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プロペルティウス4巻4歌87-94 (完結)

prodiderat portaeque fidem patriamque iacentem,
 nubendique petit, quem velit, ipsa diem.
at Tatius (neque enim sceleri dedit hostis honorem)
 'nube' ait 'et regni scande cubile mei!'     90
dixit, et ingestis comitum super obruit armis.
 haec, virgo, officiis dos erat apta tuis.
a duce Tarpeia mons est cognomen adeptus:
 †o vigil, iniustae praemia sortis habes.†

彼女は門の信頼を裏切り,祖国を裏切って敗北せしめた.
 そして彼女が望んだところの,婚姻の日を求めた.
だがタティウスは(なぜなら敵であっても悪事には栄誉を与えなかったのだ)
 「嫁ぐがよい」と言った.「そして,我が王国の床に上るが良い」
こう言った,そして供の者らの武器を彼女の上に積み上げ,埋め潰した.
 これらが,乙女よ,お前の所行に相応しい婚資であった.
先導したタルペイアから,その山は名前を得た.
 †おお,見張りよ,不正な運命の褒美をお前は得たのだ.†*13


*13 意味不明.おそらく本文に問題がある.

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【2008/09/04 01:44】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス4巻4歌67-86

dixit, et incerto permisit bracchia somno,
 nescia se furiis accubuisse novis.
nam Vesta, Iliacae felix tutela favillae,
 culpam alit et plures condit in ossa faces. 70
illa ruit, qualis celerem prope Thermodonta
 Strymonis abscisso pectus aperta sinu.
urbi festus erat (dixere Parilia patres),
 hic primus coepit moenibus esse dies,
annua pastorum convivia, lusus in urbe,   75
 cum pagana madent fercula divitiis,
cumque super raros faeni flammantis acervos
 traicit immundos ebria turba pedes.
Romulus excubias decrevit in otia solvi
 atque intermissa castra silere tuba.    80
hoc Tarpeia suum tempus rata convenit hostem:
 pacta ligat, pactis ipsa futura comes.
mons erat ascensus dapibus festoque remissus,
 nec mora, vocalis occupat ense canis.
omnia praebebat somnos: sed Iuppiter unus 85
 decrevit poenis invigilare suis.
 
 83 ascensus dapibus Jacob : accensu dubius codd.

彼女はこう語った,そして定まらぬ眠りに腕を委ねた,
 自分が新奇な狂気をもって伏せていることも知らずに.
というのも,イーリオンの火の幸もたらす守りたるウェスタ女神が
 過ちを養い,そして多くの松明を骨の中に据えたのだから.
彼女は,ちょうどテルモドーン*11の急流の傍,
 ほころびた服の懐から胸をあらわにしたトラキアの女の如くに,突き進んでいた.
都では祭りがあった(祖先達はパリーリア祭*12と読んだ).
 これは城壁のための,最初の日として行われ始めたもので,
牧夫らの年毎の宴があり,町では催物があって,
 その時,人々は田舎の輿でごちそうに満ちあふれ,
そして火のついた牧草をまばらに積んだ上を
 酔っぱらった群衆は汚い脚で踏んで通ったのであった.
ロームルスは,不寝番を解放して暇を与えることを決定し,
 そうしてラッパの音は中断されて,陣営は静かになった.
タルペイアはこれがチャンスだと見て,敵のところに参じた.
 約束を結び,約束により,彼女自身が連れ合いとなることとなった.
宴と祭で警戒が解かれた山を登り,
 寸刻おかず,彼女は吠えようとする犬に槍で機先を制した.
全てが眠りを呈していた.しかしユッピテル一人だけが
 彼の罰のために不寝番をすることを決めていた.


*11 黒海に注ぐ川.ここではトラキアの川と同一視されている.
*12 家畜の神パレースの祭り.4月21日のローマ建国の日に祝われる.


