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オウィディウス『イービス』301-320

aut, ut Achilliden cognato nomine clarum,
 opprimant hostili tegula iacta manu.
nec tua quam Pyrrhi felicius ossa quiescant
 sparsa per Ambracias quae iacuere vias.
nataque ut Aeacidae iaculis moriaris adactis 305
 ー non licet Cereri dissimulare sacrum ー
utque nepos dicti nostro modo carmine regis
 Cantharidum sucos dante parente bibas.
aut pia te caeso dicatur adultera, sicut
 qua cecidit Leucon vindice, dicta pia est.  310
inque pyram tecum carissima corpora mittas,
 quam finem vitae Sardanapallus habet.
utque Iovis Libyci templum violare parantes,
 acta Noto vultus condat harena tuos.
utque necatorum Darei fraude secundi,   315
 sic tua subsidens devorat ora cinis.
aut, ut olivifera quondam Sicyone profecto,
 sit frigus mortis causa famesque tuae.
aut, ut Atarnites, insutus pelle iuvenci
 turpiter ad dominum praeda ferare tuum. 320

氏族名により有名なアキッレウスの裔*1のように,
 敵の手からの瓦によって倒されるがよい.
お前の骨も,アンブラキアの道じゅうに撒かれたところの
 ピュッロス*2のそれよりも穏やかに休まぬように,
ちょうどアイアキデース*3の娘のように,槍を投げられて死ねばよい,
 ーケレースにこの儀式が知られずにはいないようにー
そして,私の歌で先に語った王の孫のように,
 親が与えた毒甲虫の汁をお前は飲むがよい*4
あるいは,お前が殺されて,正義の不義と呼ばれればよい,ちょうど
 レウコーンが殺された時,その復讐した女が正しいと言われたように*5
お前はお前とともに最も愛しい者の遺体を持って行くがよい,
 サルダナパッルスがそのような死を迎えたように*6
そして,リビアのユッピテルの神殿を冒涜しようとしていたもののように,
 南風によりお前の顔の上に砂がかぶせられんことを*7
そして,ダレイオス2世の策略によって殺されたものらのように,
 お前の顔をつもる塵が飲み込まんことを*8
あるいは,オリーブもたらすシキュオーンからかつてやって来た者にそうだったように,
 餓えと寒さがお前の死の原因であれ*9
あるいは,アタルネウスの者のように,若牛の皮に編み込まれて,
 みっともなくお前の主のところに獲物としてお前が運ばれんことを*10


*1 アキッレウスの子孫を名乗っていたエーペイロスの王で,ローマ軍を破ったが,前272年に老婆の投げた瓦に当たって死んだ.
*2 アキッレウスの息子ピュッロスはデルポイでオレステースに殺される.しかしアンブラキア(エーペイロスの南の町)の言及はここ以外にはない.
*3 エーペイロス王ピュッロスのこと.その娘デーイダミーナは伝承ではアルテミスの神殿で殺される(ここではケレースの神殿とされている).
*4 祖父と同じくピュッロスだが,妻と共に母親に毒殺される.
*5 黒海北岸のボスポロス王国の王,スパルトコス5世を殺したその兄弟のレウコーン2世.殺した原因は王のレウコーンの妻アルカトエーへの不義だが,後にアルカトエーにより殺される.(Kleine Pauly 3.Bd : p.599, "Leukon" 5.)
*6 アッシュリアの王.敵に打ち負かされ,ニネヴェに閉鎖されたのち,財宝と妻と妾とともに火葬の薪の中で自決したという.
*7 カンビュセースはゼウスの神託所を焼き払うために派遣した兵は南風により大量の砂を吹き付けられて生き埋めになったという(ヘロドトス3.25-6).
*8 ダレイオス・オコスは,自分への謀反者を毒・刀・暴力・飢餓によっても殺してはならないというお告げに従い,熱灰を満たした部屋の上の板に,食事をたっぷり取らせて寝かせ,眠っているうちに灰に落ちて死ぬようにするという企みにより殺した.
*9 おそらく前251年に殺されたシキュオーン(アルゴリスの北,コリントスの近く)の暴君.しかし餓えと寒さについては不詳.
*10 アタルネウス(レスボス島の向かいの小アジアはリュキアの町)の王であり,プラトーンの弟子であったヘルミアースのこと.アルタクセルクセースに反抗したが,捕らえられてアルタクセルクセースの所に送られ殺される.

