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ウェルギリウス『選集』4歌60-63(完結)

incipe, parve puer, risu cognoscere matrem:  60
matri longa decem tulerunt fastidia menses.
incipe, parve puer: qui non risere parenti,
nec deus hunc mensa, dea nec dignata cubili est.

62 qui (Quint. ix 3. 8)... parenti (Schrader) : cui ... parentes codd.

幼子よ,微笑んで母親を認めることをはじめよ.
母には10月の間,長い苦しみが続いたのだ.
幼子よ,さあ.親に笑いかけねば*18
神もその子を食卓に相応しいとはしないし,女神も床に相応しいとはしない.


*18 通常,Schraderによる改訂案をとって,「(子供が)親に笑いかけねば(その子を……)」とされる.この場合,複数qui (risere !)の先行詞がhuncになる不一致が起こるが,それについてはVerg.A. 8.427-8などがある(cf. Coleman: ad loc.).

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【2008/06/29 21:06】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『選集』4歌37-59

hinc, ubi iam firmata virum te fecerit aetas,
cedet et ipse mari vector, nec nautica pinus
mutabit merces: omnis feret omnia tellus.
non rastros patietur humus, non vinea falcem; 40
robustus quoque iam tauris iuga solvet arator.
nec varios discet mentiri lana colores,
ipse sed in pratis aries iam suave rubenti
murice, iam croceo mutabit vellera luto;
sponte sua sandyx pascentis vestiet agnos.  45
'Talia saecla' suis dixerunt 'currite' fusis
concordes stabili fatorum numine Parcae.
adgredere o magnos (aderit iam tempus) honores,
cara deum suboles, magnum Iovis incrementum!
aspice convexo nutantem pondere mundum,  50
terras tractusque maris caelumque profundum;
aspice, venturo laetentur ut omnia saeclo!
o mihi tum longae maneat pars ultima vitae,
spiritus et quantum sat erit tua dicere facta!
non me carminibus vincet nec Thracius Orpheus 55
nec Linus, huic mater quamvis atque huic pater adsit,
Orphei Calliopea, Lino formosus Apollo.
Pan etiam, Arcadia mecum si iudice certet,
Pan etiam Arcadia dicat se iudice victum.

59 dicat codd. : dicet Macrob. v 14.6

そうして,逞しい齢がやがてお前を一人前の男にする時,
船ゆく旅人も海から退くだろう,そして水夫の船も
もはや貿易はしないだろう.あらゆる大地はあらゆるものをもたらすだろう.
地面は鍬を受けることも,葡萄は剪定鎌を受けなくなるだろう.
頑強な耕作人もまた,もう牛から軛を解くだろう.
そして羊毛も様々な色で欺くことを学ばなくなるだろう,
しかし雄羊は牧場で,ある時は心地よい
赤紫に,ある時はサフランの黄土色に毛を変えるだろう.
草食む子羊も,自然に赤鉄色が覆うことだろう.
「このような時代をお前達は走れ」と自分たちの紡錘に語ったのだ,
運命のそれることなき神威に力合わせるパルカ姉妹は.
おお,偉大な名声に向かって進むがよい(もうその時は迫っているだろう),
神々に愛されている子よ,ユッピテルの偉大な子孫よ!
見よ,湾曲せる重みもて世界が頷くのを,
大地も,海の広がりも,果てなき空も.
見よ,いかに全てが,来るべき世紀に喜んでいるのかを!
おお,私にその時,長い人生の最後の部分が残っていることを!
そして,お前の運命を語るのに十分な息があらんことを!
私に歌ではトラキアのオルペウスも勝つことはないだろうし,
リノス*16もそうだ,たとえ前者には母,後者には父,
オルペウスにはカッリオペー*17が,リノスには美しいアポッローンがつこうとも.
パーン神でさえも,もしアルカディアを判官として私と競うとすれば,
パーン神でさえも,アルカディアの判官の下では,自分は負けたというだろう.


*16 音楽の名手とされる.アポッローンに歌を競い,殺されるという伝承もある.
*17 ムーサの一人で,歌の女神.オルペウスとリノスは彼女の子ともされる.