【2008/09/04 00:42】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス4巻4歌47-66

cras, ut rumor ait, tota potabitur urbe:
 tu cape spinosi rorida terga iugi.
lubrica tota via est et perfida: quippe tacentis
 fallaci celat limite semper aquas.      50
o utinam magicae nossem cantamina Musae!
 haec quoque formoso lingua tulisset opem.
te toga picta decet, non quem sine matris honore
 nutrit inhumanae dura papilla lupae.
sic, hospes, pariamne tua regina sub aula?  55
 dos tibi non humilis prodita Roma venit.
si minus, at raptae ne sint impune Sabinae,
 me rape et alterna lege repende vices!
commissas acies ego possum solvere: nuptae,
 vos medium palla foedus inite mea.    60
adde, Hymenaee, modos, tubicen, fera murmura conde:
 credite, vestra meus molliet arma torus.
et iam quarta canit venturam bucina lucem,
 ipsaque in Oceanum sidera lapsa cadunt.
experiar somnum, de te mihi somnia quaeram: 65
 fac venias oculis umbra benigna meis.'

(タルペイアの言葉の続き)「明日,噂の言うとおり,都中で酒が呑まれます.
 お前は茨だらけの尾根の露しげき背に行きなさい.
道はずっと泥で滑りやすく信用のおけないものです.なぜなら,それは
 いつも人を欺く小道に黙せる水を隠しているからです.
ああ,私が魔法のムーサの歌を知っていたら!
 この呪文の言葉が美しいあの人*9に助けをもたらしたでしょうに.
あなたには飾りのある王衣が似合っています,母親の名誉もなく,
 人ならぬ牝狼の荒々しい乳房が養った男*10にはそれは似合いません.
この条件で,異国の方よ,私はあなたの館で王女として子を産めましょうか,
 あなたには,決して卑しからぬ婚資として,裏切られたローマがやってくるという条件で?
もし足りないというなら,サビーニーの女性らが奪われたことが罰されずにいないように,
 私を奪って下さい,そして仕返しの法をもって,報復をして下さい.
この私は交戦する戦列を解くことができます.妻たちよ,
 あなた方は私の婚礼衣装によって,仲裁の同盟を結びなさい.
婚礼の神よ,音楽を加えて下さい.ラッパ吹きよ,荒々しい唸りは止めなさい.
 信じて下さい,あなたの武器を,私の床が和らげることになるでしょう.
そして,今や第4時のラッパが,朝日が来るのを歌っています.
 星々自体も,海に落ちて沈んでいます.
私はなんとか眠りましょう,あなたの夢を私がみることを望みましょう.
 さあ,私の目に,嬉しい姿となってあなたがやってきますように」


*9 タティウスのこと.
*10 レムスとともに,牝狼がその乳で養ったロームルスのこと.


【2008/09/03 00:23】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス4巻4歌23-46

saepe illa immeritae causata est omina lunae,
 et sibi tingendas dixit in amne comas:
saepe tulit blandis argentea lilia Nymphis,  25
 Romula ne faciem laederet hasta Tati:
cumque subit primo Capitolia nubila fumo,
 rettulit hirsutis bracchia secta rubis,
et Tarpeia sua residens ita flevit ab arce
 vulnera, vicino non patienda Iovi:     30
'ignes castrorum et Tatiae praetoria turmae
 et formosa oculis arma Sabina meis,
o utinam ad vestros sedeam captiva Penatis,
 dum captiva mei conspicer ora Tati!
Romani montes, et montibus addita Roma, 35
 et valeat probro Vesta pudenda meo:
ille equus, ille meos in castra reponet amores,
 cui Tatius dextras collocat ipse iubas!
quid mirum in patrios Scyllam saevisse capillos,
 candidaque in saevos inguina versa canis? 40
prodita quid mirum fraterni cornua monstri,
 cum patuit lecto stamine torta via?
quantum ego sum Ausoniis crimen factura puellis,
 improba virgineo lecta ministra foco!
Pallados exstinctos si quis mirabitur ignis,  45
 ignoscat: lacrimis spargitur ara meis.