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【2007/12/11 01:30】 Ovidius Ibis | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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イービス復刊


R. Ellis.Ovid: Ibis. New Introduction by Gareth Williams. CLASSIC EDITIONS. Exeter: Bristol Phoenix Press, 2006 (出版予定) ISBN 1-904675-20-4.

ついにイービスの英語のコメンタリーが!と思ったら,大分昔の復刊でした.発行年は1881年.スコリア付き校訂テクストです.それでも無いよりはずっといいでしょう.というか,研究するなら必携本です.

このBristol Phoenix Pressは,他にもConingtonの有名なVergiliusの注釈なども復刊するようです.安価だったらこの機会にそろえたいのですが.

……さて,うちのサイトのイービスはいつ開始できるものやら.単にやる気にならないだけですが.


【2006/10/24 00:40】 Ovidius Ibis | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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オウィディウス『イービス』285-300行

utque dedit saltus a summa Thessalus Ossa, 285
 tu quoque saxoso praecipitere iugo.
aut velut Eurylochi, qui sceptrum cepit ab illo,
 sint artus avidis anguibus esca tui.
vel tua maturet, sicut Minoia fata,
 per caput infusae fervidus umor aquae.   290
[utque parum mitis, sed non impune, Prometheus
 †aerias volucres sanguine fixus alas.†]
aut, ut Echecratides magno ter ab Hercule victus,
 caesus in inmensum proiciare fretum.
aut, ut Amyntiaden, turpi dilectus amore   295
 oderit et saevo vulneret ense puer.
nec tibi fida magis misceri pocula possint,
 quam qui cornigero de Iove natus erat.
more vel intereas capti suspensus Achaei,
 qui miser aurifera teste pependit aqua.   300

291-2 del. Housman et al.  292 haud sanum esse credo

また,ちょうどテッサルスがオッサ山の頂上から飛び降りたように*1
 お前もまた,岩だらけの尾根から真っ逆さまに落ちるがよい.
あるいは,彼から王笏をとったエウリュロクス*2のように,
 お前の身体も貪欲な蛇どもの餌となれ.
あるいは,ミノースの運命のように,お前の運命も,
 煮え立つ湯が頭に注がれることを急げばよい*3
[また,容赦ない仕打ちを受けた,しかし罪ないわけではないプロメーテウスのように,
 (意味不明)空飛ぶ鳥の羽 血によって 縛られた]*4
あるいは,偉大なヘーラクレースによって,三度負けたエケクラティデースのように*5
 殺されて深い海に投げ込まれるがよい,
あるいは,アミュンタースの子のように,恥ずべき愛によって愛された
 少年が,憎んで凶刃で傷つければよい*6
そして,角の生えたユッピテルから生まれたものがそうであったよりも*7
 より安心できる杯が,お前のために混ぜされることがあり得ないように,
あるいは,アカエウスのように,頭で吊るされて死ぬように,
 その彼が吊るされたのは黄金もたらす水の上が証人だが*8


*1 テッサリアの最初の王.このエピソードについては詳細不明.
*2 テッサリアの王.このエピソードについても詳細不明.
*3 ミーノース王は,ダイダロスを追ってシケリアのコーカロス王のもとに来るが,コーカロス王は歓待する振りをして,入浴時に,娘たちに命じて,煮え湯を浴びせて殺す.
*4 どう考えても読めません.だれか読める人がいたら教えて下さい.
*5 シケリアのエリュクスのことか.このエリュクスは,ヘーラクレースが引いていったゲリュオーンの牛の一頭がかれの元に迷い込み,彼はこれを隠し,相撲で勝ったら引き渡すといい,負けて殺された.
*6 マケドニアのフィリップ王.パウサニアースによって殺される.
*7 アレクサンダー大王.角の生えたアンモンのゼウス像から生まれたと自称していた.
*8 アンティオクス3世.ポリュビオスによると,サルディアの反乱の際に打ち破られ,首を切り落とされ,驢馬の皮につつまれ,サルディスのパクトルス河に吊るされた.パクトルス河はサルディスの河で,黄金を産する.


