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ウェルギリウス『選集』第1歌1-25行

      MELIBOEVS  TITYRVS

M. Tityre, tu patulae recubans sub tegmine fagi
silvestrem tenui Musam meditaris avena;
nos patriae finis et dulcia linquimus arva.
nos patriam fugimus; tu, Tityre, lentus in umbra
formosam resonare doces Amaryllida silvas.   5
T. O Meliboee, deus nobis haec otia fecit.
namque erit ille mihi semper deus, illius aram
saepe tener nostris ab ovilibus imbuet agnus.
ille meas errare boves, ut cernis, et ipsum
ludere, quae vellem, calamo permisit agresti.   10
M. Non equidem invideo, miror magis: undique totis
usque adeo turbatur agris. en ipse capellas
protinus aeger ago; hanc etiam vix, Tityre, duco.
hic inter densas corylos modo namque gemellos,
spem gregis, a! silice in nuda conixa reliquit.   15
saepe malum hoc nobis, si mens non laeva fuisset,
de caelo tactas memini praedicere quercus.
sed tamen iste deus qui sit, da, Tityre, nobis.
T. Vrbem quam dicunt Roman, Meliboee, putavi
stultus ego huic nostrae similem, quo saepe solemus 20
pastores ovium teneros depellere fetus.
sic canibus catulos similis, sic matribus haedos
noram, sic parvis componere magna solebam.
verum haec tantum alias inter caput extulit urbes
quantum lenta solent inter viburna cupressi.   25

    登場人物: メリボエウス  ティーテュルス

メ.ティーテュルスよ,お前は枝を広げた山毛欅の覆いの下で,
森の音楽を細い葦笛で奏でているが,
わしは故郷の土地と愛しい畠を去るところだぞ.
わしは故郷を追い出されるのに,お前ときたら,呑気に木陰で
森に「麗しのアマリッリス」を響かせることを教えているのだな.
テ.おお,メリボエウスよ,神がわしにこんなゆったりした生活を与えてくれたのだ.
なんとなれば,あの方はわしにはずうっと神様だろうから,あの方の祭壇を,
わしの羊小屋の幼い子羊が,何度も血で濡らすだろう.
あの方は,見ての通り,わしの牛が放牧され,そしてわし自身も
好きな歌を田舎笛で奏でていいと言ったのだ.
メ.わしは妬んでなどおらん,むしろ驚いてるのだ.畑じゅう
至る所で,これほどまでにめちゃくちゃになっているからな.ああ,このわしも群を
ひいひいいいながら先に追っている.こいつもまた,ティーテュルスよ,漸く引っ張ってるのだ.
だってこいつはここの繁った榛の間で,さっき双子を,
群の望みを,ああ,裸の岩肌に産み捨てて来ちまった.
もし頭が変になっていたのじゃなければ,何度もこの災いをわしに,
雷に打たれたオークの樹が予告していたのを思い出したよ.
だが,お前のいう神様とやらが,誰なのか,ティーテュルスよ,わしに言ってくれ.
テ.ローマの都と人が言うやつが,メリボエウスよ,
馬鹿なわしはこのわしらの町と似たようなもんだと思っていた,よくわしら
牧人が羊の幼い子を追い立てて行くところとな.
そんなふうに,犬に子犬が似ていて,子山羊も母山羊にそっくりだと
わしは理解していて,いつもそんなふうに小さいものを大きいものを比較していた.
実のところ,この都が他の都の間で頭を突き出しているいる度合いといえば,
ちょうどしなやかな手鞠灌木の間で糸杉が聳えている程だった.

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【2007/09/28 13:06】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『牧歌』

ちょっとしばらく『牧歌』に取り組むことになりそうで,ついでに全訳も作ろうと思います.小分けなので,アエネーイス6巻よりは進むのが速そうといのもあります.書誌も自明ですが……

Mynors, R.A.B. P. Vergili Maronis Opera. Recognovit brevique Adnotatione Critica Instruxit. Oxonii: E Typographeo Clarendoniano, 1969.
定番テクスト.

Coleman, Robert Ed. and Comm. Vergil: Eclogues. Cambridge Greek and Latin Classics. Cambridge: Cambridge U.P., 1977.

Clausen, Wendell. A Commentary on Virgil, Eclogues. Oxford: Clarendon Press, 1994.
この二つが定番の注釈.初級向きは前者で,後者はやや学術的.しかし評価は前者のほうが高かったりもします.前者は自前テクスト,後者はMynorsのを使っています.

Klingner, Friedrich. Virgil: Bucolica, Georgica, Aeneis. Zürich: Artemis, 1967.
ドイツの碩学によるウェルギリウス解釈.牧歌では対訳で翻訳がついていて非常に便利.Georgicaの部分のみ別冊でも出ている(Vergils Georgica (Zürich u. Stuttgart: Artemis 1963))ので,こちらを買ったらもう一方は買わないように注意.

小川正廣 訳『ウェルギリウス 牧歌/農耕詩』西洋古典叢書.京都:京都大学学術出版会,2004.
最新の翻訳.若干の誤訳がないわけではありませんが,全体として読みやすく,素晴らしい翻訳だと思います.また,解説なども詳しいです.