  27 cumque Heyworth : dumque codd. 
  29 Tarpeia sua Palmer : sua Tarpeia codd.

何度も彼女は罪なき月の凶兆を理由にして,
 自分は髪を川に浸さなければいけないと言った.
何度も彼女は愛嬌あるニンフらに,銀色の百合を持っていった,
 ローマの槍先がタティウスの顔を傷つけないように願って.
そして,最初のかまどの煙で雲のかかったカピトーリウムに登ると,
 彼女は野薔薇で切り傷のついた腕をして帰って来た.
そして,タルペイアは彼女の頂き*5に座ってそこから
 恋の傷を嘆いた,すぐそばにいるユッピテルには堪え難いものであったが.
「タティウス様の陣営の火と,軍団の幕屋と
 私の目には美しきサビーニー人の武器よ,
ああ,私は捕虜となってあなた方のかまどの所に座れればいいのに!
 捕虜となったわたしが,わたしのタティウス様のお顔を見られる限りは!
ローマの山々,そして山々に加えられたローマ,
 そして,私の罪によって辱められる定めのウェスタ様,さようなら!
あの馬が,あの馬が私の愛を陣営に再び置くことになるでしょう,
 タティウス様が自らたてがみに右手をおかれているあの馬が!
何の不思議がありましょう,スキュッラが父親の髪の毛に冒涜の業を働き,
 そして白肌の下半身を荒々しい犬どもの姿に変えたことに?*6
何の不思議がありましょう,あの女が角ある兄の怪物を欺いたことに,
 糸を手繰ることで迷路の道が明らかになったあの時に?*7
この私はイタリアの女達に,如何ほどの非難をもたらそうとしていることでしょう,
 乙女の炉のために選ばれた女官でありながら不敬の私は!
もし誰かが,パッラス女神*8の火が消えたことを不思議に思うなら,
 容赦をして頂きたいのです.あの祭壇には私の涙が撒かれたのです.」


*5 後にタルペイアの砦と呼ばれる場所から,ということ.この北側にある頂きには後にユッピテル神殿が立つことになる.すなわち,時代錯誤が認められる.
*6 父ニーソス王に敵対するミノース王に恋をして,それを持っている限り負けることのない髪を,父ニースス王から切り取った.勝利したミノース王は彼女を殺し,彼女は白鷺となる.ここでは変身の結果は,オデュッセウスに登場する怪物と混同されているようである.
*7 テーセウスに恋したアリアドネーが,ミノタウロスを殺した後に,糸をたぐって迷宮から出られるようにした話のこと.
*8 ミネルウァ(=アテーネー)のこと.この女神の神像もウェスタ女神の神域にあった.


【2008/09/02 04:27】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス4巻4歌1-22

Tarpeium scelus et Tarpeiae turpe sepulcrum
 fabor, et antiqui limina capta Iovis.
lucus erat, felix hederoso conditus antro,
 multaque nativis obstrepit arbor aquis:
Silvani ramosa domus, quo dulcius ab aestu 5
 fistula poturas ire iubebat oves.
hunc Tatius fontem vallo praecingit acerno
 fidaque suggesta castra coronat humo.
quid tum Roma fuit, tubicen vicina Curetis
 cum quateret lento murmure saxa Iovis? 10
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
atque ubi nunc terris dicuntur iura subactis,
 stabant Romano pila Sabina foro.
murus erant montes; ubi nunc est Curia saepta,
 bellicus ex illo fonte bibebat equus.
hinc Tarpeia deae fontem libavit, et illi   15
 urgebat medium fictilis urna caput.
et satis una malae potuit mors esse puellae,
 quae voluit flammas fallere, Vesta, tuas?
vidit harenosis Tatium proludere campis
 pictaque per flavas arma levare iubas.  20
obstipuit regis facie et regalibus armis,
 interque oblitas excidit urna manus.