【2008/06/29 16:52】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『選集』4歌18-36

at tibi prima, puer, nullo munuscula cultu
errantis hederas passim cum baccare tellus
mixtaque ridenti colocasia fundet acantho.    20
ipsae lacte domum referent distenta capellae
ubera, nec magnos metuent armenta leones;
ipsa tibi blandos fundent cunabula flores.
occidet et serpens, et fallax herba veneni
occidet; Assyrium vulgo nascetur amomum.   25
at simul heroum laudes et facta parentis
iam legere et quae sit poteris cognoscere virtus,
molli paulatim flavescet campus arista,
incultisque rubens pendebit sentibus uva,
et durae quercus sudabunt roscida mella.     30
pauca tamen suberunt priscae vestigia fraudis,
quae temptare Thetim ratibus, quae cingere muris
oppida, quae iubeant telluri infindere sulcos.
alter erit tum Tiphys, et altera quae vehat Argo
delectos heroas; erunt etiam altera bella     35
atque iterum ad Troiam magnus mittetur Achilles.

だがお前に,子よ,最初の贈り物として,耕されることなく
大地は至るところにバッカル*8とともに地を這いまわる木蔦*9を,
そして微笑む葉アザミ*10に交わるコロカシア*11を溢れさせるだろう.
乳房に乳を満たした雌山羊たちは自ら家に戻り,
そして家畜たちは巨大なライオンを恐れることもないだろう.
揺りかご自体が,お前のために,愛おしい花々を溢れさすだろう.
蛇も死に絶え,そして人を欺く毒草も
絶えるだろう.アッシュリアのカルダモン*12も広く生まれるだろう.
だが,お前が英雄たちの讃歌と父の業績を
今や読み,武勇のなんたるかを知り得ればすぐに,
野は徐々に柔らかな穂にて黄色く染まり,
そして野生の茨には赤い葡萄が下がり,
そして堅いオーク*13はしたたる蜜を吹き出させるだろう.
しかしながら,僅かには以前の欺瞞の痕跡が残っているだろう,
船にてテティス*14に挑むことを,町を城壁で
囲むことを,大地に畝を割入れるよう命じるような欺瞞の痕跡が.
もう一人のティーピュス*15が現れるだろう,そしてもう一つの,よりすぐりの英雄運ぶ
アルゴー船が.もう一つの戦争が起こりさえするだろう,
そうして再び,トロイヤへ偉大なアキッレウスが送られるだろう.

*8 不詳.薬草の類とされる.
*9 http://en.wikipedia.org/wiki/Ivy参照.
*10 葉アザミ(bear's breech)についてはhttp://en.wikipedia.org/wiki/Bear's-breech参照.
*11 コロカシアはCaladiumとされている.ナイル原産で,イタリアには自生しない.http://en.wikipedia.org/wiki/Caladium参照.
*12 日本でもカレーの材料として簡単に手に入るスパイス.強い薄荷のような香りがする.
*13 ヨーロッパナラ.団栗の樹で,材質は堅い.http://ja.wikipedia.org/wiki/ヨーロッパナラ参照.
*14 海のニンフの一人で,アルゴー船の一員ペーレウスと結婚し,アキッレウスを産む.ここでは海のメタファー.
*15 アルゴー船の舵取り.



【2008/06/29 01:22】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『選集』4歌1-17

Sicelides Musae, paulo maiora canamus.
non omnis arbusta iuvant humilesque myricae.
si canimus silvas, silvae sint consule dignae.
ultima Cumaei venit iam carminis aetas;
magnus ab integro saeclorum nascitur ordo. 5
iam redit et Virgo, redeunt Saturnia regna,
iam nova progenies caelo demittitur alto.
tu modo nascenti puero, quo ferrea primum
desinet ac toto surget gens aurea mundo,
casta fave Lucina: tuus iam regnat Apollo.  10
teque adeo decus hoc aevi te consule inibit,
Pollio, et incipient magni procedere menses;
te duce, si qua manent sceleris vestigia nostri,
inrita perpetua solvent formidine terras.
ille deum vitam accipiet divisque videbit   15
permixtos heroas et ipse videbitur illis,
pacatumque reget patriis virtutibus orbem.

