられている.あなたが
 カエサルを二番手に置き,世を統べたまえ.

かのお方は,ラティウムの脅威たるパルティアを
下し,あるいは東方の地のセーレス*14
インドの民を従属せしめ,正当な凱旋式にて
 率いようとも,

あなたの下にて,公正に世界を善く統べるであろう.
あなたは巨大な車でオリュンポスを打ち震わせ,
あなたは穢れた聖林*15に掣肘の雷を
 下したまえ.

*1 伝説上のローマ初代王.
*2 これも伝説上のヌマ・ポンピリウス.ローマに法を布いた.
*3 ローマの7代目にして追放され,最後の王となった傲慢王タルクィーニウス.
*4 ユーリウス・カエサルに対立していた共和制支持者,マールクス・ポルキウス・カトー.カエサルのポンペイユス派追討の際,ウティカにて自刃.しかし,ローマの伝説的王にならんでなぜカトーがここにでてくるのか,疑問視されることもある.
*5 マールクス・アティーリウス・レーグルス.第一次ポエニー戦争の時,前255年にアフリカでカルタゴの捕虜となり,250年にローマとの交渉に送られるが,その交渉を受けるなとローマに忠告し,カルタゴ帰還後殺される.
*6 前2世紀末に執政官・ケーンソルを歴任する名士.
*7 ルーキウス・アエミリウス・パウッルス.カンナエの戦いで敗戦の時に戦死.
*8 ガイユス・ファーブリキウス・ルスキーヌス.ローマの質素の手本であった.前280-275年にイタリアに遠征してきたエーペイロス王ピュッロスと戦う.
*9 マーニウス・クリウス・デンタートゥス.第三次サムニウム戦争(前298-290),ピュッロス遠征の際に戦功があった.
*10 マールクス・フリウス・カミッルス.前400年頃のウェイイー族征服,ガッリア人によるローマ征服の防御などで戦功がある.
*11 マールクス・クラウディウス・マルケッルス.前3世紀末に執政官をつとめ,対ガリア,対ハンニバルとの戦いなどで活躍する.
*12 おそらくユーリウス・カエサルではなく,アウグストゥスを指す(Hisbet-Hubbard: ad loc.).
*13 アウグストゥス.
*14 中国人.
*15 神聖化された林は特別な者のみが触れることができ,穢されると天罰が下されるとされた.



【2007/11/30 08:13】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻12歌1-32 (1/2)

Quem virum aut heroa lyra vel acri
tibia sumis celebrare, Clio?
quem deum? cuius recinet iocosa
 nomen imago

aut in umbrosis Heliconis oris       5
aut super Pindo gelidove in Haemo,
unde vocalem temere insecutae
 Orphea silvae,

arte materna rapidos morantem
fluminum lapsus celerisque ventos,    10
blandum et auritas fidibus canoris
 ducere quercus?

quid prius dicam solitis Parentis
laudibus, qui res hominum ac deorum,
qui mare et terras variisque mundum   15
 temperat horis?

unde nil maius generatur ipso
nec viget quidquam simile aut secundum.
proximos illi tamen occupat
 Pallas honores,             20

proeliis audax; neque te silebo,
Liber, et saevis inimica virgo
beluis, nec te, metuende certa,
 Phoebe, sagitta.

dicam et Alciden puerosque Ledae,    25
hunc equis, illum superare pugnis
nobilem; quorum simul alba nautis
 stella refulsit,

defluit saxis agitatus umor,
concidunt venti fugiuntque nubes,     30
et minax, quod sic voluere, ponto
 unda recumbit.

31 quod R : quia VP : qui B



韻律:Sapphicum
― U ― ― ― || UU ― U ― U
― U ― ― ― || UU ― U ― U
― U ― ― ― || UU ― U ― U
  ― UU ― U

どの男を,あるいは英雄を,リュラにて,あるいは甲高い
笛にて讃えるべく取り上げるのか,クレイオー*1よ.
どの神を?誰の名前を楽しきその木霊は
 響かせるのか,

あるいは鬱蒼としたヘリコーンの地にて,
あるいはピンドスの山上,あるいは涼しきハイモスにて*2
そこから森は歌麗しきオルペウスを向こう見ずにも
 追いかけていった,

母譲りの業にて,怒濤の
河の流れも,疾風もとどめ,
樫の木も麗しき弦の音にて魅了して
 導くオルペウスを.

何を先に語ろう,父神へのいつもの
賛美よりも先に?人々と神々の事々を,
海と大地と世界を,時うつろうても
 統べたもう父神よりも?

そこよりは御自身よりも偉大な何物も産まれず,
またそれに似たいかなる者も,またそれに次ぐものも栄えず,
最も近い栄誉は,しかしパッラス*3
 占めるのだ,

戦いにて大胆なパッラスが.またあなたも私は語らずにはいないだろう,
リーベル*4よ,そして獰猛な獣らに仇なす
乙女も,そして確かな矢をもて恐るべき
 ポイボス*5よ,あなたをも.

また私は語ろう,アルカイオスの孫*6と,レーダーの子ら*7も.
その一人は馬にて,その一人は拳闘にて勝る
高貴な者で,それらの輝く星が一度船人のために
 輝けば

打ち付ける波も岸壁より流れ落ち,
風も止み,雲は逃げ,
そして逆巻き迫る波も,彼らがそう望むとおり,海に
 横たわる.