『牧歌』はラテン語としては比較的すっきりしていて,長くても100行ちょいなので,初心者にもおすすめです.背景にはテオクリトスなどの牧歌の伝統がありますから,研究となるとテオクリトスは必読ですが,これも幸い古澤先生の翻訳が登場したので(西洋古典叢書),初心者から物怖じせずに取り組むことができるようになったのは嬉しい限りです(僕が初心者の時は大分脅かされましたが).
 気が向いたら簡単な語注でもいれようかと思います.まあ途中でくじけるでしょうが……(弱気)


【2007/09/28 02:24】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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カッリマコス『アルテミス讃歌』110-123行
カッリマコス『アルテミス讃歌』110-123行


【2007/09/28 01:32】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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カッリマコス『アルテミス讃歌』98-109行
カッリマコス『アルテミス讃歌』98-109行


【2007/09/27 19:39】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス第3巻第11歌51-72行(完結)

fugisti tamen in timidi vaga flumina Nili:
 accepere tuae Romula vincla manus.
bracchia spectavi sacris admorsa colubris,
 et trahere occultum membra soporis iter.
' Non hoc, Roma, fui tanto tibi cive verenda. '  55
 dixit et assiduo lingua sepulta mero.
septem urbs alta iugis, toto quae praesidet orbi,
 femineo timuit territa Marte minas.      58
nunc ubi Scipiadae classes, ubi signa Camilli,  67
 aut modo Pompeia, Bospore, capta manu?  68
Hannibalis spolia et victi monumenta Syphacis, 59
 et Pyrrhi ad nostros gloria fracta pedes?   60
Curtius expletis statuit monumenta lacunis,
 et Decius misso proelia rapit equo,
Coclitis abscissos testatur semita pontis,
 est cui cognomen corvus habere dedit.
haec di condiderant, haec di quoque moenia servant: 65
 vix timeat salvo Caesare Roma Iovem.    66
Leucadius versas acies memorabit Apollo:   69
 tantum operis belli sustulit una dies.     70
at tu, sive petes portus seu, navita, linques,
 Caesaris in toto sis memor Ionio.

58 om. N femineas FLP : femineo Korsch  67-68 post 58 transtulit Passerat

しかし,お前は怯えるナイル川の流れに逃げた.
 お前の両手はローマの枷を受けたのだ.
僕は聖なる毒蛇に噛まれた腕を見た,
 そして眠りの道が気付かれずに身体を飲み込むのを.
「このかくも偉大な市民がいれば,ローマよ,お前は私を恐れる必要はない」
 絶え間なく飲まれる生酒に溺れた舌もこう言った.
七つの頂の聳える,全世界を支配する都が,
 戦いに怯え,女性の脅威を恐れていた.
今,スキーピオーの艦隊*1は何処にいったのだ,カミッルスの軍旗*2は,
 あるいはボスポルス海峡よ,ポンペイユスの手に落ちた軍旗は*3
ハンニバルからの戦利品,打ち負かされたシュパクス*4の記念碑,
 そして我々の足下で打ち砕かれたピュッルスの栄光*5は?
クルティウスは地割れを塞ぐことで永遠の記念碑を立て*6
 そしてデキウスは馬を馳せて戦列を破り*7
コクレースの小道は,落とされた橋の証となり*8
 また,烏がその名字を与えたところの者もいた.
この城壁は神々が据え,この城壁はまた神々が守り給う.
 カエサルが生きていれば,ローマはユッピテルをも殆ど恐れないだろう.
レウカスのアポッローン*9は,戦列の敗走を記憶するだろう.
 これほどの規模の戦いを,その一日が終らせたのだ.
だが,お前は,水夫よ,港へ向かうにせよ,去るにせよ,
 イオニア海ではカエサルのことを忘れるなかれ.

*1 大スキーピオーのアフリカ攻略を指すらしい.
*2 カミッルスはローマ略奪の後,ガリア人を平定した将軍.この軍旗は略奪の際に奪われた後に取り戻したもの.
*3 ミトリダテース王はポンペイユスによって打ち破られ,自殺に追い込まれる.
*4 ヌミディアの王.スキーピオーによって打ち負かされる.
*5 エピールスの王.イタリアに侵攻し,ローマはからくも打ち破る.
*6 マールクス・クルティウスは,予言者がフォルムの地割れを身をもって塞げばローマは永遠となるという言葉に従い,フォルムにできた地割れに飛び込む.
*7 プーブリウス・デキムス・ムースは,父子がいて,それぞれラティーニー人,あるいはガリア人の戦列に馬で乗り込み,神々に命を捧げることで,勝利を獲得する.
*8 ホラーティウス・コクレースは,エトルリア人の急襲でローマ軍が逃げる中,ティベリス川にかかる橋の前で,橋が破壊されるまで敵を食い止めたのち,川を泳いで逃げる.この武勇には像と土地の報酬があったが,小道については不詳.
*9 レウカスはアカルナーニアの対面のイオニア海の島で,その岬にアポッローンの神殿があり,ここからアクティウムの戦いが見渡せた.


【2007/09/26 01:26】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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今後の予定……

 最近ちょっと引っ越しを考えています.というのも,自分でブログの過去ログを探すのが結構めんどうになってきたもので,独立したサイトにしようかと.

 それから,ラテン語の基礎語彙の辞書を作ろうかなあともおもっています.いや,これは最近のラテン語関係の図書が異常に高額化しているのに対して,ちょっとアンチテーゼをやってみようかと思ってのことと,少しあるべき辞書の姿に考えることがあるためなのですが.

 まあいつも通り,途中で立ち消えになりそうな計画です…….


【2007/09/25 18:15】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) | 記事修正

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プロペルティウス第3巻第11歌29-50行

quid, modo quae nostris opprobria vexerit armis,
 et famulos inter femina trita suos?     30
coniugii obsceni pretium Romana poposcit
 moenia et addictos in sua regna Patres.
noxia Alexandria, dolis aptissima tellus,
 et totiens nostro Memphi cruenta malo,
tris ubi Pompeio detraxit harena triumphos!  35
 tollet nulla dies hanc tibi, Roma, notam.
issent Phlegraeo melius tibi funera campo,
 vel tua si socero colla daturus eras.
scilicet incesti meretrix regina Canopi,
 una Philippeo sanguine adusta nota,     40
ausa Iovi nostro latrantem opponere Anubim,
 et Tiberim Nili cogere ferre minas,
Romanamque tubam crepitanti pellere sistro,
 baridos et contis rostra Liburna sequi,
foedaque Tarpeio conopia tendere saxo,    45
 iura dare et statuas inter et arma Mari!
quid nunc Tarquinii fractas iuvat esse securis,
 nomine quem simili vita superba notat,
si mulier patienda fuit? cane, Roma, triumphum
 et longum Augusto salva precare diem!   50.