【2006/05/21 22:40】 Ovidius Ibis | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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オウィディウス『イービス』273-84行

sic aliquis tua membra secet, Saturnus ut illas
 subsecuit partes, unde creatus erat.
nec tibi sit tumidis melior Neptunus in undis, 275
 quam cui sunt subitae frater et uxor aves,
sollertique viro, lacerae quem fracta tenentem
 membra ratis Semeles est miserata soror.
vel tua, ne poenae genus hoc cognoverit unus,
 viscera diversis scissa ferantur equis.   280
vel quae, qui redimi Romano turpe putavit,
 a duce Puniceo pertulit, ipse feras.
nec tibi subsidio praesens sit numen, ut illi,
 cui nihil Hercei profuit ara Iovis.

サトゥルヌスが,そこから彼が生まれたところのあの部分を
 切り落としたように*1,そのように,誰かがお前の身体を裂くが良い.
そして,お前には,膨らむ海で,ネプトゥーヌスが心良いものとならぬように,
 その兄弟と妻が,たちまち鳥になったその彼に対するよりも*2
また,あのずる賢い男に対するよりも,その彼がくだけた船の一部に
 しがみついていたところを,セメレーの妹が哀れんだのだが*3
あるいは,一人だけがこの種の罰を知ることがないように,
 別々の方向に向かう馬にお前の肉が引き裂かれんことを*4
あるいは,ローマ人に救われるのが恥と考えた者が,
 カルタゴの将軍から受けた拷問を,お前は耐えるが良い*5
そして,お前には神が助けとして現れることがないように,
 ヘルケーウス・ユッピテルの祭壇が,何の助けにもならなかった彼のように*6


*1 サートゥルヌスは父ウーラノスの性器を切り落とし,その支配権を奪った.
*2 明けの明星の子,ケーユクス.兄ダイダリオーンは,妻を失って悲しみに鷹となり,ケーユクスは難破して死に,その死を悲しむ妻とともに,カワセミとなった.
*3 オデュッセウス.ネプトゥーヌスの怒りによって,筏から振り落とされた時,イーノー(セメレーの妹)は,ベールを与えて彼の身を守る.
*4 アルバの王メッティウス・フフェティウスは,ローマと友好関係を装いつつ,ローマ植民市の離反を唆し,戦争を引き起こした.ローマ王セルウィウス・トゥッリウスは離反に気付きながら,知謀によって切り抜け,メッティウスにこの罰を与える.
*5 アッティリウス・レーグルスのこと.諸説あるが,カルタゴの捕虜となった後,ローマに講和のための使者にされるが,カルタゴの意に反した言動をし,カルタゴに戻った後に,拷問死する(紀元前250年).
*6 トローヤ王プリアモスは,トローヤ陥落の時,家の祭壇の所(ヘルケーウス・ユッピテル)にいたにもかかわらず,ネオプトレムスに殺害される.


【2006/05/20 09:00】 Ovidius Ibis | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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オウィディウス『イービス』261-72行

nec plus adspicias quam quem sua filia rexit,
 expertus scelus est cuius uterque parens;
qualis erat, postquam est iudex de lite iocosa
 sumptus, Apollinea clarus in arte senex,
qualis et ille fuit, quo praecipiente columba  265
 est data Palladiae praevia duxque rati,
quique oculis caruit, per quos male viderat aurum,
 inferias nato quos dedit orba parens;
pastor ut Aetnaeus, cui casus ante futuros
 Telemus Eurymides vaticinatus erat.    270
Ut duo Phinidae, quibus idem lumen ademit
 qui dedit; ut Thamyrae Demodocique caput.

そして,自分の娘に手引きされる者よりも,多くが見えないように,
 そのは両親の不義も知っていたのだが*1
卑猥な論議の判断者とされた後に,
 アポッローンの予言の業で有名な老人がそうなったようになれ*2
そして,鳩をパッラスの船の先触れかつ導き手と
 する教えを授けたものがなったようになれ*3
不幸にも彼が金を見てしまったその目を,失うこととなった者のようになれ,
 それを死者への捧げものとして,息子を奪われた母親が捧げたのだが*4
かつて来るべき災いを,
 エウリュモスの子テーレムスが予言したエトナ山の牧人*5の様になれ,
光を与えた同じ者が,光を奪った二人のピーネウスの子*6の様になれ,
 タミュラース*7やデーモドコース*8の様になれ.