*1 ムーサの一人で,歴史を担う.
*2 ヘリコーン(ボイオーティアの山),ピンドス(テッサリアとエーペイロスの間の山),ハイモス(トラキアの山)は,ムーサらが住むとされていた.
*3 アテーネー.
*4 酒の神バッコス.
*5 アポッローン.
*6 ヘーラクレース.アルカイオスの子アンピトリオーンとアルクメーネーの間に産まれたことになっているためこう呼ばれるが,実はヘーラクレースはアンピトリオーンの姿をかりたゼウスの子であるため,血のつながりはない.
*7 カストルとポッルークス(ポリュデウケース)の兄弟で,水夫の守り神とされた.


【2007/11/29 06:17】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻28歌21-36 (2/2)

Me quoque devexi rabidus comes Orionis
 Illyricis Notus obruit undis.
at tu, nauta, vagae ne parce malignus harenae
 ossibus et capiti inhumato

particulam dare: sic, quodcumque minabitur Eurus 25
 fluctibus Hesperiis, Venusinae
plectantur silvae te sospite, multaque merces,
 unde potest, tibi defluat aequo

ab Iove Neptunoque sacri custode Tarenti.
 neglegis immeritis nocituram          30
postmodo te natis fraudem committere? fors et
 debita iura vicesque superbae

te maneant ipsum. precibus non linquar inultis
 teque piacula nulla resolvent.
quamquam festinas, non est mora longa; licebit  35
 iniecto ter pulvere curras.

私もまた,沈みつつあるオリオーン座*1の伴たる
 南風が,イッリュリアの波によって破滅させたのだ.
だが,お前,葬られておらぬ骨と頭のために
 意地悪くも惜しむことなかれ,所定まらぬにせよ僅かな

砂を与えることを.されば,東風が西の波に対して
 いかなる脅威を与えようと,ウェヌシアの森*2
打ち据えられてもお前が安全であり,得ることが可能な方より,
 多くの利益がお前に与えられんことを,すなわち好意ある

ユッピテルと,聖なるタレントゥムの守り手たるネプトゥーヌスより.
 お前は無辜の子孫を後々害するであろう
欺瞞を犯すことを顧みないのか?恐らくまた
 下されるのが必然の法と,傲慢不遜の仕返しが

お前自身を待ちうけよう.私が捨てられれば祈りは聞かれずにはおらず,
 いかなる贖罪もお前を解放することはないだろう.
たとえお前が急いでいるにしても,長い時間は取らせない.
 三度砂を撒いてから走り行くことができよう.


*1 オリオーン座の沈むのは11月で,嵐と関係づけられていた.
*2 ルカーニア,アプリアに接する部分のサムニウムの山で,イタリアを靴に例えると,そのくるぶしの辺りにある.


【2007/11/28 22:20】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻28歌1-20 (1/2)

Te maris et terrae numeroque carentis harenae
 mensorem cohibent, Archyta,
pulveris exigui prope litus parva Matinum
 munera, nec quidquam tibi prodest

aerias temptasse domos animoque rotundum  5
 percurrisse polum morituro.
occidit et Pelopis genitor, conviva deorum
 Tithonusque remotus in auras,

et Iovis arcanis Minos admissus, habentque
 Tartara Panthoiden iterum Orco       10
demissum, quamvis clipeo Troiana refixo
 tempora testatus nihil ultra

nervos atque cutem morti concesserat atrae;
 iudice te non sordidus auctor
naturae verique. sed omnis una manet nox   15
 et calcanda semel via leti.

dant alios Furiae torvo spectacula Marti,
 exitio est avidum mare nautis.
mixta senum ac iuvenum densentur funera. nullum
 saeva caput Proserpina fugit.        20



韻律:Archilocheum primum
UUUUUUUU―UU―U
 ―UUUU―UU―U
UUUUUUUU―UU―U
 ―UUUU―UU―U

海と大地と数しれぬ砂の
 測り手たるお前アルキュータース*1を被っているのは
マティーヌムの海岸*2の近くでの僅かな塵の
 捧げもの*3に過ぎぬ,そしてお前には何一つ役に立たなかった,

天上の館を探求したことも,死すべき者の心にて,
 回転する天球を走査したことも.
ペロプスの父も死に,神々との宴の同席者,
 遠く離れた空に住まうティートーノスも,

ユッピテルの秘儀にも許されたミーノースも死んだ,そして
 タルタロスは再び冥府に下されたパントオスの子*4
持っている,彼が盾を外して
 トローヤでの戦の時を証言した彼は,

腱と皮膚以外は黒き死には譲りはしなかったにもかかわらず.
 お前の判断では,彼は自然学と真実の決して卑しからぬ
権威であるのだが.だが,全ての者を唯一つの夜が待ち受けており,
 冥府への途は一度は踏まれねばならぬ.

復讐女神らは,ある者らをおぞましきマールスの見せ物とし,
 水夫らには貪欲な海が命取りとなる.
老いも若きも混じり合い,葬送は混み合っている.いかなる者の
 命も,容赦なきプロセルピーナ*5は逃しはせぬ.


*1 前4世紀のピュータゴラース学派の数学者.(Stanford Encyclopedia of Philosophyの記事http://plato.stanford.edu/entries/archytas/)
*2 アプリアの北部のガルガヌム岬の近くの海岸の町.
*3 海難で命を落として遺体の見つからなかった者には,一握りの砂を海に捧げて埋葬の代りとする習慣であった.
*4 エウポルボス.ピュータゴラースは自分はこの人物の生まれ変わりと主張して,アルゴスの神殿でたくさんの盾から一つの盾を取り,それの裏の銘によって生まれ変わりを証言した.
*5 冥界の王プルートーンの妻.