29 vexerit] nexerit Sh. Bailey  31 coniugii Passerat : coniugis codd.  49 cane Camps : cape codd.

先に我々の軍に恥辱をもたらし,
 そして自分の奴隷達と情を交わした女性*1はどうか?
彼女はふしだらな婚姻*2の土産としてローマの壁と,
 自分の王国に隷属した元老院議員を要求した.
害なすアレクサンドリア,ペテンに最も相応しい地よ,
 そして,これほど繰り返し我々の不幸によって血に染まったメンフィス,
ポンペイユスから三度の凱旋式を奪い取った岸辺よ*3
 いかなる日もこの烙印を,ローマよ,取り除くことはできないだろう.
お前にはプレグラの野でお前の死があればましだったろう*4
 あるいはもし,お前の義父*5に首を差し出していれば.
もちろん,淫らなカノープス*6の売女女王,
 ピリッポスの血筋*7による,唯一焼き付けられた烙印は,
我らがユッピテルに犬吠えするアヌビス神を向かわしめ,
 ティベリス川にナイル川の脅威を運ばせ,
ローマの行軍ラッパを打ち振るガラガラで追い払い,
 そして平舟の竿でリブルニア*8の衝角艦を追い,
タルペイウスの岩で蚊帳付きの床を張り,
 そしてマリウスの像と武具*9の間で法を下そうとしたのだ.
なぜ今,傲慢な生き様が同じ名前を与えたところの
 タルクィニウス*10の斧を打ち砕いたことが嬉しいのか,
もしその女を耐えなければならなかったら?救われたローマよ,凱旋を歌え,
 そして,アウグストゥスに長命を祈れ.


*1 クレオパトラのこと.
*2 アントーニウスとの関係.
*3 ポンペイユスはファルサロスの戦いに破れてエジプトで体勢を立て直そうとしていた時に,クレオパトラと対立するプトレマイオス13世と側近の裏切りにあって,上陸直後殺される.
*4 ポンペイユスは前50年に,ナポリの近くで重病となったとキケローは伝えている(Tusc.Disp.1.86).
*5 カエサル.ポンペイユスはカエサルの娘ユーリアと結婚していた.
*6 エジプトの町で,贅沢で知られていた.ここではほぼエジプトと同義.
*7 クレオパトラの血筋はマケドニアに由来する.
*8 リブルニア人は機動力ある船を操るのに長け,オクタウィアーヌス側で活躍した.
*9 前156-86.名将で,ユグルタを106年,テウトーネース族を102年,キンブリー族を101年に破った.カピトリウムには彼の戦勝記念碑と像があった.
*10 タルクィニウスはその傲慢な行いのため,スペルブスの添え名を得る.ローマから追放され,最後の王となる.


【2007/09/24 19:03】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス第3巻第11歌9-28行

Colchis flagrantis adamantina sub iuga tauros
 egit et armigera proelia, sevit humo,      10
custodisque feros clausit serpentis hiatus,
 iret ut Aesonias aurea lana domos.
ausa ferox ab equo quondam oppugnare sagittis
 Maeotis Danaum Penthesilea ratis;
aurea cui postquam nudavit cassida frontem,   15
 vicit victorem candida forma virum.
Omphale in tantum formae processit honorem,
 Lydia Gygaeo tincta puella lacu,
ut, qui pacato statuisset in orbe columnas,
 tam dura traheret mollia pensa manu.      20
Persarum statuit Babylona Semiramis urbem,
 ut solidum cocto tolleret aggere opus,
et duo in adversum mitti per moenia currus
 nec possent tacto stringere ab axe latus;
duxit et Euphraten medium, quam condidit, arcis, 25
 iussit et imperio subdere Bactra caput.
nam quid ego heroas, quid raptem in crimina divos?
 Iuppiter infamat seque suamque domum.

コルキスの女*1は,炎吹く牛どもを金剛石の軛の下に
 繋ぎ,そして武装せる戦い行う人産む種を地面に撒いた.
そして,見張っている蛇の凶暴な顎を閉じ,
 黄金の羊毛がアエソーンの家に行くようにした.
マエオーティスのペンテシテーアは勇猛に馬から矢を放って
 ダナオイ勢の艦隊に敢えて抵抗した.
その黄金の兜が額を露にした後,
 その輝かしい姿は,勝利者たる男を打ち負かした*2
リュディアの女性で,ギュゲース湖に浸かった
 オムパレーは,容姿のこれほどの名誉を得,
平定した地に記念碑を据えた*3その男が,
 かくも無骨な手で柔らかい羊毛の割当を紡いだのだ*4
バビュローン女のセミーラミス*5はペルシアの都を建てた,
 焼いた粘土の堅牢な建築物が聳え,
そして,その塀の間を車がすれ違いに走りながらも
 車軸を触れさせて脇を擦ることがないような都を.
そして,彼女が建てた要塞の中央にユーフラテース川を引き,
 バクトラ*6が彼女の権限に頭を差し出すように命じた.
さて,どうして僕は英雄や神々を断罪しようか.
 ユッピテルは自分と自分の家を辱めている.