  post 10 lacuna indicavi

タルペイア*1の悪事と,タルペイアの不名誉な墓を
 私は語ろう,またいにしえのユッピテルの神殿が占拠されたことを.
聖なる森が木蔦の生えた峡谷に隠れてあった,
 多くの樹々がそこを流れる水に音をかえしていた.
それはシルウァーヌスの枝茂る住まいであり,そこに,暑さを避けて
 羊達に水を飲みにいくよう,甘美に笛が命じたものであった.
タティウス*2はこの泉の前を楓の柵で囲い,
 そして土を盛り上げて要塞を安全に取り囲んでいた.
その時,ローマはどうであったか?クレース*3のラッパ吹きが
 近隣にあるユッピテルの岩を間延びした音で反響させていた時には?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そうして,今は平定された地に法が敷かれている, 
 ローマのフォルムとなったところには,サビーニー人の槍が立っていた.
山々が城壁であった.今は囲われた元老院議場がある所は,
 戦馬がかの泉から水を飲んでいた.
ここからタルペイアは,女神のために泉の水を汲んだ,そして彼女の
 頭の真ん中に,土の瓶がのしかかっていた.
そして,死だけが悪いその娘に与えられたということで十分だろうか,
 ウェスタ*4よ,あなたの炎を欺こうと欲したその娘に?
彼女は砂地の上で訓練をしているタティウスを見た,
 そして馬の黄色いたてがみの上まで飾られた武器を持ち上げるのを.
彼女は王のかんばせと王の武具に押し黙り,
 そして我を忘れたその腕からは瓶が落ちた.


*1 ウェスタ女神(下記*4参照)の女祭司.プルタルコスによると,スプーリウス・タルペイユスの娘という.
*2 サビーニー人の王.ロームルスがローマの女性不足のため,サビーニー人の女性を略奪したために,奪還のため戦争を仕掛けていた.
*3 サビーニー人の首都.「サビーニー人の」と同義.
*4 ローマの炉の神で,炎が神体として崇められる.


【2008/09/01 00:51】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス2巻12歌

Quicumque ille fuit puerum qui pinxit Amorem,
 nonne putas miras hunc habuisse manus?
is primum vidit sine sensu vivere amantes
 et levibus curis magna perire bona.
idem non frustra ventosas addidit alas,    5
 fecit et humano corde volare deum:
scilicet alterna quoniam iactamur in unda
 nostraque non ullis permanet aura locis.
et merito hamatis manus est armata sagittis
 et pharetra ex umero Cnosia utroque iacet. 10
ante ferit quoniam, tuti quam cernimus hostem,
 nec quisquam ex illo vulnere sanus abit.
in me tela manent, manet et puerilis imago:
 sed certe pennas perdidit ille suas,
evolat heu nostro quoniam de pectore nusquam 15
 assiduusque meo sanguine bella gerit.
quid tibi iucundum est siccis habitare medullis?
 si pudor est, alio traice tela tua.
intactos isto satius temptare veneno:
 non ego, sed tenuis vapulat umbra mea.   20
quam si perdideris, quis erit, qui talia cantet
 (haec mea Musa levis gloria magna tua est),
qui caput et digitos et lumina nigra puellae
 et canat ut soleant molliter ire pedes?