【2007/11/28 21:19】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻35歌29-40(2/2)

serves iturum Caesarem in ultimos
orbis Britannos et iuvenum recens   30
 examen Eois timendum
  partibus Oceanoque rubro.

heu heu, cicatoricum et sceleris pudet
fratrumque. quid nos dura refugimus
 aetas? quid intactum nefasti     35
  liquimus? unde manum iuventus

metu deorum continuit? quibus
pepercit aris? o utinam nova
 incude diffingas retusum in
  Massagetas Arabasque ferrum!   40

あなたは守りたまえ,最果ての地
ブリタンニアに行かんとするカエサル*1と,
 暁昇る地にも,紅海にも恐れられるべき
  若者らの新兵の軍を.

ああ,ああ,傷跡に悪行,
同胞らが恥ずかしい!なにを我々冷酷な時代が
 避けておれるか?いかなる不敬の業を我々は
  せずにいようか?いかなることから若者らは

神々を恐れて,手を控えただろうか?どの祭壇を
容赦しただろうか?*2おお,願わくば新たな
 鉄床にて,鈍りし剣を
  マッサゲタイ族*3やアラビア人に向けて打ち直さんことを!


*1 アウグストゥス.
*2 33行以降,同胞同士を傷つけ合った内乱の混沌とした様を描く.
*3 スキュティアの部族だが,ここではパルティアと同義.


【2007/11/28 05:30】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻35歌1-28(1/2)

O diva, gratum quae regis Antium,
praesens vel imo tollere de gradu
 mortale corpus vel superbos
  vertere funeribus triumphos

te pauper ambit sollicita prece     5
ruris colonus, te dominam aequoris
 quicumque Bithyna lacessit
  Carpathium pelagus carina.

te Dacus asper, te profugi Scythae,
urbesque gentesque et Latium ferox  10
 regumque matres barbarorum et
  purpurei metuunt tyranni,

iniurioso ne pede proruas
stantem columnam, neu populus frequens
 ad arma cessantis, ad arma     15
  conciet imperiumque frangat.

te semper anteit saeva Necessitas,
clavos trabalis et cuneos manu
 gestans aena, nec severus
  uncus abest liquidumque plumbum. 20

te Spes et albo rara Fides colit
velata panno, sed comitem abnegat,
 utcumque mutata potentis
  veste domos inimica linquis.

at vulgus infidum et meretrix retro  25
periura, cedit, diffugiunt cadis
 cum faece siccatis amici
  ferre iugum pariter dolosi.





韻律:Alcaicum
――U――||―UU―UU
――U――||―UU―UU
 U―U―――U―U
  ―UU―UU―U―U

おお,女神よ,お気に入りのアンティウム*1を支配したまい,
かつは人の身体を卑賤の位置より
 持ち上げ,かつは傲慢不遜の
  凱旋式を葬列にと変える力あらたかな方,

貧しき農夫は,不安な祈りもて
農地の支配者たるあなたに縋り,海の支配者たるあなたには,
 ビーテューニアの船で
  カルパトスの大洋に挑むもの誰でもが縋る.

あなたを獰猛なダキア人も,あなたを放浪するスキュティア人も,
都も諸民族も荒々しいラティウムも,
 蛮族の王達の母も,そして
  紫衣纏う暴君らも恐れている,

あなたが法を越えた足にて
立っている柱を覆しはせぬかと,また群衆が
 無為のものらを武器へ,武器へと
  駆り立てて,権力を打ち砕きはしないかと.

常にあなたの先に行くのは,非情の「必然」で,
それは梁止める大釘と青銅の楔を手に
 持っており,また容赦なき
  かすがいも,溶けた鉛も忘れてはいない*2

あなたを「希望」も希にしか見ぬ白い衣に被われた「信義」も
崇めている,だが従者とすることを拒みはしない,
 たとえあなたが衣を替えて,権力者の
  館を敵として去ることになる時も.

だが信義なき大衆と誓いを守らぬ娼婦は,
きびすを返し,友らは葡萄酒の壷を
 澱に至るまで飲み干しながら逃げ去るもの,
  ずる賢くも,共に軛を背負うふりをして.


*1 アンティウムはローマから50kmほど南の海岸の町.運命女神(フォルトゥーナ)の神殿があった.つまり,この歌の女神は運命女神のこと.
*2 これらは建築の際に,建材や石を固定するために使う.楔・かすがいは石を固定して,溶けた鉛をかけて動かないようにする.「必然」の動かし難さを象徴する.


【2007/11/28 05:00】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


訂正完了

 お恥ずかしい間違いを訂正しました.こういう時にはやはり検索が便利ですね.ついでに作家別インデックスのところでも,ホラーティウスの個々の詩の韻律がすぐ分るようにしました.韻律についてもまとめたhtmlを作ることも考えています.


【2007/11/27 19:23】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


日本人を自覚する時

 アスクレピアデース風のAsclepiadeumをずっとAscrepiadeumとしていました.なかなか日本人であることを自覚する機会はないものですが,思いっきり恥ずかしく自覚してしまいました.あとで全部直さねば…… 15エントリーぐらいはあるかと思います.


【2007/11/27 06:53】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻31歌

quid dedicatum poscit Apollinem
vates? quid orat de patera novum
 fundens liquorem? non opimae
  Sardiniae segetes feraces,

non aestuosae grata Calabriae     5
armenta, non aurum aut ebur Indicum,
 non rura, quae Liris quieta
  mordet aqua, taciturnus amnis.

premant Calena falce, quibus dedit
Fortuna, vitem, dives et aureis    10
 mercator exsiccet culillis
  vina Syra reparata merce,

dis carus ipsis, quippe ter et quater
anno revisens aequor Atlanticum
 impune. me pascunt olivae     15
  me cichorea levesque malvae.

frui paratis et valido mihi,
Latoe, dones et precor integra
 cum mente, nec turpem senectam
  degere nec cithara carentem.   20

何を詩人は求めているのか,新たに神殿に入りたもうアポッローンに?
何を願っているのか,平皿より
 新たな酒を注ぎつつ?豊潤な
  サルディニアの豊かな実りでもない,

暑いカラーブリアの喜ばしき
家畜どもでもなく,黄金やインドの象牙でもなく,
 音もなく流れる河,リーリス河*1
  水が静かに蝕む野原でもない.