シチリアのムーサらよ,少しより大きなことを我々は歌おうではないか.
樹々や素朴なタマリスク*1が皆に喜ばれるわけではない.
我々が森を歌う時,森は執政官に相応しいものにならねばならぬ.
クーマエの預言*2の最後の時代が今ややって来た.
偉大な世紀の連なりが新たに生まれている.
今や処女神*3も戻り,サートゥルヌス*4の王国も戻りつつある,
今や新たな世代が天の高みより送られている.
あなたは,生まれ来る幼子??その子により,初めて鉄の
種族が終わり,かつ全世界に黄金の種族が起こるのだが??その子に,
純潔のルーキーナ*5様,恵み与えたまえ.今やあなたのアポッローンが支配している*6のだから.
そして,まさにあなたが執政官の時に,この時代の栄光が始まるでしょう,
ポッリオー*7よ,そして偉大な月々が進み始めるでしょう.
あなたの指導の下,もし何か我々の悪の痕跡が残っていても,
それらは空しく消え,永遠の恐怖より大地を解放するのです.
彼は神々の生を受けるでしょう,そして神々と
交われる英雄を見るでしょう,そして彼自身を英雄らが見るでしょう,
そして父から受けし徳により世界を平定して支配するでしょう.


*1 日本名ギョリュウ.鱗状の細長い葉をもち,ピンク色の花をつける.
  ウィキペディアによる解説と写真.http://en.wikipedia.org/wiki/Tamarix
*2 クーマエにいたシビュッラの預言のこと.
*3 正義を司っている女神アストライア.白銀時代から青銅時代に移る時に天にのぼり,乙女座となる.
*4 クロノスのこと.彼の支配していた時代は黄金時代であった.
*5 お産の女神で,ディアーナ(アルテミス)と同一視される.
*6 シビュッラの預言によると,最後の時代はアポッローンが支配する.
*7 前76/5年-紀元後4年.政治家・軍人で,詩人でもあった.前40年に執政官となる.


【2008/06/27 22:25】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『選集』第2歌58-73行(完結)

heu heu, quid volui misero mihi? floribus Austrum
perditus et liquidis immisi fontibus apros.
quem fugis, a, demens? habitarunt di quoque silvas 60
Dardaniusque Paris. Pallas, quas condidit, arces
ipsa colat; nobis placeant ante omnia silvae.
torva leaena lupum sequitur, lupus ipse capellam,
florentem cytisum sequitur lasciva capella,
te Corydon, o Alexi: trahit sua quemque voluptas.  65
aspice, aratra iugo referunt suspensa iuvenci,
et sol crescentis decedens duplicat umbras;
me tamen urit amor: quis enim modus adsit amori?
a, Corydon, Corydon, quae te dementia cepit!
semiputata tibi frondosa vitis in ulmo est:      70
quin tu aliquid saltem potius, quorum indiget usus,
viminibus mollique paras detexere iunco?
invenies alium, si te hic fastidit, Alexin.'

ああ,ああ,僕は惨めな自分に何を欲していたのか.僕はとち狂って
草花に南風を,清らかな泉に猪をけしかけた.
何を避けているのか,馬鹿な奴よ.神々もまた森に住み,
またトロヤ人のパリスも住んでいた.パッラスは自分で建てた町に
自分で住めばよい.僕はなにより森が好きでいたい.
荒々しい獅子は,狼を追い,狼自身は家畜を,
好色な家畜達は花咲くウマゴヤシを追い,
コリュドーンは,アレクシスよ,お前を追う.各々の欲望に各人が引かれて行く.
みよ,若牛が鋤を宙吊りにして軛で*1引っ張っている.
そして,日は沈みながら,蔭の長さを倍にしている.
しかし愛は僕を焦がしている.なぜなら愛にどんな節度があるだろうか.
ああ,コリュドーンよ,コリュドーンよ,なんと言う狂気がお前を捉えたのか!
葉の茂った葡萄は,半分しか刈られずに楡の木に支えられている.
お前は少なくとも何か,必要に迫られているものを
柳の枝と柔らかいイグサで編む気はないのか?
もしこの子がお前を嫌がれば,お前は別のアレクシスを見つけるだろう」

*1 仕事から帰る時には,鋤は地面を掘らないように逆にひっくり返し,宙吊りにして引いて行く(cf. Clausen, ad loc.).