*1 メーデーア.
*2 ペンテシレーアは,アマゾーン族の一人で,トロヤ方についていたが,アキッレウスにより殺される.その兜を取って顔を見た時,アキッレウスはその美しさに打たれて嘆く.マエオーティスは黒海北西に隣接する湖で,その近辺にアマゾーン族が住むとされる.
*3 ヘーラクレースの柱と呼ばれる,現在のジブラルタル海峡にある岩.
*4 オムパレーはリュディアの女王で,奴隷としてヘルメースによって売られていたヘーラクレースを買い取り,後に結婚し,子をもうける.プロペルティウスは,ギュゲース湖はここでは黄金の流れるパクトルス川に関係づけ,そこに浸かって美しくなったということにしているようである(Camps, ad loc.).
*5 バビュローンの伝説的女王.バビュローンの王ニノスの妻であったが,王の死後バビュローンを壮大に再建する.
*6 バクトリア(現アフガニスタン)の首都.


【2007/09/23 17:54】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウスのOCT

Heyworth, S. J. Ed. Sexti Properti Elegi. Oxford Classical Texts. Oxford: Oxford U.P., 2007. Nov. ISBN-13: 978-0-19-814674-2


 たまたまプロペルティウスを始めたので,久々に書誌をあさって見たら,遂にOCTでBarbarの1953年版(2nd ed. 1960)に代って,Heyworthによる新版が11月に出るということです.なんと半世紀ぶりのOCTですが,ティブッルスなども1905年の初版ですし,プロペルティウスは実はその前にもPhillimoreという人が1901年(2nd Ed. 1907年)にOCTで出しているので,もう2回も入れ替わったことになりますから,恵まれているほうでしょうか.それにしても,ティブッルスとホラーティウスなんかも,はやく新版ででてほしいですね.
 今回の校訂はかなりラジカルな本文になりそうな感じです.英文学の方にはおなじみのA.E. Housemanの改訂などもかなり多く取り込まれるということです.前のOCTは穏健派だったので,案外読むのはこちらのほうがいいという可能性もありますから,念のために古いOCTも市場から姿を消す前に買っておいた方がいいかもしれませんね.


【2007/09/20 23:39】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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カッリマコス『アルテミス讃歌』80-97行
カッリマコス『アルテミス讃歌』80-97行


【2007/09/19 19:03】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ローマのカッリマコス

 ちょっとカッリマコスにも疲れたので,『ローマのカッリマコス』の作品を.これも実はクレオパトラが出て来る作品の一つです.実際に出てくるのは29行以下ですから,次の次のエントリーあたりですね.
 本家のカッリマコスの『アルテミス讃歌』,他のに比べてすごく難しいわけではないですね.印象からすると,比較的取っ付きやすいかもしれませんが,ユニコードの入力に慣れていなくて,ギリシャ語を打つのにすごく時間がかかっています.中途半端にSPIonicが身についているので,よく打ち間違えるのですね…….


【2007/09/18 22:49】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス第3巻第11歌1-8行

Quid mirare, meam si versat femina vitam
 et trahit addictum sub sua iura virum,
criminaque ignavi capitis mihi turpia fingis,
 quod nequeam fracto rumpere vincla iugo?
venturam melius praesagit navita mortem,   5
 vulneribus didicit miles habere metum.
ista ego praeterita iactavi verba iuventa:
 tu nunc exemplo disce timere meo.


5 venturam ... mortem N F1 L : noctem F3, P in ras. : ventorum (Postgate) ... morem Barber

なぜお前は驚くのか,女性が僕の生き様を好き勝手にして,
 そして自分の支配に下った男として引き回していることを?
そして,お前は僕に駄目人間の汚名を着せるのか,
 軛を砕いて,縛めを壊すこともできないからといって?
水夫は死の危険が差し迫るのをうまく予知し,
 兵士は傷から用心をすることを学んだもの.
この僕も過ぎ去った若き日にはお前のような言葉を吐いたもの.
 お前も今,僕を手本にして,用心することを学ぶがいい.



【2007/09/18 22:37】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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『クレオパトラ』

 ホラーティウス『歌集』37歌などという,ラテン詩と政治的状況がいかに分離不能なまでに表裏一体となっているかを示す詩を訳しました.もちろんここにはオクタウィアーヌスによる,対アントーニウス・クレオパトラへの世論操作が反映されいて,歴史的事実をおさえないと解釈は難しいですね.幸い,最近,客観的な事実を確認するために格好の本が出ているので,ここで紹介します.

シェンツェル,クリスティアン=ジョルジュ(北野徹 訳)『クレオパトラ』文庫クセジュ.東京:白水社,2007.(原著:Christian-Georges Schwentzel. Cléopâtre. Collection QUE SAIS-JE?. Paris: Presses Universitaires de France, 1999.)

 この本は,非常に脚色された先入観が入り込んでいるクレオパトラ像を,客観的に言えることから描き出し,さらには,どの時代にどういった描かれ方をしたかを,同時代の証言,ラテン文学から,中世を通って,現代の映画や音楽,ついでにマンガ(!)まで取り上げて,ざっとではありますが解説してくれています.歴史を調べる時に,日本語で書かれた本に感じる難点は,どこまでが共通の見解で,どこからが著者の意見かが非常に曖昧になりがちで,その上主観と客観がしばしば入り交じっていたりすることがあることですが,著者は非常に慎重に,言える事を選び出し,客観的事実を見出すのが難しい時は,資料にのみ語らせることで,読者に判断を委ねさせます.原著の出版は1999年ですから,最新とは言えないものの,概説的情報としては十分新しいといえるでしょう.翻訳は,最近立て続けにローマ関係のクセジュ文庫を翻訳されていらっしゃる北野徹氏で,この本でも読みやすい翻訳をされている上に,適切な訳注と,幾つかの有用な追加図版に用語解説まで作成して下さっていて,頭が下がります.