*1 オイディプス王.盲目になった後に,娘アンティゴネーとイスメネーに手を引かれてゆく.
*2 テイレシアース.予言の術で有名であったが,ゼウスとヘーラーが,性交の際の快楽は男女どちらが勝るかを尋ねた時,女と答えたことにヘーラーは怒り,盲目にする.
*3 サルミュデーッソスの王,ピーネウス.彼の後妻が前妻の子を讒言し,ピーネウスは盲目にするが,ゼウスは怒って,彼を盲目にする.さらに,太陽神も怒りを納めず,ハルピュイアに彼の食事を穢させる.餓死する所を,アルゴナウテースが彼の所に立ち寄り,打ち合う岩を通り過ぎる方法を教えてもらう代わりに,ハルピュイアを退治してもらう.
*4 トローヤのプリアモス王は,国の運命を危ぶんで,息子ポリュドーロスに,莫大な財を持たせ,トラーキア王ポリュメーストールに預けるが,彼は黄金を奪って殺してしまう.母ヘカベーは,ポリュメーストールの子を殺し,彼を盲目にする.
*5 エトナ山に棲むポリュペーモスは,オデュッセウスに目をつぶされるが,それのことはテーレモスが予言していた.
*6 ピーネウスの前妻の子.注*3参照.
*7 ムーサと競って,負けて盲目にされた音楽家.
*8 『オデュッセイア』に登場する,盲目の吟遊詩人.


【2006/05/18 20:13】 Ovidius Ibis | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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オウィディウス『イービス』251-60行

neve sine exemplis aevi cruciere prioris,
 sint tua Troianis non leviora malis.
quantaque clavigeri Poeantius Herculis heres,
 tanta venenato vulnera crure geras.
nec levius doleas quam qui bibit ubera cervae 255
 armatique tulit vulnus, inermis opem,
quique ab equo praeceps in Aleia decidit arva,
 exitio facies cui sua paene fuit.
Id, quod Amyntorides, videas, trepidumque ministro
 praetemptes baculo luminis orbus iter.   260

あるいは,前の時代の例なしにお前が苛まれることのないように,
 お前の災いがトローヤの災いよりも軽くならないように.
棍棒持つヘーラクレースの跡継ぎたるポイアースの息子*1が持ったほどの
 それほどひどい傷を,お前が脚に持つように.
お前は,鹿の乳を飲み武装した者の傷と,武器を置いた者の治療を得た者*2
 劣らず,
また,馬から真っ逆さまにアレイアの野に落ち,
 自分の顔が自分の死の原因となった者*3に劣らず苦しむがいい.
アミュントールの息子が見たものを見るがよい,光を奪われて,杖を頼りに
 よろめきながら道を探るがよい.*4


*1 ピロクテーテース.
*2 テーレポス.赤子の時に山に捨てられ,鹿に乳を与えられていた所を牛飼いに助けられる.後,アキッレウスに癒えない傷をつけられ,後にアキッレウスの槍の錆で癒される.
*3 ペガサスに乗り,キマイラ退治など偉業をなすも,天へ上ろうとしてゼウスの雷に打たれ,キリキアのアレイア平野に落ちる(ホメーロスでは狂気に冒され,アレイオンの野を彷徨う).苦難の発端は,テューリンス王の妃が彼を誘惑しようとするが,これを断って,逆に妃が王に,彼が言い寄って来たと告げたため.
*4 ボイオーティアのエレオンの王アミュントールの息子ポイニクスは,父親の妾に言い寄り,目を奪われる.


【2006/05/18 20:12】 Ovidius Ibis | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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『イービス』に思う

ある書評などにあったのですが,イービスはオウィディウスの詩の中では一番の難物なのだそうです.そもそも,手本であったはずのカッリマコスの『イービス』が散逸しているのが研究をやたら大変にしていますが,本文自体もどことなく晦渋で,『変身物語』などにあるような,モーツァルトの音楽を連想させるようなウィットの効いた流れるような詩行は望むべくもありません.
 とくにぎこちないなあと思うのは,173-94行で,イービスは罰を受ける神話上の人物の場所に行って,そこでその罰を受けるということが語られていますが,175-80行で,神話上の人物の罰を描写して,それをもう一度,こんどはイービスがそれらを引き受ける,という形で191-4行で繰り返されているのですが,なんとも重複が鬱陶しく感じられます.
 まあ,逆に言えば,こうやって耳に重々しく書くことで,呪詛のイメージをより強くしているということだと思います.しかし,訳していてやりきれない気持にもなりますね.恐るべし,イービス.