【2007/10/10 17:23】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『選集』第2歌45-57行

huc ades, o formose puer: tibi lilia plenis     45
ecce ferunt Nymphae calathis; tibi candida Nais,
pallentis violas et summa papavera carpens
narcissum et florem iungit bene olentis anethi;
tum casia atque aliis intexens suavibus herbis
mollia luteola pingit vaccinia chalta.        50
ipse ego cana legam tenera lanugine mala
castaneasce nuces, mea quas Amaryllis amabat;
addam cerea pruna (honos erit huic quoque pomo),
et vos, o lauri, carpam et te, proxima myrte,
sic positae quoniam suavis miscetis odores.    55
rusticus es, Corydon; nec munera curat Alexis,
nec, si muneribus certes, concedat Iollas.

ここへおいで,おお美しい少年よ.君に篭いっぱいの百合を,
ごらん,ニンフたちは持って来るところだ.君に色白のナーイス*1は,
淡色のスミレと,芥子の天辺を摘んでは,
スイセンと良い香りのするヒメウイキョウと束ねている.
そうして彼女はジンチョウゲと他の甘い薬草を巻き付けつつ,
柔らかいヒヤシンスを薄黄色のマリーゴールドで引き立たせている.
僕自身は柔らかい綿毛のマルメロと
栗の実を摘もう,それは僕のアマリュッリスが好きだったものだけど.
僕はそれに飴色*2のスモモをつけよう(この果物にとっても光栄だろう)
そして,月桂樹よ,お前たちも摘もう,そして,その隣のテンニンカよ,お前もだ,
だってそんなふうに生えていて,甘い香りをお前達は混ぜ合わせているのだから……
お前は田舎者だ,コリュドーンよ.アレクシスは贈り物を気にも留めないし,
お前が贈り物で張り合うなら,イオッラース*3が負けるわけがない.

*1 泉のニンフ.
*2 原語ではcerea「蝋の色」だが,透明な薄黄色だとすると,日本語では飴色が近い.
*3 2行で出て来る主人.


【2007/10/10 03:09】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『選集』第2歌31-44行

mecum una in silvis imitabere Pana canendo
(Pan primum calamos cera coniungere pluris
instituit, Pan curat ovis oviumque magistros),
nec te paeniteat calamo trivisse labellum:
haec eadem ut sciret, quid non faciebat Amyntas? 35
est mihi disparibus septem compacta cicutis
fistula, Damoetas dono mihi quam dedit olim,
et dixit moriens: 'te nunc habet ista secundum';
dixit Damoetas, invidit stultus Amyntas.
praeterea duo nec tuta mihi valle reperti      40
capreoli sparsis etiam nunc pellibus albo,
bina die siccant ovis ubera; quos tibi servo.
iam pridem a me illos abducere Thestylis orat;
et faciet, quoniam sordent tibi munera nostra.

僕と一緒に森で歌えば,君はパーン神の如くになるだろう.
(パーンこそが最初に蝋で沢山の葦をつなぐことを
始めたのだ,パーンは羊と羊飼いのためを思って下さる)
また,葦で唇を擦っても後悔してはいけないよ.
これを習うために,アミュンタースは何をしないことがあったろうか.
僕には長さの違う7本の毒人参の茎をくっつけた笛がある,
それはかつてダーモエタースが僕に贈りものとしてくれた,
そして死ぬ時にこういった.「今,その笛はお前を第二の主人として持つのだ」と.
ダーモエタースはこう言った,馬鹿なアミュンタースは悔しがった.
その上,僕は二匹のノロ鹿を,それも危ない谷に見つけた,
白い斑点が今もまだ毛皮に散らばっている奴だ*1
そいつらは日に二度,母羊の乳を飲み干している.そいつを僕は君にとってある.
もうずっとテステュリス*2は奴らを僕のとこから連れて行かせてとお願いしてる.
そして,彼女はそうするだろうさ,だって僕の贈り物は君には汚いものだから.