愛神を子供の姿で描いたのは誰であれ,
 この者は驚くべき腕を持っていたと君は思わないかね?
彼は初めて,恋する者らが思慮なしに生きており,
 そして大事な諸徳が詰まらぬ恋で台無しになるのを見てとったのだ.
またこの者が,風に漂う翼を加えて,
 人の心の中でその神が飛ぶようにしたのも,的外れではない.
それはもちろん,寄せては返す波の中,我々が翻弄されており,
 我々に吹く風は一つ所に定まることもないからである.
そして,彼は鈎のついた矢で腕を武装しており,
 またクノッソスの矢筒*1を両肩からぶら下げているのも正当だ.
なぜなら,我々が的を見つけて身を守るよりも先に,彼は打ってくるからであり,
 そして,誰一人その傷から病むことなく去ることはないからである.
僕の場合は,矢は留まったままだ,留まっているのは子供の姿もだ.
 しかし,きっとあの神は自分の翼を駄目にしてしまったのだ.
なぜなら,ああ!彼は僕の胸からどこにも飛び去ることなく,
 絶えず僕の血の中で戦をしているのだから.
何がお前は楽しいのか,渇いた骨髄の中に住み着いて?
 もし恥を知るなら,別な奴にお前の矢を打ち込め.
お前の毒に触れたことのないやつを攻撃するほうがいい.
 僕ではなく,はかない僕の影が打たれているのだから.
それをもし駄目にしてしまえば,誰になるのだ,こういったことを歌うのは,
 (この僕の軟弱な歌は,お前の偉大な栄光なのだ),
誰だ?愛しの女の顔と指と黒き瞳を歌い,
 その脚がたおやかに歩む様を歌うのは?


*1 クノッソス=クレタ.クレタの射手は優れているとされていることから,しばしば弓矢に関するものに,この表現が枕詞的に用いられる.


【2008/08/28 23:15】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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New OCT Propertius

ついにお待ちかねのOCTプロペルティウス.前回のBarber (2nd Ed. 1960)から48年ぶりです.

S.J. Heyworth Ed. Sexti Properti Elegos. Critico Apparatu Instructos Edidit. Scriptorum Classicorum Bibliotheca Oxoniensis. Oxonii: E typographeo Clarendoniano, 2007.


 フォーマットなど「普通のもの」とちょっと違って,あれっとおもうところもありますが,思ったよりはおとなしいテクストかもしれませんね.

外見でいえば,詩の番号は横付け.

            VII
  Dum tibi Cadmeae dicuntur, Pontice, Thebae
      ....

と普通はなりそうですが,

  Dum tibi Cadmeae dicuntur, Pontice, Thebae vii
      ....

となっています.あと,写本で詩の区切りがはっきりしないという事態がよくあるため,詩の最後の行と見なされるものの終わりに⊗をつけています(よくHTML実体参照にあったものです……それともHTML参照でも使えるからこの記号を選んだのでしょうか).例えば:

   uiuere me duro sidere certus eris. ⊗

という感じです.あと,改竄部として,本文中から削除されるべきとされたものは,本文から取り出して,詩の終わりの後に[ ]に入れて書いているなど,これもちょっと変則的です(が,読みやすいといえば読みやすいです).

主要写本は,これはここ四半世紀ほどの調査によって,参照すべきものが大幅に変わっています(一番上のほうは変わっていないようですが).

それから,この新OCT版も,序文は英語で書かれています.批判は色々あると思いますが,プロペルティウスほど複雑な写本事情をラテン語で書くことに意味があるかどうかという気もするので,(ラテン語のできない)僕としては有り難いと思います.

誤植は早速見つけました(入手15分後ほど):
 本文じゃないですが,表紙カバーの裏のところ,citation ofとあるべきところがcitationofになっています.
 p.168ですが,詩の番号がviとあるべき所,vに間違えています.これはこのフォーマットにしたせいで見つからなかったのでしょうね……(下手に新しい事をすると危険という教訓かも).

このルーズな僕が見つけられるぐらいですから,もっと沢山ありそうですね…….

ところで,序文のp. lvxiのAcknowledgementを見ると……な,なんと,上で書いた,「ここ四半世紀ほどの精査」を,Heyworthと並んでやっていたJames Butrica氏(*1)が,ごく最近お亡くなりになってしまったことが書かれていました.このOCT版はButrica氏に多大な恩恵をこうむっているそうです.おそらくButrica氏自身も,独自に校訂本を用意していたと思われるのですが,これは本当にとんでもないプロペルティウス研究上の損失でしょう.冥福をお祈りします.


