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古代・中世哲学史

最近関係ないことで色々パワーを消耗していて,翻訳が出来ません…….
そこで最近買った本でごまかします(笑).

熊野純彦『西洋哲学史 ? 古代から中世へ』岩波新書.東京:岩波書店,2006.

最近,哲学概論の本などがあったらなあと思っていたので,この本をつい衝動買いしてしまいました.確かお世話になっているブログのほうでも紹介されていたので(ちょっとケチもついていましたが).しかし,いきなりショックな一文が……

『たとえば,ヘシオドス『神統記』が語りだすところによれば,はじめに生じたのは「カオス」である.ヘシオドスの語るカオスは「混沌」のことではない.カオスとは「裂け目」のことであった.そうであるとすれば,ヘシオドスの宇宙創世論(cosmogony)がまず語るのは,「大地」(ガイア)と「天空」(ウーラノス)との分離であったといってよいだろう』(p.5)


前半はそんなに間違っていませんが,カオスは混沌よりは裂け目でしょうけど,West (Hesiod: Theogony, ad loc.)のいうように,むしろ「あくびの状態」が一番想像するに適切でしょうか,まあ,それはともあれ,ヘーシオドスを読んでみると,最初に生じたのは,カオスとガイアとタルタロスとエロスで(116-22)(つまり,これらは平行して,カオスとともに,多分無から生まれたものです),エレボスとニュクス(123),ニュクスとエレボスの間にアイテールとヘーメレー(124-5)が生まれ,その後にガイアがウーラノスを生むので(126-8),一番最初が大地と天空の「裂け目」で,それがカオスだ,という訳では全くないのです.つまり,この解説は,筆写の間違いでないと仮定しても,誤解を招く不適切な解説だと思います.この誤解した解説の後に,

『そのような神話的宇宙論の伝統とタレスのあいだの隔たりを,極端に大きく見つもることはできない』(p.5)

などと書かれていても,ちょっと困ってしまいます(笑).

 最初からこの有様では,ちょっと後も事実関係については眉唾にならざるをえないですね.まあざっと見た限りの印象では,思いの他概説的な知識がまとまっていなくて,これで哲学概論にするのはかなりきつそうです.むしろ,概論の先生が講義の間にする軽い談話的なエッセイというところでしょうか.そのエッセイの一部がヘーシオドスの上記の話しというのは,なんとも複雑な気持になる一冊です.

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【2006/07/01 19:45】 COMMENTARII DIURNI | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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