【2007/09/18 01:21】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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カッリマコス『アルテミス讃歌』62-79行
カッリマコス『アルテミス讃歌』62-79行


【2007/09/17 12:17】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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工学への誘い

  T lounge

 東京大学工学部広報室のブログです.いや,なかなかこれが面白いのですね.文章も文系などより理系のほうがうまいとよく言われますが,確かにいい文章です.アドレスをみるに,なんとなくラテン語を勉強されている形跡が…….いや,本当に下手な文系よりラテン語ができる理系の方とかごろごろしていますから,全然不思議ではありませんけど.実際こちらに来ていらっしゃる方にも,多分そういう方は多いと思います.というわけで,こんなコーナーも紹介しておく意味もあるかと……

  あなたが工学を志した、好きになった「きっかけ」を教えてください

 今は工学部は希望者が半減しているらしいですね.ちょっと信じられない事態ですが,別に文学部が取っているようにも思えないです.皆さんどこへ行ったのでしょう.


【2007/09/16 10:07】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ホラーティウス『歌集』第1巻第37歌

Nunc est bibendum, nunc pede libero
pulsanda tellus, nunc saliaribus
 ornare pulvinar deorum
  tempus erat dapibus, sodales.

antehac nefas depromere Caecubum 5
cellis avitis, dum Capitolio
 regina dementis ruinas
  funus et imperio parabat

contaminato cum grege turpium
morbo virorum, quidlibet impotens  10
 sperare fortunaque dulci
  ebria. sed minuit furorem

vix una sospes navis ab ignibus
mentemque lymphatam Mareotico
 redegit in veros timores      15
  Caesar ab Italia volantem

remis adurgens, accipiter velut
mollis columbas aut leporem citus
 venator in campis nivalis
  Haemoniae, daret ut catenis   20

fatale monstrum; quae generosius
perire quaerens nec muliebriter
 expavit ensem nec latentis
  classe cita reparavit oras

ausa et iacentem visere regiam    25
vultu sereno, fortis et asperas
 tractare serpentis, ut atrum
  corpore combiberet venenum,

deliberata morte ferocior,
saevis Liburnis scilicet invidens    30
 privata deduci superbo
  non humilis mulier triumpho.

今こそ酒を飲むべし,今こそ枷のない足で
大地を打つべし,今こそサリイー司祭*1
 宴で,神々の寝椅子を
  飾る時だ,わが同胞よ.

今までは許されぬことだった,カエクブム*2の酒を
父祖の酒蔵から取り出すのは,カピトーリウムに
 王女が狂おしい破滅を,
  そして我らが支配の死を用意していた間は.

その彼女は,悪徳に汚染された,堕落した
男どもの群れと連れ合い,節度なく好みの
 希望を抱き,甘い展望に
  酔っていた.しかし,その狂気が減じたのは,

火中よりからくもたった一隻の船が逃れた時.
そしてマレオーティス*3の酒に浸った心を,
 カエサルは真の恐怖へと陥れ,
  彼女に追い迫り,イタリアより

櫂にて飛ぶように逃げ去らしめた,それはちょうど鷹が
柔弱な鳩を追い,あるいは足速き狩人が
 雪多きハエモニア*4の野で
  兎に迫るよう.そうして彼は破滅もたらす怪物を

鎖の縛めへと送り込もうとした.だが彼女はより高貴にも
死ぬ事を望み,女らしく
 刀を怯えることもなく,人の見ぬ
  海岸へと足速き艦で逃れることも選ばなかった.

気丈にも彼女は穏やかな顔で,倒れた
王宮を見つめた.そして勇敢にも獰猛な
 蛇どもを捕まえた,黒き毒を
  その身て飲まんとして.

彼女が決した死において,彼女はより大胆であった.
なんとなれば,獰猛なリブルニア人*5によって,
 王権もなく,誇らしげな凱旋式に引かれて行くのを
  このまさに高貴な女性は嫌ったのであった.

*1 ローマの司祭で,豪華な宴を伴う祭りを行うので有名.しばしば戦勝感謝祭で,神像が神殿の外で,寝椅子に据えられて宴会が催された.この詩の内容から,おそらくここではクレオパトラの死に対する感謝祭が意図されている.
*2 高級酒.
*3 エジプトのアレクサンドリアの近くにあった湖.この近辺はエジプトのワインの産地.
*4 テッサリア.
*5 機動力に優れた小舟を操る民族.アクティウムの戦いにおいて,オクタウィアーヌス側で大いに活用され,鈍重な重装船のアントーニウス・クレオパトラの船を打ち破る.

韻律:Alcaicum
U ―U― ― | ―UU―U U
U ―U― ― | ―UU―U U
  U ―U― ― ―U― U
  ―UU―UU―U― U


【2007/09/15 23:42】 Horatius Carmina | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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カッリマコス『アルテミス讃歌』46-61行
カッリマコス『アルテミス讃歌』46-61行


【2007/09/15 11:58】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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Historical Atlas

 ずっと探していたのですが,著作権切れの歴史地図がテキサス大学の大学図書館のサイトにありました.


 著作権はないのですが,"Courtesy of the University of Texas Libraries, The University of Texas at Austin."を入れるのを推奨とのことです,Web上でも自由に使えるので,このブログでも活用しようと思います.本当にテキサス大学図書館には感謝の気持でいっぱいです.
 ちなみに著作権切れでないものを含むさまざまな地図はこちらで.なお,上のHistorical Atlasの1923-26年版もありますが,acid paperを使っているのか,紙がやや変色していて,1911年版のほうが見やすいです.