*1 James L. Butrica. The Manuscript Tradition of Propertius. Phoenix Supplementary Volume xvii. Toronto; Buffalo; London: U. of Toronto Press, 1984.


【2008/03/16 18:24】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス第3巻第11歌51-72行(完結)

fugisti tamen in timidi vaga flumina Nili:
 accepere tuae Romula vincla manus.
bracchia spectavi sacris admorsa colubris,
 et trahere occultum membra soporis iter.
' Non hoc, Roma, fui tanto tibi cive verenda. '  55
 dixit et assiduo lingua sepulta mero.
septem urbs alta iugis, toto quae praesidet orbi,
 femineo timuit territa Marte minas.      58
nunc ubi Scipiadae classes, ubi signa Camilli,  67
 aut modo Pompeia, Bospore, capta manu?  68
Hannibalis spolia et victi monumenta Syphacis, 59
 et Pyrrhi ad nostros gloria fracta pedes?   60
Curtius expletis statuit monumenta lacunis,
 et Decius misso proelia rapit equo,
Coclitis abscissos testatur semita pontis,
 est cui cognomen corvus habere dedit.
haec di condiderant, haec di quoque moenia servant: 65
 vix timeat salvo Caesare Roma Iovem.    66
Leucadius versas acies memorabit Apollo:   69
 tantum operis belli sustulit una dies.     70
at tu, sive petes portus seu, navita, linques,
 Caesaris in toto sis memor Ionio.

58 om. N femineas FLP : femineo Korsch  67-68 post 58 transtulit Passerat

しかし,お前は怯えるナイル川の流れに逃げた.
 お前の両手はローマの枷を受けたのだ.
僕は聖なる毒蛇に噛まれた腕を見た,
 そして眠りの道が気付かれずに身体を飲み込むのを.
「このかくも偉大な市民がいれば,ローマよ,お前は私を恐れる必要はない」
 絶え間なく飲まれる生酒に溺れた舌もこう言った.
七つの頂の聳える,全世界を支配する都が,
 戦いに怯え,女性の脅威を恐れていた.
今,スキーピオーの艦隊*1は何処にいったのだ,カミッルスの軍旗*2は,
 あるいはボスポルス海峡よ,ポンペイユスの手に落ちた軍旗は*3
ハンニバルからの戦利品,打ち負かされたシュパクス*4の記念碑,
 そして我々の足下で打ち砕かれたピュッルスの栄光*5は?
クルティウスは地割れを塞ぐことで永遠の記念碑を立て*6
 そしてデキウスは馬を馳せて戦列を破り*7
コクレースの小道は,落とされた橋の証となり*8
 また,烏がその名字を与えたところの者もいた.
この城壁は神々が据え,この城壁はまた神々が守り給う.
 カエサルが生きていれば,ローマはユッピテルをも殆ど恐れないだろう.
レウカスのアポッローン*9は,戦列の敗走を記憶するだろう.
 これほどの規模の戦いを,その一日が終らせたのだ.
だが,お前は,水夫よ,港へ向かうにせよ,去るにせよ,
 イオニア海ではカエサルのことを忘れるなかれ.

*1 大スキーピオーのアフリカ攻略を指すらしい.
*2 カミッルスはローマ略奪の後,ガリア人を平定した将軍.この軍旗は略奪の際に奪われた後に取り戻したもの.
*3 ミトリダテース王はポンペイユスによって打ち破られ,自殺に追い込まれる.
*4 ヌミディアの王.スキーピオーによって打ち負かされる.
*5 エピールスの王.イタリアに侵攻し,ローマはからくも打ち破る.
*6 マールクス・クルティウスは,予言者がフォルムの地割れを身をもって塞げばローマは永遠となるという言葉に従い,フォルムにできた地割れに飛び込む.
*7 プーブリウス・デキムス・ムースは,父子がいて,それぞれラティーニー人,あるいはガリア人の戦列に馬で乗り込み,神々に命を捧げることで,勝利を獲得する.
*8 ホラーティウス・コクレースは,エトルリア人の急襲でローマ軍が逃げる中,ティベリス川にかかる橋の前で,橋が破壊されるまで敵を食い止めたのち,川を泳いで逃げる.この武勇には像と土地の報酬があったが,小道については不詳.
*9 レウカスはアカルナーニアの対面のイオニア海の島で,その岬にアポッローンの神殿があり,ここからアクティウムの戦いが見渡せた.