【2006/05/16 23:55】 Ovidius Ibis | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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オウィディウス『イービス』225-50行

protinus Eumenides lavere palustribus undis, 225
 qua cava de Stygiis fluxerat unda vadis,
pectoraque unxerunt Erebeae felle colubrae
 terque cruentatas increpuere manus,
gutturaque inbuerunt infantia lacte canino
 (hic primus pueri venit in ora cibus:    230
perbibit inde suae rabiem nutricis alumnus,
 latrat et in toto verba canina foro)
menbraque vinxerunt tinctis ferrugine pannis,
 a male deserto quos rapuere rogo,
et, ne non fultum nuda tellure iaceret,    235
 molle super silices inposuere caput.
iamque recessurae viridi de stipite factas
 admorunt oculis usque sub ora faces.
flebat ut est fumis infans contactus amaris,
 de tribus est cum sic una locuta solor:   240
' tempus in inmensum lacrimas tibi movimus istas,
 quae semper causa sufficiente cadent.'
dixerat: at Clotho iussit promissa valere,
 nevit et infesta stamina pulla manu,
et, ne longa suo praesagia diceret ore,    245
 ' Fata canet vates, qui tua, ' dixit, ' erit.'
ille ego sum vates: ex me tua vulnera disces,
 dent modo di vires in mea verba suas;
carminibusque meis accedent pondera rerum,
 quae rata per luctus experiere tuos.    250

すぐさま,復讐女神は,沼の水で彼を洗った,(225)
 そこは,冥界の浅瀬から,河が渠をなして流れるところだが,
そして,エレボス*1の蛇の胆汁を胸に塗り,
 三度血塗られた手を鳴らし,
幼い喉を犬の乳で潤した,
 (これがその子供の口に入った最初の食べ物であった,(230)
そのため,その養い子は,自分の乳母の狂乱を飲み干し,
 フォルム中で犬の言葉を吠え響かせている)
そしてその身体を,錆に染めた布で巻いた.
 それは不吉にも打ち捨てられている火葬の薪から奪ったもの,
そして,裸の大地に横たわらないようにと,(235)
 柔らかい頭を,黒曜石の上に乗せ,
今や立ち去ろうとしている時に,若々しい枝でできた
 松明を,目の前顔のすぐ傍まで持って行った.
目にしみる煙に触れたその幼子が泣いた時,
 三人のうちの一人は,このようにいった.(240)
「計り知れない年月まで,我々はお前にその涙を呼び起こした,
 それは,その原因があれば,永遠に落ちるだろう」
彼女は言った.だが,クロトー*2はその約束が効力を持つように命じた,
 そして,不吉な手でくすんだ糸を紡いだ,
そして,自分の口で,長い予言を言わないために,(245)
 「お前の予言者となるものが,運命を歌うだろう」と言った.
その予言者が私だ.私からお前は受ける傷を学ぶだろう,
 ただ,神々が私の言葉に,そのお力を与えて下されば.
そして,私の歌に,事実の重みが加わるだろう,
 それが成就することを,お前はお前の悲しみをとおして,知ることだろう.(250)


*1 擬人化された暗黒の神.太古のカオス(混沌)の子.
*2 運命女神の一人.


【2006/05/16 23:06】 Ovidius Ibis | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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オウィディウス『イービス』209-224行

Natus es infelix, ita di voluere, nec ulla
 commoda nascenti stella levisve fuit.      210
non Venus adfulsit, non illa Iuppiter hora,
 lunaque non apto solque fuere loco.
nec satis utiliter positos tibi praebuit ignes,
 quem peperit magno lucida Maia Iovi.
te fera nec quicquam placidum spondentia Martis 215
 sidera presserunt falciferique senis.
lux quoque natalis, ne quid nisi triste videres,
 turpis et inductis nubibus atra fuit.
haec est, in fastis cui dat gravis Allia nomen,
 quaeque dies Ibin, publica damna tulit.     220
qui simul inpura matris prolapsus ab alvo
 Cinyphiam foedo corpore pressit humum,
sedit in adverso nocturnus culmine bubo,
 funereoque graves edidit ore sonos.