【2007/09/14 00:21】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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カッリマコス『アルテミス讃歌』26-45行
カッリマコス『アルテミス讃歌』26-45行


【2007/09/14 00:01】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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カッリマコス『アルテミス讃歌』6-25行
カッリマコス『アルテミス讃歌』6-25行


【2007/09/12 10:34】 Callimachus In Dianam | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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リンク追加

したのリンクに,ローマやポンペイなどの建物や壁画その他を見て回れるサイトと,古代関係のフォーラムのようなサイトを追加しました.
 ちょっと週末は体調を崩してしまいました.また来週,気合いを入れ直して,とりあえずカッリマコスなどやってしまいます…….


【2007/09/09 18:21】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ギリシャ哲学セミナー

ギリシャ哲学セミナー

 古代ギリシア哲学関連で,偉い先生がたなどを呼んで開催されているセミナーです.発表成果『ギリシャ哲学セミナー論集』も,PDFでDLすることができます.古代哲学の人はスケールが大きいですね.


【2007/09/08 14:39】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『アエネーイス』6巻参考文献など

 さすがにティブッルスなどをやってからアエネーイスなんか読むと,やたらガチガチしています.こうしてみると叙事詩とエレゲイアがいかに対極にあるか,直感的に分りますね.
 これはペースはのろのろで,思いついた時にやるような形になると思います.もう立派な翻訳がありますから.

 参考文献などは,もう自明でしょうけど,一応あげておきます.

Mynors, R.A.B. P. Vergili Maronis Opera. Recognovit brevique Adnotatione Critica Instruxit. Oxonii: E Typographeo Clarendoniano, 1969.
言うまでもなく定番テクスト.

Austin, R.G. P. Vergili Maronis Aeneidos Liber Sextus. With a Commentary by. Oxford: Clarendon Press, 1977.
定番の注釈.

Norden, Eduard. P. Vergilius Maro Aeneis Buch VI. Erklärt von. Leipzig: Teubner, 1916.
ドイツ文献学の誇る記念碑的注釈.

Horsfall, Nicholas. A Companion to the Study of Virgil. Scholars' List. Leiden; London; Koln: Brill, 2000.
高額なBrillのCompanionですが,Scholars' Listシリーズで手軽な値段になりました.

岡道男,高橋宏幸(訳)『ウェルギリウス アエネーイス』西洋古典叢書.京都:京都大学学術出版会,2001.
最新の和訳.


あとLoebの翻訳,泉井先生の5・7調翻訳などがあります.疲れたので手抜き……


【2007/09/06 18:34】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『アエネーイス』第6巻1-13行

P. Vergili Maronis Aeneidos Liber VI

Sic fatur lacrimans classique immittit habenas
et tandem Euboicis Cumarum adlabitur oris.
obvertunt pelago proras; tum dente tenaci
ancora fundabat navis et litora curvae
praetexunt puppes. iuvenum manus emicat ardens  5
litus in Hesperium; quaerit pars semina flammae
abstrusa in venis silicis, pars densa ferarum
tecta rapit silvas inventaque flumina monstrat.
at pius Aeneas arces, quibus altus Apollo
praesidet, horrendaeque procul secreta Sibyllae,  10
antrum immane, petit, magnum cui mentem animumque
Delius inspirat vates aperitque futura.
iam subeunt Triviae lucos atque aurea tecta.

プーブリウス・ウェルギリウス・マロー『アエネーイス』第6巻

涙流しつつ彼はかく語り,艦に舵を入れ,
そしてついにエウボエアゆかり*1のクーマエの岸に辿り着く.
彼らは舳先を海に向け,ついで錨は食い込む歯で
船々を固定した.そして湾曲した竜骨の船々は
岸辺を縁取る.若者達の一隊は,血気盛んに
ヘスペリア*2の岸に飛び出す.一部は火打石の脈に
隠れた火種を求め,一部は獣達の奥深き
住まいたる森に急ぎ入り,川を見つけて指し示す.
だが孝信のアエネーアースは,アポッローンが高みにて
まします頂と,やや離れた畏れ多きシビュッラの隠れ家たる
巨大な洞窟へと向かう.その女にはデーロスの未来告げる神*3
偉大な理知心情を吹き込み,来るべき事を明らかにするのだ.
今や彼らは三叉路の女神*4の聖林へと踏み入り,そうして黄金の家に近づく.

*1 クーマエはエウボエアのカルキスが植民してできた.
*2 ギリシアからみて西方,ここではすなわちイタリア.
*3 アポッローン.
*4 ヘカテーを指すが,ここではアポッローンとのつながりから,ディアーナのこと.


【2007/09/06 17:56】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ティブッルス完訳

ティブッルスようやく真作は全部訳し終わりました.ラテン語の原文は,明快でエレガントなものですが,翻訳ではその雰囲気をあらわすのはとても難しいです(少なくとも僕には無理です).雰囲気としては,立原道造のような感じでしょうか.
 しかしもうしばらくはエレゲイアは沢山です.思い切ってウェルギリウスの『アエネーイス』をやろうかとも.もう翻訳は幾つも出ていて,ひどい拙訳の出る幕はないかとも思いますが,対訳なら少しは見やすいかとも思うので.


【2007/09/06 07:19】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ティブッルス第2巻第6歌41-54行(完結)

desino, ne dominae luctus renoventur acerbi:
 non ego sum tanti, ploret ut illa semel.
nec lacrimis oculos digna est foedare loquaces:
 lena nocet nobis, ipsa puella bona est.
lena necat miserum Phryne furtimque tabellas   45
 occulto portans itque reditque sinu.
saepe, ego cum dominae dulces a limine duro
 adgnosco voces, haec negat esse domi,
saepe, ubi nox mihi promissa est, languere puellam
 nuntiat aut aliquas extimuisse minas.      50
tunc morior curis, tunc mens mihi perdita fingit,
 quisve meam teneat, quot teneatve modis;
tunc tibi, lena, precor diras: satis anxia vivas,
 moverit e votis pars quotacumque deos.