【2007/09/26 01:26】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス第3巻第11歌29-50行

quid, modo quae nostris opprobria vexerit armis,
 et famulos inter femina trita suos?     30
coniugii obsceni pretium Romana poposcit
 moenia et addictos in sua regna Patres.
noxia Alexandria, dolis aptissima tellus,
 et totiens nostro Memphi cruenta malo,
tris ubi Pompeio detraxit harena triumphos!  35
 tollet nulla dies hanc tibi, Roma, notam.
issent Phlegraeo melius tibi funera campo,
 vel tua si socero colla daturus eras.
scilicet incesti meretrix regina Canopi,
 una Philippeo sanguine adusta nota,     40
ausa Iovi nostro latrantem opponere Anubim,
 et Tiberim Nili cogere ferre minas,
Romanamque tubam crepitanti pellere sistro,
 baridos et contis rostra Liburna sequi,
foedaque Tarpeio conopia tendere saxo,    45
 iura dare et statuas inter et arma Mari!
quid nunc Tarquinii fractas iuvat esse securis,
 nomine quem simili vita superba notat,
si mulier patienda fuit? cane, Roma, triumphum
 et longum Augusto salva precare diem!   50.


29 vexerit] nexerit Sh. Bailey  31 coniugii Passerat : coniugis codd.  49 cane Camps : cape codd.

先に我々の軍に恥辱をもたらし,
 そして自分の奴隷達と情を交わした女性*1はどうか?
彼女はふしだらな婚姻*2の土産としてローマの壁と,
 自分の王国に隷属した元老院議員を要求した.
害なすアレクサンドリア,ペテンに最も相応しい地よ,
 そして,これほど繰り返し我々の不幸によって血に染まったメンフィス,
ポンペイユスから三度の凱旋式を奪い取った岸辺よ*3
 いかなる日もこの烙印を,ローマよ,取り除くことはできないだろう.
お前にはプレグラの野でお前の死があればましだったろう*4
 あるいはもし,お前の義父*5に首を差し出していれば.
もちろん,淫らなカノープス*6の売女女王,
 ピリッポスの血筋*7による,唯一焼き付けられた烙印は,
我らがユッピテルに犬吠えするアヌビス神を向かわしめ,
 ティベリス川にナイル川の脅威を運ばせ,
ローマの行軍ラッパを打ち振るガラガラで追い払い,
 そして平舟の竿でリブルニア*8の衝角艦を追い,
タルペイウスの岩で蚊帳付きの床を張り,
 そしてマリウスの像と武具*9の間で法を下そうとしたのだ.
なぜ今,傲慢な生き様が同じ名前を与えたところの
 タルクィニウス*10の斧を打ち砕いたことが嬉しいのか,
もしその女を耐えなければならなかったら?救われたローマよ,凱旋を歌え,
 そして,アウグストゥスに長命を祈れ.


*1 クレオパトラのこと.
*2 アントーニウスとの関係.
*3 ポンペイユスはファルサロスの戦いに破れてエジプトで体勢を立て直そうとしていた時に,クレオパトラと対立するプトレマイオス13世と側近の裏切りにあって,上陸直後殺される.
*4 ポンペイユスは前50年に,ナポリの近くで重病となったとキケローは伝えている(Tusc.Disp.1.86).
*5 カエサル.ポンペイユスはカエサルの娘ユーリアと結婚していた.
*6 エジプトの町で,贅沢で知られていた.ここではほぼエジプトと同義.
*7 クレオパトラの血筋はマケドニアに由来する.
*8 リブルニア人は機動力ある船を操るのに長け,オクタウィアーヌス側で活躍した.
*9 前156-86.名将で,ユグルタを106年,テウトーネース族を102年,キンブリー族を101年に破った.カピトリウムには彼の戦勝記念碑と像があった.
*10 タルクィニウスはその傲慢な行いのため,スペルブスの添え名を得る.ローマから追放され,最後の王となる.