カレースの鎌で葡萄を刈り込む*2のは,
運命女神が許した者がすればよい,そして豊かな
 商人こそが,黄金の杯から,
  シリアの貿易で得た葡萄酒を飲み干すがよい,

神々御自身のお気に入りが,なぜなら年に三度も四度も
大西洋を訪れていながら
 罰も受けぬのだから.私はといえば,オリーブと
  チコリとゼニアオイ*3が私を養ってくれる.

私には自分の持ち分を受け,自らの健康を享受することを,
ラートーナの息子よ*4,お許しください,そして,お願いです,全き
 心を持ち,みっともなく
  キタラも欠いた老年も過ごす事がないように.


*1 ローマの東80kmほどの所を流れる河.豊かなカンパーニアの近くを通る.
*2 カレースはカンパーニアの南で比較的高級な葡萄酒の産地.「鎌でカレースの葡萄を」となるべきところを,「カレースの鎌で葡萄を」となるのは,形容詞が本来的でない場所にかかるenallageという用法.
*3 つまり平凡な食物.
*4 アポッローンのこと.


【2007/11/27 06:15】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


黄金の国日本のクリスマス

La.itのニュースです……

  IN GIAPPONE UN BABBO NATALE DA 2 MILIONI DI EURO
  http://www.la7.it/news/dettaglio_video.asp?id_video=5910&cat=cultura

 そういえば黄金の国ジパングをヨーロッパに初めて紹介したのもイタリア人マルコ・ポーロでしたっけ.


【2007/11/25 11:12】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』第1巻

 ホラーティウスの『歌集』第1巻も結構翻訳がたまって来たので,全部訳してしまおうと思います.来年の話を言えば鬼が笑いそうですが,多分第4巻まで全部訳せそうですね.


【2007/11/25 03:09】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻3歌25-40行(2/2) ウェルギリウスを送る

audax omnia perpeti          25
 gens humana ruit per vetitum nefas.
audax Iapeti genus
 ignem fraude mala gentibus intulit;

post ignem aetheria domo
 subductum macies et nova febrium  30
terris incubuit cohors,
 semotique prius tarda necessitas

leti corripuit gradum.
 expertus vacuum Daedalus aera
pennis non homini datis;        35
 perrupit Acheronta Herculeus labor.

nil mortalibus ardui est:
 caelum ipsum petimus stultitia neque
per nostrum patimur scelus
 iracunda Iovem ponere fulmina.    40

あらゆることを耐えるに大胆な
 人類は禁じられた許されざる業へと突進する
イーアペトスより生まれし者*1は大胆にも
 悪しき欺瞞により人類に火をもたらした.

火が天上の館より
 盗まれし後,やつれと新たな熱病の
軍隊が大地にはびこった.
 また以前は死は遠くにあり,その必然はゆっくり訪れていたのに,

その歩みを速めた.
 ダイダロスは虚空を飛ぶことを試みた,
人に与えられていない翼をもって.
 ヘルクレースの苦行はアケローンを打ち破った.

死すべきものには手の届かぬことは何もない.
 天そのものをも我々は愚かさによって望み,そうして
我々は自らの悪行によって,
 ユッピテルに怒りの雷をとどめさせない.

*1 プロメーテウス.大茴香のなかに火を隠して人間に与えた.


【2007/11/25 02:48】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻3歌1-24行(1/2) ウェルギリウスを送る

Sic te diva potens Cypri,
 sic fratres Helenae, lucida sidera,
ventorumque regat pater
 obstrictis aliis praeter Iapyga,

navis, quae tibi creditum        5
 debes Vergilium; finibus Atticis
reddas incolumem precor
 et serves animae dimidium meae.

illi robur et aes triplex
 circa pectus erat, qui fragilem truci  10
commisit pelago ratem
 primus, nec timuit praecipitem Africum

decertantem Aquilonibus
 nec tristis Hyades nec rabiem Noti,
quo non arbiter Hadriae         15
 maior, tollere seu ponere vult freta.

quem mortis timuit gradum
 qui siccis oculis monstra natantia,
qui vidit mare turbidum et
 infamis scopulos, Acroceraunia?   20

nequiquam deus abscidit
 prudens Oceano dissociabili
terras, si tamen impiae
 non tangenda rates transiliunt vada.



韻律:Asclepiadeum quartum
―――UU―UU
 ―――UU― || ―UU―UU
―――UU―UU
 ―――UU― || ―UU―UU

さらば汝を,キュプロスを支配する女神*1が,
 さらば汝を,ヘレネーの兄弟たる輝く星々が*2導き,
また風どもの支配者*3が,
 イアーピュギアからの風*4以外のものを押さえて,導きたもうことを,

船よ,汝に託されしウェルギリウスを
 負うているお前よ.アッティカの地に
無事に彼を送り届けよ,お願いだ,
 そしてその我が魂の片割れを守らんことを.

奴には樫材と三重の青銅が
 胸の周りにあったのだ,獰猛な
海に,脆弱な船を初めて
 委ね,そして北風と競い

吹きすさぶ南東風も
 また恐ろしきヒュアデス*5も恐れず,波を起こすことを望むも
収めるを望むも,それを越えるアドリア海の支配者はおらぬところの
 南風の怒濤も恐れぬ奴には,

いかなる死の歩みを恐れただろう,
 涙もなくその目で海泳ぐ怪物を眺め,
荒れ狂う海と
 悪名高き岩礁アークロケラウニア*6を見たその男は?