僕は止めよう,女主人のつらい悲しみを新たにしないように.
 僕は彼女が一度でも泣いてくれる程の価値はない.
そして,彼女がその表情豊かな眼を涙で荒らすのは相応しくない.
 女衒が僕の邪魔をしているのだ,彼女自身は良い娘なのだ.
女衒のプリュネーが,哀れな僕の息の根を止め,こっそりと書き付けを
 懐に隠し持って,行ったり来たりしている.
しばしば,僕が固く閉ざした門から,女主人の甘い声がするのを
 認めた時にも,そいつは彼女は家にいないと言うのだ.
しばしば,彼女が僕に一夜を約束した時に,そいつは彼女が
 疲れていると告げたり,何か脅迫を恐れていると言う.
その時,僕は悩みで死にそうになる,その時,僕の心はめちゃめちゃになって,
 誰が僕の彼女を抱いているとか,どれほど多くの仕方で抱いているだのと想像する.
その時,女衒よ,お前に僕は災いを祈る.お前はたっぷり不安に苛まれ生ることだろう,
 僕の祈りのどんな僅かな部分でも,神々を動かしてくれさえすれば.


【2007/09/06 06:15】 Tibullus | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ティブッルス第2巻第6歌21-40行

Spes alit agricolas, Spes sulcis credit aratis
 semina, quae magno faenore reddat ager;
haec laqueo volucres, haec captat arundine pisces,
 cum tenues hamos abdidit ante cibus;
Spes etiam valida solatur compede vinclum:    25
 crura sonant ferro, sed canit inter opus;
Spes facilem Nemesim spondet mihi, sed negat illa;
 ei mihi, ne vincas, dura puella, deam.
parce, per immatura tuae precor ossa sororis:
 sic bene sub tenera parva quiescat humo.    30
illa mihi sancta est, illus dona sepulchro
 et madefacta meis serta feram lacrimis,
illius ad tumulum fugiam supplexque sedebo
 et mea cum muto fata querar cinere.
non feret usque suum te propter flere clientem:  35
 illius ut verbis, sis mihi lenta, veto,
ne tibi neglecti mittant mala somnia Manes,
 maestaque sopitae stet soror ante torum,
qualis ab excelsa praeceps delapsa fenestra
 venit ad infernos sanguinolenta lacus.      40

「希望」は農夫を養い,希望は大きな利益とともに
 畑が再び返すようにと,耕された畝に種を委ね,
この神が鳥を罠で,この神が魚を葦の竿で捉えるのだ,
 あらかじめ餌で小さな釣り針を隠しておいて.
「希望」は硬い足枷の縛めをも慰める,
 脚は鉄の音を立てるが,しかし仕事の間に彼は歌っている.
「希望」は気安いネメシスを僕に約束するが,しかし彼女は拒んでいる.
 ああ,冷たい女性よ,この神を打ち負かさないでくれ.
容赦してほしい,君の若くしてなくなった妹の骨にかけて,お願いする.
 そうであれば,軽い土の下で,その小さくなった骨が安らかに休めるように.
彼女は僕には聖なるものだ,彼女の墓に,僕は捧げものと,
 僕の涙でしとどに濡れた花束を備えよう.
彼女の塚に僕は逃れよう,そして跪いて座り,
 もの言わぬ灰といっしょに,僕の運命を嘆こう.
彼女は自分の崇拝者が,お前のせいで泣くのを我慢しないだろう.
 彼女の言葉のように,僕は君が僕につれなくあるのを禁ずる,
君がこれを蔑ろにして,死霊が君に悪い夢を送らぬように,
 悲しげに妹が眠っている君の枕の前に立たぬように,
ちょうど高い窓から真っ逆さまに落ちて,
 血まみれで冥界の湖へと行ったときの様で.


【2007/09/06 05:50】 Tibullus | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ティブッルス第2巻第6歌1-20行

Castra Macer sequitur: tenero quid fiet Amori?
 sit comes et collo fortiter arma gerat?
est seu longa virum terrae via seu vaga ducent
 aequora, cum telis ad latus ire volet?
ure, puer, quaeso, tua qui ferus otia liquit,     5
 atque iterum erronem sub tua signa voca.
quod si militibus parces, erit hic quoque miles,
 ipse levem galea qui sibi portet aquam.
castra peto, valeatque Venus valeantque puellae:
 et mihi sunt vires, et mihi facta tuba est.    10
magna loquor, sed magnifice mihi magna locuto
 excutiunt clausae fortia verba fores.
iuravi quotiens rediturum ad limina numquam!
 cum bene iuravi, pes tamen ipse redit.
acer Amor, fractas utinam, tua tela, sagittas,   15
 si licet, extinctas adspiciamque faces!      
tu miserum torques, tu me mihi dira precari
 cogis et insana mente nefanda loqui.
iam mala finissem leto, sed credula vitam
 Spes fovet et fore cras semper ait melius.    20

マケル*1は戦陣へと行く.柔弱なアモルはどうなるのだろう?
 彼は同伴者となって,肩に力強く武器を担ぐだろうか.
軍人たる彼を長い陸行の道や,たゆたう海が
 導くだろうか,彼が矢を持って脇についてゆくことを欲する時に?
焼くが良い,子神よ,つれなくもお前の閑暇を捨てた奴は.
 そして再び逃亡者として,お前の旗印の下へと呼べ.
だがもし兵士らにお前が手加減するのであれば,この私もまた兵士になるだろう,
 自分で僅かな水を兜で運ぶような兵士に*2
僕は陣営へ向かおう,さらば,ウェヌスよ,さらば,女性たちよ.
 僕にも力があるし,僕にも戦陣ラッパが作られたのだ.
僕は大言を吐いている,だが豪勢に大言を吐いている僕の
 力強い言葉を,閉ざされた門が打ち払う.
何度僕は,二度と門のところへ戻らないと誓ったことか!
 しっかり誓った後で,しかし足がひとりでに戻って行くのだ.
気性激しいアモルよ,もしゆるされるなら,お前の飛び道具の矢が,
 砕け,松明が消えているのを見たいもの.
お前は哀れな私を苛むし,お前は私に,自らを呪うのを
 強い,狂おしい心で,許されざることを語ることを強いる.
この不幸をもう死で終らせられていれば,だがお人好しの
 「希望」は命を助け,いつも明日にはもっと良くなると言うのだ.