【2007/09/24 19:03】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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プロペルティウス第3巻第11歌9-28行

Colchis flagrantis adamantina sub iuga tauros
 egit et armigera proelia, sevit humo,      10
custodisque feros clausit serpentis hiatus,
 iret ut Aesonias aurea lana domos.
ausa ferox ab equo quondam oppugnare sagittis
 Maeotis Danaum Penthesilea ratis;
aurea cui postquam nudavit cassida frontem,   15
 vicit victorem candida forma virum.
Omphale in tantum formae processit honorem,
 Lydia Gygaeo tincta puella lacu,
ut, qui pacato statuisset in orbe columnas,
 tam dura traheret mollia pensa manu.      20
Persarum statuit Babylona Semiramis urbem,
 ut solidum cocto tolleret aggere opus,
et duo in adversum mitti per moenia currus
 nec possent tacto stringere ab axe latus;
duxit et Euphraten medium, quam condidit, arcis, 25
 iussit et imperio subdere Bactra caput.
nam quid ego heroas, quid raptem in crimina divos?
 Iuppiter infamat seque suamque domum.

コルキスの女*1は,炎吹く牛どもを金剛石の軛の下に
 繋ぎ,そして武装せる戦い行う人産む種を地面に撒いた.
そして,見張っている蛇の凶暴な顎を閉じ,
 黄金の羊毛がアエソーンの家に行くようにした.
マエオーティスのペンテシテーアは勇猛に馬から矢を放って
 ダナオイ勢の艦隊に敢えて抵抗した.
その黄金の兜が額を露にした後,
 その輝かしい姿は,勝利者たる男を打ち負かした*2
リュディアの女性で,ギュゲース湖に浸かった
 オムパレーは,容姿のこれほどの名誉を得,
平定した地に記念碑を据えた*3その男が,
 かくも無骨な手で柔らかい羊毛の割当を紡いだのだ*4
バビュローン女のセミーラミス*5はペルシアの都を建てた,
 焼いた粘土の堅牢な建築物が聳え,
そして,その塀の間を車がすれ違いに走りながらも
 車軸を触れさせて脇を擦ることがないような都を.
そして,彼女が建てた要塞の中央にユーフラテース川を引き,
 バクトラ*6が彼女の権限に頭を差し出すように命じた.
さて,どうして僕は英雄や神々を断罪しようか.
 ユッピテルは自分と自分の家を辱めている.

*1 メーデーア.
*2 ペンテシレーアは,アマゾーン族の一人で,トロヤ方についていたが,アキッレウスにより殺される.その兜を取って顔を見た時,アキッレウスはその美しさに打たれて嘆く.マエオーティスは黒海北西に隣接する湖で,その近辺にアマゾーン族が住むとされる.
*3 ヘーラクレースの柱と呼ばれる,現在のジブラルタル海峡にある岩.
*4 オムパレーはリュディアの女王で,奴隷としてヘルメースによって売られていたヘーラクレースを買い取り,後に結婚し,子をもうける.プロペルティウスは,ギュゲース湖はここでは黄金の流れるパクトルス川に関係づけ,そこに浸かって美しくなったということにしているようである(Camps, ad loc.).
*5 バビュローンの伝説的女王.バビュローンの王ニノスの妻であったが,王の死後バビュローンを壮大に再建する.
*6 バクトリア(現アフガニスタン)の首都.


【2007/09/23 17:54】 Propertius | TRACKBACK(0) | COMMENT(0) | 記事修正

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