*1 ノロ鹿の子は産まれて1年になる前に首の白い斑点がなくなる(cf. Clausen ad loc.).つまり,このノロ鹿はまだ子供.
*2 10行参照.


【2007/10/09 01:19】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『選集』第2歌14-30行

nonne fuit satius tristis Amaryllidis iras
atque superba pati fastidia? nonne Menalcan,  15
quamvis ille niger, quamvis tu candidus esses?
o formose puer, nimium ne crede colori:
alba ligusta cadunt, vaccinia nigra leguntur.
despectus tibi sum, nec, qui sim, quaeris, Alexi,
quam dives pecoris, nivei quam lactis abundans. 20
mille meae Siculis errant in montibus agnae;
lac mihi non aestate novum, non frigore defit.
canto, quae solitus, si quando armenta vocabat,
Amphion Dircaeus in Actaeo Aracyntho.
nec sum adeo informis: nuper me in litore vidi,  25
cum placidum ventis staret mare. non ego Daphnin
iudice te metuam, si numquam fallit imago.
o tantum libeat mecum tibi sordida rura
atque humilis habitare casas et figere cervos,
haedorumque gregem viridi compellere hibisco! 30

冷たいアマリュッリスの怒りと,傲慢な人を見下す態度を
我慢したほうがましではないか,あるいはメナルカースを?
彼のほうは色黒で,お前のほうは色白だけど.
おお,美しい少年よ,自分の色に自信を持ちすぎるなよ.
白いイボタノキの花は落ち,黒いスミレが摘まれるのだ.
僕は君に蔑まれているし,アレクシスよ,僕がどんな奴だかも尋ねもしない,
いかに家畜を一杯持っていて,いかに雪のように白い乳に満ちているかも.
僕の雌の子羊は千匹もいて,シチリアの山を歩き回っている.
新鮮な乳は夏にも冬にも僕に足りなくなることなどない.
僕は歌う,ディルケーゆかりのアンピーオーンが,アッティカのアラキュントス山*1
家畜を呼んでいた時にいつも歌っていた歌を.
僕はそんなに醜くはない.最近僕は水辺で自分を映して見た,
風が止んで海が穏やかになったときにね.君が審判になっても,
僕はダプニス*2だって恐れはしない,僕の映した姿が決して欺いているのでなければだが.
ああ,君が僕と一緒に,汚い田舎に住むのを喜び,
そうして粗末な家に住み,鹿を射っては
緑のハイビスカスで子山羊の群を追い立てるのを喜んでくれたら!

*1 アンピーオーンはゼウスとアンティオペーの子で,竪琴の名手として有名で,産まれて後に山に捨てられ,羊飼いに育てられる.ディルケーは彼を捨てた大伯父テーバイ王リュクスの妻だが,王とともにアンティオペーを虐待していたが,アンピーオーンは母と再会後,彼らを殺した.ディルケーの遺体は泉に投げ込まれ,その泉はディルケーの泉と呼ばれるようになった.詳しくは高津『神話辞典』該当箇所参照.
*2 ニンフの子で,シチリアの羊飼い.美少年であった.


【2007/10/07 20:15】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『選集』第2歌1-13行

Formosum pastor Corydon ardebat Alexin,
delicias domini, nec, quid speraret, habebat.
tantum inter densas, umbrosa cacumina, fagos
adsidue veniebat. ibi haec incondita solus
montibus et silvis studio iactabat inani:    5
' O crudelis Alexi, nihil mea carmina curas?
nil nostri miserere? mori me denique cogis?
nunc etiam pecudes umbras et frigora captant,
nunc viridis etiam occultant spineta lacertos,
Thestylis et rapido fessis messoribus aestu  10
alia serpyllumque herbas contundit olentis.
at mecum raucis, tua dum vestigia lustro,
sole sub ardenti resonant arbusta cicadis.