甲斐のないことであった,神が思慮深くも
 交わり拒む大海にて
大地を分断したのは,もしそれにも拘わらず不敬の
 船が,触れてはならぬ海を越えて行くのなら.

*1 ウェヌス(アプロディーテー).航海の守護神でもあった.
*2 これも航海の守り神であるディオスクーロイ(カストルとポッルークス).
*3 アイオロス.
*4 イタリアの踵に当たる部分の岬からの風.
*5 牡牛座の星群.宵に昇り,暮に沈む時に雨の予兆となるとされた.
*6 イタリアの踵の対面にあるギリシアの山脈.そのすぐ手前の海は航海の難所.


【2007/11/24 23:39】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ロームルスとレムスの洞穴

ローマ関係ファンにはあちこちで取り上げられているニュースですが……

La7.itによる動画記事です.

  TROVATA A ROMA LA GROTTA DI ROMOLO E REMO
  http://www.la7.it/news/dettaglio_video.asp?id_video=5923&cat=cultura

下の方にイタリア語記事もあるので,イタリア語の勉強にもどうぞ.ただ動画はすぐに消えるので,お早めに御視聴下さい.


【2007/11/24 13:04】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻2歌25-52行(2/2)

quem vocet divum populus ruentis  25
imperi rebus? prece qua fatigent
virgines sanctae minus audientem
 carmina Vestam?

cui dabit partis scelus expiandi
Iuppiter? tandem venias precamur,  30
nube candentis umeros amictus,
 augur Apollo;

sive tu mavis, Erycina ridens,
quam Iocus circum volat et Cupido;
sive neglectum genus et nepotes   35
 respicis auctor,

heu nimis longo satiate ludo,
quem iuvat clamor galeaeque leves
acer et Marsi peditis cruentum
 vultus in hostem;          40

sive mutata iuvenem figura
ales in terris imitaris almae
filius Maiae, patiens vocari
 Caesaris ultor:

serus in caelum redeas diuque     45
laetus intersis populo Quirini,
neve te nostris vitiis iniquum
 ocior aura

tollat; hic magnos potius triumphos,
hic ames dici pater atque principes,  50
neu sinas Medos equitare inultos
 te duce, Caesar.

神々のうち誰を人々は呼べばいいのか,崩壊した
統制権のために?いかなる祈りによって
聖なる乙女らは歌に耳を貸してはくれぬウェスタに
 尽力すればいいのか?

誰にユッピテルは与えるだろうか,この悪を清める
役割を?最後に我々は願う,
雲を輝く肩に纏うあなたが来らんことを.
 予言神アポッローンよ.

もしあなたがお望みなら,エリュクスにて微笑むあなた*1が来らんことを,
その周りを「愉しみ」とクピードーが飛び回る女神よ.
あるいは蔑ろにされた種族と子孫を
 その祖先として思し召し給うなら,

ああ,あまりにも長い遊びに飽たもうて,
叫びと磨かれた兜と,
マルシー族*2の歩兵が血染めの敵に向ける
 獰猛な顔つきを好む神よ,あなた*3が来らんことを.

あるいは,恵み深きマイアの
翼もつ息子であるあなた*4が,地上にて姿を変えて,
若者の似姿をとって,カエサルの復讐者と
 呼ばれるのを厭わぬのなら,

天に帰るのは急がれませぬよう,そして長く
クィリーヌスの民*5の間におわすことを喜びますよう,
そしてあなたが我々の悪徳に嫌気がさして,
 より早くに風があなたを

運び去ることのありませぬよう.むしろここにて大凱旋式を,
ここにて父にして首長と呼ばれることを愛されますよう,
そしてカエサルよ,メーディーアの民*6が報復されぬまま騎馬することを許したまわぬよう,
 あなたが将であるうちは.

*1 ウェヌスのこと.エリュクスはシチリアの山で,ウェヌスの神殿がある.ウェヌスはアエネーアースの母で,そのアエネーアースの子イウールスにユーリウス家が由来するとされる.
*2 ローマから東100kmほどの地域に住んでいた好戦的部族.
*3 マルス神.ローマの祖となる.22行の注*5を参照.
*4 メルクーリウス.ただし,この神とオクタウィアーヌスとのつながりは不明.
*5 ローマ人.クィリーヌスはサビーニー人に由来する神で,ロームルスと同一視される.
*6 22行同様,パルティア人のこと.


【2007/11/24 08:03】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻2歌1-24行(1/2)

Iam satis terris nivis atque dirae
grandinis misit Pater et rubente
dextera sacras iaculatus arces
 terruit urbem,

terruit gentis, grave ne rediret     5
saeculum Pyrrhae nova monstra questae,
omne cum Proteus pecus egit altos
 visere montis,

piscium et summa genus haesit ulmo,
nota quae sedes fuerat columbis,   10
et superiecto pavidae natarunt
 aequore dammae.

vidimus flavum Tiberim retortis
litore Etrusco violenter undis 
ire deiectum monumenta regis    15
 templaque Vestae,

Iliae dum se nimium querenti
iactat ultorem, vagus et sinistra
labitur ripa Iove non probante u-
 xorius amnis.            20

audiet civis acuisse ferrum
quo graves Persae melius perirent,
audiet pugnas vitio parentum
 rara iuventus.