お前は不幸に生まれついた,そのように神々が望んだのだ,そしていかなる
 順境も,幸福な星も生まれて来るお前には無かった.(210)
ウェヌスもユッピテルもその時には輝かなかった*1
 月も太陽も,相応しい場所にはいなかった.
また,輝くマイアがユッピテルに生んだ神*2も,
 お前には十分役立つようには星を置かなかった.
荒々しい,いかなる穏やかな運命も約束しないマルスの(215)
 星と,大鎌もつ老人*3がお前にのしかかったのだ,
生まれたその日も,不吉なものしかお前が見ないように,
 陰気で雲がかかって暗かった.
それは,かの不運なアッリア河*4が,暦の中でその名を与えたところの日だ,
 そして,イービスを生んだその日は,国家の災いをもたらした.(220)
汚れた母親の胎から生まれ落ちたと同時に,
 キーニュピア*5の地に汚い身体を横たえたと同時に,
向かいの木の天辺に,夜の梟*6が止まり,
 死をもたらす口で不気味な声をあげていた.


*1 生誕の際に吉兆を与える神々とされる.以下,おそらく占星術的な記述が続く.
*2 ヘルメースのこと.イービス鳥と関わりがある神と考えられる.
*3 サトゥルヌス神.マルスと共に,不吉とされる.
*4 紀元前390年7月18日に,ティベリス河の傍流のアッリア河の近くで,ローマ軍はガッリア人に大敗北し,その日は暦上不吉な日となった.
*5 リビュアの河だが,リビュアそのものも指す.ここには山羊しかいなかったところから(cf. Mynors ad Verg.G. 3.312),しばしば悪臭と関連させられている.
*6 梟も凶兆とされた.


【2006/05/15 22:44】 Ovidius Ibis | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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オウィディウス『イービス』195-208行

nec mortis poenas mors altera finiet huius,   195
 horaque erit tantis ultima nulla malis.
inde ego pauca canam, frondes ut siquis ab Ida
 aut summam Libyco de mare carpat aquam.
nam neque, quot flores Sicula nascuntur in Hybla,
 quotve ferat, dicam, terra Cilissa crocos,   200
nec, cum tristis hiems Aquilonis inhorruit alis,
 quam multa fiat grandine canus Athos.
nec mala voce mea poterunt tua cuncta referri,
 ora licet tribuas multiplicata mihi.
tot tibi, vae misero! venient talesque ruinae,  205
 ut cogi in lacrimas me quoque posse putem.
Illae me lacrimae facient sine fine beatum:
 dulcior hic risu tunc mihi fletus erit.

そして,もう一つの死は,この死の罪を終わらせないだろう.(195)
 これほどまでの災いに,最後の時は来ないだろう.
そこで,私は少しだけ歌おう,ちょうど誰かがイーダ山*1から木の葉を,
 あるいはリビュアの海から水の上っ面を集めるように.
なぜなら,シチリアのヒュブラ*2に生まれる花々の数はどれほどか,
 あるいは,キリキア*3の地がもたらすサフランの数ほどれほどか,(200)
また,厳しい冬の北風がその羽で凍えさせる時,
 アトス山*4が白くなるその霜がどれほど多いか,私は言うことができないから.
私の声は,お前の災いを全て語ることはできない,
 たとえ私の口の数を増やしてくれたとしても.
それほど多くの,ああ,哀れな男,破滅がお前に訪れるだろう,そして,(205)
 私でさえもが,涙にくれることを余儀なくされると思うような破滅が.
その涙は,私を際限なく幸福にしてくれるだろう.
 この涙は,その時,笑いよりも甘美なものとなるだろう.


*1 プリュギアの山で,有名なパリスの審判の場所となった.木の量の多さで有名であった.
*2 北シチリアのシチリア東側(エトナ山の南またはシラクサの北側?)都市で,草花と養蜂で有名であった.
*3 小アジア南東岸の地域.サフランの高品質で有名であった.
*4 カルキディケーのアクテー岬にある山.


【2006/05/14 19:01】 Ovidius Ibis | TRACKBACK(0) | COMMENT(2) | 記事修正

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