牧人コリュドーンは,ご主人のお気に入りの美しいアレクシスに
恋い焦がれていたが,彼の思いは遂げられずにいた.
彼はただ,密生した山毛欅の樹,蔭多き梢の間に
足しげく通ったもの.そこでこのとりとめのない言葉を一人で
空しくも熱心に,山々や森にむかって繰り返していた.
「ああ,残酷なアレクシス,僕の歌をお前は全然気にもかけないのか?
僕の事を全然憐れまないのか?ついには僕を死なせる気なのか?
今は家畜たちも冷たい日陰で涼を求め,
今は茨の薮も緑色した蜥蜴を隠す時.
テステュリスもひどい暑さに疲れた農夫らに
臭い薬草のニンニクとジャコウソウをつぶしている.
だが,僕がお前の後を追ってうろつく間,
燃え盛る太陽の下,僕と一緒にしわがれた蝉の声を木イチゴが響かせている.


【2007/10/03 23:36】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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ウェルギリウス『選集』第1歌64-83行(完結)

M. At nos hinc alii sitientis ibimus Afros,     65
pars Scythiam et rapidum cretae veniemus Oaxen
et penitus toto diversos orbe Britannos.
en umquam patrios longo post tempore finis
pauperis et tuguri congestum caespite culmen,
post aliquot, mea regna, videns mirabor aristas? 70
impius haec tam culta novalia miles habebit,
barbarus has segetes. en quo discordia civis
produxit miseros: his nos consevimus agros!
insere nunc, Meliboee, piros, pone ordine vitis,
ite meae, felix quondam pecus, ite capellae.
non ego vos posthac viridi proiectus in antro   75
dumosa pendere procul de rupe videbo;
carmina nulla canam; non me pascente, capellae,
florentem cytisum et salices carpetis amaras.
T. Hic tamen hanc mecum poteras requiescere noctem
fronde super viridi: sunt nobis mitia poma,    80
castaneae molles et pressi copia lactis,
et iam summa procul villarum culmina fumant
maioresque cadunt altis de montibus umbrae.

メ.だが,我々のある者は,乾いたアフリカへと行くだろう,
ある者はスキュティア*1に,そして白亜巻き上げ流れるオアクセース川*2に,
そして全世界から遥か離れたブリタンニアに訪れるだろう.
ああ,いつの日か,長いときを隔てた後に,故郷の地と,
貧しい小屋の芝土をもった屋根を,
後に,わしの王国たる幾つかの穂を,わしは見て驚く事になるだろうか.
罰当たりな兵士が,これほどよく耕された耕作地を持つだろう,
野蛮な奴が,これらの作物を.ああ,これほどに内乱は
哀れな市民を作り出したのか.こいつらのために,わしらは畠に種を蒔いたのか.
植えよ,いまこそ,メリボエウスよ,梨の樹を,葡萄の樹を列に並べよ,
ゆけ,かつては幸福な家畜であったわしの群よ,行け.
わしはお前達を,これから後には,青々した谷に横たわって
遠く薮の繁った岩山にしがみついているのを見る事はなかろう.
わしは歌を歌うまい.わしが牧して,群れよ,
花咲くウマゴヤシや苦い柳を食むことはあるまい.
テ.だが,お前は,今夜はここでわしといっしょに,
青々した葉の上で休む事ができはしないか.わしらには熟した果実も,
柔らかい栗も,沢山の搾った乳もあるし,
もう遠くで家々の屋根の天辺も煙っていて,
高い山から大きな蔭が落ちて来ている.

*1 黒海の北.
*2 おそらくアラル海(カスピ海より東にある湖)に注いでいるオクソス川(Oxus).Plinius, NHによると:Oxus amnis, ortus in lacu Oaxo. 「オアクソス湖から発するオクスス川」cf. Clausen, ad loc.


【2007/10/01 14:13】 Vergilius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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