韻律:サッポー風ストロペー

  ― U ― ― ― || UU ― U ― x
  ― U ― ― ― || UU ― U ― x
  ― U ― ― ― || UU ― U ― x
    ― UU ― x


既に父神*1は存分に雪と凄まじい
雹を大地に放ち,そして赤熱の
右腕にて聖なる要塞を打って
 町を恐れさせ,

人々を恐れさせた,それは
ピュッラー*2が新奇な怪異を恐れたところの時代が戻らぬようにとのこと,
その時にはプローテウス*3はあらゆる家畜を追い
 高き山々に訪れさせ,

魚の類いは,鳩の馴染みの住まいたる
オークの木に止まり,
そして地を被う水を臆病な
 鹿どもが泳いだのであった.

我々は見た,黄色いティベリス河が逆巻く
波とともにエトルリアの岸*4を荒々しく
流れて,王の記念碑と
 ウェスタの神殿を覆さんとするのを,

それは嘆くイーリア*5の復讐者として
妻を溺愛する河神は自分をあまりに気負い過ぎ,
ユッピテルの許しもなく,途をそれて左の岸から
 流れ出た時のこと.

市民らの鉄を研ぐ様を聞くことであろう者は,
―それで大ペルシア*6が滅びるほうがよりよいのだが―,
その戦いの様を聞く事であろう者は,親の悪徳により
 少なくなった若者らだ.

*1 ユッピテル.
*2 神が洪水で人類を滅ぼした時に生き残ったデウカリオーンの妻.
*3 海の老人で,海豹を放牧している.つまりその家畜とは海豹.
*4 ティベリス河の東岸.
*5 ロームルスとレムスの母,レア・シルウヴィア.マルスにより孕んだ後にティベリス河に投げ込まれるが,ティベリス河神が妻とする.
*6 ここでは当時ローマの脅威であったパルティアが意味されている.


【2007/11/24 07:14】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻1歌

Maecenas, atavis edite regibus,
o et praesidium et dulce decus meum:
sunt quos curriculo pulverem Olympicum
collegisse iuvat, metaque fervidis
evitata rotis palmaque nobilis      5
terrarum dominos evehit ad deos;
hunc, si mobilium turba Quiritium
certat tergeminis tollere honoribus;
illum, si proprio condidit horreo
quidquid de Libycis verritur areis;    10
gaudentem patrios findere sarculo
agros Attalicis condicionibus
numquam demoveas, ut trabe Cypria
Myrtoum pavidus nauta secet mare;
luctantem Icariis fluctibus Africum   15
mercator metuens otium et oppidi
laudat rura sui, mox reficit rates
quassas, indocilis pauperiem pati;
et qui nec veteris pocula Massici
nec partem solido demere de die    20
spernit, nunc viridi membra sub arbuto
stratus, nunc ad aquae lene caput sacrae;
multos castra iuvant et lituo tubae
permixtus sonitus bellaque matribus
detestata; manet sub Iove frigido    25
venator tenerae coniugis immemor,
seu visa est catulis cerva fidelibus
seu rupit teretes Marsus aper plagas.
me doctarum hederae praemia frontium
dis miscent superis, me gelidum nemus 30
Nympharumque leves cum Satyris chori
secernunt populo, si neque tibias
Euterpe cohibet nec Polyhymnia
Lesborum refugit tendere barbiton.
quod si me lyricis vatibus inseres,   35
sublimi feriam sidera vertice.


第1アスクレピアデース風ストロペー

  ― ― ― UU ― || ― UU ― U x


マエケーナース様,王族の祖先より生まれしお方*1
おお,そして我が庇護者であり,有り難き誇りたるお方,
人には競技戦車にてオリンピックの塵を
巻き上げることを喜ぶ輩もおります.そして赤熱の
車輪にて折り返しの柱をかわし,高貴な賞を取れば
彼らは地上の主から神々にまで持ち上げられるのです.
ある輩は,もし日和見のローマの群衆が
三たびにわたって官職へと競い持ち上げれば喜び,
ある輩は,もし自分の穀倉に
リビアの脱穀場からかき集められたものが何であれ*2,納まれば喜ぶのです.
伝来の畠を鋤で裂くことを喜ぶ者は
アッタロス王*3の条件にても
決してそこから引き離し,水夫となってキュプロスの船*4にて
びくびくしながらミュルトーの海*5を裂いて行かせることはできないでしょう.
イーカロスの海の波*6と争う南風を
商人は恐れて,閑暇と自分の町の
田舎を讃えはしますが,すぐにひび割れた
船を直すもの,倹約を耐えることなど知らぬのですから.
また,古のマッシクス*7の杯も,
決まった一日からその一部を割くことも
軽んぜず,時に青々した木苺の下で
ある時は聖なる水のさやめく源に身を横たえる者もいます.
多くの者には,陣営と,ホルンの音と混じり合った
ラッパの音と,母親には忌み嫌われる
戦が喜ばしいのです.狩人は冷たい雨の下,
可愛い妻のことなぞ忘れて待ち受けるもの,
一度忠実な犬どもが鹿を見たとなれば,
あるいはマルシー族の地の*8の猪が目の細かい網を破ったとなれば.
私はといえば,博識の額につけた木蔦の賞こそが
天上の神々にも交わらせ,この私を涼しき聖林と
ニンフにサテュロスを加えた歌舞隊が
俗衆より隔離するのです,もしエウテルペー*9
笛を妨げず,またポリュヒュムニア*10
レスボスの琴を弾くのを厭うのでなければ.
しかしもし,あなたが私を抒情詩人の中に入れて下さるのなら
私は頭頂にて星々をも打つことでしょう.