*1 特定は難しい.Aemilius MacerとPompeius Macerが実存する人物としては考えられるが,単に恋する者のpseudonymであるとも考えられる(恋する者は痩せている(macer)のが恋愛詩での取り決め).
*2 マケルと異なり,従者のない一般兵として,ということ.


【2007/09/05 19:33】 Tibullus | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ティブッルス第2巻第3歌61-80行(完結)

at tibi dura seges, Nemesin qui abducis ab urbe,
 persolvat nulla semina terra fide.
et tu, Bacche tener, iucundae consitor uvae,
 tu quoque devotos, Bacche, relinque lacus.
haud impune licet formosas tristibus agris     65
 abdere: non tanti sunt tua musta, pater.
o valeant fruges, ne sint modo rure puellae.
 glans alat, et prisco more bibantur aquae.
glans aluit veteres, et passim semper amarunt.
 quid nocuit sulcos non habuisse satos?      70
tum, quibus adspirabat Amor, praebebat aperte
 mitis in umbrosa gaudia valle Venus.
nullus erat custos, nulla exclusura dolentes
 ianua; si fas est, mos precor ille redi.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・       75
 horrida villosa corpora veste tegant.
nunc si clausa mea est, si copia rara videndi,
 heu miserum, laxam quid iuvat esse togam?
ducite: ad imperium dominae sulcabimus agros,
 non ego me vinclis verberibusque nego.     80

だが,お前には作物がつれなくあれ,ネメシスを都から連れ出した奴よ,
 大地も,忠義を守って種を返す事がないように.
そして,汝,若者たるバッコスよ,快楽もたらす葡萄の植え手よ,
 汝もまた,バッコスよ,私が呪った葡萄桶を見放し給え.
美しい女性を楽しみもない畑に隠して,罰を逃れることは
 できない.父たるバッコスよ,そんな目に遭うためのあなたの葡萄酒ではない.
さらば,畑の実りよ,もし女性らが畑にいないのであれば.
 団栗が人を養えばよい,そして,古の様に,人は水を飲んでいればよい.
団栗が古の人を養った,そして彼らはいつもそこら中で愛を結んだのだ.
 なぜ畝に作物がない事が,良くないことがあろうか.
その時代には,アモルが息を吹き込んだ者には,おおらかなウェヌスが
 隠す事なく蔭多き谷での歓楽を供したのであった.
見張りなぞいなかった,閉め出して悲しみを味わわせる
 門もなかった.もし許されるなら,かの習わしが戻ることを僕は願う.
…………………………………………………………
 むくつけき身体を毛むくじゃらの服が被わんことを.
今,もし僕の彼女が閉ざされているなら,もし見る機会が滅多にないなら,
 ああ,不幸な僕よ,緩いトガ*1が何の役に立とうか.
連れて行ってくれ.女主人の命により,僕は畑を耕そう,
 僕は縛めも鞭も厭う事はない.

*1 緩いトガは,ダンディな男の着こなしとされていた.


【2007/09/05 15:49】 Tibullus | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ティブッルス第2巻第3歌47-60行

at mihi laeta trahunt Samiae convivia testae
 fictaque Cumana lubrica terra rota.
heu, heu, divitibus video gaudere puellas:
 iam veniant praedae, si Venus optat opes,    50
ut mea luxuria Nemesis fluat utque per urbem
 incedat donis conspicienda meis.
illa gerat vestes tenues, quas femina Coa
 texuit, auratas disposuitque vias;
illi sint comites fusci, quos India torret,        55
 Solis et admotis inficit ignis equis;
illi selectos certent praebere colores
 Africa puniceum purpureumque Tyros.
nota loquor: regnum ipse tenet, quem saepe coegit
 barbara gypsatos ferre catasta pedes.      60


47 mihi Flor. : tibi cett.

だが,サモスの陶器と,クーマエのろくろで作られた
 粘土の焼き物*1を使った宴を私は続けている.
ああ,ああ,僕は女性が財産を喜ぶのを僕は見ている.
 もしウェヌスが資産を望むなら,その時には分捕り品に来てもらいたい,
わがネメシスが贅沢のうちに漂い,そして都中を
 僕の贈り物をもって見せびらかしに歩くようになるよう.
彼女はコースの女性が織り,金糸をあしらった
 薄衣*2を纏ってほしい,
彼女には,インドが焼き,太陽の火が,馬が近いために色付けた
 色黒の侍女たちが付き添ってほしい.
彼女には,アフリカとテュロスが競ってより抜きの染め物を与えて欲しい,
 アフリカは朱の,テュロスは紫の染め物を.
周知のことを言っているのだ:あいつが王国を持っている,しばしば
 奴隷展示台で足を白く塗った歩くように命じられた当の奴隷*3が.

*1 安価な食器.
*2 コースの着物は特に高級娼婦の衣服.
*3 ここでは,すでにある解放奴隷が,財産でネメシスを買ったと言っている.王国(regnum)は,しばしば恋する女性との床をさす.奴隷は売りに出される際には,足を白く塗って,その素質を見るために歩かされたりしていた.


【2007/09/05 07:07】 Tibullus | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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