*1 マエケーナースは母方がエトルリア人に由来する..
*2 ローマは徐々に小麦の自給率が下がり,アフリカやシチリアにそれらの供給を依存するようになっていった.
*3 ペルガモンの王.前33年,アッタロス3世の時に,王国を去ってローマに来る.贅沢の代名詞.
*4 キュプロスは船材と船の建造で有名.
*5 ペロポンネーソスとキュクラデース諸島の間の海.
*6 サモスとミュコーノスの間の海で,イーカロスが落ちたとされる.
*7 カンパーニアの山.葡萄酒の産地として有名.
*8 ローマの東約100kmほどの所に済む獰猛な部族.なお,ラテン語ではしばしば部族名がその部族の済む地域をあらわす.
*9 ムーサらのうち,抒情詩を司り,笛を持つ女神.
*10 ムーサらのうち,讃歌を司る女神で,竪琴の発明者ともされる.


【2007/11/23 13:53】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


リンク

リンクを分類してみました.

  リンク集

まだ全部は入っていませんが,ブログの下部のリンクよりはずっと使いやすいと思います.


【2007/11/22 02:09】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻19歌

Mater saeva Cupidinum
  Thebanaeque iubet me Semelae puer
et lasciva Licentia
  finitis animum reddere amoribus.

urit me Glycerae nitor           5
  splendentis Pario marmore purius:
urit grata protervitas
  et vultus nimium lubricus aspici.

in me tota ruens Venus
  Cyprum deseruit, nec patitur Scythas  10
et versis animosum equis
  Parthum dicere nec quae nihil attinent.

hic vivum mihi caespitem, hic
  verbenas, pueri, ponite turaque
bimi cum patera meri:           15
  mactata veniet lenior hostia.


韻律:Asclepiadeum quartum
―――UU―UU
 ―――UU― || ―UU―UU
―――UU―UU
 ―――UU― || ―UU―UU

クピードーの残忍な母と*1
  テーバイのセメレーの子*2
そしてふしだらな「放埒」は僕に命じている
  もう終った愛に心を戻せと

僕を焦がすのは パロス島の大理石よりも
  純白なグリュケラの輝き
僕を焦がすのは 愛らしい小生意気さと
  眺むにあまりに蠱惑的な顔

僕に向かってウェヌスは
  キュプロスを捨てて全力で向かって来る そしてスキュティア人も
馬を返して意気猛々しき
  パルティアも その他関わりなきことを僕に喋らせてはくれない

ここに瑞々しい芝土を ここに
  聖なる枝を 少年らよ 僕のために置いてくれ それにお香を
二年ものの生の葡萄酒の平皿も一緒に*3
  生贄を屠れば 彼女はもっと穏やかにやって来よう

*1 アプロディーテー.
*2 酒の神バッコス.
*3 これらの品々は生贄の儀式のための祭壇の設置と捧げものの準備のためのもの.


【2007/11/21 20:09】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ホラーティウス『歌集』1巻14歌

O navis, referent in mare te novi
fluctus. o quid agis? fortiter occupa
 portum! nonne vides, ut
  nudum remigio latus,

et malus celeri saucius Africo,     5
antennaeque gemant, ac sine funibus
 vix durare carinae
  possint imperiosius

aequor? non tibi sunt integra lintea,
non di, quos iterum pressa voces malo. 10
 quamvis Pontica pinus,
  silvae filia nobilis,

iactes et genus et nomen inutile,
nil pictis timidus navita puppibus
 fidit. tu, nisi ventis         15
  debes ludibrium, cave.

nuper sollicitum quae mihi taedium,
nunc desiderium curaque non levis,
 interfusa nitentis
  vites aequora Cycladas.      20

韻律:Asclepiadeum tertium
―― ―UU― | ―UU―UU
―― ―UU― | ―UU―UU
 ―― ―UU― ―
  ―― ―UU― ―UU


おお,船よ,新たな波はお前を海に
運んで行くだろう.おお,何をしているのか?しっかりと港を
 目指せ!見えないのか?いかに
  船縁からは櫂は失われ

そしてマストは強い南風に傷み,
帆桁は軋み,さらには舫い綱もなく
 竜骨は殆ど
  ますます我が物顔の海を

耐える事もできない様かを?お前にはまともな帆もなく,
再び海難に苛まれた時に呼ぶような神々*1もない.
 たとえ黒海の松,
  高貴な森の娘たるお前が,

徒に生まれと名声とを自慢しようと,
決して彩られた船尾に
 信を置きはしないぞ.お前は風どもの
  玩具になる義理がないなら,気をつけるがいい.

この頃は僕にとって気が気じゃない悩みの種だったが,
今は憧れであり少なからぬ愛しいものであるお前よ,
 輝くキュクラデースの間を流れる
  潮は避けるがよい.

*1 船に常備される守護神の神像

※ ここでは船=国家のメタファーが用いられている.


【2007/11/21 03:51】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


『アルテミス讃歌』完訳……

 ようやく『アルテミス讃歌』が終って,カッリマコス讃歌は全部訳し終わりました.といっても,まだ大分間違いなど多そうで,それに最初の頃のは注もあまり充実していないので,ユニコードに直しながらアップデートを繰り返さなければいけないですね.大変有り難いことに,古注も残っているので(笑),そんなのも眺めながら熟読しようと思います.


【2007/11/21 00:34】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


カッリマコス『アルテミス讃歌』259-268(完結)
カッリマコス『アルテミス讃歌』259-268(完結)


【2007/11/21 00:00】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ようやくあと11行

カタツムリのようなスピードでしたが,あと11行でアルテミス讃歌終ります.イタリア語の注釈には大分悩まされました(いや,注釈は素晴らしいのですが,イタリア語力の問題で……).そろそろイタリア語もやりなおさなければ…….

終ったら,やっぱりやり残しの『イービス』を再開しようと思います.こちらもイタリア語の注釈ですが,何となくイタリア語にも慣れて来たので,辛抱強くやればいけるのではないかと.『イービス』は前に記事にした

Ellis, Robinson Ed. Ovid : Ibis. Classic Editions. Exeter: Bristol Phoenix Press, 2007/12 (出版予定) ISBN:9781904675204.

がまだ出版(というか復刊)されていなかったようです.使えなくて残念です(が結構高い……).


【2007/11/20 04:37】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


カッリマコス『アルテミス讃歌』243-258
カッリマコス『アルテミス讃歌』243-258


【2007/11/20 04:22】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


カッリマコス『アルテミス讃歌』233-247
カッリマコス『アルテミス讃歌』233-247


【2007/11/19 19:49】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


カッリマコス『アルテミス讃歌』225-232
カッリマコス『アルテミス讃歌』225-232


【2007/11/18 00:41】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


ポンペイのTV番組

某掲示板での情報で知ったのですが,

  TBS系 世界ふしぎ発見 第1032回 ポンペイ 封印された愛と美の町
    2007/11/24(土)21:00?
  http://www.tbs.co.jp/f-hakken/info.html

があるそうです.滅多に見ない番組ですが,来週ぐらいはみようかと思います.

ポンペイは古代ローマのテーマの中でも,非常に多く取り上げられるもので,和書でも検索するだけでかなりの量の書籍がでてきますね.予習の資料には事欠きません.


【2007/11/17 09:58】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


カッリマコス『アルテミス讃歌』204-224
カッリマコス『アルテミス讃歌』204-224


【2007/11/17 09:23】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ


新着リンク

久しぶりにプロの手になる素晴らしいサイトが二つばかり見つかりました.

アリストテレス研究者によるサイトとブログ.
  barbara celarent
  Philobiblon

仏語・古仏語研究者によるサイト.仏語・古仏語の入門書・単語集など,惜しげも無く無料公開されています.すばらしすぎる……
  Hruodlandus_et_Alda


【2007/11/15 05:26】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

TOPへ




PROFILE

  • Author:メレアグロス
  • 気が向いた時にラテン語を訳したりしています.
    ヘレニズムのギリシア語もたまに訳しています.

    問い合わせ先(メールフォーム)
  • RSS1.0
  • CM, TB, ARCHIVE

    COMMENT
  • メレアグロス [06/06 15:20] 
  • outis [06/05 21:42] 
  • メレアグロス [06/05 10:37] 
  • outis [06/01 22:33] 
  • メレアグロス [05/28 18:31] 
  • outis [05/26 23:35] 
  • Succarum [09/24 20:12] 
  • メレアグロス [09/24 00:15] 
  • Succarum [09/23 16:32] 
  • メレアグロス [11/06 01:49] 
    TRACKBACK
  • えいじゅなすの本棚 - 英語, 医学, 投資の専門書レビューブログ:Wheelock's Latin(05/26)

  • ARCHIVE
  • 2016年07月 (1)
  • 2016年05月 (1)
  • 2016年01月 (1)
  • 2015年08月 (1)
  • 2015年07月 (1)
  • 2015年06月 (1)
  • 2015年05月 (2)
  • 2015年04月 (1)
  • 2015年03月 (4)
  • 2015年02月 (1)
  • 2015年01月 (1)
  • 2014年12月 (4)
  • 2014年11月 (24)
  • 2014年10月 (6)
  • 2014年08月 (1)
  • 2014年07月 (3)
  • 2014年06月 (10)
  • 2014年04月 (3)
  • 2014年03月 (3)
  • 2014年02月 (1)
  • 2014年01月 (2)
  • 2013年12月 (3)
  • 2013年11月 (4)
  • 2013年10月 (25)
  • 2013年09月 (1)
  • 2013年08月 (5)
  • 2013年07月 (6)
  • 2013年06月 (1)
  • 2013年05月 (2)
  • 2013年04月 (1)
  • 2013年03月 (1)
  • 2013年02月 (2)
  • 2013年01月 (2)
  • 2012年12月 (1)
  • 2012年10月 (6)
  • 2012年09月 (27)
  • 2012年08月 (32)
  • 2012年07月 (47)
  • 2012年06月 (50)
  • 2012年05月 (3)
  • 2009年10月 (1)
  • 2009年09月 (2)
  • 2009年08月 (12)
  • 2009年07月 (7)
  • 2009年06月 (14)
  • 2009年05月 (2)
  • 2009年03月 (40)
  • 2009年02月 (14)
  • 2009年01月 (75)
  • 2008年12月 (26)
  • 2008年11月 (22)
  • 2008年10月 (60)
  • 2008年09月 (95)
  • 2008年08月 (68)
  • 2008年07月 (42)
  • 2008年06月 (54)
  • 2008年05月 (49)
  • 2008年04月 (49)
  • 2008年03月 (35)
  • 2008年02月 (9)
  • 2008年01月 (27)
  • 2007年12月 (40)
  • 2007年11月 (35)
  • 2007年10月 (26)
  • 2007年09月 (43)
  • 2007年08月 (10)
  • 2007年05月 (33)
  • 2007年04月 (8)
  • 2007年03月 (61)
  • 2007年02月 (51)
  • 2007年01月 (75)
  • 2006年12月 (68)
  • 2006年11月 (23)
  • 2006年10月 (56)
  • 2006年07月 (1)
  • 2006年06月 (7)
  • 2006年05月 (125)
  • 2006年04月 (77)
  • 2006年02月 (34)
  • 2006年01月 (69)
  • 2005年12月 (54)
  • 2005年11月 (50)
  • 2005年10月 (7)
  • 2005年09月 (106)
  • 2005年08月 (38)
  • 2005年07月 (4)
  • 上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。